2020年08月13日

中長期的に取り組むべき領域

確定申告や年末調整など、日本における現状の社会的システムの多くは、戦後に紙での処理を前提として構築されたものであり、今改めてデジタルを前提として業務プロセスの根底から見直すデジタル化(Digitalization)を進めることによって、社会全体としての効率を抜本的に向上させ、社会的コストの最小化を図るべきである、という問題意識から生まれた「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」。その内容について私見(というより想い)も交えてお話ししています。

これまでに、提言の背景と課題認識、および基本的な方向性についてお話ししました。前回は、短期的に取り組むべき領域として、今まさに業務プロセスの構築が進もうとしている領域、具体的には、2023年10月に予定されているインボイス(適格請求書等)制度導入を踏まえた電子インボイスの仕組みの確立とお話ししました。今回は中長期的に取り組むべき領域についてお話ししたいと思います。

今回の提言は、短期的な視野には留まっていません。時間をかけてでも、社会的システムの根源からの見直しに踏み込むべきだと考えています。既に長年にわたって確立された業務プロセスをデジタルを前提として再構築することは、多大な労力と、結果として時間はかかりますが、それだけに非常に大きな社会的メリットを生むことが期待されるからです。こういった領域については、短期間で拙速に変えようとするのでもなく、一方で変えることは所詮無理と諦めるのでもなく、5〜10年の時間軸での道程表(ロードマップ)を作製した上で、計画的にデジタル化を進めていく必要があると考えています。

これに該当するのは、確定申告制度、年末調整制度、社会保険の各種制度等です。確定申告制度と年末調整制度については、戦後すみやかに、社会保険の各種制度については、戦後の高度成長期に整備されたものですが、いずれも、ITが一般に利用できない時代に整備が始まっており、当然のことながら、紙を前提として業務プロセスが構築されています。

現在は、行政機関におけるIT活用は当然のものとなっていますし、民間におけるIT活用も一般化しています。しかし、これら業務については、一部情報が電子データとして扱われるようにはなってきていますが、全体としては、紙を前提とした業務プロセスのまま変わっていません。時間はかかっても、デジタルを前提とし、デジタルで最適化された業務プロセスとして再構築することによって、行政/民間を通じて大幅な社会的コストの低減を図るべきだと考えています。

先般電子インボイス推進協議会が立上り、お蔭さまで非常に注目もいただいています(既に多くの入会希望をいただいています)。これはこれでもちろんしっかりとやっていく。しかし私の本当の想いは電子インボイスに留まりません。確定申告や年末調整など、長年慣れ親しんだ、逆に言えば時代に合わなくなってきている社会的システムをデジタルの力を活用して圧倒的にシンプルにする。正直時間はかかると思います。それでも何もしなければ何も変わらない。時間はかかっても、少しずつでも、前に進めたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:29 | TrackBack(0) | デジタル化