2020年06月30日

主な提言内容

先週木曜日に発表した「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」。実際の提言書を見ていただければわかりますが、かなりみっちりと中身が詰まっています。本ブログでも少しずつお話ししたいのですが、盛り沢山でどこからお話しすればいいのか悩むところ。

前回は、今回の提言に至った経緯として、1) これまで既に決まった制度であり、法令に対して粛々と対応してきたものの、そもそもお客さまである事業者にとって、また社会全体にとってどういった制度であるべきか能動的に働きかけることができていなかった、2) 一方で海外では、デジタルを活用して制度自体を合理的/効率的なものに見直しをしようとする動きが顕著になっている、という二点をお話ししました。

今回は、肝心の提言の中身についてお話ししたいのですが、一字一句に想いがつまっており、下手をすれば提言書そのものをここに書き出してしまいそうです(苦笑)。今日はまず、主な提言内容として4点お話ししたいと思います。

  • 情報通信技術が急速に発展している一方で、日本における現状の社会的システムの多くは、戦後に紙での処理を前提として構築されたものの一部の電子化(Digitization)に留まっている。改めて、デジタルを前提として業務プロセスの根底から見直すデジタル化(Digitalization)を進めることによって、社会全体としての効率を抜本的に向上させ、社会的コストの最小化を図るべきである。
  • 社会的システムのデジタル化による再構築に際して、1. 発生源でのデジタル化、2. 原始データのリアルタイムでの収集、3. 一貫したデジタルデータとしての取り扱い、4. 必要に応じた処理の主体の見直し、の4つのポイントを踏まえるべきである。
  • 短期的には、2023年10月のインボイス義務化に向け、標準化された電子インボイスの仕組みの確立に取り組むべきである。商取引の主体は民間であることから、まずは何よりも民間がメリットを確実に享受できるものとして、民間が主導して標準化、および仕組み構築を進めるべきである。同時に、インセンティブ設計も含め、行政による一定の関与と強力な後押しは不可欠である。
  • 中長期的には、確定申告制度、年末調整制度、社会保険の各種制度等についても、業務プロセスを根底から見直すデジタル化を進めるべきである。主に行政の仕組みであることから、行政が主導すべきであるが、民間も、行政手続きへの対応を要求される立場として、全体最適が実現されるよう、積極的に提言を行い、仕組み構築に際し、その設計から関与するべきである。行政/民間双方での対応が必要とされることから、現実的かつ明確なロードマップを作成し、計画的に、かつ段階的に進めるべきである。

次回から、この4点を柱として深掘りをしていきたいと思います。
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2020年06月25日

社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言

本日6/25、弥生は、SAPジャパンオービックビジネスコンサルタントピー・シー・エーミロク情報サービスと共同で、「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」を発表しました

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提言書は13ページ、別紙資料集は42ページとなかなかなボリューム感です。実際の提言書はこちら(ZIPファイル、中身はPDF)をご覧ください。

ITが急速に発展している一方で、日本における現状の社会的システムの多くは、戦後に紙での処理を前提として構築されたものの一部の電子化(Digitization)に留まっています。改めて、デジタルを前提として業務プロセスの根底から見直すデジタル化(Digitalization)を進めることによって、社会全体としての効率を抜本的に向上させ、社会的コストの最小化を図るべきであるというのが、今回の提言の骨子です。提言では、どのような時間軸でどのような領域に取り組むのべきかというところまで掘り込んでいます。

前回まで、「10年経った弥生」というお題で3回連続してお話ししました。色々とありつつも、新しいことに取り組んできた。結果として数値面でもまずまずといえる成長を遂げてきた。一方で、実際のところ、まだまだできていないこと、まだまだやるべきことは山ほどありますともお話ししました。

まだまだできていないことに対する一つの解が今回の提言書です。弥生はこれまで、既に決まった制度であり、法令に対し、お客さまが対応できるように、弥生として粛々と対応してきました。制度や法令は、既に決まったもの。Givenであり、弥生がどうこうできるものではない。

それではダメなのではないかと痛感したのが、一昨年の年末調整です。本ブログでもお話ししましたが、配偶者(特別)控除の仕組みがあまりにも複雑化してしまい、一般の事業者の方が正確に理解し、正しく対応することが、ソフトウェアの助けをもってしても難しくなってしまいました(ちなみに、今年末の年末調整はさらに複雑なものになることが既に決まっています、涙)。

本ブログでも、制度の建て増しではなく、よりシンプルな仕組みに抜本的に作り替えるべきだとお話ししてきましたが、では実際どうするのかという解を示すことができていませんでした。

もう一つきっかけになったのが、オーストラリアイタリアイギリスなどでの調査です。今回ようやく、単に遊びに行った訳ではないということが証明できました(笑)が、海外では、データを活用することによって仕組みを根本からシンプルに効率的にする取り組みが急速に広がってきています。もちろんすべてにおいてうまくいっている訳ではないのですが、そういった課題も含め、日本ではどうすべきなのか、非常に多くの学びを得ることができました。

昨年12月には、「電子化からデジタル化へ」という少し謎めいたブログ記事を書きましたが、実は、それこそが、今回の提言の母体である社会的システム・デジタル化研究会(通称Born Digital研究会)の第一回検討会でした。今回共同で提言を行った5社は、実際には対象とする顧客層、顧客規模が異なるため直接的な競合関係とは言えないものの、一定の競争関係にはあり、これまでは今回のような協調をすることはありませんでした。しかし、トップ同士で上記のような問題意識をお話ししたところ、賛同していただくことができ、議論を経て今回の共同提案につながりました。

Born Digital研究会には、税理士の先生方や内閣官房にもオブザーバーに入っていただき、また、財務省、国税庁、中小企業庁の有識者にもインプットをいただき、皆の知恵と熱い想いを集めただけに、良い提言にできたと思っています。

中身については、また追ってお話ししたいと思いますが。今回の提言書には、この先10年で弥生(+研究会参加各社)がどういった使命を果たすべきか、熱い想いが込められています。機会があれば、是非ご一読いただければと思います。
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2020年06月23日

10年経った弥生(その3)

前回/前々回は、10年前に「10年後の弥生」という記事を書いたことから、この10年間の進化を振り返ってみました。前期(FY19)とその10年前(FY09)で比較すると、売上が2.2倍、利益が2.25倍。また、お客さまの数、パートナーの数、チームメンバーの数についても、売上の成長に見合い、かつバランスが取れた状態で健全な成長を遂げてきたことをお話ししました

これまでは主に数値面での10年間を振り返ってきましたが、数字以上に重要だと考えているのは、新しい取り組みを続けてきたということ。例えば、弥生ドライブ。弥生のお客さまは今でもデスクトップアプリをご利用の方が多いですが、弥生ドライブというクラウドストレージと組み合わせで利用されている方が多くなっています。新型コロナウイルス禍を受け、弥生製品を使ったリモートワークも一般化していますが、これが容易に実現できているのは、この弥生ドライブによってデータがクラウド化されているからです。ちなみにAIを活用して仕訳入力を自動化するスマート取引取込も2014年から。

少し前に弥生の提供する申告ソフトに関しては、既にフローベース(新規のお客さま)では、クラウドアプリを選ぶお客さまの数がデスクトップアプリを選ぶお客さまの数を超えていると書きましたが、クラウドアプリであるやよいの白色申告 オンラインがスタートしたのも2014年(やよいの青色申告 オンラインは2015年)です。

この10年間の中間地点である2014年にリリースが集中しているように見えますが、2014年前後だけ頑張ったという訳ではありません(苦笑)。弥生ドライブは、もともと2003年から存在するデータバックアップサービスをより汎用的な仕組みとして再構築したものです。スマート取引取込の原型は、銀行取引を仕訳データに自動的に変換する仕組み(MoneyLook for 弥生)として、2007年末から提供してきました。先行サービスを発展させ、スマート取引取込ではAIを活用するなど、新しい技術を採用することによって、今を支える新しいサービスが生まれています。

良くも悪くも試行錯誤もあります。弥生オンラインの第一号は、実は2012年にスタートしたやよいの店舗経営 オンラインですが、より汎用的なアプリケーションである弥生会計 オンラインを2015年にリリースしたことに伴い、2017年にサービスを終了しました。

自社でサービスを開発するのではなく、志を同じくする仲間と力を合わせることも経験しました。Misocaは2016年にグループ入り。この7月には正式に合併し、名実ともに一体となります。また、2014年末にオリックスグループ入りしたことを活かし、オリックスの金融の力を活かしたオンライン融資サービス、アルトアを立ち上げたのは2017年末。

こうやって振り返ってみると、色々あった10年間だったと実感します。ただ、ここに書いていないものも含め、全てがうまく行っている訳ではありません。それでも過去を受け継いで粛々と継続するのではなく、新しいことに取り組んでこれたことは大きな成果だと考えています。

全てがうまく行っている訳ではないと書きましたが、実際のところ、まだまだできていないこと、まだまだやるべきことは山ほどあります。それらを書き出すと…、終わらなそうなので止めておきます(笑)。この10年間は一定の成果を得ることはできたと思いますし、最低限の合格ラインはクリアできたと思っています(チーム弥生の皆に感謝)。ただ、弥生の進化であり、真価が問われるのは、むしろこれからの10年間だと感じています。
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2020年06月18日

10年経った弥生(その2)

前回は、10年前に「10年後の弥生」という記事を書いたことから、この10年間の進化を振り返ってみました。前期(FY19)とその10年前(FY09)で比較すると、売上が2.2倍、利益が2.25倍。華々しい成長とは言えませんが、弥生の考え方は、まず成長ありきではなく、まず価値ありき。お客さまにしっかりとした価値を提供し、それに見合った対価をいただく、それが健全な成長となり、健全な利益を生んできたと考えています。

そのお客さまですが、お蔭さまで着実にその数を増やすことができています。登録ユーザー数で言えば、先日200万を超えたということをお話ししましたが、FY19末とFY09末で比較すると2.5倍となります。売上の伸びが2.2倍でしたから、おおよそ同レベル。ただ、登録ユーザー数の伸びの方がやや大きいのは、特にやよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンラインというクラウドサービスを提供することによって、お客さまのすそ野を広げることができたからです。

また、同じユーザー数でも、有償で継続的なサービス提供(デスクトップアプリでいえばあんしん保守サポート、クラウドアプリは有償プラン)を行っているお客さまに関しては、実に4.2倍と大きく増加しています。一過性ではなく、継続的に価値を提供出来ているということ自体に大きな意義があると思っていますし、同時に弥生の経営という意味でも、10年前と比べて圧倒的な安定感をもたらしています。

このお客さまの数の増加は、パートナーである会計事務所(弥生PAP会員)の推奨なしには実現できていません。PAP会員数は先日1万を超えたとお話ししましたが、FY19末とFY09末で比較すると2.9倍となります。10年前はあまた存在する会計事務所の中で弥生PAP会員も一定の確率でいるという状態でしたが、現在では会員数が1万を超え、会計事務所向けのパートナープログラムとしては日本で最大規模となりました。

また、お客さまを支えるという意味では、当然のことながらチーム弥生、すなわち、従業員の数も重要です。従業員数はこの10年間で1.8倍。売上(2.2倍)や登録ユーザー数(2.5倍)の伸びと比較すると低めに見えるかもしれませんが、実はその構成が大きく変わっています。10年前は、(正直あまり好きな表現ではありませんが)いわゆる非正規雇用の割合が高かったのですが、この10年間で積極的に正社員化を進めています。正社員の数で言えば、3.0倍と、売上や登録ユーザー数の伸びを大きく超えています。

こうやってみると、お客さまの数、パートナーの数、チームメンバーの数がバランスが取れた状態で健全な成長を遂げてきたことが理解いただけるかと思います。 (続く)
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2020年06月16日

10年経った弥生(その1)

新型コロナウイルス禍の影響でちょうどのタイミングで取り上げることはできませんでしたが、10年ちょっと前の2010年3月24日に、本ブログで「10年後の弥生」という記事を書きました。この3月で、その10年後を迎えたことになります。10年前といえば、随分昔のようにも思えますし、同時にこの10年間があっという間だったようにも感じます。

先週金曜日に「Back to the Future」(BTTF)が金曜ロードショーで放送され、久し振りにちょっとしたBTTFブーム(?)が巻き起こっているようです(我が家でも、笑)。BTTF2で描かれた「未来」が2015年だったということが5年前に話題になりましたが、私(親)から見れば、30年経っても現実の世界はあまり変わっていないように思える一方で、娘(子)からすると30年前が大正時代ほどに(!?)大昔に感じられるのかもしれません(笑)。時間は絶対的に流れますが、感じ方は相対的ですね。

さて、10年前には、「10年後の弥生は大きく変化を遂げているものと考えています」と書きましたが、どうでしょうか。個人的には合格点は出したいものの、到達していたい地点にはまだまだ達していない、と感じています。点数のイメージで言えば、65点ぐらいでしょうか。甘いか、辛いか、なかなか微妙なところです。

できるだけ客観的に、ということで、前期(FY19)とその10年前(FY09)で数字の比較をしてみたいと思います。まずは売上ですが、10年で2.2倍。10年間で2.2倍ということは、年間平均成長率(CAGR)でいえば8.2%。厳密に言えば、CAGRの始点のFY09はリーマンショックの影響があって売上が微減した年であり、一方で、CAGR終点のFY19は元号改正や軽減税率導入などの法令改正の追い風で高い成長となった年ということがあり、CAGR 8.2%はやや嵩上げされた数字です。実態としては6%ぐらいが、弥生の実力だと思います。IT企業と言えば、もっと高成長しないと、という気もしますが、創業直後でもなく、大型のM&Aも行っていない自然体での成長率としてはまあこんなものかな、と思います。

弥生にとって成長そのものは目的ではありません。まずはお客さまに価値を提供すること。もちろん、より多くのお客さまに価値を提供したい、だからこそ成長ももちろん大事なのですが、まず成長ありきではなく、まず価値ありきで、結果としての成長であるべきだと思っています。

利益面で言えば、10年間で2.25倍。売上の成長スピードより僅かに大きいですが、ほぼ同レベル。つまり、この10年間、売上と利益は対になって成長してきたということです。上では、弥生にとって成長そのものは目的ではないと書きましたが、利益そのものもまた目的ではありません。ただ、利益はある意味で成長より大事だと考えています。と書くと金儲け主義と言われそうですが、松下幸之助翁が言われたように、「事業を通じて社会に貢献するという使命を遂行し、その報酬として社会から与えられるのが『利益』」。弥生がお客さまであり、社会に提供した価値の表れが利益だと思っています。

採算度外視で、それこそ10万円をばら撒くことによって、5万円の売上を買うようなことをすれば、売上を伸ばすことは簡単です。でも、それは事業を通じて価値を提供し、社会に貢献したことにはならない。幸之助翁は、「利益を生み出せない経営は、社会に何らの貢献をしていないということであり、本来の使命を果たしていない姿である。『赤字は罪悪』といってよい」とも語られています。もちろん、事業が最初から黒字になることはなく、一定期間は赤字先行になって当然だと思います。ちなみにアルトアはまさにその真っ最中。弥生オンラインは、うーん、順調に成長はしていますが、数値的にはまだ赤字ですかね。ただ、ずっとそのままでは、社会の価値をむしろ破壊している「罪悪」ということになってしまうのかと思います。

お客さまにしっかりとした価値を提供し、それに見合った対価をいただく、それが健全な成長となり、健全な利益を生む。それを10年間継続できたことは、ひとまず最低限の合格ラインはクリアしたと言えるかなと思います。 (続く)
posted by 岡本浩一郎 at 21:45 | TrackBack(0) | 弥生

2020年06月12日

新体制

昨日、6/11に久し振りにオフィスに出社しました。前回オフィスに出社したのは、緊急事態宣言が発出された前日、4/6ですから、実に2ヶ月ちょっとぶりの出社になります。正直あまりに間が空きすぎて、もう電車に乗れないのではと心配していましたが(電車に乗るのも2ヶ月以上ぶり)、長年の習性の方が勝ったのか、何の違和感もなくオフィスにたどり着きました。少しだけ時間をずらしての出社としましたが、電車はまだ空いており、座ることができました。このままの状態だったら、通勤も悪くありません(笑)。

オフィスは何とも懐かしく感じます。緊急事態宣言後もリモートワーク推奨となっており、出社している人はごく僅か。それでも何人かと久し振りに会うことができ、心から嬉しく感じました。やっぱり人間は社会的な生き物なのだと実感します。

2ヶ月ぶりの出社の理由は、役員合宿のため。合宿の場所としては、星のや東京の1フロア貸切プランにグッと魅かれる(笑)ものがあったのですが、真面目過ぎる弥生としては、人も少ないオフィスでやろうということになりました。状況によってはZoom開催も選択肢ではあったのですが、やはり(この時代にはなかなか微妙な表現ですが)空気を共有してしっかり議論するためには集まった方がベター。広めの会議室に参加者5名であれば、ソーシャル・ディスタンスはしっかり確保できると判断しました。

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実は弥生ではこの4月に監督機関と業務執行機関を明確に分けるために、執行役員制度を導入しました。これにあわせて、役員の構成を見直し、従来は社内取締役が3名だったものを、執行役員5名(うち2名は取締役兼務)の新体制として発足しました。弥生には、開発本部、マーケティング本部、顧客サービス本部、管理本部の4本部が存在しますが、私以外の執行役員4名がそれぞれの本部長として管掌とするシンプルな形です。

執行役員のうち3名は、役員への新規登用、またそのうち1名は入社したばかり(といっても卒業生の出戻りなのですが)ということで、今回の合宿の第一のテーマは、執行役員同士の相互理解を深めること。最初は、私も含め自己紹介から。やや恥ずかしさもありますが、もう10年以上一緒に働いていても、へえ、そうなんだというエピソードもあり、この人の行動パターンにはこういった背景があるんだという発見もあり、非常に有意義でした。自己紹介の後には、相互のレビュー。私自身にとっても色々と耳の痛いご意見もありますが、それが今後の成長につながるのだと思います。

朝から夕方までじっくり議論しても、予定されていたアジェンダはだいぶ積み残してしました。ただ、今後この5名の新体制でチーム弥生を引っ張っていく訳ですから、時間はかかっても、じっくりと議論を深めるべきタイミングだと思っています。
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2020年06月10日

PAPカンファレンスのあり方

例年であればこの時期は会計事務所向けのカンファレンス(弥生PAPカンファレンス)開催のために、全国を行脚しているはずでした。当初の予定では、今週は名古屋、仙台、札幌、来週は東京、広島、福岡、そして再来週に大阪で千秋楽となっていました。今年は、東京オリンピックの影響もあり、3週間で全国7会場とこれまでにない強行軍での開催予定でした(しかし改めてみると相当無茶なスケジュールですね、笑)。

ただ、現実には新型コロナウイルス禍の影響で、一旦すべてのカンファレンスの予定をキャンセルしています。3月頭の時点では、まあ6月には大丈夫だろう、と甘い予想をしていましたが、その後新型コロナウイルス禍が広がりを見せる一方、カンファレンスの集客はそれなりに早い段階から開始しなければならないため、4月に一旦見送りの判断を行いました。

正直に言って、非常に残念です。やはり全国様々な会計事務所の皆さんとお会いするチャンスですから。もちろん個別に会計事務所にお伺いすることもありますが(それもこの状況下ではできていませんが)、一日に多くの皆さんと同時にお会いする機会は基本年に2回開催のPAPカンファレンスに限られます。毎回欠かさずご来場いただく方も多く、こうやって書いている際にも、あああの方はお元気だろうか、とお顔が次々に思い浮かびます。もちろんPAPカンファレンスに合わせて拠点を訪問することも楽しみの一つ。ここ数年間、PAPカンファレンスの運営は若手中心になってきていますが、彼ら/彼女らの成長を実感するのも楽しみです。もちろん、各地で美味しいものを食べるのも隠れた(でもないか)お楽しみ(笑)。

特に今回は、昨年末にPAP会員数が10,000を超えたことのお祝いも兼ねる予定でしたし、また、会計事務所の皆さまから強いご要望をいただいてきた新しいサービスを正式に発表する予定にしていたため、残念さは二重三重という感じです(泣)。

ただ、愚痴を言っていても始まりません。時期はまだ正式には発表できませんが、今後改めて、今回開催できなかった分パワーアップして、より充実したPAPカンファレンスを開催したいと思っています。パワーアップといっても、時代が変わり、前提条件も変わる中で、物理的に一ヶ所に人を集めることに拘るつもりはありません。もちろん集まることの良さもあれば、オンラインでよりフレキシブルに参加いただけることの良さもあります。一回で理想形にたどり着くことはないでしょうが、新しい時代のPAPカンファレンスのあり方を模索したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:13 | TrackBack(0) | 弥生

2020年06月08日

クラウド型の利用率が20%超え

前回は、確定申告期限延長の影響についてお話ししました。期間が延びた分広告宣伝費がオーバーし、さらに緊急事態宣言下でのお問合せ対応に四苦八苦するも、新規ユーザーのサインアップという観点では、前年を大きく超える結果になりました。

ただ、これが市場全体としてどうなのか。弥生が前年を大きく超えたと喜んでいても、他社がそれ以上に伸びていれば意味がありません。これを測るために有効なのが、シェア調査。MM総研では毎年、確定申告期終了時点でのクラウド会計ソフトのシェアを調査、発表しています(この調査は確定申告をされた個人事業主が対象なので、弥生の定義的には、クラウド申告ソフトのシェアとして捉えています)。調査の母数も大きく、また継続的に実施されていることもあり、信頼できる調査として毎年その結果が発表されるのをドキドキしながら待っています(笑)。

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今回の結果は、この通り。弥生はダブルスコア以上と2位以下に大差をつけて、しっかりとNo.1をキープしています。ただし、前年は57.0%だったので、56.7%へとほんのごく僅かに減少。統計上の誤差の範囲ではありますが、シェアは安定しているものの、大きく伸ばすことはできていないという理解になるかと思います。今年は確定申告期間が延長され、ソフトウェアを提供する側にとっては誰にとっても厳しい年でしたから、皆よく頑張っての痛み分けと考えたいと思います(実は昨年までと今年では2位/3位が入れ替わっており、それなりに競争が激しいマーケットであることを物語っています)。

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メーカー間での切磋琢磨は、クラウド利用率の着実な増加にもつながっています。調査初年度である2016年にはクラウド型の利用率は9.2%に留まりましたが、毎年着実に増加し、今回の調査では21.3%と初めて20%を超えました。

弥生の提供する申告ソフトに関しては、既にフローベース(新規のお客さま)では、クラウドアプリ(やよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンライン)を選ぶお客さまの数がデスクトップアプリ(最新製品はやよいの青色申告 20)を選ぶお客さまの数を超えています。一方で、従来からデスクトップアプリを使われている方は、そのままデスクトップアプリを使い続ける方がほとんどです。結果的に、今回の調査のようにある時点での状況を調査すると、デスクトップアプリを使われている方がまだまだはるかに多いものの、クラウドアプリの割合も着実に増加するという構図になっています。今回の調査では、会計ソフトの利用率が前年の32.5%から33.9%に増加していますが、これは従前のデスクトップアプリの市場に加え、クラウドアプリを中心に新たな顧客層を開拓できているという一つの証左かと思います。

来年の確定申告からは、電子申告を行うかどうかで青色申告特別控除の金額が変わるようになります。申告ソフトをしっかり活用して電子申告し、最大限の税メリットを享受する。それが当たり前となるよう、来年に向けてしっかりと準備を進めていきます。
posted by 岡本浩一郎 at 19:44 | TrackBack(0) | 弥生

2020年06月04日

延長戦の結果

延長された確定申告期限が到来し、緊急事態宣言も解除され、いつの間にか6月。喉元過ぎれば、とはよく言ったもので、確定申告のことがすっかり過去のことになっています(ひょっとしたら新型コロナウイルス禍の影響で申告が終わっていない方もいらっしゃるかもしれませんが、緊急事態宣言が解除された今となっては、急がないと)。完全に過去のことにしてしまう前に、少し振り返りを。

やよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンライン(弥生オンライン)について、申告期限延長が発表になるまでは見込み通りのペースで新規ユーザーのサインアップが続いていたものの、申告期限延長が発表された瞬間にサインアップのペースがガクンと下がったということを書きました。同時に、一旦ペースは下がったものの、申告期間が長引いた分、3月下旬から4月に入っても新規ユーザーのサインアップが続いたとも。で、結局どうなったのか。

1月から2月にかけては、ほぼ見込み通りのペースで新規ユーザーのサインアップが続いていました。具体的に言えば、前年対比で+17.7%。クラウド申告ソフト市場は、ここ数年間安定的なペースで拡大しており、2月まではこの安定成長ペースに沿った形で、ほぼ見込み通りでした。しかし、申告期限延長が2/27に発表になったために、3月は急減速。前年対比で-29.1%と急ブレーキがかかった状態となりました。そして迎えた4月。例年であれば申告期間が終わっているということで、新規ユーザーのサインアップは3月に比べ大きく減るのですが、今年は全く異なる動きとなりました。

蓋を開けてみれば、4月のサインアップ数は3月を上回り、前年比では+522.6%(要は前年の6倍以上!)というすさまじい数字となりました。1月から4月通算で考えれば、前年比+26.4%。概ね安定的な成長ペースですが、申告期限延長がある程度のプラス要因になったと分析しています。

よくデスクトップアプリのユーザーがクラウドに移行しているのでは、と言われますが、実際はそうではありません。同じ期間(1月から4月)で、デスクトップアプリ(やよいの青色申告 20)も前年を大きく超えました。つまり、デスクトップアプリとクラウドアプリの両方で、前年を大きく超え、成長することができました。

この数だけ見れば、延長戦はプラスの効果があったと言えるかと思います。もっとも、申告期限が延長された間、広告宣伝も繁忙期のペースで継続せざるを得ませんでしたので、広告宣伝費は予算オーバー。また、もっとも辛かったのは、カスタマーセンターでのお問合せ対応です。申告期限延長が発表されてからしばらくは、お問合せはむしろ減少したのですが、4月に向けては再び増加。一方、4/7には緊急事態宣言が発出され、対象となった大阪カスタマーセンターの稼働率を下げるという対応をおこなったため、増える需要に対し、供給が減少し、お待ちいただく時間が長くなってしまいました。それでも確定申告期間の終了まで、メール、チャットはもちろん、お電話での対応も継続でき、お客さまに対する責任は何とか果たせたとホッとしています。

こうしてみると、延長戦はプラスの影響もあり、マイナスの影響もあり。ただ、トータルで言えば、弥生が価値を提供できたお客さまが着実に増加したということで、プラスだったとは言えるのではないかと思います。
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2020年06月02日

名実ともにONE TEAM

いつの間にやら6月。6月ともなると、一年も半分近く過ぎたことになります。ついこの間までは、年明け気分で、よし2020年(こそ、笑)は頑張るぞ、と思っていたのに、時間が経つのが早いこと。もう3ヶ月間近く新型コロナウイルス禍の影響を受けており、時間感覚が歪んでいるということもありますが。

ただ、こんな状況の下でも将来に向けた仕込みは着々と進んでいます。先週に発表しましたが、来月7月1日に、会社としての弥生(弥生株式会社)とMisoca(株式会社Misoca)を合併することにしました。弥生が株式会社Misocaの全株式を買収し、弥生&Misocaというチームとなったのが、2016年2月のこと。もう4年以上前のことになります(そういった意味でも時が経つのは早い…)。

これまでは、同じチームでありながら、会社としては別法人として運営してきたわけですが、このタイミングで会社として統合することにしたのには大きく二つの理由があります。

一つ目は、2023年10月のインボイス義務化に向けて、開発のスピードを上げていくために、名実共にONE TEAMとして推進すべきと判断したということ。昨年10月に軽減税率が導入されたことはまだ記憶に新しいところですが、一連の消費税法の見直しの一環として、2023年10月から、インボイスの発行が義務化されることが決まっています。これは、売り手が買い手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるために、適格請求書という所定の様式の請求書等(これをインボイスという言い方をします)を発行することを義務付けるものです。インボイス義務化については、また改めてお話ししたいと思いますが、事業者の業務には大きな影響が見込まれます。

2023年10月というと、まだまだ先と思われるかもしれませんが、弥生&Misocaがチームとなってからの4年よりも短い期間、つまりなんだかんだあっという間です。お客さまの業務には大きな影響が見込まれるだけに、できるだけ早いタイミングから情報を提供し、お客さまでの準備を促さなければならないと考えています。また、お客さまに備えていただくためには、当然、インボイス義務化に対応するソフトウェアについても、2023年10月以前に提供を開始しなければなりません。

そしてインボイスは、電子インボイスとして、弥生&Misocaでチームを組む際からの目指す世界である、見積〜発注/受注〜納品/検収〜請求〜支払/入金という商流が一気通貫でデジタルで処理される世界への大きな一歩になるとも考えています。限られた時間でこの世界を実現するためには、リソースを一本化し、効率よく進めていかなければならない。弥生とMisocaのリソースを統合し、インボイス義務化、さらには商流のデジタル化に向けて準備を進める、これが一つ目の理由です。

二つ目の理由は、働き方の多様化。当初からMisocaはリモートワーク前提の働き方を実現していました。ある意味時代を先取りしていたとも言えるかもしれません。それに対し、弥生は、9:00-17:30のオフィスワーク。従来型の働き方でした。もちろん、それで良しとしていた訳ではないのですが、さすがに最初から無理に合わせようとすると、数の理論でこれまでの弥生スタイルである、従来型の働き方に寄せられてしまう可能性は否定できませんでした。ただ、それではMisocaの良い部分を、一部ではあっても潰してしまう可能性があります。

もっとも、弥生としても問題意識を持って、より多様な、より自由な働き方に向けた試行は行っており、リモートワークについても限定的にではありますが、試行していました。そういった中で、このタイミングであれば、Misoca的なリモートワークを中心とした働き方と、弥生的なオフィスワークを中心とした働き方をうまく組み合わせられるところまで来たと判断しました。具体的な制度設計はまだ固まってはいませんが、どちらかに寄せるというよりも、その人の仕事やスタイルに合わせ適した働き方を選べるようにしたいと考えています。

今回の発表のタイミングが、新型コロナウイルス禍の只中になったのは、偶然の産物なのですが、弥生でも強制的にリモートワークを実践することによって、弥生とMisocaの良いところを持ち寄って、新しい働き方を実現できるし、実現しなければならないと改めて感じています。

なお、クラウド見積・納品・請求管理サービスとしてのMisocaは既に以前より、弥生のクラウドサービス(弥生オンライン)のラインアップに統合されており、今回の合併はお客さまへの影響はありません。お客さまから見えないところでの動きではあるのですが、この先、お客さまからはっきり見える価値を生み出せるよう、Misocaと名実ともにONE TEAMとなった新しい「弥生」として努力していきます。
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