2018年12月28日

こちらも登録完了!

昨年の半ばに、アルトア(当時はALT)が貸金業者としての登録が完了したとお話ししましたが、先日12月20日に、今度は弥生の登録が完了しました。もっとも貸金業者ではなく、電子決済等代行業者として。

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電子決済等代行業者というと耳慣れませんが、今年改正された銀行法で新たに生まれたもの(解説PDF)です。簡単に言えば、お客さまのために、銀行と連携してサービスを提供する事業者です。例えば、預金口座の利用履歴等の情報を銀行から取得し自動的に帳簿を作成するサービスや、複数の振込先への銀行振込の依頼をワンクリックで行うことができるサービスを提供する事業者がこれに該当します。

前者は銀行の口座情報を参照してお客さまに提供するので、口座情報サービス提供者(AISP, Account Information Service Provider)、後者はお客さまにかわって銀行に資金移動などの指示を行うため、決済指図伝達サービス提供者(Payment Initiation Service Provider)という言い方をします。

これらのサービスはこれまでも存在していました。実際弥生は、10年以上前から、銀行の明細を取込み、仕訳を生成する機能を提供してきました(当時はMoneyLook for 弥生というツールを使用、現在はスマート取引取込機能によって)。こういった、いわゆるFinTechサービスがより一般的になっていく中で、より多くの方が安心してサービスを利用できるように、銀行法で電子決済等代行業者としての定義がなされ、なおかつ、財務局への登録を要することになりました。あくまでも登録ではありますが、実質的には審査に近い細かいやり取りがあり、ようやくこの度の登録となった訳です。

時を同じくして、過去一年以上に渡って銀行と議論してきた成果が、「銀行法に基づくAPI利用契約の条文例(初版)」として公開されました。電子決済等代行業者がAPIを通じて銀行と連携し、サービスを提供するためには、銀行とAPI利用契約の締結することが必要とされます。これはそれぞれの銀行と締結するものなのですが、下手をすると、銀行の数だけ交渉が必要になり、バラバラな契約を結ぶことになります。それでは社会的コストが高すぎるということで、可能な範囲でAPI利用契約の標準化を図ったものです。

標準化というのは、言うは易しく(総論では誰も反対しません)、行うは難い(各論ではそれぞれの思惑が顕在化しがち)。ということで、相当な時間はかかったのですが、完成形とは言えないまでも、議論の出発点として活用できる条文例にはできたのではないかと感じています。

晴れて電子決済等代行業者としての登録も済み、APIの利用を進めるための契約条文例も整いました。来年は、より多くの銀行との連携を進め、より安全かつ利便性の高いサービスを提供していきたいと思っています。

2018年も大変お世話になりました。皆さま、良いお年をお迎えください。
posted by 岡本浩一郎 at 16:34 | TrackBack(0) | 弥生

2018年12月25日

一年間の実績

先日、アルトアが個人事業主向けの融資を開始したとお話ししました。「サービス拡充記者発表会」としてメディアの記者向けに発表を行ったのですが、その際には、市場であり、アルトア自身の現況についてできるだけ客観的にご理解いただきたいとの想いから、開業から一年を経た実績についてかなり赤裸々にお話ししました。

お申込みの傾向など、様々な情報をお話ししたのですが、一番わかりやすいのは、融資の実行件数と金額。昨年12月7日に融資を開始し、ちょうど一年を経た今年12月6日時点で、融資の実行件数は257件、そして累積での実行金額が4億6百万円。

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グラフを見て頂ければ一目瞭然ですが、特にテスト期間を経て本格的な融資モードに入った今年5月以降、着実に融資の件数/金額が伸びています。グラフは累積なので、右肩上がりになるのは当然(騙されちゃダメですよ)。注目いただきたいのは、伸びの角度が上がっていっていることですね。

もっとも、アルトアとして満足できる結果かというと、率直に言ってまだまだ。営業開始前に立てていた事業計画と比較すると、ざっくり半分の進捗といったところです。もっともっと結果を出さなければならない。ただそれでも、このビジネスは成功すると思えるのは、一つにはスピードはまだまだでも、着実に伸びてきているという事実。そしてもう一つは、お客さまの声。以前も本ブログでお話ししましたが、融資というお客さま事例を公開しにくいビジネスでありながら、その後も多くのお客さまに事例としてご協力いただいています。それもやはりアルトアのサービスに対する満足度が極めて高いから、そしてこんないいサービスはもっと世の中で広がるべきだ、と言っていただけるから。

今年ももう間もなく終わり。年内に融資を実行するとなると、郵送での本人確認が必要となる関係上、明日の午前中ぐらいがお申込みの(ぎりぎり)タイムリミットかと思います。年越しの資金でお悩みの事業者の皆さま(法人も、そして個人事業主も)には是非ご活用いただきたいと思います。

なお、また改めてお話ししたいと思いますが、本人確認に関する法令が見直されたため、来年の春を目処に本人確認手続きをリアルタイムで完了できるように、結果として初回でも即日の融資が可能になる予定です。好評いただいているアルトアならではの利便性ですが、まだまだできることはあると思っています。利便性に磨きをかけ、来年はいよいよ飛躍の一年にしたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:11 | TrackBack(0) | アルトア

2018年12月20日

準備は始めていますか?

いよいよ年末が近付いてきました。今日は、毎月開催している弥生の取締役会。今期が始まってまもなく3ヶ月になりますが、今のところまずまずの滑り出し。そのため、あまり込み入った議論もなく、あっさりと終了しました。取締役会が終わったら福岡に移動。今日/明日と福岡/広島ですが、これで忘年会も一段落(もちろん仕事もしっかりしますよ)。

今年の秋は、例年開催の社員総会、製品発表会PAPカンファレンスに加えて、海外出張アルトアの新サービス開始とかなり慌ただしく、気がついたら12月。そして気が付いたら12月も下旬。まだ来週一週間ありますが、世間的にもだいぶ落ち着いてくると思いますし、弥生も、有休取得推奨週間ですので、一気に年末モードかと思います。もっとも、お問合せに対応しているカスタマーセンターは最後まで臨戦態勢ですし、アルトアも年末の資金需要にお応えするため、やはり最後まで臨戦態勢です。

私自身は来週はややペースを落として、諸々片付けつつ、来年に向けた仕込みに充てたいと思っています。私は少しバタバタすると書類を積み上げてしまう癖があるのですが、今や、いつ崩れるのかと皆に心配されるほど書類が積み上がっています(もちろん大事なものはちゃんと処理していますので、積み上がっているのは後で読もう的な書類です、笑)。これらの書類の山崩しをしつつ、来年やるべきことの優先順位付けは済ませてしまおうと目論んでいます。

来年は、弥生の歴史に残る一年になるだろうと思っています。春には改元、そして秋には消費税率の引上げと同時に軽減税率の導入。今日プレスリリースを行いましたが、事業者の皆さんの軽減税率への準備はまだまだこれから。弥生の調査では、軽減税率に向けた対応を進めている事業者の方は3%に過ぎません。残りの方は、まだこれからですし、そもそも何をしてよいかわからないという方も多くいらっしゃるのが現状です。

そういった中で、弥生が事業者の皆さまをしっかり支えることができるよう、早め早めで準備を進めていきたいと思います。そして弥生が早め早めに備えるためには、リーダーである私自身が早めに備えないと。ビジネスが少しスローダウンするこの時期に、しっかりとこれからに向けた準備をしておきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:29 | TrackBack(0) | 弥生

2018年12月18日

PayPay祭り

既に終わってしまったので、ややタイミングを逸した気がしますが、私もPayPay祭りに参戦しました。11月の終わり頃に20%還元、総額で100億円を還元という太っ腹なキャンペーンを知り、これは利用せねばと、キャンペーン開始前の週末にアプリをインストール。キャンペーン開始(12月4日)を待ちわびていました。

弥生の本社は秋葉原ですから、家電量販店は選びたい放題ですが、オフィスのすぐ隣にはビックカメラがあります。朝から行きたいのをぐっと我慢して、仕事が終わったところでビックカメラに。フロアによっては、だいぶ長い行列ができていました。私が目指したフロアの行列はそこまで長くはなくて一安心。お目当てのものを見つけて、早速レジに並びます。待つことしばしでようやくお会計。

結構ドキドキしながらPayPayアプリを立ち上げて、お店のバーコードを読み込み。ただ…何回もタイムアウト…。当日のお昼も取引が集中し、サービスが中断したようですが、夜になってもサービス中断とはいかないまでも、パフォーマンスが劣化していたようです。そうこうしているうちに、レジに並ぶ人も増え、背中に刺さる視線に耐え切れなくなってきたところで、ようやく支払処理を済ませることができました。その場で20%還元も確認できて、ホクホクです。ちなみに週後半には、ファミリーマートでも使ってみましたが、この時はサクッと支払い完了。昼夜を問わず突貫で取引処理能力を引き上げたのかもしれませんね。

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100億円というと一般的には巨額ですが、何十万?/何百万?の人が還元を受ければ、あっという間だろうなと思っていました。個人的には、週末の12月9日ぐらいには終わるかなと思っていましたが、実際には、12月13日で終了。「皆様に予想を上回るご愛顧をいただきまして」とのこと。

もっとも問題は、キャンペーン終了後も利用が続くかどうか。実際問題私は、キャンペーン終了後一回も使っていません(スミマセン…)。使ってみての感想としては、うーん、これだったら操作もいらないSuicaの方がいいな、というのが正直な感想。ただ、Suicaの場合、お店側の対応コストが重く、だから使えるところが限られる訳で、PayPayのようなQRコード決済の場合、どこまで利用できるところを増やせるかが鍵を握るような気がします。

そういった意味で、今回のキャンペーンで一つ工夫されていると感じるのは、20%の還元が行われるのが、即時ではなく、翌月の10日(前後)ということ。私は今回、総額で14,000円ぐらいの還元を受けたのですが、これが使えるのは実際にポイントが付与される来年1月以降。即時還元であればその20%ですぐにもう一度買い物をすることによって、実質的な還元を増やせてしまうという課題を避けたかったというのもあるのだと思いますが、一定期間に渡って繰り返し利用してもらう、結果的に利用を定着化させることを狙っているのかな、と思います。

それにしても、10日間で100億円を還元となると、取引額では(抽選で全額キャッシュバックになった人も考慮すると)400億円ぐらいにはなったのでしょうから、日本のキャッシュレス市場においては、歴史的な出来事と言っていいかと思います。さすがソフトバンクですね。
posted by 岡本浩一郎 at 19:34 | TrackBack(0) | ビジネス

2018年12月13日

アルトアのサービスを個人事業主の皆さまにも

年末調整に関するお話しを続けてきたため、ご報告が遅くなってしまいましたが、今週月曜日に、アルトアのサービス拡充記者発表会を開催しました。

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アルトアがサービスを開始したのが昨年の12月7日。約1年が経過したことになります。サービス開始よりこれまで、アルトアの融資は法人のお客さまのみを対象としていました。個人事業主向けサービスはないの、というお問合せもいただいていましたが、このたび12/10(月)より、個人事業主向けの融資を開始しました。

サービス開始から1年という節目でもあり、記者発表会ではこれまでの実績などについてもお話しさせて頂きました。詳細は本ブログでも追ってお話ししたいと思いますが、ざっくりと言えば、これまでの実績は事業計画の半分程度。正直まだまだです。一方で、ニーズは確実に存在し、着実に前進しているという実感も持っています。

まだまだ先は長いですが、個人事業主の方にも融資を行えるようになったことは将来に向かっての大きな一歩だと思っています。年末は、資金繰りがなかなか厳しくなる時期。事業を拡大させるための武器として、法人のお客さまにも、個人事業主のお客さまにも是非ご活用いただきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 19:26 | TrackBack(0) | アルトア

2018年12月10日

見積額と実績額で異なった場合

今年の年末調整は申告書が大きく変わったということで、先月末から解説を続けてきました。さすがに、そろそろ一区切りとしたいところです。

前回は、所得の見積額を記載しなければいけない、一方で、あくまでも見積りである以上、実際の額とは差が出る可能性があるとお話ししました。ただ、差が出たとしても、税金の額(正確に言えば、年末調整の結果、還付/追徴になる金額)に差が出なければ何ら問題ありません。前回お話ししたように、配偶者控除や配偶者特別控除に影響があるのは、本人の所得が900万円〜1,000万円にかかる場合。ですから、例えば、本人の所得の見積額が500万円だったのに対し、実際には賞与や12月支給の残業代が上振れた結果525万円だったとしても、特段何もする必要はありません。

もちろん、影響が出るケースもあります。例えば見積額が900万円ちょうどだったのが、実際には901万円だったというケース。この場合にはマル配でお話しした区分Iの判定結果が(A)から(B)に変わってしまいますので、(配偶者の所得が38万円以下だと仮定して)配偶者控除の額が38万円から26万円に減額となります。この際の所得税実効税率が23%だとすると、所得はわずか1万円の差ですが、税額は2.8万円ほど増えることになります。

では、実際に見積と実際に差が出てしまい、なおかつ、税額にも影響が出てしまうケースは、その差額をどのように処理すればいいのでしょうか。リカバリー方法は三段階あります。

1) 年末調整業務の中でチェックされ、修正されるケース
例えば、上記の例のように、本人の所得の見積額が900万円だったものの、12月給与を計算したところ実際は901万円になり、結果的に税額に差が出ているケース。この場合は、事業者(会社)が12月給与を計算し、その上で年末調整業務を行った際に、矛盾として検知されます。弥生給与(やよいの給与計算)の場合、この矛盾が発生している従業員の記録に「本人の給与所得の見積額と実績額の乖離により控除額が異なります」という赤いふせんがシステム的に付与されます。弥生給与では、通年の給与/賞与の実額を管理していますから、見積りとの矛盾を検知できるということです。仮に赤いふせんが貼られた場合は、実際の額(実績額)を確認し、必要に応じ、見積額を実績額に置き換えます。

2) 再年調を行うケース
本人の所得の場合は、上記のように弥生給与で実績額を把握できますので、年末調整業務の中でチェックすることが可能です。一方で、配偶者の所得に関しては、完全に自己申告ですので、チェックすることはできません。しかし例えば、配偶者の所得が85万円以下と申告したものの、実際には12月の勤務が予想より多く、85万円を超えた場合には、配偶者特別控除が減額となりますので、税額に影響が出ます。この場合には、配偶者の源泉徴収票を確認した上で、従業員から事業者(会社)に配偶者の所得の見積額に差が発生した旨を報告する必要があります。事業者はこの報告があった場合、1月末までであれば、当該従業員について、再度年末調整(再年調と言います)を行うことができます。この中で、見積額ではなく、実績額を用いることによって、正しい金額に修正されることになります。

3) 確定申告を行うケース
最後の手段として、従業員本人が確定申告を行うという方法があります。再年調が間に合わなかった、あるいはそもそも行わなかったという場合でも、実績額で確定申告すれば、正しい税額が算出され、必要に応じ追加で納税をする、もしくは、還付を受けることになります。確定申告というと面倒臭い、と思われるかもしれませんが、そもそも年末調整で完結しうる方の場合は、確定申告の内容も単純なので、申告がそこまで負担になることはないはずです(逆に言えば、確定申告が複雑になる方は、そもそも年末調整で完結せず、いずれにせよ確定申告をしなければいけない方ということです)。

ということで、仮に見積額と実績額に差が出て、結果として税額に影響がある場合でも、三重のリカバリー方法が存在しますので、見積額の算出にそこまで神経質になる必要はありません。一方で、どのリカバリー方法にせよ、一定の手間にはなりますから、税額に影響が出うる、具体的に言えば、本人の所得が900万円〜1,000万円の近辺のゾーンの方(給与収入で言えば、1,120万円から1,220万円近辺の方)、かつ、配偶者の所得が38万円〜123万円の方(給与収入で言えば103万円〜201.6万円)については、やはり可能な範囲で正確な見積りが望ましいかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 17:25 | TrackBack(0) | 業務

2018年12月07日

所得の見積額

前回まで、年末調整で必要となる3つの申告書についてざっと解説してきました。これまでお話ししてきたように、年末調整に必要な申告書が今年から大幅に複雑になりました。本ブログでの解説、また、弥生マルシェでの解説記事などを参考にして何とか乗り越えていただきたいと思っています。

ただ、無事に乗り越えるためには、一つのハードルをクリアする必要があります。それは、申告書上に記載が必要とされているのは、所得の額そのものではなく、「所得の見積額」であるということ。

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冷静に考えれば当たり前で、年末調整業務は一般的に12月の賞与や給与の計算業務と同時に進めることが多く、その前段となる従業員による申告書の記入は11月から12月中旬で行われます。つまり、今年の給与/賞与の支払いが終わっていないので、確定した所得額を記入することができません。その代わり、見積額を記入してね、ということです。

それでは、見積額とはどの程度正確な見積りを要求されているのでしょうか。1円単位まであっていないとダメ? でもそこまでの精度を求めるのであれば、そもそも見積りではないですよね。見積りは、あくまでも可能な範囲で、ということになるかと思います。

ここから先は、弥生としての公式見解ではなく、私個人の見解ということでお願いしたいのですが(そもそも本ブログ自体がそういう位置づけですが、苦笑)、いくつかの選択肢があるかと思います。

1) 支給済みの実績 + これから支給分の見積り
可能な範囲でのベストな見積りとしてはこのやり方になるのかと思います。11月までの給与は支給済み、12月の給与と賞与はまだということであれば、11月までの実績の金額に、12月の給与/賞与の見込額を足すことになります。とはいえ、12月の給与を残業代等も含め正確に見積ることは難しいでしょうから、完璧ということはなく、あくまでも可能な範囲で、ということになります。

2) 前年比で計算
これからの支給分の見積りが難しいということであれば、例えば昨年の11月までの実績と、今年の11月までの実績を比較して比率を計算し、それを昨年の通年実績にかけるという方法もあるかと思います。例えば、昨年11月までの実績が400万円、昨年通期での実績が500万円、そして今年11月までの実績が420万円であれば、
前年比 = 420万円 ÷ 400万円 = 1.05
今年の見積額 = 前年通年実績 × 前年比 = 500万円 × 1.05 = 525万円
となります。

3) 世間相場の前年比で計算
自分自身の前年比を計算しなくても、例えば、今年の世間的な賃上げ実績を前年比として採用するというやり方もあるかと思います。例えば、中小企業での今年の平均的な賃上げ率が1.89%(経団連集計によるもの)なので、前年が500万円だとすると、500万円 × 1.0189 = 509.45万円、ざっくりで510万円、というやり方もあるでしょう。

4) 前年通り
少々乱暴ですが、前年通りというやり方もあります。これであれば、昨年の源泉徴収票を確認して、その数字を転記すれば終わり。つまり、昨年が500万円であれば、今年も500万円とするということです。もちろん、多少の変動はあるのでしょうが、前年対比で50%になることや、逆に倍になることもなかなかないでしょうから、概算見積として前年と同じというのも、悪くはないと思います。

個人的なおススメとしては、2)が合理的だと思いますが、3)や4)でもまず問題ないのではないか、と考えています(繰り返しになりますが、あくまでも個人的な見解です)。

実際問題として、(配偶者控除や配偶者特別控除という意味で)所得の額が問題になるのは、本人の所得であれば、900万円〜1,000万円にかかる場合であって、逆に所得が400万円でも、500万円でも、600万円でも変わりません。結果が変わらないのに、見積りに労力をかけてもしょうがないですよね。そういった意味では、結果が変わりうる所得900万円〜1,000万円の近辺のゾーンの方(給与収入で言えば、1,120万円から1,220万円近辺の方)は可能な範囲で正確な見積りを行った方が望ましいですが、それ以外の方に関しては、前年通り、あるいはもっと言えば、ざっくりX00万円ぐらいのレベルでも問題はないはずです。

より難しいのは、配偶者の所得です。マル配の一番下を見ていただければわかりますが、配偶者の所得が5万円変わるごとに、配偶者特別控除の額が変わりますから。ただこれも、影響があるのは、配偶者の所得が38万円〜123万円の方(給与収入で言えば103万円〜201.6万円)ですから、この近辺のゾーンの方は可能な範囲で正確な見積りを行いましょう、一方でこのゾーンからそれなりに外れている方はざっくりでok、ということになるのかと思います。

では、見積りと実際が差が出た場合はどうなるのでしょうか。見積りである以上、当然差は出るもの。ただ、差が出たとしても実際の年末調整の結果に影響が出るとは限りません。そして仮に年末調整の結果に影響が出たとしても、ちゃんと辻褄を合うようにリカバリーする方法は用意されています。ということで次回に続きます。
posted by 岡本浩一郎 at 13:46 | TrackBack(0) | 弥生

2018年12月06日

マル配

昨日は年末調整で必要となる3つの申告書のうち、マル扶とマル保についてお話ししました。今日は、残るマル配について。正式名称は「給与所得者の配偶者控除等申告書」。これまでお話しした通り、昨年までの「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の一部(後者)が独立したものです。

一部が独立したと書きましたが、これまでは、配偶者「特別」控除を計算するためのものであったのに対し、新たに配偶者控除(特別ではなく)を計算するという役割が加わっています。このため、従来は、配偶者特別控除を計算するための「配偶者特別控除申告書」だったものが、配偶者控除と配偶者特別控除の両方を計算するための「配偶者控除等申告書」(「特別」がなくなって「等」が付いたことに注目)となっています。

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この申告書では、給与所得者本人の所得と配偶者の所得を記入し、そこから配偶者控除と配偶者特別控除を算出します。実際の用紙を見ていただくと、氏名等の欄の下に4つの枠があります。一般的に言えば、上から埋めていくところですが、この申告書の場合、三つ目(合計所得金額の見積額の計算表)の枠からスタートすることをおススメします。この枠で、本人と配偶者の所得を計算し、それを一つ目の枠(本人の所得)および二つ目の枠(配偶者の所得)に転記することになります。なお、三つ目の枠では収入から所得を計算しますが、収入と所得の違いは前回お話しした通りです(簡単にいえば、「収入」は額面であり、そこから控除を差し引いて税金計算の対象となる額が「所得」となります)。

三つ目の枠で本人と配偶者の所得を計算し、それを一つ目の枠(本人の所得)および二つ目の枠(配偶者の所得)に転記したら、その結果をもとに、本人と配偶者それぞれで区分の判定を行います。本人(区分I)については、所得の額によってA〜Cの3つのいずれかに該当するかを判定します。また、配偶者(区分II)については、やはり所得の額によって@〜C(環境によっては文字化けすると思いますが、まる1からまる4)のいずれかに該当するかを判定します。

区分Iと区分IIが判明したら、四つ目の枠内の表に当てはめて、配偶者控除/配偶者特別控除の額を計算します。配偶者控除を受けられる人は配偶者特別控除は受けられませんし、その逆もまた真なので、配偶者控除もしくは配偶者特別控除のいずれかに値が埋まることになります。なお、区分IがA〜Cに該当しない(=本人の所得が1,000万円を超える(=給与の場合には収入が1,220万円超))場合、もしくは、区分IIが@〜Cに該当しない(=配偶者の所得が123万円を超える(=給与の場合には、収入が2,015,999円超))場合は、配偶者控除/配偶者特別控除ともに対象外となるため、そもそもマル配を記入する必要がありません。

なお、ここではざっとした流れをお話ししましたが、こちらの記事ではより詳細にマル配の記入方法を解説していますので、是非ご参照ください。

ここまで年末調整で必要となる3つの申告書についてざっと解説してきました。ただ、実は、申告書を記入する上で躓きがちなポイントについて触れずにお話ししてしまいました。それは、これまでの解説では、「本人の所得が900万円を超え1,000万円以下の場合」といったように書きましたが、実際の申告書上には、「所得」ではなく、「所得の見積額」と記載されていること。見積額って何? どう見積ればいいのでしょうか。

次回は所得の見積額についてお話しします。
posted by 岡本浩一郎 at 15:12 | TrackBack(0) | 業務

2018年12月05日

マル扶とマル保

前回は、今年(平成30年分)の年末調整から、必要書類(申告書)が3種類に増えたこととその理由についてお話をしました。今まさに申告書を記入している方も多いと思いますが、実際に記入する上で特に頭を悩ませるのは、新設された給与所得者の配偶者控除等申告書ではないでしょうか。

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その前に、まずは残りの二つを簡単におさらいしてみたいと思います。まず一つ目は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」。用紙の右上に〇で囲って「扶」と書かれていることから、業界(?)では、「マル扶(マルフ)」と呼ばれます。これは従来から存在した申告書で、今年もフォーマットとしては大きくは変わっていません。ただし、実は配偶者の記載方法について大きく変わっています。

まずは、前回お話ししたように、今年から配偶者控除についても本人の所得が影響するようになった関係で、結果的に配偶者控除の対象とならない可能性のある配偶者については、マル扶上に記載しないことになりました。例えば、配偶者が専業主婦(夫)で昨年までは記載していたとしても、今年は、本人の所得次第で、記載しないケースも出てくるということです。本人の所得次第と書きましたが、具体的には所得が 900 万円を超えた場合。900万円を超えると配偶者控除が減額され、1,000万円を超えると配偶者控除がなくなるため、ここでは、下限の900万円が基準になっています。

なお、所得と収入という似たような用語が両方出てくるため混乱しがちですが、税金を計算するときに使用される「所得」という表現は、基礎控除や給与所得控除などの控除を差し引いた後の金額を意味します。稼ぎという意味で一般的に使われる所得という用語は、ここでは「収入」という表現になります。収入が給与だけの場合には、給与の収入金額が 1,120 万円の場合、控除後の所得が900万円となります。つまり、本人の給与収入が1,120万円を超える場合に配偶者控除が減額される、もしくは対象とならなくなるため、マル扶上で記載しなくなります。

逆に、これまでは記載しなかったけれども、今年から記載するようになるケースも存在します。それは、本人の所得が900万円以下、かつ、配偶者の所得が一定の枠内に収まる場合です。具体的には、配偶者の所得が38万円を超え、85万円以下の場合。配偶者控除は、配偶者の所得が38万円(給与収入103万円)以下でないと受けられないのですが、今年から、この枠が「実質上」85万円(給与収入150万円)以下に拡大されました。これは配偶者控除を受けられる枠内でパートやアルバイトで働くという方が、年末が近付くと、枠を超えてしまうため、あえて働かない、結果としてただでさえ人手不足の中、年末に近付くと働き手の確保に困る事業者が増えたこと等をふまえ、実質上配偶者控除を受けられる枠を給与収入150万円まで拡大したという経緯があります。

細かくなりますが、この枠の拡大については、配偶者控除を受けられる配偶者の所得のレンジを拡大したのではなく、配偶者「特別」控除を配偶者控除と同額受けられる所得のレンジを拡大して実現しています。このため、従来はマル扶において、配偶者の記載は、配偶者控除を受けられる場合に記載する、という単純なロジックだったのですが、今年から、配偶者控除を(減額して)受けられるが記載しないケース(本人の所得が900万円を超え1,000万円以下の場合)もあれば、逆に配偶者控除は受けられないが、配偶者特別控除を同額受けられるため記載するケース(配偶者の所得が38万円を超え85万以下の場合)が出てしまい一気に複雑になりました。

もう苦笑せざるを得ない複雑さですね…(苦笑)。なお、ここでは割愛しますが、配偶者が障害者に該当する場合にはさらに複雑になりますので、注意が必要です。

もっとも、残りの二つの申告書と異なり、マル扶は実は昨年末もしくは今年頭に既に記載しているはずです。これは給与の支払いを受ける際に適切に源泉徴収を受けるために、事前に(厳密には「その年の最初に給与の支払を受ける日の前日」までに)提出することとなっているから。ただし、実務では事前に記入していないケースもままあるようです。いずれにせよ、配偶者がいらっしゃる方については、記載内容が変わる可能性があるため、しっかりと理解して記入する(本来は記入してあったものを確認する)ようにしましょう。

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ここまで書くだけで疲れました…。ただ、今日お話しするもう一つの書類、「給与所得者の保険料控除申告書」についてはすぐ終わります。これは、昨年までの、給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書のうち、保険料控除申告書に該当する部分だけを独立させたものだからです。これも記入が容易とは言いませんが、少なくとも記入の要領は昨年までと同様です。

明日は残る一つ、今年から新設された配偶者控除等申告書についてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:00 | TrackBack(0) | 業務

2018年12月03日

年末調整向けの申告書が変わったワケ

今年の年末調整は、必要とされる申告書が大きく変わったとお話ししました。これまで2種類だった申告書が3種類に。

配偶者に関わる控除は、配偶者の所得が一定金額(基本的には基礎控除におさまる38万円)までの場合に適用される配偶者控除と、その一定金額を超えた場合に逓減しながら適用される配偶者特別控除が存在します。

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昨年までは、配偶者控除に影響するのは、配偶者の所得のみであり、本人の所得は関係ありませんでした。一方で、配偶者特別控除については、配偶者の所得が一定の枠に収まる必要があるのと同時に、本人の所得も関係していました。

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これに対して、今年からは、配偶者特別控除に加え、配偶者控除についても、本人の所得が影響するようになりました。

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今回の申告書の見直しは上記の変更を反映しています。昨年までは、給与所得者の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書の一部に、このような「給与所得者の配偶者特別控除申告書」という欄がありました。昨年までは、配偶者控除については、本人の所得に左右されませんでしたから、扶養控除等(異動)申告書で扶養対象配偶者として記載するだけでした。一方で、配偶者特別控除は、本人の所得と配偶者の所得によって変動するため、計算するための欄が存在していたわけです。

これに対して、今年は配偶者控除も、配偶者特別控除も本人の所得と配偶者の所得の両方に影響を受けるようになりました。そのため、配偶者控除と配偶者特別控除の両方を計算するための書類として、給与所得者の配偶者控除等申告書が新設された訳です。

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配偶者控除等申告書では、本人(申告書上は「あなた」)と配偶者それぞれの合計所得の見積額を記載して、本人の所得をA〜Cの3つの区分(区分I)、配偶者の所得を@〜Cの4つの区分(区分II)のいずれかに当てはまるかを判定します。

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さらに区分I×区分IIのマトリックスに当てはめることによって、配偶者控除の額と配偶者特別控除の額を算出することになります(逆に言えば、区分IがA〜C//区分IIが@〜Cに当てはまらない場合には、控除はありません)。

率直に言って、かなり複雑になりました。配偶者特別控除の対象となりうる配偶者の所得額上限が引き上げられるなど、必ずしも増税ではありませんし、この改正が一概に悪いという気はありません。それでも、制度が複雑化しすぎていることは事実かと思います。業務ソフトを開発している弥生の社内ですら、今年の申告書を記入するのは大変という声が上がっている中で、一般の事業者において全社員が正しく理解し、正しく運用するのはなかなか難しいのではないかと危惧しています。

それでもやらなければならないのが年末調整。弥生では、ソフトを提供するだけではなく、how toの情報発信にも力を入れています。まず第一関門は、従業員に正しく申告書を記載してもらうことですが、こちら(弥生マルシェ)で従業員向けの案内として利用して頂ける記事を公開していますので、是非ご活用ください。
posted by 岡本浩一郎 at 20:55 | TrackBack(0) | 業務