2016年02月08日

ふるさと納税の功罪

来週2月16日にはいよいよ確定申告が始まります。この時期は全力でお客さまの確定申告を支援しなければなりませんが、そのためにも、自分の確定申告の目処を付けておく必要があります。今年も弥生で申告書を作成するつもりですが、その前にまずは申告の際に必要となる資料の整理から。私の場合は、基本的に給与所得となりますので、必要となる資料は、生命保険料控除や寄附金控除など所得控除に必要な書類に限られます。これらは受け取った際に、決まった場所にファイリングするように心がけているため、さほど時間をかけずに整理は終了。今週末にでも、申告書を作成するつもりです。

申告の内容としては例年と大きくは変わりませんが、今回はこれまでよりもふるさと納税の寄附先を増やしてみました。例年、心のふるさとである湯河原町に加え、岩手県(いわての学び希望基金)、宮城県(東日本大震災みやぎこども育英募金)、そして福島県(東日本大震災ふくしまこども寄附金)への寄附を行っています。今回、ふるさと納税の枠が広がったこともあり、特産品ギフトを目当てに他の自治体への寄附も行ってみました。

あれ、ちょっと待てよ、という声も聞こえてきそうです。一年前には、「この種の特産品ギフトはやめるべき(少なくとも最小限にするべき)だと考えています」と書きました。それが特産品ギフトを目当てにとは、何だと。

決して趣旨替えをしたわけではありませんが、結構悩んだのは事実です。ただ、ふるさと納税の枠が広がり(さらに一定の条件の下で確定申告が不要になるなど)国としてはふるさと納税をさらに拡大させようという意思が明確な中で、特産品目当てを単に批判するだけではなく、自分も経験した上でその良し悪しを改めて考えたいと思ったからです。

実際やってみて感じたのは、特産品をプレゼントするということには一定の合理性があるということ。ふるさと納税については、各自治体でも情報を発信していますが、ふるさとチョイスなど、ポータルサイトで比較・申込するのが一般的になっています。実際にこういったサイトで見てみると、へえ、この町ではこんな特産品があるのか、など、多くの発見があります。最初はふるさと納税の特典として(実質)ただで入手したものであっても、気に入って二回目以降は直接(お金を払って)購入するという流れができるのであれば、確かに地域の振興に役立つでしょう。また、領収書を送って頂く際に、多くの場合、その町のパンフレットなども同封されてくるのですが、見ていると、一度行ってみたいという気分にもなります。

一方で、やはり課題もあると感じています。食べ物など消費するものはまだいいのですが、PCや家電製品などは換金性が高すぎるため、もらったものをヤフオクなどで売却することによって、寄附をしても損をしないどころか、お金として返ってきてしまいます。もっとも、あまりに金銭的価値の高い特産品を受け取った場合、一時所得として課税されることもあるようです。

もう一つの課題は、所得の高い人ほど、累進的にふるさと納税の枠が大きくなること。ふるさと納税の枠(ほぼ全額が戻ってくる額)は、一般的に住民税特例控除の額で決まってくるのですが、住民税特例控除は、(寄附金 - 2千円)×(90% - 所得税率×1.021)と計算され、住民税所得割額の2割が限度とされています。所得が高いと、計算式中の所得税率が上がる(最高45%)ために、住民税特例控除の対象となる部分が少ない(その分所得税の寄附金控除の対象が大きい)、さらに、上限の計算根拠となる住民税所得割額が大きいため、累進的に枠が拡大します。

特に後者の問題については、明らかに公平ではないので、是正が必要だと考えます。昨今消費税の軽減税率は高所得者にメリットが大きいとも議論されていますが、ふるさと納税はそれと比較にならないぐらいに高所得者に有利になっています。

前者の換金性の問題についても、金額的に過度な返礼はやめる、特に換金性の高い返礼品はやめるという自主ルールが確立されることが望ましいと考えています。実際、総務省からは過度な返礼を控えるべきという通知(pdf)も出ているようですが、まだかなりばらつきはあるようです。目に余るので規制するとなるよりは、自治体間で話し合って自主ルールを確立すべきではないでしょうか。

もっとも最大の課題は、被災地の支援など、特産品を出さない、出せないという自治体へのふるさと納税が相対的に不利になりかねないということです。上の二つの課題は特産品を出す自治体側や制度を設計した国の問題ですが、最後の課題に関しては、ふるさとを応援するという志を大事にできるか、という私たちの問題かと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 23:57 | TrackBack(0) | 税金・法令