2019年09月17日

価格の見直し

いよいよ後2週間にせまった消費税率の10%への引上げと軽減税率の導入。弥生のカスタマーセンターでもお問合せ件数が顕著に増えてきています。

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10月1日を前に、改めてしっかりと考えておきたいのは、自社の商品やサービスの価格をどうするか、ということ。わかりやすいのは、消費税率の引上げ分をそのまま価格に転嫁するというもの。もともと税抜きでの価格表示をしている場合には単純明快で、本体価格が1,000円だとして、消費税率が8%の時は、本体価格1,000円+消費税80円、合計1,080円だったものを、消費税率が10%になるのにあわせ、本体価格1,000円+消費税100円、合計1,100円とするというパターンです。もともと、商品の値札を税抜き表示にしている場合は、値札の対応も不要ですし、合計金額に円単位の端数がでやすいという欠点こそありますが、一番一般的な対応方法かと思います。

これに対し、悩ましいのが税込みで価格表示をしている場合。例えば、税込価格で980円という商品があるとすると、これは消費税率8%時は本体価格908円+消費税72円という内訳になります。これを消費税率10%に単純にすると、本体価格はそのままで本体価格908円+消費税90円で998円という価格になります。おそらくもともとの980円という価格設定は、心理的障壁である1,000円を超えたくないということと、10円単位の価格設定にしたいという二つの狙いがあったのではないかと思いますが、前者の1,000円未満は維持できたものの、円単位の価格設定になってしまい、釣り銭が面倒になってしまいます。

逆に980円という税込価格を維持しようとすると、消費税率10%時には、本体価格が891円+消費税89円で合計980円ということになり、本体価格が908円から891円に、17円、率で言って約2%の値引きをしていることになります。たかが2%と言うなかれ。もともと利幅の大きい業種ではそれほど影響は感じないかもしれませんが、(少し古いデータですが)卸売業の平均売上高営業利益率は1.1%、小売業では2.1%ですから、これらの業種では何も考えずに税込価格を維持しようとすると、途端に収支トントンかあるいは赤字に転落しかねないということです。

もちろん色々と検討した結果、税込価格を据え置くということであれば、いいと思うのです。それも経営判断ですから。ただ、何も考えずに、まあどうにかなるだろうという安易な気持ちで税込価格を据え置くというのは避けるべきだと思います。

とはいえ、価格はキリよく10円単位にしたいし、(1,000円といった)大台も超えたくないなといった場合はどうすればいいのでしょうか。この場合は、メリハリをつけるというのも一つの手かと思います。スーパーマーケットでは冷凍食品、ドラッグストアーではトイレットペーパーのように、多少採算度外視でも客寄せのために戦略的な値付けをする商品がありますが、そういった商品は価格を据え置き、一方で、それ以外の商品はしっかりと消費税分を価格転嫁するという考え方です。

中には、うちは免税事業者だから関係ないよ、という方もいらっしゃるかもしれません。免税事業者だから、消費税は関係ないと。これは実は大いなる誤解。確かに、免税業者であれば売上から消費税を納付する必要はないのですが、とはいえ、仕入れ時に消費税を支払っていますよね。そしてその仕入れ時に支払っている消費税額は10月に入ると、基本的には増えるはずなのです。わかりやすいところでは、どんな事業者でも、何らかの水道光熱費がかかっているはずですが、その水道光熱費は消費税率10%がそのまま価格転嫁されるはずです。つまり、コストが増えるということですから、程度は別として、一定程度は売価を調整しないと、利益を圧迫することになります。

どんな事業においても、価格をどうするかは極めて重要。一方で、一度設定した価格をなかなか変えにくいのも事実。だからこそ、このタイミングで、改めて価格をどうするか、しっかりと考えたいところです。
posted by 岡本浩一郎 at 23:24 | TrackBack(0) | 業務