2022年12月05日

ブリトー一つで2,000円越え

先週お話しした新しいクラウドプラットフォームに関連して、先週は米国に出張してきました。どこに、何しに、という点は次回以降お話しするとして(出し惜しみ、笑)、今回とにかく印象に残ったのは、何でもかんでも高いということ。

今年に入って米国訪問は実に4回目。海外に出たくても出れなかった2020年/2021年と打って変わって、今年は結構な頻度で海外(ここまでは全て米国)に出ています。本ブログでも一通りお話ししていますが、ゴールデンウィークにはビジネススクールの同窓会でLos Angelesに、その数週間後には娘の部活動の世界大会出場をサポートするためにArkansasに、そして8月には命の洗濯(夏休み)で4年振りのHawai'iに。全部プライベートなので、いつ仕事をしているんだという感じですね。いや、仕事は仕事でしているはずです(汗)。そういった意味では、今回の渡米が3年振り(2019年秋のオーストラリア以来)の海外出張となります。

という訳で渡米は今年4回目となり、強烈な円安にもまあまあ慣れているはずなのですが、それでも、今回は何でもかんでも高いと感じました。

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例えば、こちら。日曜日の晩ご飯のChipoletのブリトー。見た目はあんまり冴えませんが、結構美味しいです。航空券の関係で私は一人で土曜日にSan Franciscoに入り、日曜日に目的地に入りました。日曜日夜には本隊の6名が合流し、遅めのディナーを一緒に食べるはずだったのですが、Los Angelesから飛ぶはずの飛行機が遅延するとのこと(結局日曜日中には飛ばず、月曜日朝の到着になり、皆お疲れの様子でした)。一人での晩ご飯は簡単に済ませようということで、ホテルから歩いていけるChipoletでテイクアウトすることに。しかし、これ一つで実に$16.15です。内訳はBarbacoa Burritoが$12.00、Guacamoleトッピングが$2.90、そして税金が$1.25。$16.15といえば、多少なりとも円高に戻してきた直近のレート135円/$で計算しても、2,180円です。ブリトー一つが2,000円越え。

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そして、こちら。これはその翌日の朝ご飯。Coffee Bean & Tea Leafというコーヒー屋さんで、Caramel Latteとサラダ。これで$17.83です。内訳としては、Large Caramel Latteが$7.00、Pesto Saladが$9.45、そして税金が$1.38。$17.83は2,400円と朝ご飯としてはあり得ない値段ですが、Latteだけでも$7.00、既にほぼ1,000円!

これまでの3回の渡米では、もちろん何を見ても高い、ただ現実を無視して100円/$で考えれば、まあ何とかしょうがないと思える範囲だったように思います。それに対し、今回は仮に100円/$で考えても高い。そう、インフレですね。今年最初の渡米が4月末。それから7ヶ月間ですが、それだけの短い期間でも確実に全ての値段が上がっているように思います(あとは今回の訪問地の物価が高いという部分もあるのかもしれません)。

ちなみに、McDonaldsでスタッフ募集の広告が出ていましたが、時給が$18-$19ぐらいだったかと思います。日本円で言えば時給が2,400円から2,600円。それはMcDonaldsのハンバーガーも(今回は食べていませんが)高くなるはずです。移動の際にUberのドライバーの人と話しましたが、今や$20ではちゃんとしたランチも食べられないよ、とのこと。

先週末は出先で時間がなかったので、松屋で牛めしを食べましたが、牛めしにセットをつけて500円ぐらい。$4.00ぐらいといったところでしょうか。普通のお店でも1,000円/$7.50ぐらいあればしっかりとしたお昼ご飯を食べることができます。確かに日本の中にいる限りにおいては、値段が上がってきているとはいえ、まだまだそれなりにお手頃にそれなりに美味しいものが食べられます。ただ、それはあくまでも日本の中にいる限り。一歩外に出た瞬間に、日本は(あえて極端な表現をすれば)貧しい国になっていることを実感します。さらに言えば、エネルギーはもちろん、食べ物も多くの割合を海外に依存している以上は、いずれは日本での価格も上がっていきます。

今は、たまに海外に出た際に、うわー高いな、と驚くだけかもしれません。一方で、このままいけば、日本にとどまっていても海外からの物を買えなくなってくる。そんな危機感を強く持たざるを得ない、そんな今年4回目の渡米となりました。
posted by 岡本浩一郎 at 23:21 | TrackBack(0) | パーソナル

2022年12月02日

弥生PAPカンファレンス 2022秋 開催レポート

10/20から開催してきた会計事務所向けのカンファレンス、弥生PAPカンファレンス 2022 秋ですが、11/24のオンライン開催(3回目)で無事終了しました。全国7会場、オンライン開催3回を1ヶ月ちょいでやり遂げたということになります。正直大変ではありましたが、その大変さに見合うだけの成果は得られたと考えています。

6月に開催した前回のカンファレンス(これも全国7会場、オンライン3回)では、参加者(メディアや関係者等を除く)が2,000名を越えたとお話ししました。今回は、3,000名越えとまではいきませんでしたが、かなり3,000名に近いところにまでいきました。会場での参加も100名以上増えていますが、やはりインパクトが大きいのがオンラインでの参加です。今回もオンラインでは3回開催しましたが、うち1回目が1,000名弱、2回目が1,000名超となりました。オンライン開催は一般的に初回が一番参加者が多く、以降は参加者が減っていくのですが、今回は2回目が最多の参加者という結果になりました。

3,000名近くの方にご参加いただけた背景には、今回のメインテーマであるインボイス制度について、制度開始まで一年を切り、会計事務所の関心がより高まっており、なおかつ、その関心はより具体的な点にまで広がってきたことがあると感じています。今回のカンファレンスで弥生が目指したのは、インボイス制度において、インボイスの受領から記帳まで、どのようなオペレーションとなるのか、具体的な感触を持っていただくこと。参加した方にいただいたアンケート結果を見ても、この狙いは概ね達成できたのではないかと考えています。

もっとも、良くも悪くも今回のカンファレンスに参加いただけたのは、3,000名弱。弥生PAPの会員数は12,000弱ですから、1/4に過ぎません。カンファレンスという仕組み上、時間の制約はありますし、参加したかったけど都合がつかなかったという方もいらっしゃるのではないかと思います。また、事務所内で1名は参加したけれども、本当は事務所内の皆でしっかり理解したいということもあるかと思います。

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そのため、弥生ではカンファレンスの開催レポートを作成し、公開しています。今回の弥生PAPカンファレンス 2022秋の開催レポートについては、11/30に無事公開することができました(終了から一週間での公開ですから、結構頑張りました)。開催レポートは概要だけではなく、オンライン開催時のビデオそのものを見れるようになっています。しかも再生速度を1.0倍から2.0倍まで変えることができますし、チャプターも設定されているので、必要な部分だけを簡単に見ることもできます。

また、一連の開催でいただいたご質問とその回答もまとめて公開しています。特にオンライン開催の際には多くのご質問をいただいており、結果的に100問以上のQ&Aとなっています。

心配なのは、開催レポートでここまで丁寧にやると、これはもうPAPカンファレンスそのものには参加しなくてもいいのでは、とならないかということ(苦笑)。実際問題、再生速度の変更など、事後の方が便利な部分もありますから。ただ、会場開催の空気感的なものまでは伝えることはできませんし、また、開催前後や休憩中などに私やスタッフに直接いただいた質問などはカバーできていません。また、オンライン開催にご参加いただければその場で直接ご質問いただけますが、開催レポートでは既になされた質問への回答を確認することはできても、新たに質問をすることはできません。

カンファレンスを企画・開催する立場としては、やはり直接的な参加者を増やしたい。でも一番大事なのは、弥生としてのメッセージを多くの会計事務所パートナーにしっかり伝えるということ。ですから、開催レポートでも伝わるのであれば、それはそれでいいのだと思います。しっかり伝えるために、会場での参加、オンラインでの参加、開催レポートでの確認という選択肢を提供することが大事なのだと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:44 | TrackBack(0) | 弥生

2022年11月30日

新しいクラウドプラットフォーム

前回は、先日リリースしたやよいの給与明細 オンラインについて、大幅リニューアルと表現しているものの、実態としては、ゼロから開発した全く新しいアプリケーションであるととお話ししました。さらっとお話ししましたが、実はこれは弥生としては非常に大きなターニングポイントです。

というのも、アプリケーションとしてゼロから開発したというだけではなく、実はプラットフォームが全く新しいものになっているから。単純にコードを書きなおしたというレベルではなく、全てを作り直しているということです。デスクトップアプリケーションであれば、これまでWindowsのアプリとして開発してきたものを、今回からMacintoshのアプリとしてゼロから開発した、というぐらい大きな変化です。

実際には、やよいの給与明細 オンラインはクラウドアプリケーションですから、WindowsでもMacintoshでも動きます。この場合変わったのは、クラウドのプラットフォーム。一般のお客さまからは全く見えない部分ではありますが、クラウドのプラットフォームが変われば、アーキテクチャーからデータベースからほぼ全てが変わりますから、全く新しい取組みとなります。もちろん技術的に汎用性がある部分も多いので、ゼロからの学習にはなりませんが、新たに学ばなければいけないことも多く、とてもチャレンジングな取組みです。

チャレンジングである一方で、最新の技術を取り入れることが可能になるため、これまでのクラウドアプリケーションとは一線を画した使い勝手を実現できます。実はこの春に提供を開始した証憑管理サービス(ベータ版、今後「スマート証憑管理」として正式版となる予定)が新プラットフォーム上のデビュー作でした。ただ、証憑管理サービス(ベータ版)はそれ単体での利用は想定されていませんし、なおかつベータ版です。単体で利用するアプリケーションの正式版としては、今回のやよいの給与明細 オンラインがデビュー作となります。

弥生として新プラットフォームを採用することを正式に決定したのは実はもう約2年近く前のこと。以降、水面下でコツコツと開発を進めてきましたが、こうして無事にリリースすることができました。まだまだ完成形とは言えず、今後も磨きこみは必要ですが、弥生の将来につながる大きな一歩だと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:01 | TrackBack(0) | 弥生

2022年11月28日

やよいの給与明細 オンラインリニューアル

11/17に弥生はクラウドアプリケーション、「やよいの給与明細 オンライン」をリニューアルし、提供を開始しました

やよいの給与明細 オンラインは、弥生が提供するクラウドアプリケーション、弥生オンラインのラインアップの一つです。従業員30名程度までの事業者に最適な、給与明細をかんたん、気軽に作成することのできる給与計算アプリケーションとして2017年1月にリリースしました。

今回のリリースは、大幅リニューアルと表現していますが、実態としては、ゼロから開発した全く新しいアプリケーションです。リニューアル版のやよいの給与明細 オンラインは、従来版のやよいの給与明細 オンラインの全機能を引き継いでいますが、それだけではありません。今回のリニューアルに際して強化を図ったのは、事業者と従業員とがデジタルでつながる機能。わかりやすいところでは、給与計算を行い、給与明細を作成したら、その給与明細をデジタルデータとして従業員に配信することができるようになりました。また、当面はパートナー向けの限定提供となりますが、年末調整に必要な情報を従業員からデジタルで収集することも可能です。

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つまり従業員からデジタルで情報を収集することもできると同時に、従業員にデジタルで情報を提供することもできる。デジタルで従業員とつながることによって、利便性を高めるだけでなく、業務の効率化を実現します。

前回、業務の抜本的な効率化を実現するためには、業務のあり方そのものを変えていく必要があるとお話ししました。そのために進めるべきなのが、Born Digital、最初からデジタル。情報は発生源でデジタル化し、以降は一貫してデジタルのまま処理する。今回のやよいの給与明細 オンラインで、事業者が従業員とデジタルでつながる機能を提供するのも、この取組みの一環です。
posted by 岡本浩一郎 at 12:50 | TrackBack(0) | 弥生

2022年11月24日

事業概況説明会

10/28に開催したデジタルインボイス推進協議会(EIPA)による発表会について熱くお話ししてきましたが、その翌週にはこれはこれで大事な発表会がありました。それは弥生のメディア向けの事業概況説明会。弥生自身に関する発表会なので、これはこれで大事と言っていてはいけませんね(苦笑)。しかし、10月からPAPカンファレンスやら、外部イベントやら、EIPAイベントやらの準備で結構てんてこまいで、事業概況説明会の資料が完成したのは説明会の前日、ちゃんとしたリハーサルも前日一回のみ。結果的にはしっかりとした説明はできたとは思いますが、次回以降はもう少し余裕のある準備を心がけたいところです。

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さて、この事業概況説明会、かつてはデスクトップアプリケーション「弥生 XX シリーズ」(最新は10/21に一斉発売となった弥生 23 シリーズ)の新製品発表会として開催していたものです。昔は、新シリーズの発売開始は一年に一度の大イベントでした。もちろん今でも重要なイベントではありますが、今ではクラウドサービスの比重も大きくなっていますし、起業・開業ナビ資金調達ナビ事業承継ナビなど、弥生が提供する価値の幅も広がっている中で、一年に一度の大イベントというよりは、一年に何回もある大イベントの一つというところです。そういった中で、新製品にフォーカスするのではなく、弥生の活動の全容をお伝えすると同時に、その背景にある弥生の想いであり、方向性をお伝えする場として事業概況説明会という形で開催するようになっています。

今回の事業概況説明会での一番のトピックは時節柄やはりインボイス制度対応です。弥生シリーズでどのようにインボイス制度(+改正電帳法)に対応するか。これは本ブログでもまた改めてお話ししたいのですが、弥生がこの冬に提供する「スマート証憑管理」というサービスがこの役割を担います。これは既に提供している証憑管理サービス(ベータ版)を進化させ、正式なサービスとして提供するものです。

もっとも、今回の説明会では、このスマート証憑管理についてご説明するだけではなく、その背景にある弥生の想いであり、方向性についてもしっかりとお伝えしました。

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弥生の取組みには大きく二つの領域が存在します。一つは業務支援サービス。お客さまの業務を成立させ、効率化するお手伝いをしています。いわゆる業務ソフトである「弥生シリーズ」は業務支援サービスに位置付けられますし、今回の一番のトピックであるスマート証憑管理もこの領域に属します。もう一つの取組み領域は事業支援サービス。業務にとどまらず、事業者の事業の立上げと発展の過程で生まれる様々な事業上の課題の解決を支援するサービスです。例えば、直近で立ち上げた事業承継ナビはこの領域に属します。

業務支援サービスにおいて弥生がこだわっているのは、単なる法令改正対応に終わらないということ。もちろんお客さまが法令改正に対応でき業務を継続できるということは弥生として最低限達成しなければいけないことです。しかし、お客さまが法令改正は何とか対応できたけれども、業務としては複雑化した、大変になった、では弥生として十分な価値を提供できていないと考えています。法令改正対応は当たり前であり、より重要なのは、いかに業務を効率化するか。そのためにスマート証憑管理ではAI-OCR(AIを活用した文字認識の仕組み)を活用し、手入力を最小化できるようになっています。さらに抜本的な効率化を実現するためには、業務のあり方そのものを変えていく必要があります。そのために進めるべきなのが、Born Digital。最初からデジタルという考え方であり、弥生がデジタルインボイス推進協議会を通じて普及を図っているデジタルインボイスもこの取組みの一環です。

一方で弥生が事業支援サービスに取り組む原動力になっているのは、事業者であるお客さまにとって大事なのは業務ではなく、事業そのものであるということ。お客さまがやりたいことは事業を通じてお客さまのお客さまに価値を提供すること。その過程で生まれるのが業務。つまり業務は手段であり、目的は事業です。その観点から、弥生は業務のお手伝いをして満足するのではなく、お客さまの事業そのもののお手伝いをしたいと思っています。事業の立上げを支援する起業・開業ナビから、事業のバトンを渡す支援をする事業承継ナビまで、弥生が過去2年間、事業を支援するサービスを急速に立ち上げている背景にはこういった想いがあります。

色々と本ブログで取り上げたいトピックが多いのですが、今回の事業概況説明会でお伝えした弥生の想いであり方向性について、今後もう少し深掘りしてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:56 | TrackBack(0) | 弥生

2022年11月22日

デジタルインボイスで生まれるさらなる価値

10/28に開催したデジタルインボイス推進協議会(EIPA)による発表会について3回にわたって熱くお話ししてきました。これまでにもお話しした通り、デジタルインボイスというのは、インボイス制度という法令改正のためだけではなく、業務のデジタル化によって業務の圧倒的な効率化を実現する手段です。ここでいうデジタル化による効率化というのは、インボイスを紙ではなくデジタルでやり取りするということだけではなく、請求から入金まで、一連の業務を圧倒的に効率化するということ。それによって事業者の皆さんが業務がシンプルになった、楽になったということを実感できるようにしたいと考えています。

実はデジタルインボイスで実現したいことにはさらにその先があります。これもイベント中の私の基調講演でお話ししたのですが、デジタルインボイスの活用により、さまざまな新しいサービスであり、新しい価値を生み出すことができると考えています。その一つとして、事業者の資金繰りを抜本的に改善するサービスが実現できるのではないかと考えています。

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事業者はデジタルインボイスを発行すると同時に、そのデジタルインボイスを金融機関に共有する。すると、金融機関はデジタルインボイスに基づいて、リアルタイムで与信判断をし、融資を実行する。つまり、これまでは請求書を発行してから、それに対する入金を受けるのに1〜3ヶ月かかっていたものが、デジタルインボイスを発行すると即座に資金回収ができる、という世界を作れるのではないかと考えています。即座に資金回収すれば、その資金で次のビジネスに向かうことができます。

今回のイベントは複数のメディアで取り上げていただきましたが、日経の記事ではこの観点も取り上げていただき(図まで引用いただきました)、期待されているな、と実感しました。

あ、実に我田引水ですが、デジタルインボイスをもとに金融機関が与信判断をする際には、アルトアがお手伝いできるはずです。アルトアは既に会計データを活用した与信エンジンを金融機関に提供していますが、扱えるデータは会計データに限られるわけではありません。デジタルインボイスは事業者の資金調達を圧倒的に容易にしうると同時に、金融機関の与信精度と与信コストを大きく改善しうる力を持っていると考えています。ご関心をお持ちの金融機関の皆さま、是非アルトアと議論しましょう。
posted by 岡本浩一郎 at 19:30 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月18日

EIPAイベント(その3)

これまで、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)が10/28に開催した、デジタルインボイス利活用に関する発表会「請求から『作業』をなくそう。〜今だから考えるデジタルインボイスの利活用」についてお話ししてきました。今回のイベント開催を通じて改めて感じたのが、今回のデジタルインボイスに対する取組みはこれまでにないものであり、もっと言えば奇跡的だということ。

一つには、多くの民間のソフトウェアベンダーが集まり、「競争」ではなく、「共創」を実現できていること。もともと会計ソフト業界というのは、会社間であまり仲がいいとは言えませんでした(苦笑)。もちろん喧嘩腰という訳ではないのですが、お互いに不干渉というか、あまり関わろうとしてきませんでした。それが今回はデジタルインボイスを当たり前のものにする、それによって日本の事業者の業務を圧倒的に効率化する、という共通の想いのもとで、皆で協力して進めることができています。また、会計ソフトベンダーだけではなく、SAPやインフォマート、ROBOT PAYMENTなど、これまでは連携することの少なかった会社とも同じ想いの下でしっかりと共創することができています。

二つ目としては、政治と行政による一貫した牽引力。今回のイベントでは河野デジタル大臣からビデオメッセージを寄せていただきましたが、このメッセージ中、デジタルインボイスはデジタル庁のフラッグシッププロジェクトというご発言がありました。実はこれはもともとはEIPAによる提言に対し、平井初代デジタル大臣(当時はデジタル改革担当大臣)に仰っていただいたことです。この二年間でデジタル大臣は平井大臣、牧島大臣、そして河野大臣と変わってきましたが、その間一貫してデジタル庁のフラッグシッププロジェクトとして着実に進めていただきました。実務としては今回のイベントでパネルディスカッションのモデレーターを務めていただいたデジタル庁の加藤さんの一貫した牽引力には本当に感服させられっ放しです。また、加藤さんをしっかりバックアップいただいているMさん、そして、デジタルインボイスだけではなくもっと広い観点で社会的システムのデジタル化に向けて発破をかけていただいているAさん(猟師でもあるとの噂)の力なしにはここまで来れていないでしょう。

そして最後には、官と民が共創できているということ。この取組みは民間だけでは実現できていないことですし、また、政治や行政だけが動かそうとしてしても動きません。政治が方向性をしっかりと示し、行政が土台を作る、そしてその上で民間こそが実際に価値を生み出す。このサイクルをしっかり回せているのが今回の取組みだと思います。

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これらが揃った今回の取組みは本当に奇跡的だと思いますし、これを成功させることで、今後のさらなる社会全体のデジタル化につながるものだと考えています。もっともデジタルインボイスに関して、民間が実際に価値を生み出すという点はまだまだこれから。来年10月に向けて民間の力をしっかり示さなければなりません。
posted by 岡本浩一郎 at 18:36 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月15日

EIPAイベント(その2)

前回お話しした通り、10/28にデジタルインボイス推進協議会(EIPA)は、デジタルインボイス利活用に関する発表会「請求から『作業』をなくそう。〜今だから考えるデジタルインボイスの利活用」を開催しました

発表会は二部構成。第一部では、河野デジタル大臣によるサプライズ・ビデオメッセージの後に、私が基調講演を行いました。私が基調講演で強調したのは、デジタルインボイスというのは、インボイス制度という法令改正のためだけではなく、(誤解を恐れずに言えば、もっと重要なのは)業務のデジタル化によって業務の圧倒的な効率化を実現する手段であるということ。ここでいうデジタル化による効率化というのは、インボイスを紙ではなくデジタルでやり取りするということだけではなく、請求から入金まで、一連の業務を圧倒的に効率化するということです。それによって事業者の皆さんが業務がシンプルになった、楽になったということを実感できるようにしなければなりません。

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この想いは、EIPAの代表幹事である弥生だけが抱いているものではありません。EIPAの会員共通の想いです。それがしっかりと表現されたのが、第一部後半のパネルディスカッションではないでしょうか。パネルディスカッションでは、EIPA幹事の4社(インフォマートTKCマネーフォワードROBOT PAYMENT)が登壇し、デジタル庁の加藤さんがモデレーターを務められました。この4社は、どういった事業者をターゲットとするか、また、サポートする領域の違いはありますが、単純に紙を電子データにするというだけではなく、デジタル化、つまり、業務の見直しによって圧倒的な業務の効率化を目指すという点では一致しています。各社の特徴を明らかにしつつ、共通点もしっかり示す加藤さんのモデレーションは実に見事でした。

続く第二部では、15社のEIPA会員による各社製品・サービスのピッチイベント。1社あたりの持ち時間はわずか3分ということで、ちょっと心配していましたが、皆さんしっかり持ち時間の中で各社の特徴であり、想いをプレゼンされていました。この種のイベントで15社が一気にプレゼンをするというのもなかなか珍しいのではないかと思いますが、EIPA会員(正会員)は実に191社に達しており、今回登壇したのはごく一部です。191社の中には、ユーザー企業や事業者を支援する会社(コンサルタントや税理士法人・監査法人など)も含まれるため、全社がシステム・ソリューションを提供するという訳ではありませんが、それでも今回の15社ではまだまだ紹介しきれていません。今後も、各社による情報発信の機会を作っていきます。

前回もご紹介しましたが、本イベントの様子はYouTubeで公開していますので、是非どうぞ(第一部第二部)。
posted by 岡本浩一郎 at 22:00 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月11日

EIPAイベント(その1)

前回お話しした通り、デジタル庁が「わが国の『デジタルインボイス』の標準仕様(JP PINT)」として、Peppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.0を公開した10/28に、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)は、デジタルインボイス利活用に関する発表会「請求から『作業』をなくそう。〜今だから考えるデジタルインボイスの利活用」を開催しました。

発表会は二部構成。第一部では私が基調講演を行い、その後、EIPA幹事4社のパネルディスカッションを実施しました。その後第二部では、EIPA会員15社による、サービス紹介のピッチを実施しました。

実は第一部の冒頭では、河野デジタル大臣によるサプライズ・ビデオメッセージが寄せられました。サプライズということで、このメッセージそのものは公開できないのですが、デジタルインボイスの普及に向けた熱い想いと期待を語っていただきました。

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このビデオメッセージの後に、私は20分ほど基調講演を行いました。私の基調講演を含めイベントの様子はYouTubeで公開しています(第一部第二部)。

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私が基調講演で特にお話ししたかったのは、デジタルインボイスというのは、インボイス制度という法令改正のためだけではないということ。インボイス制度(適格請求書等保存方式)というのは、確かに法令改正であり、法令である以上これを守らなければならない。ただ、法令改正対応はできたけれども、業務は複雑になった、業務の負担が重くなったというのでは、事業者としては嬉しくありません。法令だから渋々対応はするものの、何のメリットも感じられない。実際、紙を前提としてインボイス制度に対応しようとすれば、そうなりかねません。でも、デジタルを前提とすれば、それを変えることができる。法令改正対応をしつつ、業務のデジタル化によって、むしろ業務がシンプルになった、楽になったということが実現できるのです。

ここでいう業務が楽になったというのは、デジタルであれば、紙の請求書を印刷し、封筒サイズに折り畳み、封入して、切手を貼って、ポストに投函してという手間がかからないということだけではありません。むしろ楽になるのは、それ以降です。デジタルでインボイスを受領すれば、買掛の仕訳を自動で計上できる。また、その買掛の仕訳をトリガーとして、支払の処理を自動化できる(支払という特性上、人間の最終確認は必要ではありますが)。そして。デジタルでインボイスを発行すれば、売掛の仕訳を自動で計上できるのはもちろん、入金がどの請求に対応するものなのか、すなわち入金消込業務を自動化することができます。

つまり、デジタルインボイスのメリットは、単にインボイスを紙ではなくデジタルでやり取りするということだけではありません。請求から入金まで、一連の業務を圧倒的に効率化できるということなのです。(続く)
posted by 岡本浩一郎 at 23:00 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年11月09日

バトンは再び民間に


思い起こせば約2年前の2020/12/14、デジタルインボイス推進協議会(EIPA, 当時は電子インボイス推進協議会と呼称)は、平井卓也デジタル改革担当大臣に提言を行いました。提言の骨子は、インボイス制度を機に、業務のデジタル化と効率化を実現するデジタルインボイスの普及を図ること、 そのために、Peppol(ペポル)と呼ばれる国際規格をベースとして日本標準仕様を策定すべきであるということ、また、日本標準仕様の策定に向け政府が積極的な役割を担うこと。

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これに対し、平井大臣には提言に全面的に賛同いただくと同時に、今後発足するデジタル庁の「フラッグシッププロジェクト」になるとまで言っていただくことができました。この時点で、デジタルインボイスの普及に向けてのバトンは、民間からデジタル庁に託されたわけです。

ただし実際にデジタル庁が正式に立ち上がったのは2021年の9月。それまではデジタル庁の前身となる内閣官房の力も借りながら、EIPAとして標準仕様策定に向けて活動は行っていたのですが、いかんせん牽引力不足は明らかでした。議論がより深まり、明確に前進するようになったのは、デジタル庁が立ち上がってから。内閣官房からデジタル庁に活躍の場を移したKさんの牽引力の賜物です。

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そして今回、デジタル庁からいよいよPeppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.0が公開された訳です。つまり日本におけるデジタルインボイス、Peppolはいよいよ実用化のステージに入ったということです。これと共に、デジタルインボイスの普及に向けてのバトンは、デジタル庁から再び民間に託されました。あとは、弥生を含め、民間の各社が実際に活用できるサービスを提供し、実際に業務効率化を実現する段階です。

そんな想いを込めたイベントをEIPA主催で10/28に開催しました。イベントに向けてはかなりの突貫工事となり、無事に開催できるのかひやひやしましたが(苦笑)、EIPAメンバー(特に広報部会)の会社の枠を超えてのチームワーク、そしてデジタル庁のバックアップもあり、何とか無事に開催することができました。このイベントについてはまた次回お話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 23:40 | TrackBack(0) | デジタル化