2019年04月11日

弥生は「1年」

前々回前回と新元号対応についてお話しをしてきました。これまでにお話ししたように、現在提供に向けた準備を進めている新元号「令和」への対応バージョンでなくても、会計ソフトや販売管理ソフトとしての弥生シリーズの基本的な動作には影響ありません(つまり5/1以降、途端に動かなくなることはありません)。そもそも、西暦表示で統一している分には対応バージョンでなくても問題ありません。ただし、行政に提出する書類は和暦表示になるため、対応が必要となりますが、新様式が公開された帳票から、段階的に対応を進めていきます。約60種類の帳票への対応は相当なボリュームになりますが、お客さまの業務に支障がでないよう、しっかりと対応していきます。

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新元号に向けた検討は昨年から進めてきましたが、検討を進めている中で、もう一つの課題が浮上してきました。それは新元号初年度を「1年」(1は半角もしくは全角)と表記するか、「元年」と表記するか。正直に言えば、個人的には、それが論点になるとは全く想定していませんでした。コンピューターで扱う上で、年は数値であることが想定されており、「元」という文字になることは想定されていないからです。もちろん、Wordで文書を書く際には、「令和元年」と入力し、それを出力することは全く問題ないのですが、一定のロジックによって出力を制御する業務ソフトにおいては、「元年」と表示するための専用のロジックをあちこちに埋め込む必要があります。

かつて平成になった際には、できるだけ「元年」で表示すべき、という話もあったようですが、30年前と今では、もはやコンピューターが利用されている範囲が全く異なります。

「元年」で統一するのであれば、まだやりようはあるのですが、「1年」と表記しなければならないケースも存在します。例えば、前々回にご紹介した消費税申告書がそうですが、OCRで読み込む帳票では、年のスペースには当然数値が想定されていますから、「元」と出力すると読み込めなくなってしまいます。また、データとして出力する場合にも、年のスペースには数値が想定されていますから、「元」と出力するとデータを読み込む側で、(最悪の場合)プログラムが落ちることになります。

では、出力する先によって、「元」と「1」を切り替えるか。労力をかければ不可能ではありませんが、その処理にどこまでの意味があるのでしょうか。そもそも弥生会計などの業務ソフトは、業務を効率化するためのもの。弥生は、今ある業務をただそのままシステム化すればいいとは思っていません。いかに業務を合理的にするかを徹底的に考え、それをシステム化すべきだと思っています。仮に、今ある業務をシステム化すればいい、であれば、スマート取引取込(やその出発点となったMoneyLook for 弥生)のような自動化という発想は生まれません。

正直色々と悩んだのですが、弥生では私の判断により、全てを1年の表記に統一することにしました。提供したい機能が色々とある中で、特定の帳票だけで元年と表示させることに労力を使うべきではないと考えましたし、元年と表示させるロジックを組み込むことで、万が一不具合を生んだり、あるいは連携先のシステムで不具合を生むことがあれば、業務効率化に反すると考えたからです。

もちろん全てを1年の表記とすることで問題はないということは、行政にも確認済みです(元年と表記することが望ましい帳票も特に存在しないという確認も行っています)。1年と表記するか、元年と表記するかは、各システムの判断に委ねられており、結果的には、対応は分かれることになりそうです。行政でも、例えば、登記に関する書類は「1年」表記になると聞いています。民間でも、例えばWindowsは「元年」表記をサポートするが、Excelでは「1年」になるそうです。

お客さまによっては、「元年」と表記したいという方もいらっしゃるかとは思います。しかし、弥生は多くの方に使っていただく、良くも悪くも「最大公約数」の仕組み。そして何よりも、業務を効率化し、しっかりと業務を成立させるための道具です。「1年」で統一することをご理解いただければ幸いです。
posted by 岡本浩一郎 at 23:03 | TrackBack(0) | 弥生