2018年08月30日

夏の読書

夏休みと言えば読書感想文。さすがにもう読書感想文を書くことはありませんが、休みの間に読む本を選ぶのは楽しいものです。今回の夏休みのお供はこちらの2冊でした。池井戸潤氏の最新作「下町ロケット ゴースト」とDan Brown氏の最新作「Origin」。

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下町ロケット ゴーストは、名前の通り、町工場・佃製作所を継いだ佃航平が主人公の下町ロケットシリーズの第3弾。1弾目(「下町ロケット」)と2弾目(「下町ロケット ガウディ計画」)はそれぞれ独立した話ですが、今回は9月に発売が予定されている4弾目(「下町ロケット ヤタガラス」)とのつながりが強いようで、いわば前編といった感じです。

ボリュームもそれほど多くなく、数時間であっさりと読破。構えることもなく、純粋に読むことを楽しみながら一気に読めるのが池井戸作品の良いところ。良質なエンターテイメントですね。池井戸作品には、前振りはじっくりと、一方で着地する時はあっさりという傾向があるように感じます。だからこそ一気に読めるわけですが、これだけ前振りしたんだから、もう少し丁寧に着地して欲しいと思わなくもありません。そういった意味で、今回は実質的な後編がありますので、どのように着地していくのか、楽しみにしたいと思います。

もう一つのOriginも、HarvardのRobert Langdon教授が本意でないにもかかわらず壮大な事件に巻き込まれていくシリーズ物。圧倒的に有名なのは、2作目のThe Da Vinci Codeですね。今回はシリーズ5作目ということになります。

これまでの作品もそうですが、Dan Brown氏の作品の特長は徹底的なリサーチに基づいた、現実とフィクションの境界線が溶けた描写。一作書くのに数年かかるというのも理解できます。今回の舞台であるスペインにはまだ行ったことがないのですが、是非行って、本作の舞台を自分の目で確かめたくなります。

こちらは楽しみながらじっくりと読み進めているところ。池井戸さんと比べると、Dan Brown氏は寡作。これを読み終えてしまうと次に読めるのはおそらく3年後から4年後ということで、1ページ1ページが貴重です。残念ながら残るはもうあと100ページ程度。今週末には読み切ってしまいそうですが、最後までじっくりと味わいたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:40 | TrackBack(0) | パーソナル

2018年08月28日

サマータイム (その2)

昨今導入の是非の議論が活発化しているサマータイムについて、前回は、ITの観点からは東京オリンピックに向けてという時間軸での導入は現実的ではないとお話ししました。弥生が提供しているアプリケーションは、内部的には絶対時間(UTCに変換できるシステム時刻)で管理されており、理論的にはサマータイムが導入されても動作するはずです。ただし、本当に理論通り動作するかはまた別の話。例えば弥生給与はタイムカードの仕組みと連動することができますが、サマータイムの終わりで時間を1時間戻すタイミングで退勤した場合、打刻された退勤時間は1時間進んだ時間なのか、1時間戻った時間なのか、どうやって判断するのか。外部の仕組みとも連動しながら、想定される通り動作するかは全て検証が必要ですし、それだけでも相当な工数が見込まれます。

もう一つのオプションとして、サマータイムは導入せずに、始業時間/終業時間などを皆一斉にずらす、というのもありでしょうか。例えば、4月から9月は、会社の始業時間は9時から8時に、店舗の開店時間は10時から9時にずらすなど。ただ、皆一斉にずらすとなると、法律で義務付けでもしない限り、難しそうです。もっとも、学校の登校時間は法律で決めることができるかもしれませんが、会社の始業時間や店舗の開店時間は本来自由に決められるはずですから、法律で義務付けることが妥当なのかどうか。

仮に皆で一斉にずらすとしても、今度は表示の問題があります。会社の始業時間はともかく、店舗の開店時間/閉店時間は店舗に表示されているのが普通ですから、これを全て書き換える。また、当然通勤のための公共交通機関も、9時に向けて本数を最大化するのではなく、8時に向けて本数を最大化しなければなりません。ダイヤとしては1時間単純にずらすとしても、時刻表などは全て書き換えになります。こう考えてみると、うーん、やはりあまり現実的ではありませんね。

東京オリンピックの暑さ対策という観点で残されたオプションは、競技の時間をずらすこと。それであれば日常生活への影響はありません。競技開始を朝5時とか、あるいは夜8時のように、日中を避ける。これでも、見る人は見る、というのは先般のサッカーW杯が証明したように思います(笑)。もともと昨今の国際的大会では、放映権の関係で、競技を行う現地の時間よりは、多く放映権を支払う消費地(やはり米国でしょうか)で見やすい時間が優先される傾向にありますから、日本の一般的な時間帯にこだわる必要もないように思います(もっとも、例えば米国で見やすい時間帯ということで、結果的に日本の真昼間になるようでしたら問題ですね)。

ただ、実は私個人としてはサマータイムに賛成です。あくまでも個人として、であって、弥生の社長という立場は反映されていませんが(笑)。それは、Daylight Saving Timeという正式名称が示すように、太陽を有効に活用できるから。太陽が早く上る季節は、早めに起床して、早めに仕事を開始し、そして、まだ太陽があるうちに早めに仕事を終える。私自身の米国での経験では、確かに時間を進める/遅らせるというのは面倒ですし、生活のリズム的にも若干の調整は必要です。ただ、それ以上に、太陽のある時間を有効に活用できるというのは大きなメリット。特に何をするということはなくても、仕事を終えた時/家に帰った時にまだ日があるというだけで、ウキウキします。

もちろん東京オリンピックに向けての実現は到底現実的ではありませんので、東京オリンピックというよりは、その先をにらんで、サマータイム/Daylight Saving Timeの導入の是非が議論されるといいなと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:36 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年08月24日

サマータイム (その1)

サマータイム導入の議論がにわかに盛り上がっています。きっかけはあと2年に迫った東京オリンピック。確かに普通に生活するだけでもバテバテなのに、この暑さの中で限界まで運動することには危険性すら感じます。

全体的な反応としては、やはり反対論が多いようですね。もっとも多くは時間をある時1時間進める/戻すなんてやったこともないし大変そうという、変わることに対する抵抗感のようにも見えます。一方で、IT業界からは切実な反対論が出ています。サマータイムへの切り替え時に時間を1時間進めることで、存在しない時間ができ、また、サマータイム終了時に1時間戻すことで同じ時間が生まれてしまいます。前者はまだ何とかなりますが、問題は後者です。時刻はトランザクションの前後関係の管理に使われますが、サマータイム終了直前の取引と、サマータイム終了直後(時間が1時間戻った後)の取引を単純に時刻で比較すれば、順番が逆転しかねないからです。これはシステムの根幹に関わる大問題です。

とはいえ、海外ではサマータイムは一般的に行われている訳で、もちろんシステム上の解決法は存在します。それは、絶対的な軸を採用すること。時刻で言えば、UTC(協定世界時)を採用することです。もともと米国の場合は一つの国の中で時差があり、LAの午後5時は、NYの午後7時より遅い、つまりローカルタイムを時刻の比較には使えません。ですから、システムの内部的にはUTCという絶対的な時間で管理するようになっています。つまりLAの午後5時(サマータイム)はUTCで翌日の午前0時、NY(サマータイム)の午後7時はUTCで午後11時、ですからUTC同士で比較すれば、LAの午後5時はNYの午後7時より遅いと正しく順番を判定することができます。

ちなみにほとんどのコンピュータの時刻は既にUTCベースになっています。具体的には、内部的にはUTCで管理しており、それを表示する際にローカルタイムに合わせるようになっています(厳密にはUTCそのものではなく、UTCに変換できるシステム時刻で管理しています)。ですから、日本でサマータイムを導入しても、突然PCの動作がおかしくなるということはありません。問題はアプリケーションで、アプリケーションのロジックの中で、ローカルタイムベースでの管理・比較するケースが存在します。

これはある意味元号と西暦の関係に似ています。元号では、昭和30年と平成30年で「30年」が被ってしまいますから、年だけでの前後関係の比較はできません。それが西暦であれば1955年と2018年と前後関係の比較が可能になります。年に関しても、かつては元号で管理しているアプリケーションも存在していましたが、平成になった際に問題が認識され、既に西暦による管理が当然になっています。だからこそ、この先予定される改元は、そこまでの大ごとにはならないのです(以前お話ししたように、出力という観点では改修が必要になりますが、システムの根幹部分にまでは手を入れずに済むようになっています)。

現実問題として、東京オリンピックまでにありとあらゆるアプリケーションをUTCベースの管理にする(既にUTCベースになっているとしても、検証は必要です)というのは不可能でしょう。ですから、残念ながら東京オリンピックに向けてサマータイムを導入するというのは現実的とは思えません。
posted by 岡本浩一郎 at 17:29 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年08月22日

キャッシュレス in the US

先週は夏休みで米国にいましたが、昨今キャッシュレスの話に関わっていることもあり、キャッシュレス化の状況について観察してきました(命の洗濯と言いつつ、仕事も忘れないのは好きだからでしょうか)。以前もご紹介したキャッシュレス・ビジョンによると、2015年時点での米国のキャッシュレス決済比率は45.0%。これはキャッシュレス化の先頭集団とまでは言えなくとも、同時点で18.4%の日本とは大きな差があります。

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(イメージ画像、笑)

今回の観察結果ですが、残念ながら(?)意外にまだまだ現金は活躍しているな、ということ。むろん、日本に比べるとクレジットカード/デビットカードで支払う人が圧倒的に多いのですが、それでも、観察していると、意外に現金で支払っている人もいることがわかります。傾向としてはやはりお歳を召した方が多いように思いますし、また日本と米国で異なる事情としてクレジットカードを作れない人が多いという背景もあるのかもしれません。

夏休みということで日本人の観光客も多かったのですが、やはり(?)現金で支払っている人が多い印象でした。日本でも現金で払っているので、海外でもそのまま現金で、ということでしょうか。私は日本では一定額以上はクレジットカード、それ以下は現金派ですが、海外では可能な限りクレジットカードです。その理由の一つは小銭の扱いが不要になること。日本円は慣れ親しんでいますから、どれが何円というのはパッと分かりますが、米ドルに関しては(2年間住んだ私でも)エーっと、どれが10セント(Dime)だっけと少し考えてしまいます。米ドルもそうですが、海外では25セント(Quarter)など日本と違う単位の硬貨があることも一因でしょうね。クレジットカードでは小銭の扱いが一切不要になりますから、その点ラクです。今回も日本から持参した数十セントの硬貨は結局使わずじまいでした。

一方で、米国の場合は現金がないと困るシーンも確実に存在します。それはチップ。荷物を運んでもらったり、クルマを出してもらったり、部屋を掃除してもらったり(ちなみに、一番チップの金額が大きいのはレストランでの支払い時ですが、これは飲食代と合わせてクレジットカードで支払うことができます)。クレジットカードがありますから$100札はいらなくても、チップのためには$1札がそれなりな枚数常時必要になります。私の場合、ホテルにチェックインする際に一定額を$1札に両替してもらうように心掛けています。

これはキャッシュレス化が進む上でどうなるんでしょうか。チップも例えばQRコードで支払えるようになるのか(ただチップはさりげなくスマートに渡すものなのに、スマートフォンでQRコードをかざすというのもどうかと思いますが)。チップ用のアプリというのも存在するようですが、あまり普及しているようには見受けられません。はたまた、キャッシュレス化の進展とともに、チップという習慣がなくなっていくのか(その分サービス料という形で一律で課金するのもありかと)。

逆に言えるのは、チップという習慣がない分、本来は日本の方がキャッシュレス化が進んでもおかしくはないということですね。短期間で世界最高レベルのキャッシュレス決済比率を目指すというのはあまり現実感はありませんが、米国レベルであれば十分可能なのではないかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 17:43 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年08月20日

命の洗濯

先週はお盆ということで、私もお休みを頂戴しておりました。経営者たるもの、24時間/365日常に戦闘態勢という意識もあって、これまでこのブログではあまり休暇のことを書いてきませんでした。しかし実はしっかりと、人並(以上?)にお休みはとっています。

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私のスケジュール表には毎年夏に「命の洗濯」という予定が組まれています。仕事自体はやりがいがあっても、やはり日々、命をすり減らしている感覚があります(正確には、命を削っているという悲壮な感覚ではなくて、表面が摩耗していくぐらいの感覚です)。仕事を楽しんで続けるためにも、定期的な心身のメンテナンスが必要、だからこその「命の洗濯」という訳です。

もう一つ、自分がいないと回らないようでは、組織として脆弱。むしろいなくても回る組織にしなければならないという理由もあります。弥生に関しては、もうそれなりにしっかりとした組織ですから、二人の社内取締役を中心に安心して任せることができています(むしろ最近は私の存在感が霞んでいるような、笑)。アルトアに関しては、まだまだこれからな部分も多いのですが、日常のオペレーションに関しては、全く問題はありません。

経営者と言えども人間である以上、現実的には24時間/365日常に戦闘態勢という訳にはいきません。だからこそ、計画的にしっかりと休む必要があると考えています。夏の「命の洗濯」は一年前には日程が確定していますし、娘の学校のスケジュールにあわせて(代休の時には自分も休めるよう)やはりほぼ一年前から一日単位のお休みも計画済みです。

そういった意味で自慢できるとすると、計画外のお休みが少ないことでしょうか。計画内のお休みは実は人並以上にとっていますが、計画外のお休みはゼロとは言いませんが、かなり少ない方かと思います。

命の洗濯を終えた今日は、気分がすっきり。溜まっていた仕事を片付けるのも苦になりません。問題はこのすっきり感が長くは続かないことでしょうか。でもこの先の秋から冬にかけてのミニ版の命の洗濯も諸々計画済みですから、安心して仕事に邁進したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 17:29 | TrackBack(0) | 弥生

2018年08月10日

中年起業家

私がアルトアを起業したのが、昨年の2月のこと。あれ、アルトアって弥生の子会社なんじゃないの? 確かにそうなのですが、私が構想し、自ら立ち上げた、そして私自身も少なからぬ出資をしていることもあり、私が起業した会社だと思っています(そういった意味では、グループ内起業と言えるのかもしれません)。

私はかつて自分の経営コンサルティング会社を起業していますが、当時は31歳。若手と言っても怒られることはないでしょう。2回目となる今回は、48歳。もはや若手とは言えず、いわば中年起業家。一方で、昨今では若い方による起業が多く、気後れしないといえば嘘になります(笑)。むろん、数年前までは日本は起業する人が少ないと言われていた中で、これだけ若手によるベンチャーが増えてきたのは素晴らしいことだと思います(ただ、いわゆるITベンチャーは盛り上がっている一方で、日本全体としての開業率はまだ高いとは言えないのが実態です)。

中年起業家のメリットは、やはりこれまでの経験かと思います。酸いも甘いも、苦しいも楽しいも経験してきていること。ちょっとやそっとのことでは挫けません。また、ITや金融やコンサルという業界での経験も活かされています。これも経験の一部とも言えると思いますが、これまでに培ってきた人脈もやはり大きな武器となります。

一方で、これはデメリットだな、と感じるのは、周りの人を誘いにくいこと。ベンチャーがチームを作る上で、まずは友人・知人・同期からというのはよくあるパターンだと思いますが、中年起業家の場合、友人・知人・同期も自然と中年が多くなります。皆それぞれのキャリアを(さらに言えば家庭も)築いていますから、くすぶっていないで、一緒に夢を追いかけようとはなかなか言い難いものがあります。

そんな中で最近勇気付けられたのが、"Middle-aged entrepreneurs are more successful than young ones. Here's why"(「中年起業家は若手起業家より成功しやすい、その理由」)という記事。National Bureau of Economic Research(全米経済研究所)という民間の研究機関が行った研究がもとになっているようですが、若い方が起業で成功しやすいという一般的な見方に反し、統計的な分析では、むしろ成功確率が高いのは中年である、とのこと。あくまでアメリカでのデータですが、トップ0.1%に入る成長を遂げているベンチャーの創業者の平均年齢は45.0歳なのだそうです。

起業家が成功する確率までは、25歳までは低いものの、25歳を超えると上昇し、25歳から35歳まではほぼ同じレベル。35歳を超えると、成功確率はグンと上がり、46歳でさらに上昇し、以降は60歳まで安定的に推移するそうです。年齢とともに成功確率が上昇する要因については、やはり経験、特に業界経験が寄与しているとしています。

あくまでも米国における調査結果なので、それが日本にどこまであてはまるのかはわかりません。また、実際には業界によっても傾向は変わるのではないかと思います(ITのように流れの早い業界では若さが有利に働くでしょう)。それでも、多少年をとったからといって、引け目を感じたり、あきらめる必要はないと言えるのではないでしょうか。

少なくとも、この研究結果を基にする限り、私はバッチリ。それぐらいの能天気な楽観主義でこの先も2回目の起業を楽しみたいと思っています(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 16:20 | TrackBack(0) | 弥生

2018年08月08日

流行りと流れ

夏の巡業(カンファレンス/研修キャラバン/個別訪問)で多くの会計事務所の方とお話しする中で印象的だったのが、「クラウド」というキーワードが数年前ほど出てこなかったこと。数年前は、業界をあげてクラウド・ブーム。今すぐにクラウドに取り組まないと、淘汰される、あるいはそこまでいかなくても、出遅れるといった雰囲気がありました。今から振り返ると、ブーム(流行り)でしたし、弥生自身も含めて、結構煽られていたように思います。

誤解のないように補足すると、クラウドというキーワードがそれほど出てこなくなった = クラウドが使われない、ということではありません。むしろ効果がはっきりしたところでは、クラウドは定着したと言えます。

当たり前の話ですが、クラウドは手段であって、目的ではありません。ですから、手段として効果が生みやすい部分ではクラウドが定着し、逆に効果を生みにくい部分ではクラウドでなくてもいいよね、という冷静な判断がされるようになったということかと思います。わかりやすいところでは、会計事務所自身が使う会計ソフトとしては、操作性の観点からクラウドは適さず、使い慣れた弥生会計 AE(会計事務所向けのデスクトップ版弥生会計)という判断が当たり前のようにされるようになりました。

一方で、だからクラウドを使わないということではなく、デスクトップ版弥生会計をご利用の顧問先とは、弥生が提供するクラウドストレージ、弥生ドライブを利用してデータを共有することがごくごく一般的になってきました。また、顧問先がクラウド版弥生会計(弥生会計 オンライン)を利用されている場合には、弥生会計 AEとのデータ共有機能を活用するということがやはり当たり前になってきました。

普及率としてはまだまだこれからですが、これもクラウドならではの機能である自動仕訳(スマート取引取込)も、デスクトップ版弥生会計でも、もちろん弥生会計 オンラインでも普通に使われるようになってきました。

クラウドがあまりキーワードにならない中で、逆にホットなトピックになっていたのが、「人手不足」。人手不足に関しては、東京や大阪では数年前からそれなりに話題になっていましたが、当時は少し地方に行けば、いや、あまり人手不足と感じることはない、とかなり温度差がありました。それに対して、今年は、どこに行っても、どなたとお話ししても、必ず話題になるのが人手不足。

やっかいなのが、人手不足は、残念ながら「流行り」ではなく、避けることのできない「流れ」だということ。みずほ総研の調査レポート(pdf)によれば、2016年時点で日本の労働力人口は6,648万人。この数は年々着実に減少し、約15年後となる2030年には6,000万人を切る(5,880万人)と予測されています。さらにその15年後の2045年には5,000万人を切り(4,942万人)、その15年後の2060年には4,000万人に近付く(4,157万人)とされています。

労働力が着実に減少していくこれからの時代においては、労働力を無駄にはできません。機械ができることは機械に任せ、人間だからできることに注力していかない限り、社会が成立しなくなります。だからこそ、会計業務においても、3.0の世界、自動化の世界に進化せざるを得ない。それは必然の「流れ」です。将来を考える上で向き合うべきは、クラウドという「流行り」ではなく、人口の動態という「流れ」。その事実に多くの会計事務所が気が付き始めています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:56 | TrackBack(0) | 弥生

2018年08月06日

STORY 07~10

昨年に弥生シリーズ 30周年を記念した特別サイトを公開しましたが、その後も地道にコンテンツを更新しています。公開からもうそろそろ一年経つことになり、さすがに30周年という看板を降ろさないといけないかもしれません(笑、厳密には、初めて「弥生」の名前を冠した製品を発売したのが、1987年10月ですから、今年の9月? 10月?までは何とか30周年という看板もありかと)。弥生のウェブサイトをよく観察している人にはわかるかもしれませんが、実はこの特別サイトのアドレス(URL)がひっそりと変わっています。これは30周年が終わっても、このコンテンツは残そうという布石なのでしょうか(笑)。

私としても、特にこれはキチンと残したい、できれば今後も継続したいと個人的に思っているのが、YAYOI USER'S CHALLENGE STORY。事業を立上げ/引き継ぎ、独自の製品やサービスを生み出そうとチャレンジしつづける人のストーリーです。

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以前ご紹介したタイミングから、4つのCHALLENGE STORYが追加され、現在は、合計10本のストーリーとなっています。一つ一つが読み応えがありますし、事実ならではのチャレンジ満載のストーリーには本当にワクワクとさせられます。

前回以降追加したのは、株式会社ビッグバイオ 代表取締役 阪本惠子さんの「小さな微生物で世界は大きく変えられる」、株式会社 幸呼来(さっこら)Japan 代表取締役 石頭 悦さんの「東北の伝統工芸『裂き織』に、いろんな夢を織り込む」、株式会社 鯖や 代表取締役 右田 孝宣さんの「鯖に光をあて、日本のビジネスの常識を変える」、株式会社グランキュイジーヌ 取締役会長 竹田 敬介さんの「まだ誰も作ったことのないラーメンを、生み出していく」の4つのストーリー。

微生物というまったく知見のない領域で、コツコツと研究を続け、専門家の「ありえない」を覆した阪本さん。地元に埋もれていた「裂き織」という伝統文化を再発見し、障がいを持たれている人の力を得て、日本だけでなく、世界に発信する石頭さん。魚嫌いだったのに、紆余曲折を経て、「こんな真っ直ぐな情熱を持った企業は、絶対潰すわけにはいかない」と言われるまでに鯖への熱い思いを抱くようになった右田さん、松下幸之助さんの「失敗は失敗のままでやめるから失敗になる。成功するまでやり続ければ、それは失敗ではなくなる」の言葉通り、失敗にめげることなく挑戦を続けてきた竹田さん。

経営者が10人いれば、想いや情熱という共通点はありつつも、10通りのCHALLENGE STORYがあるのだということを実感します。自社コンテンツなので、ひいき目で見ているのでしょうが、書籍化してより多くの方に見て頂くべきコンテンツだと思いますが、どうでしょう > 担当チームの皆さん。
posted by 岡本浩一郎 at 19:09 | TrackBack(0) | 弥生

2018年08月03日

夏の巡業、一段落

7月は巡業ということで、名古屋、広島、福岡のPAPカンファレンスに参加(東京/大阪は6月に開催済み)しました。また、全国16会場で開催している研修キャラバンにも何回か参加。意図したわけではないのですが、北は札幌、南は鹿児島となり、まさに日本縦断の旅となりました。この他、金沢にも行きましたが、全国どこに行っても暑い! 札幌は東京よりは気温は低かった(30度ぐらい)のですが、札幌に期待する「あー快適」とまではならず(夕方以降はさすがに涼しかったですが)。

一方で、本ブログでもお話ししたように広島では歴史的な豪雨をわが身をもって体験し、命からがら(誇張なし)脱出することになったり、週末だったので出張に影響はありませんでしたが、台風がこれまでに見たことのないコースで日本を横断(しかも私の心のふるさとの湯河原の海岸に甚大な影響を与えたり)と、色々な意味で記憶に残る7月でした。

この暑さもあり、体力的には正直かなり厳しかったのは事実で、道中では「無茶なスケジュールを組み過ぎた」と少々後悔モードでした。それでも何とか体調を崩すこともなく、事故にあうこともなく巡業を乗り切ることができました。何よりも、PAPカンファレンス、研修キャラバン、さらにその前後での会計事務所の個別訪問と、実に多くの会計事務所の皆さまとお話しできたことが大きな収穫となりました。

会計業務は今、2.0の世界(半自動化の世界)から、3.0の世界(自動化の世界)への大きな変革期の入り口に立っていると考えています。だからこそ、多くの会計事務所の方とお話しし、弥生が見ている世界をお伝えすると同時に、お客さま(事業者)と直接接している会計事務所の皆さまからのフィードバックを頂くことがとても重要だと考えています。

実際に様々な会計事務所の方とお話しする中で、3.0の世界に歩みだしている会計事務所が着実に増えてきていることを実感します。一方で、3.0の世界はまだ入口であり、現実問題として、メリットを出しやすいケースと出しにくいケースが存在するのも事実です。どういったケースでメリットを出しやすく、業務として定着しやすいのか、逆にどんなケースではまだ課題があるのか、フィードバックを頂くことで、弥生としての今後の製品/サービス開発の方向性のヒントを頂くことができています。

今日は大阪での研修キャラバン開催。長かった夏巡業もこれで一段落です。もっとも8月の後半には広島でのキャラバンにも参加を予定していますし、もちろんその先も、会計事務所の皆さまとのコミュニケーションの機会を積極的に作っていきたいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:01 | TrackBack(0) | 弥生

2018年08月01日

代表者保証

アルトアの特長の一つが、融資に際し、保証人や担保が不要であること。アルトアの立上げに際しては、弥生としてお客さまである小規模事業者の融資に関するニーズの調査を行っていますが、機動的に融資を活用する上で、保証や担保を求められることが大きなネックとなっていることは明らかでした。

保証というのは、融資を受けたAさんが返済できない場合に、保証人であるBさんがかわりに返済を求められるという仕組み。法人に対する融資の場合には、法人の代表者(一般的には社長)が保証をする、つまり法人が返済できない場合には、代表者個人が返済を求められることが一般的です。ただ、万が一返済できなかった場合、個人の人生にも大きな影響を与えうることから、そもそも融資を受けることをためらう原因にもなっています。同時に、貸し手である金融機関が、法人としての返済能力をキチンと見極めなくても済んでしまう、下手をすれば、法人がダメでも個人として返してもらえばいいから、といういわばモラルハザードを起こしかねない危険性があります。

そういった観点から、約5年前に「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、金融機関は融資に当たって、経営者保証に安直に頼らないことが求められるようになっています。具体的には、1)法人と経営者との関係の明確な区分・分離、2)財務基盤の強化、3)財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保といった一定の条件の下で、金融機関は経営者保証を求めない融資を行う努力が求められています。

このガイドラインには強制力はありませんが、金融庁は、担保・保証に過度に依存しない融資の促進の取組みの一つとして、ガイドラインが融資慣行として浸透・定着するよう、金融機関に対してガイドラインの活用を促してきています。その活動の一環として、6月末には、民間金融機関におけるガイドラインの活用実績を取りまとめ公表しています。この発表資料によると、平成29年度の民間金融機関による新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合は16.3%。前年度の14.3%よりは改善していますが、まだまだ低い割合です。

確かに、保証があるからこそ融資ができる(保証なしではリスクが高すぎる)というケースがあるのも事実ですし、また、保証がなければ今度は借り手側のモラルハザード(法人を潰してしまえば、それ以上追いかけられることはない)を起こす危険性も否定はできません。そういった観点では、アルトアとしても、あくまでもオプションとして、保証を活用することも否定しません。例えば、代表者保証があるのであれば、貸し手としてリスクを低減できる分、より低い金利で融資するなど。

ただ、それはあくまでもオプション。アルトアの強みは、先週末日経新聞にご紹介頂いたように、データとそれを分析するためのAI技術。チャレンジであることは事実ですが、安直に保証や担保に頼るのではなく、データ×AI技術によって、お客さまの信用力を見極める力を磨いていきたいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 22:11 | TrackBack(0) | アルトア