2020年10月29日

米国における新型コロナウイルス危機(その3)

前回に引き続き、今月頭に参加したLendIt USA 2020を通じて感じた新型コロナウイルス禍によって米国のFinTechにもたらされた「危機」についてお話をしたいと思います。危機は、危険にも機会にもなりうる訳ですが、デジタルやオンラインという観点から機会になっている分野も確かに存在します。一方で、融資という分野については、危険が先行しているということを前回お話ししました

劇的な環境変化の中での緊急避難的な資金繰りニーズには応えることができない。それは、国の役割。一方で、公的な支援によって、お客さまの資金繰りに一旦目処が立つと、通常の資金ニーズも生まれなくなってしまう。新型コロナウイルス禍は、事業者のUnderbanked解消に力を発揮してきたオンラインレンダーにとって、試練の時をもたらしています。

そういった中で象徴的なM&Aが、この夏立て続けに発表されました。一つはEnovaによるOnDeckの買収、もう一つはAmerican Express(AMEX)によるKabbageの買収です。

EnovaによるOnDeckの買収は、正直に言って、追い込まれての買収という側面が強いかと思います。OnDeckは2014年12月に、オンラインレンダーとして初めて、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しました。上場時には$1.3B(約1,370億円 @ 105円/$)という時価総額だったOnDeckですが、業績は期待ほどには伸びず、近年は時価総額が低迷していました。今回Enovaによる買収の対価は$122M(約130億円)ということで、全盛期の1/10以下の評価で買収されたということになります。ただ、これが全て新型コロナウイルス禍によるものかというとそうではありません。もともと業績が低迷していたところに、新型コロナウイルス禍が追い打ちをかけたというのが正解だと思います。

ちなみに、Enovaという会社は私も初耳だったのですが、2000年代から消費者向けのローンをCashNetUSAといったブランドで提供してきた会社だそうです。Enova自身の時価総額は現時点で$600M(約630億円)弱ということで、かつては自分を上回る時価総額だった会社をこの機会にうまく飲み込んだということになります。ただ、米国経済の先行きが不透明な中ではかなり思い切った買収と言えるかと思います。

OnDeckのケースは、後ろ向きな側面が強いかと思いますが、AMEXによるKabbageの買収はそうとは言い切れない部分があります。KabbageはOnDeckとならぶ代表的なオンラインレンダーですが、OnDeckとは異なり、未上場のままでした。2017年にはソフトバンクによる出資を受け入れており、この際の評価額は$1.2B(約1,260億円)といわゆるユニコーンの一社でした。今回のAMEXによる買収は$850M(約900億円)と言われており、これだけを見れば、以前の評価額から下げての買収ということになります。もっとも、今回のAMEXによる買収にはKabbageの既存の貸出債権は含まれていない(その多くは既に証券化されているようですが)ため、それを含めた際のトータルでの評価額は判明していません。ただいずれにせよ、全盛期の1/10以下で買収されたOnDeckと比べれば、Kabbageはそれなりに高い評価をされて買収されたと言えるかと思います。

なぜOnDeckとKabbageで評価が分かれたのか。それはこの後にお話しする新型コロナウイルス禍によってもたらされた「機会」をどれだけ享受できる可能性があるかに密接にかかわっているように思えます。

それにしても、高い評価を受けることもあれば、一転低い評価を受けることもある資本市場ですが、評価が低くなった瞬間にすぐにM&Aの対象となるというのがいかにもアメリカだな、と思います。Kabbageの創業者は既に次のベンチャーを立ち上げているというのも、これもまたいかにもアメリカです。経済の先行きも政治の先行きも不透明な中でも株高が続いており、危うさも感じさせる米国市場ですが、このダイナミズムがある限り、一旦は屈むことはあったにせよ、時間はかかっても必ず盛り返すのだろうと思います。

次回は、いよいよ新型コロナウイルス禍によってもたらされた「機会」についてお話ししたいと思います。(続く)
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2020年10月27日

米国における新型コロナウイルス危機(その2)

少し前に、今月頭に参加したLendIt USA 2020を通じて感じた新型コロナウイルス禍によって米国のFinTechにもたらされた「危機」についてお話をしました。危機は、危険にも機会にもなりうる訳ですが、デジタルやオンラインという観点から機会になっている分野も確かに存在します。

ただし、融資という分野については、危機が先行しています。新型コロナウイルス禍によって、景況が悪化する中で、KabbageOnDeckといったオンラインレンダーには、緊急避難的な資金繰りニーズによる申し込みが急増しました。ただ、Kabbageは「我々は"Emergency relief"(緊急救援)のために存在している訳ではない」ため、ニーズに応えられないということで、4月には融資をストップしました。また、OnDeckについても、「“Anticipatory” borrowing(先行きの悪化を予想しての駆け込み需要) が急増したが、応えきれるものではなく、4月中旬までに新規融資をストップした」とのことです。

これはオンラインレンダーに限ったことではありませんが、融資はその返済がなされる蓋然性が一定程度確保されているからこそ成り立つものです。特に米国では多くの事業者が事実上の活動停止に追い込まれる中で、返済がなされる蓋然性が確保できなくなりました。オンラインレンダーは、これまで、ややもすれば従来型の金融機関のサービスが行き届かない小規模事業者向けにサービスを提供してきました。いわば事業者版のUnderbanked(銀行に相手にしてもらえない層)の解消に価値を発揮してきたわけです。ただ、今回の経済環境の激変の中では、事業基盤がしっかりした事業者を多く抱えている大手銀行と比較し、事業基盤がぜい弱な小規模な事業者向けにサービスを提供しているオンラインレンダーは一番直接的に影響を受けたと言えます。

こういった状況の中で、米国においても公的な支援策が実行されました。これはもちろん必要なことですが、公的な支援策によって、事業者は一旦資金繰りに目処が立つ状況になり、そうなるとしばらくはそもそも融資の需要が減ることになります。

劇的な環境変化の中での緊急避難的な資金繰りニーズには応えることができない。それは、国の役割。一方で、公的な支援によって、お客さまの資金繰りに一旦目処が立つと、通常の資金ニーズも生まれなくなってしまう。新型コロナウイルス禍は、事業者のUnderbanked解消に力を発揮してきたオンラインレンダーにとって、試練の時をもたらしています。

こんな中で、米国におけるメジャーなオンラインレンダーであるKabbage、OnDeckの両社とも買収されるということが発表されています。KabbageはAmerican Express(AMEX)によってOnDeckはEnovaによって買収されることが発表されています。(続く)
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2020年10月22日

社員総会 2020

今年も先週金曜日に社員総会を開催しました。昨年は台風の接近にハラハラしながらの開催となりましたが、今年は今年で新型コロナウイルス禍のただ中。例年ですと、大規模なホテルの宴会場で開催するのですが、今年に関しては皆が集まっての開催は断念せざるを得ませんでした。

本ブログでもお話ししましたが、少し前にはカスタマーセンターの総会も開催しました。やはり会場に集まっての開催を断念し、オンライン開催としましたが、これは皆オフィス(カスタマーセンター)にいるものの、それぞれの席でオンライン参加という形式でした。これに対しカスタマーセンター以外では、リモートワークを主軸としているメンバーが多いため、今回の社員総会は私を含め、ほとんどの人が自宅からのオンライン参加となりました。

オフィスの自席からのオンライン参加は、まだ周りに人がいて、空気は共有している状態ですから、一体感はある程度残されていますが、皆がそれぞれ自宅からの参加となればどうなるか。正直心配しながらの開催となりました。

しかし、ふたを開けてみれば、今年の社員総会はサイコーでした(まあ、大体毎年サイコーと思っているのですが、笑)。オンライン開催ということもあり、あなた話す人、私たちはじっと聞く人という構図を軽減するため、プレゼンテーション形式は前半にとどめ、後半は、ファイアサイド・チャット形式(直訳すると暖炉脇での会話となりますが、少人数でのカジュアルな座談会)、パネルディスカッション形式など多様なスタイルを組み合わせました。結果的に、最後まで飽きることなく、と言うよりも、最後に向かって盛り上がっていったように思います(ということは冒頭の私のプレゼンは最低地点だったことになります、苦笑)。

Slack(チャットツール)に社員総会の専用チャンネル(書き込み板と言えばいいのでしょうか)を立上げたのですが、盛り上がり具合は、このチャンネルへの書き込みで一目瞭然でした。最後の「20年後の自分と弥生を考える」セッションはパネリストと(Slackを通じて)皆が一体化した感覚がありました。

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ビジネスセッションがだいぶ伸びてしまいましたが、19時過ぎからはお楽しみのビアバスト。予め特製のお弁当を各自の自宅に送付してあります(飲み物は定額を支給して各自で調達)。ビアバストの企画は毎年若手メンバーで準備するのですが、今年はオンライン開催ということで、だいぶ悩んだようです。ただ、その甲斐あって、ニュース番組企画もノベルゲームも盛り上がりました。ノベルゲームは皆の選択でゲームの進み方が変わるのですが、真面目なチーム弥生らしく、最初から最後まで正解を選び続けてしまい、最速でゴールにたどり着きました。ゲームを楽しむという意味では、たまにはわざと外すことによって脇道を歩みたいところなのですが、ついつい正解を選んでしまう。これも弥生らしさですね(笑)。

最後は恒例の大抽選大会。そして締め。この間ずっとSlackの流れるスピードが速いこと速いこと。オンライン開催でしたが、ある意味例年以上に一体感を感じることができました。ビジネスセッション、ビアバスト共に準備頂いた皆さん、本当にお疲れさまでした。チーム弥生でFY21も頑張りましょう。
posted by 岡本浩一郎 at 21:38 | TrackBack(0) | 弥生

2020年10月20日

ようこそ弥生へ(社外取締役の就任)

昨日10/19付けで弥生は太田直樹さんと林千晶さんを社外取締役として迎えました。現在の弥生の株主はオリックス(と超マイナーですが私)であり、会社の所有と経営は完全に分離されています。取締役会のうち3名は社外取締役として株主から迎えており、経営者の暴走を防げるガバナンス体制になっています。しかし、オリックス傘下になってからほぼ5年となり、いい意味でも悪い意味でも居心地のいい取締役会になっています。今後も弥生が健全に継続的に発展していくために、社外の有識者の目が必要だと考えていました。

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今回社外取締役に就任いただいた太田さんと林さんは、二人とも従前からの私の知人です。ただ、言い方はなかなか微妙ですが、友人と言えるほど親しいわけではありません(笑)。あまりにも親しい間柄であれば、社内取締役と社外取締役とのいい意味での緊張関係を築けませんからね。それだけに、社外取締役への就任を打診する際にはドキドキしながらでしたが、幸いなことにお二人ともご快諾いただくことができました。

太田さんは私と同様BCG(ボストン コンサルティング グループ)出身。もっとも滞在期間が短かった私と比べ、太田さんはパートナーまで務められていますので、比較になりませんが。私のBCG在籍中は残念ながらプロジェクトをご一緒する機会はありませんでしたが、BCG卒業後にはBCGのアラムナイパーティなどでたまにお話しする機会がありました。今年6月には、弥生は他4社と共同で、確定申告や年末調整などの社会的システムをデジタルを前提として再構築することを提言しましたが、これを提言で終わらせるのではなく、現実のものとするために、太田さんの民間と行政の両面にわたる経験が活きるものと思っています。

太田さんと私は共通項が多めなのですが(改めて経歴を拝見すると、大学卒業の年もビジネススクール修了の年も一緒でした!)、いい意味で私と大きく異なるのが林さんです。やや安直な例えですが、私が左脳派だとすると林さんは右脳派。社外取締役就任にあたって「『弥生』という社名は、社内公募で決まったと聞きました。旧暦の三月は、まだ寒さが残るけれど、一歩ずつ確実に春へと向かっていく。そんな未来に対する希望が想像される、いい社名だと思います」というメッセージをいただきました。こんなところにも、林さんらしさが詰まっています。一足先に社内イベントで登壇いただいたのですが、これまでの経営陣との違いを皆実感したのではないかと思います。そんな林さんですが、クリエイティブ・カンパニーであるロフトワークさんの共同創業者であり、起業家、経営者という弥生のお客さまを象徴する存在です(実際にロフトワークさんは長年の弥生ユーザーだそうです)。

太田さん、林さんという新たな応援団兼監督を迎え、弥生が今後どのような価値をお客さまに提供していくのか、それによってどのように成長していくのか、徹底的に議論し、実行していけることを楽しみにしています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:08 | TrackBack(0) | 弥生

2020年10月15日

奨学金返済支援手当

新型コロナウイルス禍の関係もあり本ブログでお話しする機会を逃していましたが、昨年秋より弥生では、奨学金返済支援手当の支給を開始しています。これは、大学(院)・高専での学業に伴って借り入れた奨学金の返済を会社として支援するというものです。対象者は1等級/2等級の正社員など大学を卒業してからの日が浅い = 奨学金の返済がまだ進んでいない、比較的ジュニアなメンバーとなりますが、最長5年間、奨学金の返済額と同額を会社から支給します。例えば、月々の返済額が2万円だとすると、2万円×12ヶ月×5年間で合計120万円の手当を支給することになります。

この制度を作ったのには、実はちょっとしたきっかけがありました。若手メンバーのYさんは、今どきにしては珍しいクルマ好き。ただ、残念なことに少し前に当て逃げの事故にあってしまったのです。怪我がなかったのは何よりなのですが、お気に入りの愛車(かなりユニークなクルマでした、笑)は全損。悪いことに車両保険に入っていなかったため、金銭的にも全損になったとのこと。新しいクルマを買うのか聞いたところ、奨学金の返済もありますし、将来も考えなければいけないので、クルマは買いませんとのこと。殊勝な顔をしていたことを覚えています。

気になったので人事と相談したところ、確かに最近は奨学金の返済がある人が増えているとのこと。こちらの記事によると、少し古い数字(2016年度)ですが、大学・短大生では2.6人に1人が奨学金を利用しているそうです。奨学金と言えば聞こえはいいですが、結局返済が必要な借金です。地道にでも返済ができればいいですが、過去5年間で奨学金を返済できない故の自己破産が延べ15,000人もなるとのこと。

私自身は幸いにして恵まれた環境にあり、進学する際にお金の心配をする必要はありませんでした。ただ、過去と比べ、大学への進学率が上昇し、大学に行く人が増える中で、奨学金に頼らざるを得ない人が増えているのかと思います。

弥生における給料は基本的に、アウトプットに対する報酬です。このため、昔ながらの企業であるような、住宅手当や配偶者手当といったものはありません。住宅の有無や配偶者の有無で報酬が変わるべきではないと考えており、その原資があるのであれば、本来のアウトプットに対する報酬として支払うべきだと考えているからです。そういった意味では、この奨学金返済支援手当は例外的な扱いです。大学を出て以降の住宅をどうする、配偶者をどうするは本人の意思ですが、大学から背負った借金は必ずしも本人の意思では左右できない部分だと考えているからです。実際にこの制度を利用する人は約50人程度。この制度ができて本当に助かったという声を多くいただいています。

それでも実は日本はまだマシな状況です。アメリカでは学生ローンが社会的な問題になっています。この記事によると、現在4,400万人を超えるアメリカ人が総額1兆5,600億ドル(約170兆円!)を学生ローンで借りているそうです。この額は、アメリカのクレジットカードの合計債務額の1兆2,000億ドルよりも多く(!!)、また自動車ローンの合計債務額よりも約5,210億ドル多い(!!!)のだそうです。

アメリカと比較して比較的廉価に教育を受けられることは日本の良さだと思いますし、多くの方が望む教育を受けられるような社会であるべきだと思います。教育を受けたことによる負担を多少なりともカバーし、機会の均等を実現することを、弥生として応援したいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 23:26 | TrackBack(0) | 弥生

2020年10月13日

API契約完了

既に弥生のウェブサイトで公開していますが、弥生は9月末をもって、弥生の口座連携機能(スマート取引取込)で連携している全ての金融機関とのAPI契約を完了しました。

2018年の銀行法の改正により、金融機関の口座情報を取得する事業者は、電子決済等代行業者として2020年9月末までに金融機関とAPI契約を締結することが義務付けられました。これに伴い弥生は、2018年12月に電子決済等代行業者としての登録を完了し、電子決済代行業者として、金融機関とのAPI契約を行い、従来のスクレイピング連携から、金融機関の預金残高や取引明細を正確かつ安全に取得できるAPI連携への切り替えを進めてきました。

本ブログで金融機関とのAPI接続について初めてお話ししたのが2018年4月のこと。ただ、実際には2017年の半ばには問題意識を持って動き始めていました。問題意識というのは、電子決済等代行業者N社と金融機関N社の間でそれぞれが個別に契約を結ぼうとすると、N対Nという膨大な数の契約交渉が必要になるという、いわゆる「N対N」問題です。N対N問題を回避するためには、電子決済等代行業者と金融機関が議論の出発点として活用できる標準的な契約案が必要です。そこから紆余曲折はありましたが、2017年11月には、全国銀行協会が事務局となるオープンAPI推進研究会が立上り、この場での議論を経て、改正銀行法対応のAPI利用契約の条文例をとりまとめることができました。

こうやって振り返ってみると、ここに至るまでに、実に3年以上という時間を要した訳です。正直時間はかかりましたが、それでも標準形となる条文例があったからこそできたこと。条文例がなく、いまだにN対Nで一から議論をしていたとすると、まだまだ終わる目処は立っていないでしょう。

ただ、実は今回何とか間に合わせた9月末というのは延長された期限です。もともとは法令上、5月末までの契約締結が求められていました。この時点では残念ながら一定数の金融機関との契約締結が間に合わず、一時的にでも口座連携を停止せざるを得ない金融機関が発生しそうだったのですが、新型コロナウイルス禍を受け、ギリギリで期限が延長されたという裏事情があります(これは新型コロナウイルス禍という不幸中の幸いです)。

締結したAPI契約に基づき、現時点で88の金融機関とAPI連携が完了しており、これは弥生会計(デスクトップ/オンライン)の口座連携機能をご利用のお客さまが登録している口座の約90%に当たります。残り50の金融機関に関しては、金融機関側での準備が整い次第順次API連携を進めていきます。

契約締結でも苦労しましたが、ぶっちゃけていうとお金がかかっているのもAPI契約の特徴です。一行一行でかかるコストはそこまで大きくなくても、100行以上と契約を結ぶとなると、年間を通じてかかるコストはウン億円です。これも弥生のお客さまが自動化のメリットを享受するため。これだけの労力とコストをかけて金融機関との口座連携を行っている訳ですから、もっともっと多くのお客さまに口座連携による自動仕訳のメリットを享受していただきたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 20:56 | TrackBack(0) | 弥生

2020年10月09日

米国における新型コロナウイルス危機(その1)

先週参加したLendIt USA 2020ですが、お話しした通り新型コロナウイルス禍によってバーチャル開催となりました。日本では新型コロナウイルス禍は比較的落ち着いた状態に(今のところは)なっていますが、米国では新型コロナウイルス禍の収束の目処が立っておらず、米国経済全体に大きな影響が出ています。それはFinTechについても例外ではありません。

今回LendIt USAに参加して感じたのは、新型コロナウイルス禍はFinTechにとってまさに「危機」であるということ。これは私がいつも思っていることですが、危機は「危」と「機」の二文字、すなわち「危険」と「機会」で成り立っています。うまく乗り越えられなければ存在意義が問われる危険、一方で、進むべき方向を見極め、それに応じた方向転換をすることによって大きな成果を得られる機会、どちらにも転がりうるのが、今回の新型コロナウイルス危機であると考えています。

FinTechといっても、支払い/決済や、融資、資産運用など様々な分野が存在しますが、この中には新型コロナウイルス禍がまさに追い風になっている分野も存在します。例えば、オンラインショッピングの利用が広がる中で、支払い/決済に関するFinTechは大きな追い風を受けています。もともとデジタルの活用は日本よりも明らかに進んでいる米国ですが、その米国においても、今回の新型コロナウイルス禍によって、「デジタル・エコノミーへのシフトが5年から10年分の跳躍を遂げた」と言われています。今回のLendItでも登壇するパネリストによる「うちの親も遂にオンラインで買うようになった」といったコメントも複数見られました。ですから一口に支払い/決済といっても、リアルな店舗での利用が中心のSquareにとってはマイナス面がある一方で、オンラインでの利用が中心となるStripeは大いにプラスとなっているのではないでしょうか。

資産運用という観点では、3月には相場が大きく崩れたものの、4月には値段を戻し始め、夏には新型コロナウイルス禍前に近いところまで戻しています。金融緩和によるものであり、正直バブル感は否めませんが。米国でも特別定額給付金のような支援が実施されていますが、それをスマホ証券会社で投資に回すRobinhooder(名前はスマホ証券会社の代表格Robinhoodから)の存在が相場を押し上げる要因となっているとも言われています。そういった意味で資産運用という観点でも追い風と言えるかもしれません。

では融資という観点ではどうか。FinTech全体をカバーするカンファレンスとしてはMoney 20/20などいくつか存在しますが、LendIt USAはその名が示す通り、融資分野を中心としたカンファレンスです。だからこそ5回連続で参加してきている訳です。結論からお話しすると、融資分野においては、新型コロナウイルス禍はまさに危機です。危険でもあり、機会でもある。危険だけでもないし、機会だけでもない。何が危険で、何が機会なのか、次回お話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 18:32 | TrackBack(0) | アルトア

2020年10月07日

一人時差

去る10/1に内定式を開催したと書きましたが、実は私、この日はあまり本調子ではありませんでした。というのは、9/30から10/2の3日間、NY時間で仕事をしていたからです。正確には、9/29の夜からですね。

私が毎年参加しているLendIt USAというイベントがあるのですが、今年はもともと5月にNYで開催される予定でした。しかし、新型コロナウイルス禍を受け、3月中旬には、9/30からの開催に延期されました。ただこの時点ではまだリアル会場での開催の予定。その後の特にアメリカでの新型コロナウイルス禍の広がりを受け、6月末には、今年に関してはバーチャルイベントとすることが発表されました。

バーチャルイベントなので、出張しなくていいのは大きなプラス。例年は4日程度は出張するため、その期間を空けるためのスケジュール調整はそれなりに大変ですが、今年はその点気軽でした。ただ、バーチャルイベントといっても、どこかのリアルな時間に基づいてスケジュールが設定されます。今回は、元々の開催会場であるNY時間(米国東部標準時)。米国東部標準時は日本との時差が14時間(夏時間)。ほぼ完全に昼夜逆転です。このため、9/29の夜23:45に最初のセッションが始まり、終わるのが翌朝6:00というのスケジュールを3日間続けることになりました。

もちろん出張の際にもこの時差を乗り越えなければなりません。それでも出張の時は現地の太陽がありますから、例えば朝やお昼に日光を浴びることである程度体を慣らすことができます。しかし、今回のような一人時差の場合、回りが寝静まった真夜中に活動を開始し、空が明るくなってくる頃に活動終了となります。これは正直結構辛かったです。

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身体的には辛かったですが、内容的には参加して正解でした。新型コロナウイルス禍がアメリカのFinTechに、もっと言えば社会全体にどんな影響を与えたのか、よく理解することができました。メディア等でも色々な情報は伝わってきますが、やはり自分で情報を取りに行く、もっと言えば空気を感じ、肌感覚を得ると見えてくるものが変わってきます。もちろん、リアル開催と比べると、得られる肌感覚はだいぶ薄まってしまうのですが。それでもリアルタイムで参加すると、コメントや質問などをリアルタイムで見ることができるため、ある程度は空気を感じることができます。

逆に言えば、空気を感じることを目的としないのであれば、日本の普通の時間に録画を見る方が簡単ですね。今回のイベントは全て録画され、数日後に(イベント参加者に = 有料で)公開されています。

LendIt USAへの参加はこれで5回目。登壇者も見知った人が多く、懐かしく感じました。リアル開催だと現地で隙間時間に情報交換できるのですが、今回はそれができないのが残念。ただ、彼らが色々な困難に直面しつつも活躍していることを確認できたことは良かったと思います。次回は、今回のLendIt USA 2020で見えてきたことについて少しお話ししようと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:16 | TrackBack(0) | アルトア

2020年10月05日

内定式 2020

10月といえば、弥生にとって新しい年度の始まりであると同時に、楽しみなイベントも多い月です。その皮切りとして、10月1日に来年4月に入社する新卒社員の内定式を開催しました。今回の内定者は5名。

新型コロナウイルス禍の中、オフィスで内定式を行うか、Zoom開催とするかは悩ましいところでしたが、本人たちの意向を踏まえ、オフィスでの開催としました。基本的にはリモートでできることはリモートで、なのですが、やはり人生における大きなイベントですからね。今回の内定者は選考プロセスやその後のフォローアップなども基本はZoomで行われており、内定者が一堂に会するのは今回が初めてとなりました。もちろん私も直接お会いするのは初めてです。

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(入社前ということで、個人が特定できないように小さな写真のみです。)

今年も5名という少人数でもあり、内定通知書は私が一人ひとりお渡しし、二人目以降も「以下、同文」はなく、全文を一人ひとり読み上げました。以前もお話ししましたが、一人ひとりにちゃんと向き合いたいというのが私ならではの拘りです。逆に言えば、一人ひとりにしっかりと向き合いたいからこそ、採用する人数を絞り込んでいます。弥生もそれなりに事業規模が大きくなってきている中で、もう少し頑張れば10名程度の新卒社員を受け入れることは可能だと思いますが、50人や100人となると無理が出ると考えています。

内定式での自己紹介のプレゼンは毎年楽しみにしているのですが、今年は、ちょっとした(?)芸も披露されたのがサプライズでした。今年も厳選された5名であることは確かですが、決して一芸で選考をしている訳ではない…はず…(苦笑)。パワーポイントの使い方であり、プレゼンのレベルが年々着実に向上しているということは昨年もお話ししたのですが、一芸も加わるとなると来年はとてもハードルが上がります(笑)。繰り返しになりますが、一芸は身を助けるかもしれませんが、弥生の選考はあくまでも中身の勝負(のはず)です。

昨年は夕方に内定式を開催し、その後アルコールも入ってリラックスモードで懇親会を開催したのですが、今年はさすがに断念。内定式を午前中に開催し、広い会議室でゆったりとランチを食べながらの簡単な懇親会となりました。

内定式では私も少しお話しするのですが、新型コロナウイルス禍は世界的な危機。ただ、危機は「危険」だけではなく、「危険」と「機会」で成り立っています。新型コロナウイルス禍という世界が変わるタイミングで社会人としてデビューすることは紛れもない機会です。来年4月に、チーム弥生の一員としてお迎えできることを本当に楽しみにしています。
posted by 岡本浩一郎 at 18:15 | TrackBack(0) | 弥生

2020年10月01日

リモートワーク手当

昨日、9月30日で弥生のFY20が終わりました。例年同様、期末だからといって慌てることはなく、粛々淡々とFY20一年間を走り切ったという感じです。詳細は数字が固まってからまた改めてお話ししたいと思いますが、FY20はしっかりとした成果を収めることができました。

さて、本日10月1日からFY21が始まった訳ですが、FY21はAfterコロナではなく、Withコロナを前提として、働き方の新常態(New Normal)を定着させていく一年になると思っています。緊急事態宣言解除後は、皆がそのままオフィスに戻るのではなく、オフィスとリモートを必要に応じて使い分け、最大のアウトプットを目指す新しい働き方を試行してきました。FY20中においては、あくまでも試行錯誤でしたが、FY21においては、制度として安定的な運営を目指します。

FY21からの新制度では、通勤交通費を見直すと同時に、リモートワーク手当を全員に支給します。どの程度リモートワークになるのかは、職務によりますが、リモートワークの頻度に応じて、通勤手当とリモートワーク手当を組み合わせて支給します。リモートワークが基本となる方の場合には、会社に出社した際の通勤費は実費支給となります(定期代は支給されません)。同時に、リモートワークの際に必要となる諸経費(光熱費や通信費など)に対する見合いとしてリモートワーク手当を月額7,500円支給します。

逆に、オフィスワークが基本となる方には、引き続き、通勤費として定期代を支給します。これと同時に、リモートワーク手当を月額5,000円支給します。オフィスワークが基本なのに、リモートワーク手当?と思われるかもしれませんが、これは通常はオフィスワークであっても、必要な時にいつでもリモートワークに移行できるように備えてほしいということです。リモートワークに備え、ご自宅に光回線をご準備いただきたい、その見合いとしてリモートワーク手当を支給します。

幸いにして、新型コロナウイルスの感染拡大は足元で比較的落ち着いた状態ですが、この先冬に向けて、再び感染が拡大することも可能性としては否定できません。その際に、オフィスワークが基本であるカスタマーセンターについても、必要に応じリモートワークを組み合わせられるように、全員の方にリモートワークができる環境の整備をお願いし、そしてそのためにリモートワーク手当を支給します。ですから、実際にどの程度リモートワークとなるのかは別として、基本的にすべての方にリモートワーク手当を支給することになります。

これに加えて、机などリモートワークのための環境を整備するために、リモートワーク環境整備補助金(一時金)として50,000円を支給します。これは実は既にほとんどの方に支給済みなのですが、今後入社される方についても入社時点で支給します。

弥生は、当たり前のように会社に行くというかつての働き方にはもう戻りません。オフィスワークとリモートワークを適切に組み合わせることによって、ワークライフバランスを改善すると同時に、最大のアウトプットを目指します。もちろん、この種の制度には完ぺきなものはないと思いますし、実際に制度として運営した上で、見直すべき点は随時見直していきます。いよいよ始まったFY21、Withコロナを前提として、働き方の新常態(New Normal)を実践していきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 17:46 | TrackBack(0) | 弥生