2018年07月30日

アルトアのスピード感

昨日日曜日の日本経済新聞の1面トップ記事「データが導く金融大競争」でアルトアを取り上げて頂きました。「弥生が17年から始めた新型融資」とありますが、正確には弥生の子会社であるアルトアによる融資です。この記事で取り上げられたオカピートさんには、アルトアのウェブサイトでも事例として登場頂いています。日経から事例を知りたいというリクエストがあり、ご紹介したのですが、まさか一面トップで登場することになるとは、ビックリです。

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この記事は、データを活用することによって、融資の利便性を向上させると同時に、ハードルを下げるというアルトアの目指す世界を紹介して頂いたという意味で、とても有難いと思っています。ただ、一点だけ、オカピートさんの事例で、「2週間ほどで200万円が入金された」とあるのですが、これはあまり正確ではありません。

正確には、オカピートさんからお申し込みを頂いたのが、2017年12月27日(水)の夕方。その日のうちに、アルトアから融資可能という審査結果をお知らせしています。翌日には、本人確認の手続きを行って頂いたのですが、現行の法令では、本人確認の手続きの一部に郵送の手続きが必要となるため、これを経て、本人確認の手続きが完了し、融資の準備が完了したのが、2017年12月30日(土)。ただし、既に年末年始に入ってしまっていたため、実際に融資が実行されたのが、年明けの2018年1月4日(木)ということになります。つまりカレンダーベースでは、約1週間。ただ、これは年末年始をはさんだという特殊事情があり、営業日ベースでは、中2日(お申込から融資実行で言えば4営業日)ということになります。

なお念のためですが、上記の日付を公開することはオカピートさんの許可を頂いています。こうやって振り返ってみると、年末ギリギリにお申込みを頂き、残念ながら年内は間に合わなかったものの、年始初日に融資できているわけですから、何気に凄いですよね(自画自賛です、はい)。

アルトアの融資も既に結構な数の件数になっていますが、お客さまにお伺いすると、やはりこのスピード感に驚かれる方が多いですね。実際にどれだけの期間がかかるのかは、本人確認の手続きが郵送も含めスムーズに進むかどうかで変動してきますが、従来の事業性融資の常識から言えば、圧倒的に早いことは間違いありません。2回目以降は、原則として本人確認の手続きが不要になりますから、即日融資も可能です。

現状でネックになっている本人確認の手続きですが、実は現在、オンラインだけで完結できるよう犯罪収益移転防止法(一般に犯収法)の施行規則を改正する方向で検討が進んでいます。早ければ年内にもオンライン完結型が認められるようになり、そうなればアルトアも「いつでも即日融資」に一歩近付くことになります。
posted by 岡本浩一郎 at 17:18 | TrackBack(0) | アルトア

2018年07月26日

キャッシュレス化の光と影

キャッシュレス化を推進すべき(ただし課題は大きい)と書いてきましたが、では、私自身のキャッシュレス度はどうかというと、うーん、キャッシュレス化率は50%ぐらいでしょうか。ただ、一定額以上の支払いはほぼキャッシュレス(クレジットカード)なので、金額ベースで言えばキャッシュレス化率80%ぐらいにはなっているのではないかと思います。

そんな私ですが、先日思わぬことで一日間完全キャッシュレス生活を強いられることになりました。急用で出かけることになったのですが、急用過ぎたこともあって、財布を忘れるという失態(念のためですが、普段はそういったことはありません、笑)。持っているのはiPhoneのみ。気が付いたのは家を出て30分後で既に時間的に引き返せない状態。えーい、何とかなるか、と思ってそのまま出かけました。結論的に言えば、(ほぼ)何とかなりました。その気になれば、キャッシュレスで何とかなるものです。むろん、ちゃんとSuicaが使えるよね、と事前に確認したり、普段よりは少し気を使いましたが。

ただ、実は一つだけキャッシュレスでは何ともならないものがありました。冠婚葬祭に関わるものは、キャッシュレスとはいきません(人から借りるはめになりました)。少し前の日経新聞で「キャッシュレス先進国スウェーデンの光と影」という記事がありましたが、記事にもある通り、キャッシュレス化の影の部分にどう対処するかは大きな課題だと感じます。記事中に「長男のクリスマスのお祝いに日本のお年玉のように現金を渡そうと銀行の窓口に現金を引き出しにいったら、現金が不足していて1クローナ紙幣100枚しかおろすことができなかった。日本円にすると約1,300円」とありますが、銀行にそれだけの現金しかないというのは驚きです。既にキャッシュレス化が進んだスウェーデンとまだまだこれからの日本では状況は異なりますが、「やはり現金でないと」という用途があることは事実かと思います。

結果的に誰かを決済のネットワークから排除することにならないか、というのも、キャッシュレス化で慎重に考えるべきポイントです。上述の記事でも、やはりスウェーデンで「90歳になる祖母も困った経験をした。最近、自分の洋服を買おうとしたら、お店で受け付けてもらえず買い物ができなかったのだ」とありますが、これは当然日本でも起こりうる話です。ある意味近い話としては、最近は中国でキャッシュレス化が進んでいるために、中国を訪問する外国人にはむしろ不便になっているということを聞きます。

あまり話題にはなりませんが、障碍者の方にとってキャッシュレスがどのようなインパクトを持つのかも慎重に考えるべきかと思います。コインは大きさと形で識別がつくようになっていますし、あまり意識することはありませんが、紙幣にも識別マークがついています。

もちろん、今のままがいいと言うつもりはありません。そもそも今のように汎用的に利用できる紙幣が日本で普及したのはせいぜい150年前のこと。今の常識は、ここ150年ほどの常識に過ぎません。お年玉やお祝儀の常識も時代と共に変わっていくでしょう。とはいえ、キャッシュレス化の「光」だけではなく、「影」の部分もキチンと認識し、現実的な対処を考えていくべきだと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:16 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年07月24日

キャッシュレス化の方策

前回は、キャッシュレス化の意義はある一方で、実際に推進する上ではカベが存在するとお話ししました。キャッシュレス支払いができるお店でも現金を好むという消費者側のカベと、キャッシュレス支払いを受けられる設備はあるお店でも、実際には現金での支払いを好む店舗側のカベ。なおかつ、これらのカベは一方を崩そうとすると、他方のカベをさらに高くする可能性があると。

例えば、消費者側のインセンティブを増やそうとポイントによる還元を増せば、店舗側の手数料を増やすことにつながり、結果的に、店舗側のカベ(ディスインセンティブ)を増やしかねないというジレンマがある訳です。

このジレンマを解消する、もっと言えば、社会的な仕組みを大転換するためには、やはり国の役割が大きいのではないかと考えています。ヒントは韓国にあります。実は韓国は、世界でも有数の(というよりトップの)キャッシュレス先進国。少し前にもお話ししたように、2015年時点での日本のキャッシュレス決済比率が18.4%なのに対し、韓国は実に89.1%です。キャッシュレス・ビジョンでも解説されていますが、韓国では1999年から2002年というごく短期間のうちに、クレジットカード発行枚数を2.7倍に、そしてクレジットカード利用金額を6.9倍に急拡大させることに成功しました。

その方策は是非キャッシュレス・ビジョン(P14)をご覧いただきたいのですが、個人的に注目しているのが、年間クレジットカード利用額の20%の所得控除を認めるという制度(ただし、上限あり)。何と、クレジットカードで支払うとそのうちの一定額が税金を計算する上での控除対象となる(=節税になる)のです。つまりクレジットカードで支払うことに対して、店舗側に代わって、国がインセンティブを提供している訳です。これであれば、ジレンマに陥らないですよね。

とはいえ、それでは国にとってのメリットは何なのか? 国にとってのメリットがなければ、インセンティブを出す意味がありません。色々な解釈が成り立つと思いますが、この韓国のクレジットカード支払い推進には、1) 消費の活性化、2)脱税の防止という二つの目的があったと言われています。この時期は韓国では通貨危機からの脱出を図っている時期であり、消費を活性化させるためには手段を問わずという状況だったのかもしれません(ただ、この反面、2000年以降家計負債が増え続けていることが韓国経済のリスクとも言われています)。

興味深いのが、脱税の防止という目的です。上述の所得控除を認めるために、クレジットカードで支払いをする度に、それがデータとして国に送信されるという仕組みになっています。つまり、消費者にクレジットカード支払いのインセンティブを提供することによって、一定の税収減は許容しつつ、脱税を防止することによって、全体として税収を増加させようということです。

ちなみに、韓国では2005年には現金領収書という制度が導入され、現金での支払いの際にも売上データは国に送信されるようになっています(この場合も消費者には所得控除というインセンティブがあります)。現金支払いではレバレッジという消費の活性化効果はありませんから、明らかに脱税の防止が目的になっています。

弥生は事業者の味方ですから、単純に事業者の税負担が増えるだけの制度には賛成できませんが、そもそもの話として課税は公正であるべきです。理想的に言えば、売上がデータとして捕捉されることによって公正な課税がなされ、同時に徴税コストが下がるのであれば、それを税額の控除や、もっと言えば税率の引き下げのような形で事業者に還元されるべきだと考えています。

しかし、残念ながら日本の税制は建て増しに終始しがち。ですから、この種の制度が短期間で導入されることは考えにくいでしょう。ただ、人口も減少し、より効率的な社会運営が求められる中で、単純にキャッシュレス決済比率を多少向上させるという発想ではなく、社会的な仕組みを大きく作りかえるぐらいの覚悟が必要なのではないでしょうか。
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2018年07月20日

キャッシュレス化のカベ

APIの話とキャッシュレスの話を行ったり来たりしていますが、今日はキャッシュレスについて。前回は、キャッシュレス化の意義についてお話ししました。キャッシュレス化の意義の一つは社会的なコストを下げること。そしてもう一つの大きな柱は、キャッシュレス化によって、データを収集し、新たな価値を生み出すこと。

だからこそ、キャッシュレス化を推進すべき。この方向性自体には私は全く異論ありません。ただ、その方法論となると、なかなか一筋縄ではいかないと考えています。よく言われることとして、日本ではクレジットカード(や電子マネー等)が使えないお店が多い、だからキャッシュレス化が進まない。これを打破するために、キャッシュレス支払いを処理する端末(CAT端末など)の導入費用を補助し、お店のクレジットカード等の受け入れを促すべき、といった議論があります。

このロジック自体、必ずしも間違ってはいないと思いますが、それだけで全てが解決するほど単純ではありません。

確かにカード等を使えない店舗の存在がキャッシュレス化へのハードルとなっているのは事実ですが、一方、カード等を使える店舗でも現金を選ぶお客さまが相当に多いという現実を無視するわけにはいきません。代表例が百貨店ですが、一般的に百貨店はクレジットカード支払いができるようになっていますし、種類にはよりますが、電子マネーを利用できることも珍しくはありません。つまり、キャッシュレス・レディー。にもかかわらず、現金で支払う方が多い。その理由は様々でしょう。現金に対する信頼か、拘りか、あるいは、キャッシュレスに対する不安なのか抵抗感なのか、はたまた、単純にこれまでの習慣を変えたくないのか。

これらの消費者側のカベに向き合わないことには、キャッシュレス化が大きく進むことはないでしょう。

同時に、店舗側のカベにも向き合う必要があります。店舗側のカベは、クレジットカード支払いを受けられる店舗であっても、現実には現金払いを好むという事実。よくありますよね。ランチは現金支払いのみとか、このお得なプランは現金払いに限るとか。店舗側の事情もよくわかります。クレジットカードの取扱手数料は一般的に3%前後と言われますが、特に利幅の薄い業態において、決して無視できないコストです。また、資金繰りの面でも現金で払ってもらった方が有利。こういった事情がある中で、単純にCAT端末の導入費用の補助を行っても、CAT端末自体は導入されるかもしれませんが、実際のキャッシュレス支払いは進みません。

今後キャッシュレス化を推進する上では、こういったカベに対する打ち手を積み重ねる必要があります。難しいのは、消費者側のカベに対する打ち手が、結果的に店舗側のカベを高くすることにつながりかねないということ。

消費者側のカベを崩すための一つの打ち手として、ポイントのようなインセンティブを強化することが考えられます。クレジットカード払いであれば、x%分のポイントが溜まるといったような。1%でもチリが積もれば山となるですが、これが例えば5%や10%になれば、クレジットカード払いを選ぶ消費者は確実に増えるでしょう。

しかし、です。これらポイントは何もないところから生まれる訳ではありません。消費者にインセンティブを提供するためには、当然、その原資が必要。そしてその原資は通常、店舗側にかかる手数料から賄われます。つまり、消費者側のインセンティブを増やそうとすれば、店舗側の手数料を増やすことによって、店舗側のカベ(ディスインセンティブ)を増やしかねないというジレンマがある訳です。

逆に店舗側のカベを崩すために手数料を下げようとすれば、当然消費者に提供するインセンティブを削る必要があります。これもまたジレンマ。

キャッシュレス化の意義は確かにありますし、だからこそキャッシュレス化は推進すべき。実際問題として、何もしなかったとしても、キャッシュレス支払の割合はじわじわと増えていくでしょう。ただ、短い時間軸の中でキャッシュレス化を急速に進めようとすると、正直なかなか難しいと感じています。

もっとも、あくまでも個人的に、ですが、策はあると思っています。このジレンマを解消するためには、国の役割が大きいと思っています。CAT端末の導入補助といった小手先ではなく、もっと大きな仕組みが必要だと考えています。その具体策についてはまた改めて。
posted by 岡本浩一郎 at 18:04 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年07月17日

JCB×弥生

7月の巡業も中盤戦。巡業に加え、週末のマザー牧場でのキャンプ(昨年に引き続いて二回目)の疲れがじわじわときていますが、今週も巡業は続きます。今週は前半は鹿児島、一旦東京に戻って後半は札幌とまさに日本縦断です。暑さにめげないように頑張りたいと思います。

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機内より桜島。昨日噴火したそうで、市内には灰が舞っています。

先週はキャッシュレス・ビジョンについてお話ししましたが、これはお話しした通り、もともとは「クレジットカードデータ利用に係るAPI連携に関する検討会」に委員として参加したことがかかわるきっかけです。キャッシュレスの推進については、今後もう少し深堀ってみたいと思いますが、今日はきっかけとなったクレジットカード会社とのAPI連携についてのお話です。

本日、7/17より、弥生はJCBとのAPI連携を開始しました。今回のAPI連携により、JCBカードをご利用かつ弥生会計(デスクトップでもクラウドでも)をご利用のお客さまは、JCBのカード明細情報を安全かつ安定的に弥生会計に取り込み、自動で会計処理を行うことが可能となります。個人向けのカードはもちろん、法人カードも対象です。

金融機関とのAPI連携は、3月の住信SBIネット銀行に続いて2社目となります。先日お話ししたオープンAPI推進研究会は、6月の「API利用契約の条文例 (中間的な整理(案))」に引き続き、今月頭に「銀行法に基づくAPI利用契約の条文例(2018年7月暫定版)」を公表しました。暫定版という名称ですが、これまでの議論を全て反映しており、議論としては一旦これで収束です。ようやく多くの金融機関と標準的な利用契約案をベースに議論できる状態になったということで、弥生としても、この条文例をもとに、今後多くの銀行とのAPI連携を、できるだけ早いタイミングで進めていきたいと考えています。

なお、今回のJCBとのAPI連携を記念して、「JCB法人カード」をお持ちのお客さまを対象に「弥生会計 オンライン(セルフプラン or ベーシックプラン)」を初年度無料でご提供する「JCB×弥生 API連携開始特別キャンペーン」を行います。弥生のお客さまがJCBカードを、JCBのお客さまが弥生をご活用頂く良い機会になることを願っています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:15 | TrackBack(0) | 弥生

2018年07月13日

なぜキャッシュレスなのか

日本は現金社会。逆に言えば、キャッシュレス化が進んでいないと言われます。日本のキャッシュレス決済比率(= キャッシュレス支払手段による年間支払金額÷国の家計最終消費支出)は2015年で18.4%。お隣の韓国の89.1%は別格としても、イギリスやアメリカなどが50%前後ですから、キャッシュレス化という観点で大きく出遅れていることは事実かと思います。

一方で、この事実自体は、日本の長所を表しています。日本では偽札が問題になることはほとんどありませんし、盗難にあうリスクも諸外国と比べれば圧倒的に低い。そしてATMが全国津々浦々に存在し、いつでも現金を引き出すことができる。他国では、現金に対する信頼が低い、あるいは現金を持ち歩くことがリスクとみなされる、あるいは、現金を入手する手間が大きいといった要因があるからこそ、キャッシュレス決済が進んだという事情があります。つまり日本でキャッシュレス化が進まないのは、現金決済が安心で、利便性が高いから。これ自体はむしろ褒められるべきですよね。

ただ、現金社会であるために、実は社会全体として大きなコストが発生しています。野村総合研究所の試算では、現金支払のインフラを維持するために、社会全体として年間1兆円を超えるコストが発生しています。わかりやすいところでは、現金(紙幣・貨幣)の製造コストですが、これらは650億円に過ぎません。コストが大きくかかっているのは、ATMを設置し、維持・運営するコスト(合計で7,000億円近く)や小売店舗で現金を管理するための人件費(レジ締めなど、5,000億円)。みずほフィナンシャルグループでは、間接的な費用まで含めれば、コストは約8兆円に達すると試算しています。

確かに現金は、便利です。24時間365日、どこでもおろせるし、どこでも使える。しかしそのためには、膨大なコストがかかっているということです。一方で日本の人口は明確に減少を始めており、これまでは意識もされなかった社会的コストが徐々に問題として顕在化してきています。わかりやすいところでいえば、店舗のレジを担当するスタッフを確保することも難しくなってきています。

また、現金決済では、誰がどこでいつ、何にいくら支払ったのかを追跡することが困難です。現金決済ならではの匿名性は、長所といえば長所ですが、誰がどこでいつ、何にいくら支払ったのかをデータとして分析することによって、新しい価値を生み出すという観点からは大きな障壁です。データ分析を通じて、お客さまの行動を可視化することにより、お客さまにより良い商品やサービスを提供する。

しかし、行動が可視化されることに気味の悪さがあるのは事実です。データを入手し、お客さまに新たな価値を提供したいというのは、製品/サービスを提供する側の一方的な想い(いわばサプライヤーズ・ロジック)であり、それをお客さまがどう思うのかは別問題です。お客さまに納得頂くためには、どんなデータがどのように扱われ、それがお客さまにとってどんなメリットにつながるのかをしっかりと示す必要があるでしょう。

つまり、キャッシュレス化の意義の一つは社会的なコストを下げること。そしてもう一つの大きな柱は、キャッシュレス化によって、データを収集し、新たな価値を生み出すこと。とはいえ、現実にキャッシュレス化を進めるためには、まだまだ超えなければいけないカベが複数存在しています。カベの正体とその傾向と対策についてはまた次回に。
posted by 岡本浩一郎 at 23:33 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年07月11日

キャッシュレス・ビジョン

少し前に「キャッシュレス・ビジョン」の策定にかかわったとお話ししました。もともと昨年の秋から、クレジットカード会社におけるAPIのあり方を検討する「クレジットカードデータ利用に係るAPI連携に関する検討会」の委員として活動してきました。その成果は、クレジットカードデータ利用に係るAPIガイドラインとして4/11に経済産業省から公表されています。

ただ、API(特に金融機関のデータを受け取る参照系API)は、既に完了した取引の結果をデータとして受け取るに過ぎません。もちろんそれはそれで価値はあるのですが、取引そのものがどうあるべきか、もっと視野を広げるべきではないか、という提言があり、検討会のスコープを広げることになりました。APIで取引の結果をデータ(=デジタル)で受け取ることはできても、取引自体(特に小売取引)がお札や小銭での支払い(=アナログ)のままでは、本当の意味での利便性向上や効率化にはなりません。取引のあり方そのものを見直そう、より具体的に言えば、諸外国と比較しても低いキャッシュレス取引の割合をどのように増やしていくかを考えよう、とスコープが飛躍的に広くなったという経緯があります。

結果的に、「クレジットカードデータ利用に係るAPI連携に関する検討会」と、APIの名前が入る検討会でありながらも、実際にはキャッシュレスの推進について議論した時間の方が圧倒的に長かったような気がします(笑)。そしてその成果として作成したのが、やはり4/11に経済産業省から公表されたキャッシュレス・ビジョンという訳です。

そしてこのキャッシュレス・ビジョンを産官学が連携して具現化するために、つい先日、キャッシュレス推進協議会という組織が発足しました。弥生はこの協議会の初期メンバーとして、今後もかかわっていきます。目に見えませんし、それが故になかなか実感できるものではありませんが、日本人が当たり前のように享受している現金という仕組みの維持には、実は膨大な社会的コストがかかっています。社会全体の効率を考える上で、キャッシュレス化は避けて通ることはできません。

もっとも、キャッシュレス化は少し掛け声をかければすんなり進むほど単純ではないとも思っています。私自身、一定額以上の支払いはほとんどクレジットカードですが、少額は逆にほとんど現金です。キャッシュレスの是非については、個人的に色々と思うところがありますが、長くなりますので、またの機会にじっくりとお話ししたいと思います。

また、弥生(とそのお客さま)という観点からは、支払い手段としてのキャッシュレスももちろんなのですが、その結果をデジタルでどう受け取れるようにするのか(電子レシートやカード会社API)を着実に進めていきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 22:35 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年07月08日

広島からの帰還

7/6(金)は広島でのPAPカンファレンス。前日の木曜日は兵庫県の会計事務所を訪問していたのですが、予報通りかなりひどい雨でした。この日も、明石川の水位上昇に伴い避難準備が発令される(スマホに緊急速報が飛んでくる)など、いつもの雨とは違う気配はありましたが、夜にはこの日の最終目的地である広島にトラブルもなく辿り着くことができました。天気予報を逐次チェックしていましたが、カンファレンス当日である翌日も雨。ただ、まだこの時点ではそこまでの大雨の予報ではありませんでした。

一夜明けて、7/6の朝。外は雨。朝の段階ではまだそこまでの酷い雨ではありませんでしたが、予報は大雨。昨晩確認した予報より明らかに悪化しています。

広島営業所長のEさんと合流すべく向かう車内でEさんとやり取り。交通機関に影響が出ているということで、思っていたよりも状況が深刻であることが判明しました。午後のカンファレンスでは、東京の二つの会計事務所にご登壇頂くのですが、一社は既に現地入りしているとのこと。一方で一社は飛行機で移動中とのこと。また、弥生社員は予定のうち半数強は昨晩に現地入りしたものの、残りは新幹線移動中で、足止めを受けている状態。

この時点では、まだカンファレンスの開催は可能と判断しましたが、同時に、遠方から来場されるにはリスクが大き過ぎるため、こちらから連絡して来場を見合わせて頂こうということにしました。また、近距離の方も、お問い合わせを頂いた際には、無理をしないようお願いすることに。

午前中は会計事務所を二件訪問。その間にも雨は酷くなっていきます。お昼前にはカンファレンス会場入り。既に展示会も含め準備が進んでおり、登壇者によるリハーサルが始まっています。ただ、展示ブース二つについては、担当者の広島入りが困難ということで、展示見送りとなりました。

午後1時半から受付を開始。来場される方はごく僅かだろうという予想に反し、続々とご来場。午後2時にカンファレンスをスタートした時点では、それなりに席が埋まっていました。もちろん、これまでの会場と比べれば低い出席率ですが、状況を考えれば驚くレベルです。実は今回は4月に営業所を開設して以降、広島での初めてのカンファレンス開催でした。そのため、皆さん、Eさんの顔を立てるためにも結構無理をしてご来場頂いたのではないかと思います。本当に申し訳ないと思う一方で、本当に有難いことですし、広島に営業所を開設したことは正解であったと実感しました。

カンファレンスは一社目の事例紹介に進みます。ここで本日一回目の避難勧告が。カンファレンスの途中で皆の携帯が一斉になり出すのは異様な光景です。地域ごとに避難勧告が発令されるため、私が受信しただけでも一時間で3回。会場は大型ビルですから、安全ですが、地元の様子なども気になると思いますし、会場から帰ることが難しくなる可能性もあります。

一社目の事例紹介(中村税務会計事務所)が終わった午後3時には、各人のご判断で遠慮せずに退場頂きたいとアナウンス。午後5時頃にはJRが全面的に止まる見込みという情報もあり、休憩時間を短縮し、可能な限り、早めに終了することにしました。

ドキドキ、バタバタする中で、二社目の事例紹介(アトラス総合事務所)が始まりました。ご登壇のお二人は広島空港から広島市内へのバスが止まっていたため、三原に抜けて、動いたり止まったりだった新幹線で何とか会場入りして頂きました。お疲れの様子でしたが、プレゼンは流石の内容。同時並行で、展示会場では撤収を進めます。

事例紹介が終わり、最後は私がご挨拶させて頂いて、カンファレンスは前倒しで終了。元々は午後4時半過ぎの終了を予定していましたが、一部の内容(私が担当するアルトアのご紹介、泣)はスキップとなったものの、目玉である事例紹介は無事に終えることができ、午後4時前には終了することができました。ご来場の皆さまをお見送りし、展示会参加の他社スタッフも送り出して、弥生としての撤収に入ります。

弥生・アルトアメンバーで当日中の帰宅を予定していたのは私も含め6名。新幹線は止まっており、飛行機は飛んでいるものの、空港までのバスが止まっているということで、残る方が安全と判断し、どうしても帰る必要がある4名だけで、午後4時過ぎ、タクシーで空港を目指すことに。

私は翌日の午後に千葉商科大学でのシンポジウムへの登壇予定があり、明日の移動では間に合わないリスクが高く、今日中に帰っておきたいところ。Iさんは、翌日から夏季休暇で翌朝に国際線のフライトがあるということで、何が何でも帰らないといけない。4人の中でも最も必死な様子でした(その割には途中で財布がないと騒ぐなど、ボケキャラはいつも通り、笑)。

タクシーをつかまえることは難しくありませんでしたが、運転手さんは普段は高速でしか行ったことのない空港に一般道で向かってくれというリクエストに困惑気味。私ともう一名がGoogle Mapsを駆使し、運転手さんをサポート。市内はだいぶ渋滞していましたが、これは運転手さんの経験で何とか脱出。一方、郊外に出ると、雨は激しくなるわ、そばを流れる川は明らかに増水しているわ、道路脇に崖が迫っているわで、これはこれで結構リスクがあることを実感します。

郊外に抜けて以降、一箇所での激しい渋滞と、途中一回のトイレ休憩(運転手さんが、もう我慢できない、となったので、笑)をはさみつつも、何とか空港に近づいていきます。空港まで残り僅かというところで、タクシーは街道から山道へ。この時は雨量40mm近くという豪雨で、道にも巨大な水たまりが多く、結構ヒヤヒヤものでした。

最後の最後で道に迷いつつも、午後6時半前には何とか空港に到着。頑張って頂いた運転手さんには厚く御礼をして、搭乗カウンターに向かいます。Iさんは早めの便ということで、早々に搭乗口へ。残り3名も、幸いフライトは予定通りということで、ホッと安心。

あとで調べてわかったことですが、広島空港はCAT-IIIbという高性能の計器着陸装置(ILS)を備えているため、視界が限られていても飛行機の着陸が可能なのだそうです(ちなみに3年前にアシアナ航空機が広島で着陸失敗した際には、ILSを使用しておらず、また、失敗の際にILSの機材を破壊してしまったため、長期間に渡って広島空港の運用に支障をきたしたそうです)。これが台風であれば風も強いですから、おそらく欠航になったのだと思いますが、当日は雨は強くても風はそれほど強くなく、(ILSを使えないからなのではないかと思いますが)小型機を除きほぼ全便予定通りに運行していました。

チェックインを済ませ、まだフライト(午後8時50分)までは時間があるので、空港内で食事。この際に駄目押しのように広島県内での特別警報が発令され、これが何十年に一度という非常事態であることを再認識しました。自分の帰宅は目処が立ったものの、今日ご来場頂いた皆さんが無事に帰宅できたのか、広島に残ったメンバーは大丈夫なのか、心配になります。

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フライトは大きな遅れもなく離陸し、午後10時過ぎに羽田に到着。機内では疲れからか爆睡。自宅には午後11時ぐらいに戻ることができました。

本ブログで私の信条は「やらないで後悔するよりは、やって反省」と書いたばかりですが、さすがに今度ばかりは、PAPカンファレンスを開催したことが正しい判断だったのか、考えさせられます。結果的に大きなトラブルはなかったので、後悔とまではいかないまでも、どこでどういった判断をすべきだったのか。

台風のように、この先状況が悪化することがある程度の確実性を持ってわかるのであれば判断は比較的容易ですが、今回のように、徐々に状況が悪化する中での判断はなかなか難しいというのが実感です。タクシーでの空港行きも問題なく到着できたからこそ武勇伝になりますが、途中で災害に巻き込まれていれば、愚行と言われても仕方ありません(ちなみにこの時通った一般道は現時点で通行止めとなっており、我々が通ったのちに何らかの問題があったのではないかと思います)。

ちなみに、当日広島に残ったメンバーは翌日も新幹線が動かず、空路も市内への交通の便が確保されないということで欠航が相次ぎ、もう一泊を強いられることになったとのこと。ようやく今日(日曜日)になって新幹線が通常運行に戻ったことから、現在帰宅の途にあるようです。

今回の大雨はまだ完全に収束しておらず、残念ながら大きな被害が出ているとのこと。他人事とは思えません。やはり自然には勝てないというと、ありきたりな結論になってしまいますが、色々と考えさせられる広島での出来事となりました。
posted by 岡本浩一郎 at 15:55 | TrackBack(0) | 弥生

2018年07月04日

巡業

昨日は午前4時過ぎに起床。TVをつけたところ、パッと目に入ったのが、「日本6 - 12ベルギー」。うわ、ぼろ負け、それでも6点取っているのは凄いな、と勘違い。お分かりだと思いますが、表示されていたのはシュートの数。野球ではないので、さすがにこの点数はないですよね。まさに寝ぼけ眼をこすりながら、ですが、ようやくスコアが目に入ったら、「日本2 - 0ベルギー」。一気に眼が覚めました。その後の経緯は皆さまご承知の通り。私が見始めてからは点を取られるばかりということで、微妙な罪悪感を感じますが、それでもワクワクドキドキするいい試合でした。西野ジャパンの皆さん、お疲れ様でした & ワクワクさせてくれて有難うございました!

さて、残念ながら日本が敗退ということで、私にとってのW杯は終わり(その程度のサッカーファンということです、笑)。一方で、私の夏の巡業が始まります。本ブログでも何回かお話ししていますが、弥生では会計事務所パートナー(PAP)向けに、弥生PAPカンファレンス 2018 夏 & 全国キャラバンを絶賛開催中です。

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今日は名古屋でのカンファレンス開催、そして金曜日には広島での開催。カンファレンスは来週の福岡で終わりとなりますが、全国キャラバンはまだまだ始まったばかりです。全国キャラバンは北は札幌から南は沖縄(!)まで全国16会場で延べ26回の開催。日程がお互いに重なっているケースもあり、またそもそも私の東京での予定もそれなりに入っており、全部に参加することは現実的ではありません。ただ、折角の機会ですので、可能な範囲で参加しようと思っています。

結果的に私は7月は出張続き。7月の21営業日のうち、10営業日は出張です。誰もが行きたがる(笑)沖縄は、かなり前から入っていた予定と被ってしまい、なくなく見送りですが(泣)、北は札幌から南は鹿児島まで。

梅雨が明けて本格的な夏のはずですが、今週は台風の影響か後半は結構な雨の見込み。来週は一転夏本番となるでしょうか(個人的には3連休にキャンプを予定しているため、好天を希望)。いずれにしても、体力的に厳しいのは間違いありませんので、キチンと体調管理をしてこの巡業を乗り切りたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:42 | TrackBack(0) | 弥生

2018年07月02日

決断

サッカーW杯が予想外に(?)盛り上がっていますね。前評判は決して高くなかった西野ジャパンですが、既に皆さんご承知の通り、決勝トーナメント進出を果たしました。事前には色々と批判的に報道していたものが、結果が出ると途端に論調が変わるのが、何だかな〜と感じるのは私だけでしょうか。

さて、既に色々なところで議論になっているので、書き尽くされたような気もしますが、ポーランド戦の最後の10分間について、私が思うところを少しお話ししてみたいと思います。まずは、一応援者としては、残念。正直、見ていて楽しくはないですからね。この時間は、コロンビア-セネガル戦を見たという方も多いようですが、やる気のない試合よりは、やる気がある試合を見たいというのが、応援する側の素直な気持ちでしょう。

一方で、一経営者として、僭越ながら監督の立場で考えるとすると、正しい選択だったと考えます。限られた情報をもとに、様々な選択肢の中から、最も成功確率が高い選択をするのが監督の仕事(レベル感は違えども、経営者の仕事も同様)。当然何を成功とするかによって変わってくるわけですが、今回の場合、当該試合に勝つこと、ではなく、決勝トーナメント進出を成功と考えるべきでしょう。とすれば、下手に攻勢に出て逆に失点のリスクを負うよりは、確率論的にコロンビアの勝利に賭けるという選択は極めて真っ当なものだと考えます。限られた情報の中で最善と思われる選択をする。そしてその結果に責任を取る。

ただ、今度は一個人として考えると、また話が変わってきます。私の信条は「やらないで後悔するよりは、やって反省」ですから、その信条からすると、(私が日本代表に選ばれることはありませんからあくまで仮定の話ですが、笑)今回のようなケースでは、私個人は、結果がどうなろうと最後まで攻め続けていたと思います。では私が弥生の経営において、常に「やらないで後悔するよりは、やって反省」を貫いているかというと、そうではありません。経営はチームプレー。お客さまであり、パートナーであり、従業員であり、株主であり、ステークホルダーのことを考えれば、私自身が後悔をしないことを最優先にするわけにはいきません。皆にとって最善の結果となるために、最も成功確率が高い(であろう)選択をし、あとは、チームの皆と共に、その選択が正解となるような努力を続ける。

つまり、西野監督は、自分のメンツや満足のためではなく、あくまでもステークホルダーのための合理的な判断をしたということなのではないかと思います。そういった意味では、これが個人プレーの競技であれば話はまた変わったのではないでしょうか。個人プレーであれば、プレーするのも、判断するのも競技者本人がすればよいことですし、結果責任も本人が取ればいいですからね。

それにしても、今晩(明日未明)のベルギー戦は、何時に寝るのか、はたまた起きるのか、とても悩ましいです。
posted by 岡本浩一郎 at 17:30 | TrackBack(0) | 弥生