2016年04月21日

利子割の廃止

先週に、来年から、国税の振替納税の際の領収証書の送付がなくなるというお話しをしました。これは行政の効率化であり、経費削減のため。実は似たような話がもう一つあり、これは既に今年から始まっています。

それは法人の預貯金等の利子(利息)にかかっている税金のうち、地方税分の5%(これを一般的に利子割と呼びます)が廃止されたこと。ご存知の方も多いと思いますが、個人・法人にかかわらず預貯金等の利子からは一定の税金が源泉徴収されます。去年までは、個人・法人共通で、利子所得の金額に一律20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率を乗じて算出した所得税等が源泉徴収されていました。

今年に入って、個人については変更がないのですが、法人についてのみ、利子所得の金額に15.315%(所得税・復興特別所得税)の税率を乗じて算出した所得税等が源泉徴収されることになりました。つまり利子割が廃止され、源泉徴収される金額が5%分減ったということになります。

むむ、法人だけ減税なのか、というのは早とちり。実は、元々個人と法人では利子割の扱いが異なります。個人の場合は、一般的な住民税と利子割は全く別物という扱いになっており、住民税がいくらであろうと、利子割は別途かかるようになっています。一方で、法人の場合は、利子割は法人の住民税の一部を前払いしているという扱いになっています。このため、決算で法人住民税の金額を算出する際に、既に利子割として払った分を控除することができました。今回の変更では、利子割として源泉徴収される分がなくなったと同時に、それを法人住民税から控除することもなくなった(結局トータルでの税額は変わらない)のです。

それでもなぜ変わったのか。それは、法人が赤字の場合に、利子割を還付することになっており、還付にコストがかかっていたからです。上でお話ししたように、利子割は法人住民税(法人税割)の一部を前払いするという位置付けです。ここで法人が赤字の場合に、法人住民税(法人税割)はゼロになりますが、利子割は払ってしまっているので、払った分を還付してもらえることになっていました。ただ、ご承知のように低金利の時代で、還付される金額が数百円ということも珍しくありません。たかだか数百円の還付のため、還付コスト(これも数百円でしょう)かけるのは無駄であるということで、それであれば還付の原因となる利子割を廃止しようということになったわけです。

実際、私の(弥生の社長になる前の)会社も、私が弥生の社長に就任して以降は営業休止状態でずっと赤字。それでも法人住民税の均等割70,000円は毎年払う必要があるのですが、同時に毎年数百円程度の利子割の還付を受けてきています。還付の案内を見るたびに、これだけの金額の還付のために、結構なコストがかかっているんだろうな、と思っていました。

利子割の廃止は、無駄な手間、コストを掛けずに済むという意味で、とても良いことだと思っています。同時に、副次効果として、利子割の廃止によって、実際に受け取った利子の金額から、源泉徴収された所得税等の金額を割り出すのが少しだけ容易になりました。たとえば、口座に利子として100円(A)が入金されていた場合、これまでは実際に支払われた利子は125円(B=A/0.79685)で、そこから所得税・復興特別所得税が19円(C=B*0.15315)、利子割が6円(D=B*0.05)源泉徴収されたという計算と帳簿付けが必要でした(なおかつ、金額の計算の中で、端数による1円のずれが出ることがあり、結構厄介でした)。それが今年からは、100円入金されたら、実際の利子は118円(B=A/0.84685)で、ここから所得税・復興特別所得税が18円(C=B*0.15315)源泉徴収された、と僅かではありますが、計算がシンプルになります(1円のずれも出なくなりました)。

行政はコスト感覚がないと言われがちですが、実は、いかに無駄を省くか、効率化するかが考えられ、少しずつではあってもそれが実行されているのですね。こういった動きは大歓迎です。
posted by 岡本浩一郎 at 23:25 | TrackBack(0) | 税金・法令