2020年06月16日

10年経った弥生(その1)

新型コロナウイルス禍の影響でちょうどのタイミングで取り上げることはできませんでしたが、10年ちょっと前の2010年3月24日に、本ブログで「10年後の弥生」という記事を書きました。この3月で、その10年後を迎えたことになります。10年前といえば、随分昔のようにも思えますし、同時にこの10年間があっという間だったようにも感じます。

先週金曜日に「Back to the Future」(BTTF)が金曜ロードショーで放送され、久し振りにちょっとしたBTTFブーム(?)が巻き起こっているようです(我が家でも、笑)。BTTF2で描かれた「未来」が2015年だったということが5年前に話題になりましたが、私(親)から見れば、30年経っても現実の世界はあまり変わっていないように思える一方で、娘(子)からすると30年前が大正時代ほどに(!?)大昔に感じられるのかもしれません(笑)。時間は絶対的に流れますが、感じ方は相対的ですね。

さて、10年前には、「10年後の弥生は大きく変化を遂げているものと考えています」と書きましたが、どうでしょうか。個人的には合格点は出したいものの、到達していたい地点にはまだまだ達していない、と感じています。点数のイメージで言えば、65点ぐらいでしょうか。甘いか、辛いか、なかなか微妙なところです。

できるだけ客観的に、ということで、前期(FY19)とその10年前(FY09)で数字の比較をしてみたいと思います。まずは売上ですが、10年で2.2倍。10年間で2.2倍ということは、年間平均成長率(CAGR)でいえば8.2%。厳密に言えば、CAGRの始点のFY09はリーマンショックの影響があって売上が微減した年であり、一方で、CAGR終点のFY19は元号改正や軽減税率導入などの法令改正の追い風で高い成長となった年ということがあり、CAGR 8.2%はやや嵩上げされた数字です。実態としては6%ぐらいが、弥生の実力だと思います。IT企業と言えば、もっと高成長しないと、という気もしますが、創業直後でもなく、大型のM&Aも行っていない自然体での成長率としてはまあこんなものかな、と思います。

弥生にとって成長そのものは目的ではありません。まずはお客さまに価値を提供すること。もちろん、より多くのお客さまに価値を提供したい、だからこそ成長ももちろん大事なのですが、まず成長ありきではなく、まず価値ありきで、結果としての成長であるべきだと思っています。

利益面で言えば、10年間で2.25倍。売上の成長スピードより僅かに大きいですが、ほぼ同レベル。つまり、この10年間、売上と利益は対になって成長してきたということです。上では、弥生にとって成長そのものは目的ではないと書きましたが、利益そのものもまた目的ではありません。ただ、利益はある意味で成長より大事だと考えています。と書くと金儲け主義と言われそうですが、松下幸之助翁が言われたように、「事業を通じて社会に貢献するという使命を遂行し、その報酬として社会から与えられるのが『利益』」。弥生がお客さまであり、社会に提供した価値の表れが利益だと思っています。

採算度外視で、それこそ10万円をばら撒くことによって、5万円の売上を買うようなことをすれば、売上を伸ばすことは簡単です。でも、それは事業を通じて価値を提供し、社会に貢献したことにはならない。幸之助翁は、「利益を生み出せない経営は、社会に何らの貢献をしていないということであり、本来の使命を果たしていない姿である。『赤字は罪悪』といってよい」とも語られています。もちろん、事業が最初から黒字になることはなく、一定期間は赤字先行になって当然だと思います。ちなみにアルトアはまさにその真っ最中。弥生オンラインは、うーん、順調に成長はしていますが、数値的にはまだ赤字ですかね。ただ、ずっとそのままでは、社会の価値をむしろ破壊している「罪悪」ということになってしまうのかと思います。

お客さまにしっかりとした価値を提供し、それに見合った対価をいただく、それが健全な成長となり、健全な利益を生む。それを10年間継続できたことは、ひとまず最低限の合格ラインはクリアしたと言えるかなと思います。 (続く)
posted by 岡本浩一郎 at 21:45 | TrackBack(0) | 弥生