2017年04月28日

もちろんデスクトップでも連続No.1

前回は、個人事業主向けのクラウド会計ソフト(やよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンライン)として連続No.1を達成しているとお話ししました。具体的にはシェア56.8%。クラウドでも2人に1人(以上)は弥生です。

一方で、誤解されがちなのが、弥生はデスクトップのお客さまがクラウドに流れているからこそ、このシェアなのではないの、ということ。実際、Newspicksのコメントでもそういった理解をされている方が一定数いらっしゃいました。しかし、事実として言えば、デスクトップからクラウドに流れている方は(ゼロではありませんが)多くはありません。

個人事業主向けのデスクトップ製品は、やよいの青色申告 17。主に家電量販店やAmazonなどで販売されています。連続No.1を更新中(現時点で13年連続)のベストセラー。この1月から3月の、やよいの青色申告 17の家電量販店やAmazon等での販売本数の実績は、一年前(2016年1月〜3月)と比較し99.1%でした。1年前とほぼ同じ。

つまりデスクトップが減っている訳ではありません。デスクトップがいいという方もいらっしゃれば、クラウドがいいという方もいる。弥生であればどちらにでもお応えすることができます。弥生はデスクトップとクラウドという二つの選択肢を提供することにより、デスクトップだけの時代と比べ、圧倒的に多くのお客さまにご利用頂くことができるようになっています。

もっとも、デスクトップは対前年99.1%と、確かに伸びてはいませんし、ごくわずかに減少はしています。やはり多少はクラウドへシフトしている? 確かにゼロではないのですが、多くはありません。本当の要因は、弥生のあんしん保守サポートに加入頂く方が増えたから。あんしん保守サポートはデスクトップ製品向けの保守サービスですが、ご加入頂いていれば、常に最新版が提供されますので、家電量販店などで買い直す必要がありません。ですから、新規の販売と保守への加入を合計すると、デスクトップもやはり順調に成長しているということになります。

つまり、弥生であればクラウドもあり、そしてデスクトップもあり。結果として、クラウドを利用する人も増えていますし、デスクトップを利用する人も増えています。そしてもちろん、弥生は、クラウドでもNo.1、そしてデスクトップでもNo.1です。
posted by 岡本浩一郎 at 16:37 | TrackBack(0) | 弥生

2017年04月26日

クラウドでも連続No.1

ALTの話が続きましたが、ALT発表の前日となる4/13(木)に、MM総研から、「クラウド会計ソフトの利用状況調査(2017年3月末)」というリサーチ結果が発表されました。この3月末に、個人事業主1万7,420事業者を対象にWebアンケート調査を実施し、クラウド会計ソフトの利用状況をまとめたものだそうです。既に本ブログでも何回かご紹介している調査の更新版ということになります。結論からお話しすると、弥生はシェアをさらにアップすることができ、連続No.1を達成しました。

今回のMM総研の調査をIT mediaがカバーした記事は、NewsPicks上でかなり注目を集め、中には、かつての株主から「弥生が上手くクラウド移行できたら新興勢力はひとたまりもありません(元役員より)」というコメントまで頂いてしまいました(笑)。ただ、たまたまALT発表とタイミングが近かったため、ALTについて日経に掲載された記事(ALTというよりは提携した地銀をメインにした記事ですが)がやや霞んでしまったのは、少々複雑な心境です(苦笑)。

この調査の面白いところは、確定申告期前と申告期後の2回で調査することにより、今回の確定申告期でどれだけクラウド会計ソフトの利用が進んだのかを見ることができるところ。

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申告期前は、9.7%だったクラウド会計ソフトの利用率(デスクトップ型は80.3%、残りは「分からない」)が、申告期後は13.2%(デスクトップ型は77.7%、残りは「分からない」)となり、今回の確定申告期でクラウド会計ソフトの普及が確実に進んでいることがわかります。とはいえ、9.7%から13.2%ですので、爆発的な普及とは言えず、緩やかに、でも着実に普及してきているというのが正確な表現になるかと思います。

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では、着実に普及が進んできているクラウド会計ソフトで、どのメーカーが一番利用されているのか。これはもちろん、弥生です。利用しているクラウド会計ソフトの事業者別シェアでは、「弥生」が56.8%で連続No.1を獲得することができました。申告期前の調査では52.8%ですから、シェアは+4.0%。これもまた緩やかに、でも着実にシェア向上というところでしょうか。

この結果は、弥生自身が日々収集・分析している各種データともほぼ合致しており、納得感のある数字です。ただし、満足しているかというと、それはまた別の話。一年前には、二位に対してトリプルスコアでの圧倒的No.1(弥生基準での圧倒的No.1は、3人に2人、つまりシェア66.6%)を目指すと書きましたが、残念ながらいずれも達成できていません。クラウド会計ソフトの更なる普及も含め、まだまだやるべきことはたくさんあると考えています。

それでも、着実に前進していることも事実。焦らず腐らず、前を向いて着実に進んでいきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:24 | TrackBack(0) | 弥生

2017年04月24日

ALTオフィス

一週間ほど前にようやく正式に発表することができたALT(アルト)。実際の融資開始までにはまだまだ乗り越えるべき山が多く存在しますが、先週末には小さな進展がありました。それはALTのオフィスを正式に開設したこと。

これまで、ALTは弥生の中のプロジェクトという位置付けで、オフィスも弥生の東京本社の中で机をいくつか拝借して細々と進めていました。ただ、いよいよ外部にも正式に公表する段階となり、またパートナー金融機関からも出向者を受け入れるということで、専用のオフィスを開設することになりました。

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もっとも、このオフィス、実は今でも弥生の中にあります。これまでは弥生の通常の執務スペースの中の机を拝借していたのですが、今回、弥生の会議室の一つを改装し、ALT株式会社のオフィスとすることにしました。もともとは「末広町」と呼ばれていた東京本社で3番目に大きい会議室だったのですが、改装にともなって若干スペースを拡張しました。結果としては、思った以上に広々としたスペースとなり、大変好評です。

このタイミングで外にオフィスを借りることも考えたのですが、秋葉原周辺であまりいい物件がなかったこと、また、何よりALTはベンチャーですから、できるだけ運営コストを下げたいということで、まずは弥生オフィス内に専用オフィスを作る形でのスタートとなりました。もちろん、ALTから弥生に賃料を払うことになるのですが、共用させてもらう設備等を考えると格安のコストで済みます。

ALTの従業員は私を除いて現在6名。来週/再来週でパートナー金融機関からの出向者2名もジョインすることになります。また、もう1名も既に入社が確定しており、あっという間に10名体制になります。今回のオフィスは16名程度までを想定しているため、このオフィスに長くいることはないと思いますが、それでもここが創業の地。ALTにとって小さいけれども、大きな一歩です。
posted by 岡本浩一郎 at 17:33 | TrackBack(0) | ALT

2017年04月20日

金融機関とのパートナーシップ

先週末にようやく正式に発表することができたALT(アルト)。先週末の発表は、大きく2つのポイントがありました。一つ目は、弥生の子会社としてALTを設立し、オンラインレンディング事業を立ち上げるということ。ALTは、お申込みから融資の実行まで、基本的にインターネット上の手続きで完結する仕組みを提供します。これまでの融資と異なり、決算書などの資料提出や金融機関窓口への訪問などの煩雑な事務作業が不要となり、また短期間での融資実行が可能になります。

一方で、ALTは、金融機関からお客さまを奪うことを目的とはしていません。むしろ、お客さまから見ればこれまでにない利便性、同時に、金融機関から見れば圧倒的に融資コストを低減する仕組みを提供することによって、これまでは需要と供給がかみ合わなった小規模事業者向け融資をビジネスとして成立するようにしたいと考えています。実際に、ALTは大手地銀と提携し、金融機関におけるALTが提供する与信モデルの活用も視野に入れています。これが先週末の発表のもう一つのポイント。具体的には、ALTは、千葉銀行福岡銀行山口フィナンシャルグループ横浜銀行(50音順)という大手地銀と業務提携契約を締結しました。ALTが開発し、ALTが実践する新しい与信モデルを活用し、銀行が利便性の高いオンラインレンディングを実現できるように検討を進めていきます。

弥生を母体とするALTが実現したいのは、小規模事業者がこれまでよりも容易に資金を調達できる環境を作ること。まずはこの秋から、ALT自身が融資を行うことによって、その実現を目指します。しかし、ALTだけで日本全国津々浦々の事業者の皆さんの資金ニーズにお応えすることは現実的ではありません。お金を貸すというのは、ひょっとしたら貸したお金が返ってこないかもしれないというリスクをとること。ALT一社でそのリスクをとることはできません。

そのために、ALTは金融機関とのパートナーシップを積極的に構築し、多くの金融機関から利便性の高い融資を受けられる環境を作りたいと思っています。とはいえ、最初から多くの関係者を巻き込んでしまうと、船頭多くして舟山にのぼる、ということになりかねません。そのため、当初はFinTechに対して積極的な取り組みをされている4行(社)と提携し進めていくこととしました。来週には、パートナー金融機関からの最初の出向者もALTに参画する予定です(ワクワク)。

一方で、ごく一部の金融機関と閉じた関係にとどめるつもりはありません。幸いにして先週の発表以来、多くの金融機関からお問合せを頂いています。中期的には、より多くの金融機関とパートナーシップを組むことによって、文字通り日本全国津々浦々で利便性の高い融資を受けられるようにしていきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 23:25 | TrackBack(0) | ALT

2017年04月18日

ALTという名前

先週末にようやく正式に発表することができたALT。会社名はALT株式会社。昔は登記する際に、アルファベットの会社名は認められていませんでしたが、平成14年の商業登記規則等の改正によって、アルファベットの入った会社名もokとなりました。ただ、アルファベットの場合、何と読むか一意に定まらないという問題があります。エーエルティー?

正解はアルトです。これがどこから来ているかというと、英語のAlternative(代わりとなる、代替)から。5年ほど前から、米国ではAlternative Financeという言葉が使われるようになってきました。おカネを借りるのは銀行から、資本を集めるのは株式市場からというのを従来型の金融(Traditional Finance)とすると、インターネットを通じてこれまでにない形の資金調達を可能にするのが、代替金融(Alternative Finance)。新しい画期的な商品を生み出すための資金を広く一般から募るCrowd Funding(例えばKickstarter)や、インターネットを通じて資金の借り手と貸し手を結び付けるP2P Lending(例えばLending Club)など。

弥生はオリックスグループ入りする前からAlternative Financeの可能性を探っていましたが、本格的に検討が立ち上がったのが、2015年の末ぐらい。当初はP2P Lendingの事業化を検討していましたが、日本では法令の制約上、P2Pならではのメリットの実現が難しいこともあり、最終的には、今回発表したように、自分自身で融資を行うオンラインレンディング(さらには、与信モデルの金融機関への提供)というビジネスモデルで事業を立ち上げることとなりました。

検討を進めてきたプロジェクト名がProject ALT。このALTがそのまま会社名になったわけです。

しかし、ここまで読んで、「おや、以前言っていたことと矛盾してない?」という方、実にするどい。本ブログを相当ご愛読頂いているようで光栄です。確かに2015年最後のブログ投稿(要はこの頃から検討が本格化していたわけですが)で、「代替手段(Alternative)ではなく、これまでにない新たな価値(New Value)を生み出せるかどうか」と書いています。ちょっと便利になった程度の「もう一つの選択肢」ではダメで、「これまでにない新しい価値」を生み出さなければいけないと。

新たな価値は、生まれた当初は異端であり、傍流です。しかし、それが本当に新しい価値を提供できているのであれば、それはやがて本流になる。弥生であり、ALTは、今はまだ日本に存在していないAlternative Lendingを日本に根付かせ、パートナー金融機関とともに、それをAlternative(傍流)ではなく、Mainstream(本流)にしていきたいと思っています。

実は、ALTという社内はあくまでも仮の名前。サービスを開始するまでに、正式な名称に変更する予定です。では、正式な名称は、というと決まってはいないのですが(苦笑、絶賛募集中です)、それは「新たな価値」を示す名前でないといけないと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:53 | TrackBack(0) | ALT

2017年04月14日

ALT始動

本日、弥生とオリックスは、会計ビッグデータを活用した新たな金融サービス「オンラインレンディング」の事業立ち上げについてプレスリリースしました。この新しい事業は、オリックスが持つ与信ノウハウ、弥生が持つ会計ビッグデータと協業先であるd.a.t.株式会社のAI技術を活用した新たな与信モデルを開発し、インターネットを通じて小規模事業者向けの融資を行うものです。

約2年前に弥生がオリックスグループ入りをする際から抱いていた構想をようやく形にすることができました。当時は"FinTech"という言葉がほとんど浸透しておらず、金融のオリックスとITの弥生というのは不思議な組み合わせだな、と思われた方も多いのではないかと思います。FinTechという言葉も定着した(むしろブームとしては沈静化してきているような気もしますが)今となっては、なぜオリックス+弥生なのか、ご理解頂けるのではないかと思います。

これは私個人としても何が何でも実現したい事業でした。弥生はこれまで長年にわたって、日本の小規模事業者に、会計ソフトを提供し続けてきました。会計ソフトは、事業者の現状を正確に把握するためのツール。いわば物差しです。会計ソフトという物差しを使うことによって、事業の現状を把握し、将来に向けてどういったアクションを取るべきか判断することができます。しかし、一方で、これまでは物差しで測った結果、このままでは資金繰りが苦しくなる、あるいは逆に、今ここで資金を投入して投資すれば事業を大きく成長させられる、といったことがわかっても、それに対して弥生が提供できる打ち手はありませんでした。

今回の取り組みは、測る道具としての物差しを提供するだけではなく、そこから生まれるアクションのための打ち手を提供しようとするものです。弥生は今、事業者のあらゆる悩みにお応えする事業コンシェルジュへの進化を図っていますが、その一環であることは言うまでもありません。

ただし、弥生が全ての事業者の全ての資金ニーズを満たすことではできません。事業コンシェルジュは、弥生だけで成り立つものではありません。会計業務は会計事務所とのパートナーシップを通じて、お客さまのニーズにお応えしようとしていますし、融資に関しては、やはりその道のプロである金融機関(銀行)とのパートナーシップによって、多くのお客さまのニーズにお応えしていきたいと考えています。今回、千葉銀行福岡銀行山口フィナンシャルグループ横浜銀行(50音順)という名だたる大手地銀と提携し、金融機関を通じたオンラインレンディングの実現を目指しています。

本事業の運営会社として、去る2月にALT(アルト)株式会社を設立しました。社長は私が弥生の社長と兼任で務めますが、私以外は既に6名が専任で活動を開始しています。そうです、2月2日に謎めいた記事を投稿しましたが、その時の写真から白塗りを取り除くとこうなります。

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今回こうやって発表できたことは大きな一歩ではありますが、実際にお客さまに価値を提供できるようになるにはまだまだいくつもハードルがあります。焦ることなく、一歩一歩着実に前に進んでいきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 12:44 | TrackBack(0) | ALT

2017年04月12日

アジャイル vs. ウォーターフォール

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今日の午後は、こんな研修を受けていました。テクノロジー企業の代表として、今さら「アジャイル開発 はじめの一歩」とはいかがなものかと思いますが、諸般の事情により受ける機会があり、なおかつ自分自身が、アジャイルとウォータフォールの使い分けについて色々と考えているところもあり、講師には迷惑だったかもしれませんが(笑)、仲間に入れて頂きました。

そもそもアジャイルウォーターフォールって、何?、と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、いずれもシステムを開発する際の手法になります。昔から一般的なのがウォーターフォール。一方で2000年前後から提唱されるようになり、特に2010年代に入ってウェブサービスの開発などで広まってきたのが、アジャイル。ウォーターフォールは、システム全体の開発を、要件定義-外部設計-内部設計-コーディング…のように工程にわけ、これら工程を段階的に進めます(工程図が滝のように見えるためウォーターフォールと呼びます)。特に大規模/複雑なシステムについては、全体の整合性をとりやすいといったメリットがありますが、一方で、実際の成果(動くソフトウェア)が出来上がるのがかなり後工程になる(さらにその際に、これは希望したものと違うとなるとやり直し)という課題も存在します。

一方でアジャイルは、動くソフトウェアを早期に生み出すことを重視しています。そのために、システムを複数の小さな機能に分割し、短期間で開発することを繰り返すことにより、動くソフトウェアを早くリリースし、それを継続的に改善するアプローチを取ります。

弥生のグループ会社であるMisocaは、アジャイルでの開発を行ってきています。一方で、弥生自身はどちらかと言えばウォーターフォールより。とはいえ、弥生も、イテレーションでの開発(機能を分割し開発することを繰り返す)、TDD(テスト駆動開発、設計の段階からテストコードを作成)、CI(Continuous Integration、ビルドとテストを随時自動実行)など、アジャイルの手法の多くを取り入れています。

私がモヤモヤとした違和感を持っていたのが、アジャイルに対するウォーターフォールという対立構造。確かにアジャイルは、ウォーターフォールに対する問題意識からスタートした歴史がありますので、こういった対立構造と捉えられがちです。また、アジャイル派もウォーターフォール派も、自分たちこそ正義という極端な主張をするケースがあり、これが対立構造に油を注ぐことがあります。しかし私は、これらは実際は二項対立ではないと考えています。アジャイルにはアジャイルの良さがあるし、ウォーターフォールにはウォーターフォールの良さがある。さらに、アジャイルとウォーターフォールを組み合わせることによって、それぞれの良さを組み合わせることも可能(ただし、注意しないと、それぞれの課題を組み合わせることになりかねません)。

今日の研修でも直接的にこういった質問もしたのですが、講師の方も同様な見解でした。

アジャイルでは、一般的にコストや納期を固定して、スコープ(開発対象)を可変にします。逆に言えば、スコープが可変にできるプロジェクトにこそ、アジャイルの良さが活きてきます。弥生の場合は、開発対象の多くを必達である法令対応が占める、つまりスコープを可変にできないため、アジャイルの良さを活かしにくいという現実があります。ただだからといって、アジャイルを否定することもありませんし、アジャイルと相容れない訳ではありません。実際問題として、管理を容易にし、開発リスクを下げるというメリットがあるからこそイテレーション開発を行っている訳ですし、品質を作りこむためにTDDを採用しています。

まだまだ試行錯誤ではありますが、今後さらに経験を積むことで、プロジェクトの性格にあわせ、アジャイルとウォーターフォールそれぞれの良さを引き出すように、うまく組み合わせていければいいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:16 | TrackBack(0) | テクノロジー

2017年04月10日

メガトレンド

前回、BCG経営コンセプト(市場創造編構造改革編)という二冊の本をご紹介しました。内容の解説は私にとって荷が重いので、是非実際にお読み頂ければと書いたのですが、一点だけもう少し掘り下げてみたいとと思います。それは、市場創造編のP121でコラムとして紹介されている「メガトレンド」。

事業環境が劇的に変化する中で、将来の予測が難しくなってきています。そんな中で、どうせ将来を見通せないからと中期経営計画の策定をやめる会社もあるようですが、将来の予測が難しくなってきているからこそ、不確実な将来に備え、適応力を高めることが必要です。そのために有効な手法のひとつがシナリオプランニングであり、そのシナリオを作成する上では、「世の中の大きな変化を正確にとらえ、自社のビジネスにあてはめて考えることが重要」となります。

世の中の構造的な変化、それが「メガトレンド」です。「10〜20年の長期スパンにわたり非常に高い確からしさで発生することが予見される、非連続かつ不可逆な変化の潮流」。今日/明日を変えるものではないが、深いところで確実に人や社会のあり方、ビジネスのあり方を変える大きな流れ。

ちょうど今日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、長期的な日本の人口を予測する「将来推計人口」を公表しました。今から約50年後の2065年の日本の人口は、15年比3割減の8,808万人という試算。これでも近年の30〜40歳代の出生率の実績が前回推計より上昇していることを踏まえ、若干の上方修正だそうです。とはいえ、50年後には日本の人口が今より3割も減少しているというのは、将来のビジネス環境を考えると途轍もない程の影響をもたらします。単純に言って市場が3割も目減りすれば、多くの事業は成り立ちません(実際には、高齢者向けなど伸びる市場もあるでしょうし、採算性の悪い事業者が淘汰されることによって、残存者利益が生じるといったこともあるでしょうが)。

ただ、この人口減少というメガトレンドは今日/明日の市場、あるいは、今期の売上に直接的に影響があるわけではありません。そういった意味で無視するのは容易ですが、企業の将来戦略を考える上では、むしろ出発点として考えるべきです。

弥生の経営を考える上でも、こういったメガトレンドが出発点になっています。人口が減っていく中で労働集約型の業務がどうなっていくのか。今は人を採用することが比較的容易でも、5年後、10年後に同様とは限りません。ITの力を活用し、お客さまの業務をどのように効率化するか(もちろん弥生自身の業務も効率化する必要があります)。最近は、なんでもかんでもAI(Artificial Intelligence, 人工知能)と言われるので(コンピュータで処理するものは全て?)、やや食傷気味ですが、こういった技術を活用して、人間がやらなくてもよい業務を自動化し、逆にそれによって人間がやるべき業務に集中できるようにするべきだと考えています。

もちろんITは手段でしかありませんし、個人的には今の極端なAI万能論は行き過ぎで、そう遠からずAIバブル(?)が崩壊することもあるのではないかと考えていますが、それでも、本質的に価値を提供できる技術は残り、私たちの生活であり、業務を大きく変えていくでしょう。

弥生がクラウドに取り組むのも、流行りだからではなく、それが中央集中への回帰というメガトレンドだからと考えているからです。ただ、クラウドもあくまでも手段に過ぎませんから、クラウドという中央集中ならではの管理効率の高さと、ローカルの使い勝手の良さの組み合わせを目指すべきだと考えています。

弥生がなぜクラウドに取り組んでいるのか、その裏にどういったメガトレンドを見ているのか、については、本ブログでお話ししたつもりだったのですが、今確認してみるとキチンとお話しした記事はないようなので、また改めて書いてみたいと思います。AIについても、また機会をみてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:25 | TrackBack(0) | ビジネス

2017年04月06日

BCG経営コンセプト

少し前に、「BCGのワザ」という記事を書きました。プレゼンの資料作成テクニックはボストン コンサルティング グループ(BCG)で学んだ、というもの。

これはこれで事実なのですが、BCGの価値はプレゼンや資料じゃないだろ、という突っ込みが内輪から入りそうです(苦笑)。はい、その通りです。前回の記事でも、経営コンサルティング会社にとって本当の成果物は、お客さまの業績であり、プレゼンではない、と書きました。プレゼンはあくまでも手段である、と。

本当の成果物は、お客さまの業績。そういった観点から、かつては正論を言うだけと見られがちだった戦略コンサルティングファームも、実践に力点を置くようになっています。Make It Happen。お客さまの進むべき道を提言するだけではなく、その際に必要となる改革をお客さまと共に実行する。どんなに価値のある戦略であったとしても、それが実行・実現されない限り、価値はありません。実際、私自身も経営者として、より多くの時間を割いているのは、圧倒的に「実行」、Make It Happenです。

一方で、正しい道を向いていない限り、どんなに頑張って実行したところで、結果につながらないのも事実。仮にマクロ的な力によって、どんどん市場が縮小しているような状況であれば、その市場の中でどんなにもがいたとしても結果にはつながりません。この場合は、市場の定義をどう変えるかを考えるべき。

つまり、何だかんだ言って戦略は大事。もちろん実行も大事。

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BCGがその名の示す通りボストンで生まれたのが1963年。東京オフィスができたのが1966年。昨年2016年はBCG東京オフィスの50周年でした。この機会をあわせて、出版されたのが、BCG経営コンセプト 市場創造編BCG経営コンセプト 構造改革編という2冊の本。前者は内田さん、後者は菅野さんといずれも私がBCG在籍中にお世話になった大先輩です。お二人は既にBCGを卒業され、今はお二人とも早稲田大学ビジネススクールの教授です。

内容の解説は私にとって荷が重い(苦笑)ので、是非実際にお読み頂ければと思うのですが、この二冊は二つの意味で味わうことができると思います。

一つはBCGが提唱する経営コンセプトであり経営戦略の進化を理解するという意味で。BCGはその誕生から、戦略に特化したコンサルティングファームとして実績をあげてきました。「エクスペリエンス・カーブ」「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」などの経営コンセプトは、経営戦略をかじったことのある人であれば一度は耳にしたことがあるのではないかと思います。これらの経営コンセプトは時代の流れを超え、今でも有効です。同時に、グローバル化やデジタル化といった時代の波にあわせ、新たな経営コンセプトも生まれてきています。こういったBCGの経営コンセプトの進化を理解するというのが一つの味わい方。

もう一つはBCG自体の進化を理解するという意味で。BCGもそれ自体が会社ですから、生き残りのためには進化が必要。戦略コンサルティングファームでも、かつての成功モデルを粛々と繰り返しているだけでは継続的な成功は実現できません。BCGの提供する価値は、かつては戦略でとどまっていたものが、やがて、実行にまで広がり、そして今、戦略、実行に加え、コンサルが一緒にいるからこそ実行できるのではなく、自社で戦略を立案・実行し、成果をあげられる組織能力の構築(Enablement)にまで広がってきています。つまりBCG自体も明確な戦略を持ち、進化してきたからこそ今があるわけです。

本当のBCGの「ワザ」を是非ご堪能下さい。
posted by 岡本浩一郎 at 18:35 | TrackBack(0) | ビジネス

2017年04月03日

弥生へようこそ! 2017

本日4/3(月)、弥生は4名の新卒社員を迎え、朝一番に入社式を開催しました。今年の入社は4名。本当はもう少し多く採用したかったのですが、就職市場の競争が激化する中で(これ自体は就活生にとってはいいことだと思いますが)、弥生として求める基準を下げていないため、希望するだけの人数を採用するのは難しくなってきています。そんな中で、弥生を選び、そして無事に入社してくれた4人には本当に感謝しています。

入社式では、私から歓迎のことばとして少しお話しするのですが、どうしても毎年内容が似通ってしまうのが困ったものです。ただ、聞く側の新卒社員は初めて聞くわけですから、実際のところ、内容が前年と似通っていても問題はないんですけどね(笑)。

ほぼ毎年お話ししている内容は、家族への感謝とお客さまへの感謝です。社会人になるということは、人生において大きな転換点。この転換点に際し、これまで育てて頂いた感謝を家族に伝えてほしいということ、つまりこれまでに感謝というのが一点目。二点目はこれからの感謝。今後仕事をして、給料を受け取る訳ですが、その際に感謝する相手は、会社や社長ではなく、お客さまであるということ。見た目上は、会社が給料を払う訳ですが、その大元は全てお客さまですから。

今年はさらに、世界で不確実性が増しているというお話しもしました。昨年は、Brexitやトランプ大統領の誕生など、ありえないと思われていたことが現実になった一年でした。以前、本ブログでもお話ししましたが、私が子どもの時代には、子どもから見える世界は概ね平和でした。日本は高度成長の時代。そして世界は徐々にまとまってきているようにも感じられました。1989年にはベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結。EUの発足と拡大。新興国の成長。世界はまとまり、平和な明るい未来が開けているようにも思えました。しかし今、世界はこれまでのグローバル化の反動からか、どんどん内向きになっていっているようにも思えます。この先何が起こるのかが極めて不透明な時代。

ただ、むしろ新しいことに取り組もうとする人や組織にとっては、それはチャンスにもなりうると考えています。これまでやってきたことに安住しようとする人や組織にとっては、先が見えない環境は不安要因です。しかし、新しいことに取り組む人や組織にとっては、むしろ全てが前例踏襲で、結果が見える世界よりも、先が見えず、どんなことでも起こりうる世界の方がチャンスが大きいとも言えるのではないでしょうか。

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むろん、先の見えない航海は不安な面もあるでしょう。ただ、チーム弥生として皆で支えあえば、必ず良い結果につながると思っています。今回、新たに4名のフレッシュなメンバーをチーム弥生の一員として迎えられたことを本当に嬉しく思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 19:38 | TrackBack(0) | 弥生