2018年05月31日

Half Year Meetingのその後

前回お話ししたHalf Year Meetingは、会社の現状だけでなく、これから向かう方向性を共有するという意味で、とても重要な意味合いを持っています。年度が終わったタイミング(10月)で開催される社員総会とあわせ、個人的にも気合いの入る社内イベントの一つです。

Half Year Meetingのビジネスセッションは3時間。3時間みっちりと会社の今と将来を考えた後は、お待ちかね(?)のビアバスト(Beer Bust、懇親会)です。真面目な雰囲気(?)のビジネスセッションから一転、ビアバストはお楽しみモード。Half Year Meetingは東京/大阪/札幌の3会場で開催しますが、会場それぞれの個性が出るのもビアバストならでは。

東京のビアバストの目玉企画は、4月に入社した新卒社員によるビデオ/プレゼン企画。もはや毎年恒例なのですが、年々着実にそのレベルが上がっていきます。昨年も「こんなすごい出来だと来年は大変だな」と思いましたが、今年はさらにレベルアップ。ビデオには私も含め何人かがゲスト参加することが多いのですが、その無茶ぶりレベルも年々上がっているような気がします。盛り上がるためであれば、どんな無茶ぶりにもお応えするのが私の仕事です(苦笑)。

札幌ではチームに分かれてのゲーム企画があり、かなり盛り上がりました。数十人でマリオカートをやると、運転手交代のタイミングで反対向きに走り出す人もいて、大盛り上がりです。大阪では、指示通りに絵を描くコンテスト。これは絵を描く人以上に、指示を出す人の能力が問われるような気がします。

以降2次会、3次会と日付が変わるまで懇親の場が続きます。私もHalf Year Meeting(と社員総会、CC総会)については、できる限りお付合いするようにしています。今回は大阪での締めのラーメンが最長。ホテルに何とか辿り着いたらHalf Year Meetingを無事に終えた安堵感と、懇親のし過ぎでぐったりです(笑)。

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これは、札幌会場で配られたお土産。予算は同じはずなので、おカネの使い方に会場それぞれの個性が出ているのだと思います(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 19:26 | TrackBack(0) | 弥生

2018年05月29日

Half Year Meeting 2018

前回の記事で少しふれましたが、GW前から先週までかけて、Half Year Meetingを開催しました。弥生は9月決算ですので、3月で上半期が終了。例年4月には上半期の振り返りということで、Half Year Meetingという社内会議を実施しています。GW直前にはまず東京で開催。GWが明けてからは、5/12(金)に札幌、そして5/19(金)には大阪で開催しました。

少し前に「確定申告期の振り返り」という記事で、「総じて言えば、しっかりとした手ごたえを感じる、まずまずの結果」と書きましたが、弥生全体として、上半期はまずまずの結果を出すことができました。むろん課題は色々とあるのですが、数字面だけ見れば、完璧とは言わないまでも、上々の出来。しかしHalf Year Meetingでは、上半期の状況を共有しつつも、むしろこれからに向かって気を引き締める場となりました。

というのも、これからは弥生の長い歴史の中でも経験のないほど、大型の法令改正が続くことが予想されるからです。消費税率10%/軽減税率は延期が繰り返されてきましたが、現時点の予定となっている2019年10月に向けては、税率引上げ時の景気の腰折れを防ぐための議論が始まるなど、いよいよか、というムードが高まってきました。弥生の製品については、既に10%/軽減税率の基本的な対応は行っていますが、各種の帳票など、実際に引上げが迫らないと明確にならないものも多く、追加での開発も必要になると想定しています。

つい先日お話しした新元号も、正式に公表される2019年4月から、切り替わる5月に向けて急ピッチでの開発が必要になります(一部帳票については、5月以降の提供になる可能性も否定できません)。

また、昨年末に発表された税制改正大綱では、所得税において基礎控除の増額が予定されています。これだけであればまだ単純ですが、同時に、給与所得控除の減額、一方で、「子育てや介護に対して配慮する観点から」子育て世帯や介護世帯向けには「負担増が生じないよう措置を講ずる」として所得金額調整控除が新たに導入されます。また、青色申告特別控除は減額になるものの、電子申告する場合には減額はありません。こう書くだけでも複雑怪奇ですが、これらを全てシステムとしてキチンと実装しなければなりません。

この他にも働き方改革にともなう法令対応なども多々想定されており、2019年から2020年はまさに法令改正ラッシュです。一方で、法令改正に限らず、弥生が今取り組んでいること、さらにこれから実現したいと思っていることは実に多岐にわたります。弥生は、今、何を優先すべきか。Half Year Meeting前には経営陣で徹底的に議論しました(議論がまとまらないためにHalf Year Meetingの開催が危ぶまれるところまで喧々諤々と、苦笑)が、最終的に立ち戻ったのは弥生の原点。

弥生のミッションは、中小企業、個人事業主、起業家の事業をインフラとしてしっかりと支えること。弥生として「やりたい」ことは多々あれども、まずは「やるべき」ことから。お客さまに事業を支障なく進めていただくために、弥生はまず何よりも、法令改正にきっちりと対応しなければなりません。今回のHalf Year Meetingは、その背景も含め、弥生が今、何を優先すべきかを全社で再確認・共有する場となりました。
posted by 岡本浩一郎 at 22:23 | TrackBack(0) | 弥生

2018年05月25日

日本簿記学会

先週後半は旅の人に。木曜日朝に福岡に入り、午前中は福岡で打合せ、午後は山口に移動して打合せ。そして夕方に広島に移動。翌朝は広島で打合せの後、大阪に移動。大阪ではHalf Year Meetingを開催し、三次会の真夜中のラーメンまでお付合い。ホテルに辿りついたのは午前2時過ぎ(あまり定かではありません、笑)。

翌日午前中はたまたま開催されることになっていた社内有志での懇親会(公園でのまったり飲み会、笑)に顔を出してから、神戸に移動。神戸では午後いっぱい学会に参加し、飛行機の時間が許すまで懇親会にも参加。家に帰りついたのは土曜日の夜10時半。移動が多く、なかなかハードな3日間でしたが、充実した出張になりました。

土曜日の午後の学会は、日本簿記学会の第34回関西部会に報告者として参加することになったもの。日本簿記学会は、簿記の理論、実務および教育などの振興をはかり、会計学および会計実務の一層の発展に寄与することを目的として、30年以上前に設立された学会です。コンピュータによる記帳処理方法の発展を一つの契機に設立されたということで、弥生会計(1987年生まれ)とほぼ同じような歴史を持つ学会です。

今回の関西部会のテーマは、「会計ビッグデータがもたらす簿記・会計の未来」。このテーマに沿って、私からは、AIを活用した簿記・会計業務の生産性向上への取組み(スマート取引取込)、およびAIの活用による会計データの高付加価値化(アルトア)について報告を行いました。報告の後は、今回のテーマについて討論があり、私もパネリストの一人として参加しました。学会ということで参加者の方は大学教授など研究者の方が多いのですが、実務においてどういった取り組みがなされているか、非常に関心が高いことが印象的でした。

討論では、ブロックチェーンといった技術が今ある簿記にどういった影響を与えるのか(果たして複式簿記を超える新たな簿記の仕組みが生まれうるのか)など、広い範囲で議論が行われ、私自身にとっても非常に刺激になる場でした。

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個人的に何気にツボだったのは、会場となった甲南大学の最寄駅が「岡本」だったこと(笑)。駅から大学までの道には「岡本」があふれており、ちょっと不思議な感覚でした。
posted by 岡本浩一郎 at 17:22 | TrackBack(0) | 弥生

2018年05月23日

新元号は来年4月公表

先週、政府は来年5月1日に切り替わる新元号について、同年4月1日の公表を想定して準備を進めると発表しました。日経では、「新元号公表、改元1カ月前に システム改修対応促す」との見出しで記事となりました。

しかし、この見出しに違和感を感じたのは私だけでないはず。特にIT業界の人は等しく、「エッ?」と思われたのではないでしょうか。半年前に公表するからシステム改修の対応を、であればまだわかりますが、1ヶ月前で、改修せよと言われても。

システムで新元号に対応する範囲は大きく入力系と出力系に分かれます。入力系は、新元号で日付を入力できるようにする対応。出力系は、新元号で帳票等を出力できるようにする対応。一定の条件の下で、入力系の対応は相対的に容易ですし、ある程度見切りで準備を進めることもできます。一定の条件とは、明治以降と同様に、漢字二文字であること、また、頭文字がM(明治)/T(大正)/S(昭和)/H(平成)以外であること。漢字二文字はほぼ間違いないと思っていますが、万が一頭文字が重なったら結構大変です。

より大変なのは出力系。元号表記で出力する帳票一つ一つで対応が必要になります。弥生が提供する製品/サービスでは50以上の帳票で対応が必要になることがわかっています(なおかつ、デスクトップの弥生会計とクラウドの弥生会計 オンラインでは原則としてそれぞれでの対応が必要となります)。これも漢字二文字という前提に立てばある程度の事前準備はできますが、最終的には全帳票、実際に出力して確認し、必要に応じて調整する必要があります。また、元号をそのまま出すのではなく、選択肢から選んで丸で囲むといったような帳票については、新元号の発表だけでなく、新元号対応となった帳票の発表を待つ必要があります。

もともとはカレンダーの印刷が間に合わない等々の理由で、それなりに前倒しで発表されるという見通しもあったのですが、天皇陛下の在位30年記念式典をふまえ、式典(来年2月24日)以降で新元号を公表する検討が進められていました。今回は、「早く公表すると、国民の関心が新天皇に向かい、いまの天皇陛下を軽んじることになりかねない」との指摘があった、ということで、公表時期を可能な限り実際の改元に近づけることになったようです。

元号が単なる年号でなく、象徴的なものであることは異論はありません。「平成」も(それ以前の元号もそうですが)日本としてありたい姿を示す象徴だと考えています。そういった観点では、早めに新元号を公表すべきでないという考え方は理解できます。そもそも昭和天皇が崩御された際には、(当然のことですが)事後での新元号発表となりましたから、事前にわかること自体が異例です。

ただ、これだけIT化が進んだ中(それこそ30年前とは比較になりません)で、システムとして処理すべき対象が明らかにならないのは大きな課題です。いっそのこと、元号は純粋に象徴として位置付け、業務や日常生活で使用する年号はすべて西暦に統一した方がいいのではないでしょうか。以前も書きましたが、弥生としても、官公庁が西暦表示に変えて頂けるのであれば、喜んでそれに対応したいと思います。

象徴と位置付けるのであれば、事前に公表する必要性もないですし、新しい天皇陛下の即位と共に、新たな時代の幕開けを純粋に喜ぶことができると思うのですが。
posted by 岡本浩一郎 at 18:12 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年05月17日

その節税が会社を殺す

以前ご紹介した借入は減らすな!」の松波先生が新著を出されたということで、早速読んでみました。今回のタイトルは、「その節税が会社を殺す」。副題が「お金に強い社長がコッソリやっている節税 & 資金繰りの裏ルール31」、「カネ回りを強くして突然死を防げ」となかなか刺激的です。

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本書は、冒頭から「世の『定説』『定番』とされる節税のほぼすべてが無駄、無意味」であり、「むしろ逆効果、経営に悪い影響しかもたらさない」とズバッと核心をついています。実際、よく言われる節税策のほとんどは、課税されるタイミングをずらすだけ。確かに、今期支払う税金は減っても、将来どこかのタイミングで同じような額を税金として支払うのであれば、節税したという自己満足は得られても、実質的な意味はありません。むしろ最悪の場合、どこかで税法が変わり、トータルで見るとむしろ負担増になってしまうケースすらありえます。

世の中で言われる節税策の多くに意味がないこと自体は、実は良識ある税理士の先生方の多くが語られていることです。その仕組みについては、吉澤先生の解説がとてもわかりやすいと思います(こちらとか、こちらとか、こちらとか)。

ただ、意味がない = プラスもマイナスもない、であればまだマシです。私もこの本を読んで改めて気付かされましたが、実際のところは、マイナスの方が大きいというのがこの本で主張です。というのは、手元資金を減らしてしまうから。

本書の冒頭に、よくある節税策である生命保険を活用して1,000万円の利益を圧縮する事例が乗っています。利益が1,000万円あるとすると、これにかかる法人税は約265万円。これに対して、生命保険に入って1,000万円の保険料を支払うと、利益を大きく圧縮することができ(保険料の半額を当期の経費に計上できる保険の場合、利益額は500万円に圧縮)、その分、支払う法人税を大きく減らすことができます。

確かに、当期の節税にはなるでしょう(が、将来的に結局は税金を支払うことになるのは上でお話しした通り)。しかし、本当の問題は、手元資金。利益はそのままで素直に税金を払っていれば、約735万円の資金が手元に残るはずです。一方で、保険に加入した場合には…。そうです、保険料として支払ってしまっているために、手元には1銭も残っていないんですね。

事業が順調に拡大し、手元資金がドンドンと積み上がるような状況であれば問題はないかもしれません。しかし現実には、本書でもたびたび語られているように、実際には、「売上が増えてもお金は増えない」のです。売上を上げるためには、仕入れが必要になったり、あるいは人を増やすことによって人件費が増えたり。そして支出は多くの場合、売上より前に発生します。また、売上が上がっても、すぐに手元資金として回収できる訳ではありません。売掛金として数ヶ月後にようやく回収できる。しかし、その時にさらに売上を上げるために仕入れを行えば、その資金もすぐに消えてしまいます。ですから、どこかで売上を上げることをやめて資金の回収に徹するのでもない限り、売上が増えてもなかなか手元資金は増えないのです。

業績が良い、結構な利益が上がった、よし節税しようとなると、結果的に手元資金を削ってしまうことになる。そこに業績が良いからこその資金ニーズが加わると、余裕があったはずなのに、実際には、資金繰りに四苦八苦することになりかねません。

資金繰りに四苦八苦するようになれば、どうしても短期的や保守的な考え方になってしまう。そして良かったはずの業績がいつの間にか下降線をたどってしまい、資金繰りはますます苦しくなってしまう。

そうならないために、本書は、何よりもまず手元資金に余裕を持たせることの必要性を説いています。目標としては月商の3ヶ月分の手元資金を持つこと。そしてそれだけの手元資金を確保するためにも、銀行からの融資を積極的に活用すべきだ、とも。

本書の後半は、銀行から融資を受ける上で、どのように始め、どのように広げていくかを具体的に説明しています。これは前著の「借入は減らすな!」にも通じる部分ですが、本書では銀行との付き合いの始め方、広げ方をより具体的に説明しています。

ほとんどの事業者は多かれ少なかれ銀行に対し苦手意識を持っています。ただ、相手の行動パターンを理解すれば、付き合い方もわかってきます。事業をする上では、おカネとの付き合いは避けられません。そしてそのおカネとうまく付き合うためには、銀行とうまく付き合っていくことが必要です。節税という言葉が大好きな人、また、銀行に対し苦手意識をお持ちの方にこそ、読んで頂きたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 17:59 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年05月15日

確定申告期の振り返り

少し間があいてしまいましたが、やよいの白色申告 オンライン/やよいの青色申告 オンラインを中心に、3月までの確定申告期の振り返りを社内で行いました。総じて言えば、しっかりとした手ごたえを感じる、まずまずの結果。もちろん色々と課題はありますが、まずはお客さまに知って頂く、次に最初は無償でサービスをご利用頂く、そして最終的に有償でサービスをご利用頂くというビジネスモデルが確立してきました。

クラウドサービスは、広告費を糸目なくかければ、ユーザーを獲得することは容易です。ただ、実際にサービスを活用頂き、これだったら有償でも使い続けたいと思って頂く、要は本当の意味でのお客さまを獲得するとなると難易度は圧倒的に高まります。しかし、当然のことですが、ビジネスとして継続する上では、名ばかりのユーザーがいくらいてもダメで、本当のお客さまの数を増やさなければなりません。弥生は、名ばかりのユーザー数を追うことはせず、本当のお客さまの数を増やすことに注力してきました。弥生がやよいの白色申告 オンラインで、クラウド型の申告ソフトを提供するようになったのが2014年のこと。それから5回の確定申告期を経て、しっかりしたビジネスモデルとして確立しつつあります。

まだまだ全社の売上に占める割合は限定的ですが、しっかりとした事業の柱に育ちつつあります。今期の弥生オンラインの売上はほぼ計画通りを見込んでおり、今後の事業の成長であり、売上がある程度読めるようになってきました。

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もちろん課題もあります。今回の確定申告が終わった段階で、クラウド申告ソフト市場における弥生のマーケットシェアは55.4%。明確なNo.1であることは事実ですが、この数字は前年前々年と比べても一進一退です。弥生の基準である圧倒的なNo.1(弥生基準での圧倒的No.1は、3人に2人、つまりシェア66.6%)にはまだ距離感があります。とはいえ、優先すべきは本当のお客さまを着実に増やすこと、同時に、中長期的なビジネスとして成立するようにビジネスモデルをしっかりと確立すること。足元のシェアで一喜一憂するよりは、焦らずにじっくり積み上げていくつもりです。

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むしろ、より重い課題は、クラウド申告ソフトのさらなる普及です。一昨年、昨年の確定申告終了時点で、クラウド申告ソフトの利用率は9.2%、13.2%と着実に浸透してきました。今年は、目に見えて普及が進むのではないかという期待もあったのですが、結果的には利用率は14.7%。もちろん利用率としては上昇はしていますが、大きく伸びたとは言い難いレベルです。クラウド申告ソフトの利用者は、新しいモノに抵抗のない層から、一般的な層(マジョリティ層)に広がりつつはありますが、マジョリティ層への本格的な浸透にはまだまだ時間がかかりそうです。

ただ、これも焦る必要はないと思っています。デスクトップのやよいの青色申告は引き続き安定的に推移していますし、クラウドも上述の通り、ビジネスモデルが確立してきました。時間をかけられるのが、弥生の強み。引き続き、じっくりと取り組んでいきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:47 | TrackBack(0) | 弥生

2018年05月11日

金融機関APIの現状

前回は、金融機関APIが求められる背景について、お話ししました。金融機関が自らAPIを提供することによって、より安全に金融機関のデータを取得できるようにする、あるいは金融機関にデータを渡すことができるようにするのが、金融機関APIが目指すところです。ただ同時に、金融機関APIの普及には一定の時間はかかるだろう、ともお話ししました。

これも前回お話しした通り、昨年改正された銀行法では、セキュリティを確保しつつも、お客さまにとっての利便性を向上させるために、銀行に対しAPIに係る体制整備の努力義務を課しています。しかし現時点では、金融機関APIの提供はまだ始まったばかり。メガバンクやネット銀行など、ごく一部の銀行が、主に参照系のAPIを提供しています。

APIは金融機関のデータを取得できるようにする、あるいは、金融機関にデータを渡すことができるようにするインターフェイスですが、前者は参照系API、後者は更新系APIといった言い方をします。弥生のスマート取引取込のように、銀行の明細を取り込んで仕訳に変換する場合は、金融機関のデータを取得するわけですから、参照系のAPIを利用することになります。一方で、例えば、給与振込のデータがあり、それをAPIを通じて金融機関に連携し、給与振込を行うという場合には、金融機関に振込データを渡すわけですから、更新系APIが必要になります。

現時点で弥生がスマート取引取込でAPI連携を行っているのは住信SBIネット銀行の一行で、これは参照系のAPIです。弥生としては、今後API連携する金融機関を着実に広げたいと思っていますし、将来的には更新系APIへの対応も必要だと考えています。

一方で、金融機関APIの普及にはいくつかの明確な課題が存在します。

まず特に金融機関側でのシステム対応。API連携を行う際には、連携する双方でのシステム対応が必要となります。特に金融機関側については、前回もお話ししたように、インターネットとは隔絶された独自の世界に閉ざされているため、これをどのような形で開放するか、慎重な検討が必要になりますし、システム開発にもそれなりの期間を要します。

二点目は、システム対応と大きくオーバーラップしますが、セキュリティの問題。APIを開発し提供するのはいいものの、セキュリティ対策が充分でなければ、金融機関の基幹システムに対するサイバー攻撃を招くことにもなりかねません。この観点では、データの参照を許すだけの参照系の方がハードルは低く、データの更新を行う更新系では、より万全な対策が求められます。

そして最後に、金融機関がAPIを提供することのメリットが明確になっていないこと。APIを提供するには、セキュリティ対策も含め、一定のシステム投資が必要となります。つまりおカネがかかる。一方で、それに対し、どういったリターンが得られるのかが必ずしも明確になっていません。そうなると、API対応はすると言っても、最優先でのスピーディな対応は期待できません。APIは、データを開放するという意味でお客さまに大きなメリットをもたらしますが、同時に、金融機関にもメリットが明確になるようなAPIの利用モデルを確立していく必要があるでしょう。

こういった課題がある中で、金融機関APIの普及に向けては、金融機関だけでなく、金融機関APIを利用して様々なサービスを提供する会社(電子決済等代行業者、という言い方をします)も積極的に関与・貢献していく必要があります。弥生もその一社として、APIのあるべき姿について積極的に発信するだけでなく、その普及に向けての努力を惜しまないつもりです。
posted by 岡本浩一郎 at 16:32 | TrackBack(0) | テクノロジー

2018年05月09日

金融機関APIが目指すもの

少し前に、金融機関APIについてお話ししました。お客さまのIDとパスワードをお預かりしなくても、より安全に銀行やクレジットカード会社のデータを取得できるようにする仕組みが、銀行やクレジットカード会社が提供するAPI(Application Programming Interface)

APIという言葉は耳慣れないかもしれませんが、実はITの世界では相当昔から存在する仕組みであり、新しい概念ではありません。もともとは、OS(例えばWindows)の上でアプリケーションがOSの機能を効率的に利用するための仕組みとしての利用が中心でした(例えばWin32 API)。

最近では、複数のシステム間を連携させるための仕組みとしてAPIが広く一般的に活用されるようになってきました。特にここ10年間で、インターネットがさらに浸透し、その上で動作するシステム間をつなぐインターフェイスとして、REST APIと呼ばれる方式のAPIが広く普及してきたことによって、イマドキのシステムがシステム間で連携する上で不可欠なものになっています。たとえば、SMART(スマート取引取込)がMisocaやAirレジなどとデータを連携する際には、各サービスがSMARTのAPIを利用してデータをSMARTに渡すようになっています。

一方で、金融機関のシステムといえば、ほとんどの場合、インターネットとは隔絶された独自の世界に閉ざされており、それは今でも大きくは変わっていません。だからこそ、現時点で金融機関のデータを取り込もうとすれば、インターネットに向けて唯一開放された窓であるインターネットバンキングを裏技的に利用するしかありません。具体的には、前回お話しした通り、お客さまのインターネットバンキング等のIDとパスワードをお預かりした上で、SMARTが、あたかもお客さまが利用しているように(ある意味お客さまになりすまして)インターネットバンキング等にログインし、情報を取得するスクレーピングという仕組みに頼らざるを得ません。

ただ、この仕組みの場合、セキュリティに関する一定の懸念が存在します。金融機関のシステムが、インターネットとは隔絶された独自の世界に留まっている大きな理由の一つは、一般的なシステムよりも堅牢なセキュリティを実現するため。しかし現実は、お客さまが金融機関が管理しているお客さま自身のデータへのアクセスを求める中で、スクレーピングに頼らざるを得ず、結果的にセキュリティの懸念を招いてしまっています。つまり、ある意味矛盾を起こしてしまっている訳です。

そういった背景があるなかで、金融機関が自らAPIを提供することによって、より安全に金融機関のデータを取得できるようにする、あるいは金融機関にデータを渡すことができるようにしようというのが、金融機関APIが目指すところです。さらには、金融機関APIを通じ、お客さまがお客さま自身のデータをより自由に活用できるようになることによって、これまでにない利便性がもたらされることも期待されます。実際、昨年改正された銀行法では、セキュリティを確保しつつも、お客さまにとっての利便性を向上させるために、銀行に対しAPIに係る体制整備の努力義務を課しています。

ただ、現実問題としては金融機関APIの普及には一定の時間はかかるものと考えています。次回は、金融機関APIの現状についてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:07 | TrackBack(0) | テクノロジー

2018年05月07日

お申込みはお早めに

先日本ブログでもお話しした弥生PAPカンファレンス 2018 夏ですが、お蔭さまで順調にお申込みを頂いています。

初回の開催はちょうど一ヶ月後の6/7(木)に大阪での開催となりますが、既に定員を大きく超えるお申込みを頂き、受付を終了しています。大阪の次は東京(6/20、水)ですが、こちらも定員を超えつつあり、当日不参加の方が一定数発生することを考慮しても、間もなく受付終了となりそうです。東京会場でのご参加を検討されている方は、是非お早めにお申込みください。

残りの3会場は7月に入ってからの開催になりますので、まだ2ヶ月程度あることになりますが、どの会場も着実にお申込みが入りつつあります。こちらは今日明日で締切になるようなことはないと思いますが、東京/大阪と比べると定員が少ないこともあり、可能な範囲で早めにお申込みを頂ければ幸いです。

毎年開催している弥生PAPカンファレンスですが、来て良かった、と言って頂けるように、内容や開催形式を毎回見直しています。今回新たな取り組みとして実施するのが、交流会。14:00から16:30までのプレゼンセッションが終わった後に、参加者間で自由に交流頂ける交流会を開催します。

会計や税務申告は10年後になくなる仕事の上位と言われる中(まあ、そういった話はずっと昔からあるわけですが)、他の会計事務所はどう考えているんだろう、どうしているんだろう、という関心も強いと思います。そういった観点から、ここ数年のPAPカンファレンスでは事例発表を強化しており、今回も各会場2つの会計事務所による事例発表がメインのコンテンツとなっています。ただ、事例発表を受動的に聞くだけでは物足りない、あるいは、登壇する会計事務所以外にも話を聞いてみたい。そういったニーズもあるのではないか、ということで、今回は交流会を開催することにしました。

もちろん、弥生のメンバーも多く参加しますので、弥生の製品やサービスに関する質問を頂いたり、あるいは様々なご意見を寄せて頂くのも大歓迎です。私も全会場で参加しますので、是非お声がけください。
posted by 岡本浩一郎 at 18:04 | TrackBack(0) | 弥生

2018年05月02日

アルトア新オフィス

広島営業所の新設福岡営業所の増床移転と新オフィスが続いてきましたが、実は、あと一ヶ月ほどで、アルトアも新オフィスに移転します。先日内覧会があり、新オフィスを確認してきましたが、現オフィスより格段に広く、良いオフィスになりそうです。

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アルトアのオフィスとしては、これで3ヶ所目。会社設立時は、弥生のオフィスの中で机を数席借りた状態。まだまだ準備段階ということで、メンバーもごく僅かでしたから、数席もあれば全く問題ありませんでした。

しかし、貸金業登録する上では、しっかりと間仕切りされた独自のスペースが必要です。ということで、約一年前に、弥生のオフィスの中の広めの会議室を一室、アルトアのオフィスに改装。スペースとしては格段に広がったのですが、会議室をつぶされた弥生メンバーからは多少の愚痴もあったようななかったような(みな優しいので口にはしませんが、笑)。

会議室転用のオフィスで活動すること約1年。メンバーも増え、さすがに収容しきれなくなってきました。また、融資を開始してから約4ヶ月が経過し、事業として成立させうることの目処も立ってきました。さらにメンバーを加え、いよいよ本格的に事業展開を図るタイミングということで、3ヶ所目の新オフィスに移転ということになったわけです。

実はこの新オフィス、(写真を見れば分かる人は分かりますが)場所にちょっとした秘密(?)があります。一体どんな秘密なのか、それはまたの機会のお楽しみということで。
posted by 岡本浩一郎 at 18:15 | TrackBack(0) | アルトア