2019年03月20日

大台到達

先週で所得税の確定申告が終わり、社内もどことなくホッとした空気が流れています。Twitterでは、「弥生のクラウドソフトでやったけど、3月14日にサーバーが落ちたり、遅くなったりしないのが、すごいなあって思いました。システムをキープしてくれてる人たち、ありがとう」というこれ以上ないほどの有難いお言葉をいただき、嬉しさ倍増です。常に安定稼働を目指していますが、申告期間はいつも以上に万全を期しています。ただ、あえて正直に言えば、実は申告終了間際にスマート取引取込の動作が不安定になるという事象がありました。申告そのものに支障はなかったものと思いますが、今後への反省点としてしっかりと活かしていきたいと思います。

さて、そんな落ち着かない先週でしたが、実はひっそりと50歳という大台に到達しました。毎年のことですが、申告終了間際ということで、大騒ぎができないのは、これも持って生まれた運命でしょうか(苦笑)。

半世紀といえば長いな、と思いますが、昭和から平成になり、今年にはその平成も終わりますから、驚くほどではないのかもしれません(余談ですが、次の元号の世代の人から見た昭和は、昭和世代からみた明治になりますから、そりゃ歳もとりますよね)。50歳になったからといって、何かが急に、あるいは大きく変わることもなく、49歳の時と変わらない毎日です。もっとも私は、遠く昔の学生時代は人生50年もあれば十分だと思っていました。社会人になってしばらくすると、人生が50年とは思わなくても、仕事は50歳までで十分だと思うようになりました。50歳までに50億円稼いで、さっさと引退しようと。孫さんと比べるとあまりに小さい発想です(笑)。

そして迎えた50歳。人生、まだまだ。やはり親になったのが大きいですね。仕事、まだまだ。弥生の社長になってもうすぐ11年。長いとは思いますが、やはりまだまだできていないことの方が多い。

弥生の社長としては、お客さまの業務のあり方を変えたい。業務 3.0の世界は会計業務を中心に着実に到来してきていますが、まだまだ当たり前のものにはなっていません。お客さまである事業者は事業をしたいのであって、業務をしたいわけではありません。お客さまの夢を実現するために、会計業務でも、人事労務業務でも、商取引でも、最初から最後まで電子データとして自動的に処理される世界にしなければならないと考えています。そういった中で、弥生としてやるべきことは山積みです。これまで弥生は、決められた法令に従って粛々と業務を進めるための対応を粛々と行ってきましたが、お客さまの業務のあり方を本質的に変えるためには、法令そのもののあり方にも意見を発信していくべきだとも考えています。

さらにアルトアの社長としては、融資のあり方を変えたい。これまで、事業者向けの融資は、事業の評価が難しい中で、保証や担保に頼っていました。会計データをはじめとしたデータをAIで分析することによって、事業の評価ができれば、保証や担保に頼る必要はないはずです。アルトアの融資を開始して一年ちょっと。これまでにない価値を提供できているという実感があります。ただ、実績は満足できるレベルではありませんし、アルトアだけでなく、全国の金融機関が同様な融資を提供し、当たり前のものとなるまで、まだまだ長い道のりです。

キャリアの一つの曲がり角ともいえる50歳で、これだけのチャレンジをすることができているのは、本当に幸運なことだと思っています。一般的にいえば、弥生とアルトアの二足の草鞋を履くだけでも無理がありますが、弥生/Misocaとアルトアの皆がしっかり支えてくれているからこそできることだと思っています。パーソナルな面でも、一緒に祝ってくれる人がいるからこそ、チャレンジができる。そういった意味で、多くの人に支えられながらここまで来ることができ、そしてチャレンジを続けることができていることは、本当に有難いことだと思っています。

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そこにやるべきことがある限り、チャレンジを続けていきたいと思います。さすがに、「次の半世紀」とまで欲張りなことは言いませんが(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 17:56 | TrackBack(0) | パーソナル

2019年03月15日

提出編(その2、いよいよ最終日)

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弥生の札幌カスタマーセンターで昨年3月15日に撮影

長かった? あっという間だった? 確定申告期間も今日でいよいよ終わりです。既に提出したよ、という方はお疲れ様でした。逆にまだ終わらない(泣)という方はもう少しの辛抱、何とか乗り切りましょう。

一番避けたいのは、どうせもう間に合わないや、と諦めてしまうこと。青色申告にはメリットがあることは前回もお話ししましたが、最大のメリットである65万円の青色申告特別控除は、期限内に申告してこそ。逆に、期限後の申告になると、そのメリットがなくなり、税金が一気に増えるという恐ろしいことになります(こちらに体験談が…)。

でも、間に合わないよう(泣)という方はどうするか。なかなか表現が難しいですが、完璧を目指さないという考え方もありなのではないでしょうか。一旦できる範囲で申告書を作成し、提出してしまう。修正が必要であれば後日修正申告(税額が増える場合)もしくは更生の請求(税額が減る場合)ができるというのは法的に認められた手続きです。

提出編(その1)でお話ししましたが、提出方法は1) 電子申告、2) 税務署での提出、3) 郵送での提出の三通り。電子申告の場合は24:00きっかりに受付終了です。いざやってみたらうまく動かなかったというとダメージが大きいですから、事前に環境が整っているか確認しておくことをおススメします。郵送の場合は、本日の消印が必要です。こちらのページで「ご利用時間」を指定して検索することができますが、大規模な郵便局では24時まで受け付けています。本当にギリギリになった場合には、「今日の消印ですよね」と一声かけた方が確実かもしれません。大穴は、税務署への持参。午後5時以降は時間外収受箱への投函になりますが、24時過ぎでも大丈夫?かもしれません(保証はありませんので、あえてチャレンジしないでください、笑)。

なお、今日は前回お話しした通り、青色申告承認申請書の提出期限でもあります。これはサクっと作成して、申告書に同封しましょう。

また、今日は申告だけでなく、納付の期限でもあります。既に金融機関窓口での受付は終了していますが、クレジットカードによる納付サービスを利用するか、もしくは、振替納税を選択しましょう。振替納税を選択する場合、預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書を確定申告書と同封しましょう。

さあ、泣いても笑っても今日限り。最後の最後まで諦めずに頑張ってください!
posted by 岡本浩一郎 at 15:53 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年03月13日

番外編(やっぱり青色申告)

先月から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。準備編、記帳編、そして申告書作成編を終えました。確定申告期限は明後日の3/15(金)。Twitterを見ていても、


といったツイートが増えてきました(え、ステマになってますか、笑)。また、税理士の先生方ともFacebookでつながってる方が多いのですが、「終了」「もう少し」という投稿が目立つようになりました。

個人事業主で申告される方も、それを支える会計事務所の皆さまも、あともう少し。ラストスパート、頑張ってくださいね。

さて、今回の解説シリーズでは、基本的に「やよいの青色申告 19」や「やよいの青色申告 オンライン」を題材にお話ししてきました。つまり、青色申告されている方を念頭にお話をしてきました。一方で、弥生は白色申告のお手伝いも行っています。

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弥生は青色申告をされる方向けにはやよいの青色申告 オンラインを提供していますが、同時に、白色申告向けのやよいの白色申告 オンラインも提供しています。弥生としておススメなのはやはり青色申告ですが、実際には白色申告の方も多く、過去一年間の青色申告 オンラインと白色申告 オンラインの登録者数は拮抗、青色申告の方がやや多いかな、という状態です(デスクトップのやよいの青色申告も含めると、青色申告の方が圧倒的に多くはなりますが)。

青色申告 オンラインと白色申告 オンラインでは、両方とも1月から3月に登録(利用開始)が増えるのは共通なのですが、それ以外の月での登録(利用開始)が比較的多い青色申告に対し、繁忙期を過ぎると一気に減る白色申告という違いがあります。結果的に、2月/3月に限って言えば、青色申告より白色申告の方が多くなります。しっかりと備える青色申告派に対し、必要になったら行動する白色申告派という特性の違いがあるのかもしれません。

ただ、弥生としておススメしたいのは、やはり青色申告。それは、本ブログでもさんざんお話ししてきました(聞き飽きました?)が、明確な税金上のメリットがあるから。やよいの白色申告 オンラインをご利用の方には、青色申告のメリットを具体的に数字でお示しするようにしていますが、こちらのシミュレーターではどなたでも、節税効果を確認することができます。実際に見たら効果の大きさに驚くと思いますよ。

税金上は圧倒的に有利な青色申告ですが、誰でもが自由に選ぶことはできません。これまで白色申告をされていた方が青色申告に切り替えるためには、青色申告で申告をする一年前に、「青色申告承認申請書」を提出する必要があるのです。つまり、来年こそは青色申告という場合には、今年の申告期限中(つまり3/15(金))までに、青色申告承認申請書を提出する必要があります。ということで、今年は白色申告、でも来年からは、やるぞ、青色申告という方は今回の申告書とあわせて、青色申告承認申請書の提出もお忘れずに。青色申告承認申請書は単純な一枚物なので、10分程度で記入できるはずです。
posted by 岡本浩一郎 at 15:09 | TrackBack(0) | 弥生

2019年03月11日

提出編(その1)

先月から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。準備編、記帳編、そして申告書作成編を終え、いよいよ提出編です。私自身も無事先週末に申告書の準備が整い、今日提出することができました。ホッと一安心。

さて、できあがった申告書を提出するにあたっては、大きく、1) 電子申告、2) 税務署での提出、3) 郵送での提出、という3つの選択肢があります。

イマドキの時代ですから、もちろん電子申告でと言いたいところですが、電子申告ならではの一手間もあり、なかなか電子申告が当然とまでは言い切れないのが現状です。電子申告には、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要。これらは一度準備してしまえば翌年からはラクになる訳ですが、その一度がなかなか越えられないカベとなっています。

もっとも、今年からは、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的対応という位置付けで、ID・パスワード方式という選択肢が用意されるようになりました。この方式では、税務署で本人確認を受けた上で発行されるID・パスワードを利用して電子申告が可能になります。しかし残念ながら、このID・パスワード方式は、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」で最初から申告書を作成する場合にのみ利用できるということで、やよいの青色申告 19や、やよいの青色申告 オンラインで作成した決算書/申告書データをそのまま活用することができません。

結果的に、やよいの青色申告をご利用の場合には、マイナンバーカード方式のみが利用できることになります。ただ、マイナンバー方式も昨年までとは異なり、e-Taxの開始届出書の提出が不要になっていますので、これまでよりは簡便化されています。

やよいの青色申告 19(デスクトップアプリ)をご利用の場合には、e-Taxソフト(これ自体もデスクトップアプリ)と組み合わせて電子申告を行うことになります。一方で、やよいの青色申告 オンラインをご利用の場合には、e-Taxソフト(Web版)との組み合わせになります。前出の「確定申告書等作成コーナー」も、e-Taxソフトも、e-Taxソフト(Web版)も電子申告を行うための仕組みではあるのですが、それぞれ別物なので、ご注意ください(正直結構紛らわしいですよね)。

もう時間も限られるし、電子申告は来年から、という方は、2) 税務署での提出、3) 郵送での提出という二つのオプションになりますが、税務署での提出を選ぶ積極的理由はないと思います(オフィスの隣が税務署、だったら別ですが)。税務署で提出する場合、その場で提出を証明するための控えに受付印を押してくれるというのがメリットではありますが、郵送での提出の場合でも、控えと返送用の封筒(切手付き)を同封すれば、控えに受付印を押して返送してくれます。税務署までの往復の時間を考えると、郵送の方がよい時間の使い方なのではないかと思います。

なお、上記はあくまでも今回の申告での話。2021年の申告(2020年分の所得の申告)からは、電子申告の場合のみ青色申告特別控除が65万円になる(そうでない場合は55万円に減額)ため、納税額に明確な差がでることになります。それまでにいかに電子申告を当たり前のものとするか、弥生としてもしっかり対応しなければならないと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:30 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年03月08日

申告書作成編(その2)

先々週から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。準備編、記帳編を終え、いよいよ申告書作成編です。前回は、デスクトップアプリケーションである「やよいの青色申告 19」を利用して申告書を作成しましたが、今日は、クラウドアプリケーションである「やよいの青色申告 オンライン」を利用して申告書を作成してみます。

デスクトップアプリとクラウドアプリという違いはありますし、それゆえのユーザーインターフェイスの違いはありますが、ソフトウェアの誘導に従っていただければ、税金に関する知識がなくても申告書を作成できてしまう、という点は全く一緒です。どちらも弥生ですからね。

やよいの青色申告 オンラインの確定申告の画面では、まず最初に確定申告の手順という画面が表示されます。基本的にこの画面の誘導に従っていただければ、ステップ・バイ・ステップで、青色申告決算書と確定申告書の作成ができてしまう、という仕組みになっています。

前回も話したように、所得税を(言うまでもなく合法的に)最小化するためには、控除をしっかりとゲットすることが大事ですが、弥生ではあれば、どの控除が該当するのか、迷うことはありません。

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所得控除の選択という画面で、どういった控除が存在するのかをしっかり理解しながら、「はい/いいえ」で答えるだけ。画面の案内に従うだけで、該当する控除を迷わず選ぶことができるだけでなく、実際に控除を得るために必要な入力を漏らすことなく済ませることができるようになっています。

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今回の申告での難関ポイントである配偶者控除/配偶者特別控除についても、青色申告決算書を作成する際の基本情報で家族の情報を登録しておけば、あとは必要な情報を入力するだけ。

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配偶者の所得が100万円(画面上には表示されていませんが、本人の所得が900万円以下を想定)ですと、配偶者控除ではなく、配偶者特別控除となり、その金額は26万円となることが自動的に計算されます。

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扶養控除についても、結構間違えやすいのですが、基本情報を踏まえ、正しい申告書になるように誘導します。残念ながら、16歳未満の子どもは扶養控除の対象とならない(その代わりに児童手当が支給されるようになっています)のですが、基本情報の家族の生年月日を踏まえ、扶養控除が受けられない場合には、「扶養控除は受けられません」と明示するようになっています。一方で、住民税・事業税に関する事項の中で、16歳未満の扶養親族について記入する欄があるのですが、そちらに自動で記載するようになっています。

前回ご紹介したやよいの青色申告 19と同様に、やよいの青色申告 オンラインでも、やっかいな法令を理解する必要はなく、画面の誘導に従って情報を入力すれば、自然と正しい申告書が作成できるようになっています。これなら初めての青色申告でも安心ですよね。

さあ、いよいよ確定申告の期限前の最後の週末を迎えます。もうやらない/できない理由はないですよね。この週末に一気に済ませてしまいましょう。私も、この週末に仕上げます(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 18:55 | TrackBack(0) | 弥生

2019年03月07日

申告書作成編(その1)

先々週から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。準備編、記帳編を終え、いよいよ申告書作成編に入りたいと思います。今日は、デスクトップアプリケーションである「やよいの青色申告 19」を利用して申告書を作成します。

ここまで結構長々と説明してきただけに、申告書作成も長い説明が続くのか…、と思われるかもしれませんが、実は、申告書作成編はあっさりです。というのも、ここで長々と説明するよりも、ソフトウェアの誘導に従っていただくのが一番だからです。

やよいの青色申告 19の決算・所得税申告の画面では、左側に操作ナビが表示されます。基本的にこのナビの誘導に従っていただければ、ステップ・バイ・ステップで、青色申告決算書と確定申告書の作成ができてしまう、という仕組みになっています。

操作ナビでは、申告書全体の流れとして、

(1) 決算前に行う作業を確認しよう
(2) 青色申告決算書(一般用)を作成しよう
(3) 所得税確定申告書Bを作成しよう

という3つのステップが表示されており、それぞれのステップをクリックすることで、行うべき作業を確認したり、実際の作業を進めることができます。

ここでは例として、最後の山場である確定申告書の作成のステップをご紹介したいと思います。準備編で、「所得税を(言うまでもなく合法的に)最小化する上で、もう一つ重要なのが、控除をしっかりとゲットすること」と書きました。とはいえ、控除も色々あって、どれが該当するのか迷ってしまいますよね。

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でも、弥生なら大丈夫。操作ナビの中で、「所得控除で節税する」というステップが明確に示され、なおかつ「入力が必要な項目を診断する」ことが可能です。診断では、どういった控除が存在するのかをしっかり理解しながら、「はい/いいえ」で答えるだけ。画面の案内に従うだけで、該当する控除を迷わず選ぶことができるだけでなく、実際に控除を得るために必要な入力を漏らすことなく済ませることができるようになっています。

今回の申告から非常に複雑な制度になったのが、配偶者控除/配偶者特別控除。昨年末の年末調整時期にもお話ししましたが、本人の所得と配偶者の所得の掛け合わせで配偶者控除か、配偶者特別控除か、あるいは、いずれもなしか、また、配偶者特別控除の場合には控除額も決まるようになりました。

そもそもが複雑な制度なので、これを理解して、間違えずに入力するのは至難の業…、のようにも思えますが、ここでも弥生なら大丈夫。

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弥生であれば、配偶者の所得金額そのものを入力すれば、本人の所得金額も踏まえ、自動的に適用される控除、および控除額を計算してくれます。画面イメージのケースでは、配偶者の所得が100万円。この場合(画面上には表示されていませんが、本人の所得が900万円以下を想定)、配偶者控除ではなく、配偶者特別控除となり、その金額は26万円となります。

つまりやっかいな法令を理解する必要はなく、やよいの青色申告 19の誘導に従って情報を入力すれば、自然と正しい申告書が作成できるようになっているわけです。

今回は、デスクトップアプリである「やよいの青色申告 19」での申告書作成についてご紹介しましたが、次回はクラウドアプリである「やよいの青色申告 オンライン」での申告書作成についてもご紹介したいと思います(だいたい言いたいことは想像がつくと思いますが、笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 18:48 | TrackBack(0) | 弥生

2019年03月06日

記帳編(その4)

先々週から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。これまで、準備編、記帳編と進めてきましたが、今週末には申告書作成に取り掛かりたいところ。そのためにも、記帳はそろそろ終えたいところです。ということで、記帳編の最後は、帳簿付けする上で「あるある」な、これってどう帳簿に付けるの、の続編をお届けしたいと思います。

前回は、最もよくある質問である、これはどの勘定科目なの、についてお話ししました。端的に言えば、あまり厳密に拘る必要はありません。勘定科目の選択に悩んで帳簿付けの手を止めてしまうのではなく、悩んだら雑費でも構わないので、まずは一通り帳簿付けを終えてしまいましょう。

今回は、いくつかの支出について、そもそも帳簿にどう付けるの、という観点でお話ししたいと思います。

1) 帳簿に付けるが、一定の後処理が必要になるもの

個人事業主の方であれば、自宅で事業をしているという方も多いと思いますが、この場合の自宅賃料をどのように扱うか。これは一旦賃料を全額地代家賃として帳簿付けし、最後に地代家賃を、事業分と個人分に分解する処理を行います。これは家事按分という処理なのですが、結果的に地代家賃のうち経費として計上するのは事業分のみ、ということになります。

2) 帳簿に付けないが、申告書において申告するもの

医療費や生命保険料をどのように記帳するの、というのもよくある質問ですが、これらは事業上の経費としては認められていません。個人事業主は、「事業主」としての帽子と「個人」としての帽子を両方被っていることになりますが、医療費や生命保険料はあくまで「個人」に対して発生する支出であり、事業上の経費ではないからです。ですから、事業主としての帳簿に記帳する必要はない、ということになります。

ただ、医療費や生命保険料は、所得税上、一定の控除が認められます。医療費に関しては、医療費控除、生命保険料は生命保険料控除。ですので、帳簿に付ける必要はありませんが、領収書としてはまとめておき、所得税の確定申告書に記載することになります。

判断基準は上でお話ししたように、事業主としての支出(=事業上の経費)か、個人としての支出か、というもの。ですから、同じ保険料でも、事業で利用する設備にかけている損害保険の保険料は経費として計上できる(そのために帳簿に付ける)ことになります。昨日お話しした青色申告決算書上にデフォルトで「損害保険料」と記載されているのはこのためです。

3) 帳簿に付けないし、申告書において申告もしないもの

事業上の支出かもしれないが、支出の性格上経費として認められないものもあります。いわゆる罰金の類ですね。仕事のために車を運転しており、スピード違反で捕まったというケース。運転は仕事のためであり、そのために発生した支出だから経費としたいところですが、罰金という性格上、経費計上は認められていません。もちろん、所得税申告において控除として認められることもありません(災害で損害を受けた際に認められる雑損控除というものはありますが、災害の意味が異なります、笑)。

ちなみに、帳簿に付けないし、申告書において申告もしない、にある意味該当するのが、個人事業主自身の給料です。青色申告決算書上にデフォルトで「給料賃金」と表示されているので誤解されることがありますが、この給料賃金は、従業員に対して給料を支払った場合に該当するものです。

個人事業主にはそもそも給料という概念はありません。それによって生計を立てる収入という意味では、売上から経費を差し引いて得られる利益、つまり申告書上で言えば事業所得が給料に該当する存在となります。ですから、個人事業主自身への支払いは、帳簿上給料賃金として付けることもありませんし、申告書上給与所得として申告することもありません。

ただ、現実問題として事業用の銀行口座から生活費を払った場合はどうするのか。これは、「事業主貸」という勘定科目で処理します。つまり事業のおカネを事業主である個人に渡した、厳密に言えば、事業主の帽子を被った存在から、個人の某氏を被った存在に資金を渡した、という扱いになります。なお、勘定科目名に「貸」とはありますが、借りたから返す、という必要はありません。事業主貸および、逆に事業主から事業におカネを融通した場合の事業主借は、決算の中で自動的にクリアされます(その分、両者の差分が元入金に減算/加算されます)。

長かった記帳編もこれで終わり(ホッ)。次回からは申告書の作成に取り掛かります。
posted by 岡本浩一郎 at 19:53 | TrackBack(0) | 税金・法令

2019年03月04日

記帳編(その3)

3月に入って、確定申告期間も折り返し地点を過ぎました。申告期限までの週末は、もう今週末のみ。比較的のんびりしたペースで進めているこのシリーズですが、さすがに、そろそろ、焦るべきタイミングです。この週末には申告書の作成に集中できるよう、今週中に帳簿付けを済ませておきたいところです。

帳簿付けは、可能な限り自動で。手入力の場合には、同じような取引を続けて入力することによって、効率的に入力しましょう。

さて、今回は、帳簿付けする上で「あるある」な、これってどう帳簿に付けるの、にお答えしたいと思います。

もっともよくある質問は、これはどの勘定科目なの、というもの。例えばコピー用紙を買ったとして勘定科目は? 何となく該当しそうなのは、消耗品費か、事務用品費ぐらいでしょうか。あるいは資料として本を購入した際は、新聞図書費か、書籍費か、あるいは資料費か。思い切って雑費というのも万能な気がします。答えは、それらしければ、基本的にはどれでもいい、です。

大事なのは、一定のルールに従っていること。本を買った時に、ある時は「新聞図書費」だが、別の時は「書籍費」など、同種のモノに異なった勘定科目を使うことは避けるべきですが、逆に言えば、一定のルールに従えば、勘定科目はあまり厳密に拘る必要はありません。

あまり厳密に拘る必要がないという意味では、雑費もありといえばありです。ただ、何でもかんでも雑費としてしまうと、結局一切分別していないことになってしまうので、これだ、という勘定科目がない場合、あるいは、まれに発生する経費のみ雑費とすべきかと思います。一年に一回しか本を購入しないのであれば、わざわざ新聞図書費として分けて管理せず雑費で十分ですし、資料を大量に購入するのであれば、やはり新聞図書費として分別して管理した方が望ましいでしょう。

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個人事業主の場合、一つ参考になるのが、青色申告決算書(損益計算書)に最初から表示されている勘定科目。青色申告決算書上デフォルトで表示されているのは、以下の18の勘定科目です。

租税公課、荷造運賃、水道光熱費、旅費交通費、通信費、
広告宣伝費、接待交際費、損害保険料、修繕費、消耗品費、
減価償却費、福利厚生費、給料賃金、外注工賃、利子割引料、
地代家賃、貸倒金、雑費

ですから、迷ったらまずはこの18の中から選ぶでも良いと思います。なお、やよいの青色申告では、この18以外の勘定科目を利用した場合には、自動的に「その他経費」という科目に合算されて表示されるようになります。ただ、比較的よく発生する経費がある場合、例えば新聞図書費が多いという場合には、新聞図書費という勘定科目を独立して表示させるようにもできます(そのためにいくつか空白の行が用意されているのがわかるかと思います)。

デフォルトの18科目以外に、比較的よく使われる科目は、支払手数料、会議費、新聞図書費ぐらいかと思います。使用する勘定科目を、デフォルトの18+必要に応じてのαとし、それに該当しないものは全部雑費とすれば随分とすっきりしますね。

いちばん避けるべきは、勘定科目の選択に悩んで帳簿付けの手を止めてしまうこと。悩んだら雑費でも構わないので、まずは一通り帳簿付けを終えてしまいましょう。

なお、上記は基本的に経費の観点でお話をしていますが、PCなど10万円以上するものは通常は「固定資産」となり、一般的な経費とは異なる扱いが必要になります。ただし、青色申告の場合は、減価償却の特例により、事業で使う30万円未満の固定資産を一度に経費にすることが認められています。詳細はこちらをご覧いただければと思いますが、これも青色申告のメリットの一つです。
posted by 岡本浩一郎 at 19:01 | TrackBack(0) | 弥生

2019年02月28日

記帳編(その2)

いよいよ2月も今日で終わり、確定申告期間も折り返し地点です。時間に余裕がある(?)週末は、今週末と来週末のみ。今週/来週は粛々と帳簿付けを進めていき、来週末は申告書の作成に集中できるようにしておきたいところです。

前回お話ししたように、平成という時代も終わる今、帳簿付けはどんどん自動化を進めたいところです。取引は、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなど、取引履歴が電子データとして得られる手段にして、その履歴をスマート取引取込を使って自動で仕訳する。ただ、一般的に取引履歴を取得できる期間が限られるため、今からスマート取引取込を活用しても今回の申告では充分活用できないかもしれません(とは言え、来年のために、ここでスマート取引取込の設定をしてしまいましょう、というのは前回お話しした通り)。

今回自動での記帳ができないとしても、諦める必要はありません。手入力で記帳するといっても、コツをつかめば意外に早く終わらせることができます。

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特に初めて青色申告をされるという方にご活用いただきたいのが、「かんたん取引入力」。

かんたん取引入力では、いわゆる仕訳を知っている必要はありません。入力エリアの右側に「取引例を探す」というボタンがありますが、ここをクリックして、取引のキーワードを入力します。例えば、「携帯電話」。そうすると「携帯電話代の支払い」といった取引が表示されますので、それを選べば仕訳の「もと」となる情報がセットされますので、後は日付や金額といった情報を入力すればokです。仕訳というと、勘定科目やら借方・貸方やら途端に面倒臭く感じますが、かんたん取引入力では、行った取引を選べば結果的に仕訳を正しく入力できるようになっています。

ここまでは、「かんたんやさしい」弥生であれば当たり前の話。この「かんたん取引入力」で注目いただきたいのが、登録ボタンの左側にある「同じ取引を続けて登録する」というチェックボックス。このチェックボックスをチェックした上で登録すると、同様な取引をサクサクと入力することができます。

これは先週お話しした領収書の整理方法にもよるのですが、例えば携帯電話料金の明細を一年分揃えておきます。まずは1月分を登録し、その際に「同じ取引を続けて登録する」をチェックしておけば、その画面のまま、日付と金額(+丁寧にやるとすると摘要の「〇月分」)だけを変えて、2月分、3月分…と一気に入力することができます。これを次は電気代、次は家賃…と入力していけば、かなりのスピードで入力を進めることができます。家賃などの場合には、金額も変わらないでしょうから、日付を更新して登録し続けるだけですね。

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さきほどの画面は、クラウドサービスである「やよいの青色申告 オンライン」の画面ですが、デスクトップアプリである「やよいの青色申告 19」でもこのようにほぼ同様の画面となります。やはり、「同じ取引を続けて登録」がありますから、これを積極的に活用したいところです。

もう少し応用編としては、辞書機能をうまく活用したいところです。オンラインでは「よく使う取引」、デスクトップでは「取引辞書」という名称になりますが、その名の通り恒常的に発生する取引を登録しておけば、あとは選ぶだけ。

より高機能なデスクトップ版では、振替伝票というより複雑な仕訳を入力するための機能もありますが、やはり伝票辞書という辞書機能があり、これを活用すれば、複雑な仕訳(例えば従業員への給与の支払い & これにともなう源泉徴収など)もどんな仕訳だったっけ、と悩むことがなくなります。

一年に一度しかないような取引については、前年度の帳簿を参照し、そこから仕訳をコピーすることも可能です。具体的には、帳簿・伝票メニューで前年度仕訳日記帳を開き、目当ての仕訳を「行コピー」。それを今年度の仕訳日記帳で「行貼り付け」することが可能です。

領収書の山を前になかなか手がつかない、という方も多いかと思いますが、やり始めてしまえば、意外にサクサクと進むもの。ここで頑張って一気に片付けてしまいましょう。
posted by 岡本浩一郎 at 18:14 | TrackBack(0) | 弥生

2019年02月26日

記帳編(その1)

先週から始めた所得税確定申告の解説シリーズ。申告期限に向けて、準備編、記帳編、申告書作成編、提出編と順を追って解説していきます。先週(末)で書類の準備が整ったということで、今週は帳簿付けを進めていきたいと思います。

帳簿付けをするといえば、まずは現金出納帳に手書きで記帳して、それを総勘定元帳に転記して、という昔ながらのイメージがあるかもしれません(腕にはもちろんインクが付くのを防ぐための黒い腕カバー、笑)。

これはもちろん過去の話。それこそ昭和の話です。平成の時代は会計ソフト。会計ソフトを利用すれば、現金出納帳でも、預金出納帳でも、仕訳日記帳でも、あるいは振替伝票でも、どの帳簿や伝票からでも入力が可能であり、入力した仕訳は自動的に総勘定元帳に転記されます。入力は一度だけで、その後は自動的に処理がされ、ボタン一つで残高試算表を作成することができます。そう、会計ソフトの中では、はるか昔からワンスオンリー(過去に提出/入力したデータを、再び提出/入力する必要のない仕組み)が実現されている訳です。

ただ、まもなく平成も終わる中で、記帳の常識も変わろうとしています。それは自動での記帳。預金出納帳がわかりやすいですが、預金出納帳を手で入力する際には、その基になっている情報、具体的に言えば通帳がある訳です。ただ、通帳もイマドキの時代、もちろん手書きなどではなく、銀行のシステムでデータとして管理され、出力されています。情報の二重入力をなくすためにはどうすればいいか。それは発生源でデジタル化し、最初から最後までデジタルで完結させること。つまり、銀行からデータとして受け取り、それを会計ソフトが自動で記帳することによって、情報の二重入力がなくなり、業務の圧倒的効率化が実現されます(会計ソフトの垣根を越えて、ワンスオンリーを実現するという表現もできるかと思います)。

弥生でこれを実現する仕組みがスマート取引取込。私の個人の会社でも2年前から活用していますが、一度活用すると、もうない世界には戻れません。以前お話ししたように私の会社は現在は事実上の休業状態ですから、取引の量は最小限。それでも一年分の取引がボタン一つでガッと仕訳として取り込まれるのは本当に便利です。一般的にはもっと取引量がある訳ですから、その効果は絶大です。

もっとも、実は法人で銀行口座の明細の自動取込を活用しているお客さまはまだまだ多いとは言えません。それは法人の場合、一般的にインターネットバンキングの利用に利用料がかかるからです。それに対し、個人(事業主)の場合は、基本的にインターネットバンキングの利用料はありませんから、活用しない理由がありません。

帳簿付けを容易にするためには、事業用の銀行口座、そして事業用のクレジットカードを用意したいもの。現金での取引は最小化し、一方で事業用の銀行口座/クレジットカードをスマート取引取込で自動で記帳されるようにしてしまえば、記帳は圧倒的にラクになるはずです。

ただし、インターネットバンキングからデータを取得する以上、仕訳として取り込めるのは、インターネットバンキングにデータが存在する期間に限定されます。インターネットバンキングにデータが存在する期間がどれだけかは、銀行によりますが、数ヶ月ということも珍しくありません。このため、残念ながら、今からスマート取引取込を使い始めても、昨年分の取引が対象となる今回の申告では活用できないケースも想定されます。とは言え、ここで何もしなければ、結局来年も同じことになりますから、来年に向けてスマート取引取込の設定は是非済ませたいところです。

今回は自動仕訳を活用できないとすると、やはり手入力による帳簿付けを行う必要があります。もっとも、事業をする上では、毎月支払う水道光熱費や賃料、あるいは、毎月請求を行って売上を計上など、発生する取引はかなりパターン化されます。このパターンをうまく活用すれば、手入力での帳簿付けも実は意外に簡単です。次回は、パターン化された取引を効率よく入力する方法を解説したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:13 | TrackBack(0) | 弥生