2020年12月28日

卒業

この度、本年12月末をもって、卒業することとなりました…。なんて、久し振りに思わせぶりな書き出しですが、私のことではありません(笑)。ただ、13年経っての卒業ということで、私の弥生歴とかなり近い存在ではあるのですが。

本年12月末をもって、弥生の札幌カスタマーセンター(CC)はこれまでのマルイト札幌ビルから卒業し、新たに日本生命札幌ビルに拡大移転します。弥生が現在のマルイト札幌ビルに札幌CCをオープンしたのは、2007年7月のことです。それまで弥生のCCといえば大阪でしたが、事業規模の拡大および、事業継続性の観点から、札幌との二拠点体制とすることにしました。ただ、当初の札幌CCはわずか30席でのスタート。当初は二拠点というよりも1.2拠点といった状態でした。しかしその後札幌CCは増床と増員を繰り返し、2013年10月には一気に400席を超えることとなり、大阪CCを超える規模となりました。ただ、増床を繰り返した結果、賃借スペースが3フロアに渡ることとなり、ややスペース効率が悪くなっていました。

私が札幌CCを初めて訪れた時は、弥生の中で一番素敵なオフィスと感じたものです。しかし、その後東京本社が秋葉原に移転し、また大阪CCも淀屋橋に移転し、その際に働きやすい環境を作ることに注力した結果、当時は素敵だった札幌CCも今から見るとやや古びた感が生まれていたのも事実。

ということで、この度、日本生命札幌ビルに移転することになりました。日本生命札幌ビルは道内最大級ということで、1フロアが830坪。弥生が入居するスペースは710坪ということで、見事に1フロアに収まります。新型コロナウイルス禍により3月以降札幌に出張できていないため、私自身はまだ見ることができていないのですが、なかなか壮観だそうです。売りは北海道庁の旧本庁舎(赤レンガ)がキレイに見えること。働く皆さんからすると、札幌駅、大通り公園駅、すすきの駅まで地下通路で直結していることが大きなポイントでしょうか。特に冬場は地下の方が圧倒的にラクですよね。

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今日は業務終了後に、有志が企画した卒業式を開催しました。画像は卒業記念で制作されたビデオ(良い出来でした)からの一コマですが、ちょっと謎めいていますね。まるで私が好きな謎解きのようですが、種明かしをすると、北2条西1丁目(N2W1)のマルイト札幌ビルから、北3条西4丁目(N3W4)の日本生命札幌ビルということのようです。

私が弥生に入社したのが2008年4月ですが、それ以降事業の拡大とともに、東京大阪名古屋福岡を移転、広島仙台には新たに営業所を開設しました。唯一残っていたのが札幌ですが、これで全ての拠点を拡大・移転・新設したことになります。

さて、今年の営業日は本日で終了(注)。これまでにない辛抱を強いられた一年であり、本当にあっという間に終わってしまいました。それでも振り返れば、やるべきことはしっかりこなしつつ、将来に向けた取組みも着実に前進させることができたいい一年にすることができました。これも、お客さま、そして、パートナーの皆さまのお力添えのお陰です。同時に、チーム弥生の皆がチームとして困難に立ち向かってきたからこその結果でもあると思っています。みんな、本当に有難う。

新型コロナウイルス禍の収束が見通せない状況ではありますが、年明け1/4(月)には札幌に出張し、開所式に参加する予定です。久し振りに札幌の皆さんに会えることを楽しみにしています。
本ブログを読んでいただいている皆さま、本年もお世話になりました。良いお年をお迎えください。

(注) アルトアは事業者の資金繰りを支えるため、年末ぎりぎり12/30(水)まで営業します。12/30の朝一までのお申込みであれば、最短で年内のご融資が可能です。
posted by 岡本浩一郎 at 18:19 | TrackBack(0) | 弥生

2020年12月24日

なぜ後工程からなのか

前回は、インボイス制度をきっかけにどのように業務効率化を実現しようとしているのかお話ししました。目指すのは、見積〜受発注〜請求〜支払/入金消込業務という一連の商取引がデジタルで一気通貫となる世界。社内にとじたIT化ではなく、社外ともデジタルでつながる世界。一方で、このビジョン自体は弥生として少なくとも5年前から掲げつつも、なかなか進んでいないともお話ししました。

なぜ、進んでいないのか。この一連の流れは、ざっくり言って、見積〜受発注〜納品という前工程と、請求〜支払/入金消込業務という後工程に分解することができます。このうち、これまで注目されてきたのは前工程です。商取引の中で、直接的に付加価値が生まれているところは、発注から納品が中心になりますから、そこにフォーカスが当たること自体不自然なことではありません。いわば日なたの存在。それに対し、後工程はどちらかというと、それの付随工程。いわば日陰の存在。

この種の仕組みは一般的にEDI(Electronic Data Interchange, 電子データ交換)と呼ばれており、大企業を中心に導入が進んでいますが、これらEDIは基本的に受発注が中心です。そして受発注を中心としたEDIは大企業を中心に業界単位では標準化されていますが、業界を超えて利用できる日本標準仕様は実現していません。これは受発注というプロセスには業界の固有性が大きいためです。例えば、電機製造業で必要とされる仕様と流通業で必要とされる仕様に差が大きい。このため、業界内では成立しても、業界を超えて利用できる標準仕様の策定が難しいということです。

これに対し、後工程は比較的業種による固有性が小さいのが特徴です。受発注は対象となるモノやサービスが多岐に渡り、標準化が難しいのに対し、請求〜支払は言ってしまえばおカネのやり取りですから、業種によるプロセスの差が大きくありません。だからこそ、業界単位ではなく、日本全体での標準仕様を策定しやすいと考えています。どちらかと言えば日陰の存在の後工程ですが、逆に日陰の存在であり、固有性が大きくないが故に標準化も実現しやすいと考えています。

もう一つ、電子インボイスという後工程から進めようとする理由は、電子インボイスの前提となるインボイス制度が2023年10月にスタートすることが決まっているから。標準化は望ましいものではあっても、明確な期限がなければ、なかなか意見がまとまらないもの。それに対し、電子インボイスについては、2023年10月という明確な期限があるため、個々の意見は脇において、皆で標準化を進めやすいと考えています。

とは言え、今回決めたPeppolをベースに、来年半ばまでに日本標準仕様を策定するまで(そしてそれ以降も)様々なハードルが待ち受けているものと考えています。ただ、この機会で誰でもが利用できる、利用することが当たり前の仕組みを作らないと、もう永遠に実現できないのではないか、という危機感も持っています。日本全体としてもデジタル化に対する機運が高まっているこのタイミングで、まずは後工程から、日本の商取引のデジタル化に取り組んでいきたいと思っています。

Happy Holidays!
posted by 岡本浩一郎 at 23:42 | TrackBack(0) | デジタル化

2020年12月22日

電子インボイスが実現する業務効率化

前回はインボイス制度についてお話ししました。そしてこれを単なる法令改正対応に留めるのではなく、電子インボイスを通じて圧倒的な業務効率化を実現したいということをお話ししました。どうやって業務効率化を実現するのか、まず現状を振り返るところから始めたいと思います。

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一般的な商取引(ここでは特にB2B取引を想定)では、特に中小企業においては、見積から請求、支払までの業務の多くが紙と手作業で成り立っています。見積書をFaxで送信し、それに対し発注書もFax。納品書は紙として納品物に添付し、請求書は別途郵送。請求に対し、入金がなされたかは、預金通帳の明細を逐次チェックして確認。ここでポイントになるのは、決してIT化されていない訳ではないということです。例えば、見積書や請求書は弥生販売Misocaで作成するというのは決して珍しいことではありません。つまり社内においてはIT化されている訳です。しかし、会社と会社の間では途端にアナログになってしまいます。これは会社と会社の間の見積や発注、あるいは請求といった情報をデジタルでつなぐための標準規格が存在しないため、誰でも確実に使えるアナログな標準規格であるFaxや郵便になってしまっているからです。

結果的に、社内のIT化は進んでも、業務効率はなかなか上がりません。売り手側には見積書のデータはある。ただ、それがデータとして買い手に渡ることはないので、買い手は、改めて発注データとして手で入力する必要があります。見積から支払、入金の消込まで、改めて手で確認する、入力するということが何回も繰り返される訳です。

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この一連の流れをデジタル化すればどうなるか。売り手から見積がデータとして買い手に渡る。それは(内容に問題がなければ)そのまま買い手の発注データになる。発注データは逆に買い手から売り手に渡り、売り手にとっての受注データになる。その後、納品と同時に、納品データも買い手に渡って検収データになる。請求データは買い手に渡って、支払データのもととなり、支払データは入金データになる。そして請求データと入金データをシステムで突合することによって、自動消込が可能になる。

全てがデジタルでつながる世界。この世界では、既に存在する情報を改めて手で入力するという必要がなくなります。そしてデジタルデータをもとに多くの業務が自動で処理できるようになります。

あれ、でもこの話どこかで聞いたことがあるな、という方。実に鋭い。実は2016年2月に弥生がMisocaを買収した際に、弥生がMisocaともに実現したいビジョンということでお話ししました。もう5年近く前の話になります(遠い目)。ただ、残念ながら、Misocaとともに掲げたビジョンを実現するには至っていません。

今回の電子インボイスで実現するのは、このビジョンのうち後ろ半分ということになります。すなわちまずは電子インボイスを通じて、請求〜支払/入金消込業務の一気通貫を実現することになります。この部分だけでも大きな業務効率化になるはずです。さらには、まずは電子インボイスが一般化することによって、後工程が自動化され、それが呼び水となって結果的には前工程、すなわち受発注もデジタル化すべきだという流れにつなげていきたいと考えています。

次回は、なぜビジョンの実現に時間がかかっているのか、そして今回なぜ後工程から進めていくのか、についてお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:47 | TrackBack(0) | デジタル化

2020年12月18日

インボイスって?

月曜日に電子インボイス推進協議会(EIPA)を代表し、平井卓也デジタル改革担当大臣を訪問し、日本における電子インボイスの普及を通じた業務デジタル化に向けた提言を行いました。これを受け、翌日には平井大臣が記者会見において、EIPAの取り組みについて、「デジタル化を通じたバックオフィス業務の効率化の実現は非常に重要な課題でありますので、デジタル庁の設置を待たずして、官民連携の上、早急に進める必要のある、デジタル化のフラッグシッププロジェクトだと考えております」と言及いただきましたこちらの動画ニュースでも取り上げられており、私もしっかりと映り込んでおります(笑)。なお、蛇足ですが、このニュース中の「会計データを標準化」というのはミスリードで、正確には「会計データのもととなる電子インボイスを標準化」です(個人的には会計データの標準化も取り組みたい課題ではありますが)。

2023年10月のインボイス制度導入に向けて、大きな一歩を踏み出すことができた、と感じていますが、一方で、一般的な受け止め方としては、「そもそもインボイスって何だ?」ということではないでしょうか。

インボイスというのは、消費税法上、正式には適格請求書と言います。消費税を納めるのは、消費者。ただ、消費者が直接納税するのではなく、事業者が消費者から受け取った消費税から、仕入れ時に支払った消費税の差額を差し引いて納めるということは、以前お話しした通りです。仕入れの際に支払った消費税を差し引くことができるのは、仕入税額控除が認められるからです。

この仕入税額控除を認める条件を、適格請求書等を受領した場合に限るというのがインボイス制度です(適格請求書に加え、適格簡易請求書なども認められるため、適格請求書「等」と総称されます)。仕入税額控除というのはもちろんこれまでも存在したわけですが、これまではいわゆる一般的な請求書等でよく、その請求書は誰でも発行できます(厳密に言えば、軽減税率の導入を契機に、軽減税率の適用を明記する区分記載請求書等が必要になっています)。

これに対し、適格請求書については、発行できるのが、登録された課税事業者のみであるということ、また、記載すべき情報が明確に定められていることが特徴です。例えば、適格請求書には、発行した事業者の登録番号を必ず記載する必要があります。受け取った事業者は、この登録番号によって、発行事業者が確かに登録された事業者であるかどうかを確認することができます。

そういった意味で、インボイス制度は、これまでになかった全く新しいドキュメントが必要になるわけではありません。あくまでも今現在普通に存在している請求書の延長線上にあります。しかし、管理という意味では確実に煩雑になります。これまでは、請求書の発行者が課税事業者であるかどうかを意識する必要はありませんでしたが、今後は、課税事業者であるかどうかを明確に峻別する必要があります。

インボイス制度を法令改正という観点だけで見れば、事業者としては何も嬉しいことはありません。これまで以上にしっかりと管理する必要がある。まあ、一言でいってしまえば手間が増えるということです。これに対し、むしろ手間を減らし、業務の効率化を実現しようというのが、今回取り組む電子インボイスです。

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EIPAでは、EIPAが目指すべきこととして2つを掲げています。一つは、事業者が法令である「適格請求書等保存方式」に対応できるようにすること、ただそれ以上に重要だと考えているのが、二つ目である、デジタル化によって圧倒的な業務効率化を実現することです。では、どうやって圧倒的な業務効率化を実現するのか。次回以降じっくりとお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:16 | TrackBack(0) | デジタル化

2020年12月16日

先手必勝

新型コロナウイルス禍の収束がなかなか見通せません。これまでも本ブログで弥生の対応についてお話ししていますが、足元での感染拡大を踏まえ、現時点では、大阪(大阪府の12/15までの直近1週間での人口10万人あたりの検査陽性者数27.6人)・東京(同26.1人)・札幌(同22.8人)・広島(同22.0人)・名古屋(18.5人)の各拠点で対応レベル3としています。レベル2に残っているのは、仙台(同10.6人)・福岡(同10.6人)ですが、どちらも10人は超えているので、予断は許しません。

こうなってくると、これから先に予定されている恒例の行事をどうするかが悩ましくなります。そう、それは、新年の神田明神への参拝。新年の神田明神の混み具合は密どころではなく、超過密。参拝自体に論理的な必然性はありませんから、行かないとしてしまえば済む話ですが、例年、弥生のためでもありますが、それ以上に、弥生のお客さまのため、日本の中小事業者の皆さんの繁栄をお祈りしています。そう考えると、行かない訳にもいかない…。

また、神田明神は商売の神様ということで、その合理的なオペレーションを観察するのも実は毎年の楽しみだったりします。いかに合理的か、ということは、是非過去の投稿をたどっていただければ(2017年: 合理的な神様、2019年: ますます合理的な神様、2020年: さらに合理的な神様)。

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本殿の前で余裕をもって写真を取れるのはこの時期ならではです。

悩んだ結果、先手必勝ということで、本日少人数で参拝してきました。結果的には大正解。最近の新年の参拝では代表者しか本殿に入れない、また、多くの参拝者のご祈祷を同時に行うということで、住所・代表者名の読み上げが省略された超簡略版(パターン3)になっていました。しかし今日は、参拝した6人全員が本殿に昇殿し、弥生(とそのお客さま)のためだけにご祈祷していただくことができました。もちろん、住所、会社名、代表者名すべてセットのフルバージョン(パターン1)です。

例年参拝する際には、お客さまへの想いをこめて弥生会計とやよいの青色申告のパッケージを持参します(そうです、NHKで全国デビューした時もパッケージを抱えていました。見事に映らないように撮影されましたが…)。今年ももちろんパッケージを持参し、ご祈祷を受けたのですが、最後に「宜しければそちら(パッケージ)をお祓いしましょうか?」と。もちろん喜んで。パッケージを神前に改めて供え、しっかりとお祓いしていただくことができました。これは縁起がいいですぞ > お客さま各位。今年は前例のない一年であり、色々と心労も多かったと思いますが、来年はきっといい一年になるはずです。

ちなみに次回以降どうするかは未定です。手厚くご祈祷いただくという観点では間違いなく先手必勝ですが、混んでいる時にどのようなオペレーションを取るのか、神田明神マニアとしては気になるところです(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 17:14 | TrackBack(0) | 弥生

2020年12月14日

EIPAからの提言

本日12/14に、電子インボイス推進協議会(EIPA)を代表し、SAP内田会長、OBC和田社長と私の3名で、平井卓也デジタル改革担当大臣を訪問し、EIPAからの提言を行いました。

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EIPAでは、7月末の設立以来、毎月1回のペースで日本における電子インボイスの標準仕様に関する検討会合を続けてきましたが、先週12/9に、Peppol(ペポル)と呼ばれる国際規格をベースとして、日本標準仕様を策定すべきであると結論付けました。

Peppolは、電子インボイスなどの電子文書をネットワーク上で授受するための国際的な標準規格です。当初は汎ヨーロッパでの公共調達の仕組みとしてスタートしましたが、近年ではシンガポールやオーストラリアなどでも官民を問わず電子インボイスの仕組みとして活用されるようになっています。

Peppolは国際的な規格であり、これを日本でも活用するとなると、国の関与は欠かせません。良くも悪くも、民間だけではPeppolには対応できません。そのため、民間団体(65社の正会員と特別会員3団体、7名)の総意としてPeppol採用すべきと提言した上で、国の積極的関与をお願いしました。

平井大臣はご承知のように、デジタル改革の担当大臣。日本のデジタル化の旗振り役であり、来年に設置されると言われているデジタル庁の推進役でもあります。今回、その平井大臣から日本における電子インボイス普及に向けて全面的な賛同をいただけました。今後発足するデジタル庁の「フラッグシッププロジェクト」になるとまで言っていただくことができました。

社会的システム・デジタル化研究会であり、電子インボイス推進協議会の活動には、私自身が今年かなり時間を割いてきました。今回、日本における電子インボイスの普及に向けて、民間が一つにまとまり、さらに今回国としての全面的な協力も得られたことは大きな成果だと思っています。ただ、これはあくまでも出発点。Peppolを日本で実現するまでにはまだまだ山谷が予想されますし、それ以上に本当に目指すのはPeppolを動かすことではなく、事業者の皆さんが実際に活用し、業務効率化を実現すること。正直、長い道のりだとは思います。ただ、普段は競争することもある民間が一つにまとまったこと、そして国としてもデジタル化を最重要課題の一つと位置付け自ら動こうとしていることを考えれば、今度こそ、本当の意味での業務のデジタル化を成し遂げられるのではないかと考えています。

次回以降、電子インボイスの普及で目指すこと、そしてPeppolとはどういった仕組みか、お話ししたいと思います。

それにしても、私もブログで旬な話題を発信するように心がけていますが、今日は平井大臣に負けました(笑)。さすがデジタル改革担当大臣です。
posted by 岡本浩一郎 at 18:41 | TrackBack(0) | デジタル化

2020年12月10日

データから見るGoToトラベル

前回ご紹介した「GoToトラベル」を利用している人は新型コロナウイルスへの感染リスクが高いとする東京大学などの研究チームによる調査結果ですが、政治の世界でもかなり話題になっているようです。ただ、相関関係なのか、因果関係なのか、で解釈がだいぶ分かれているようです。

津川先生ご自身が、「Go To トラベル事業の利用者は非利用者よりも新型コロナに感染するリスクが高いことを示して」いるという相関関係を認める一方で、「Go To トラベルの利用が直接的に新型コロナ症状の増加につながったという因果関係は断定できない」とも書かれているんですけどね。この種の話は、それぞれの人が自分が見たい真実を見出いがちということなのかと思います。見たい真実ではなく、本当の真実を見出すためには、データをしっかり見る必要があります。

今回の調査の一部のデータが論文中で記載されていますが、これはなかなか興味深いです。例えば、GoToトラベルへの参加者(N=3,289)では、大学卒以上が60.0%。これに対して非参加者(N=22,193)では、大学卒以上が48.3%。P値(統計的に有意な差があるかどうかを測る指標、小さいほど有意に差がある)が<0.001ですから、確実に差があります。収入が高位層に属する人が参加者は34.8%、非参加者が20.7%。経営者(Employer)である割合が参加者は34.8%に対し、非参加者が3.4%。

単純に言えば、やはり経済的に余裕のある人ほどGoToトラベルを活用しているという傾向があるということかと思います。これを政策として金持ち優遇と見るか、あるいは、補助という呼び水によってお金をどんどん使ってもらうのが目的だからむしろ狙い通りと見るか。

私は基本的に後者という理解です。ただ、金持ち優遇に見えることが心情的に許せないということも理解できます。もっとも健康状態に関するデータを見ると、また複雑な事情が見えてきます。この調査では基礎疾患の有無も調査しているのですが、これを見る限り、GoToトラベル参加者は羨ましいとは言えないように思います。

過体重に該当する方が、参加者26.9%、非参加者19.4%(P値0.04)。P値がやや大きくなっていくので、有意差という意味では少し弱くなっていきますが、高血圧が参加者32.6%、非参加者26.5%。糖尿病が参加者15.7%、非参加者9.9%。喘息が参加者19.7%、非参加者13.2%。心疾患が参加者12.2%、非参加者5.8%。

健康状態という観点でも差がありそうですよね。経済的に余裕があるのは、必ずしもいいことではないのかもしれません(苦笑)。まあ、これも疑似相関なのか、あるいは、相関があるとしてもどんな因果関係なのか、冷静に見極める必要がある訳ですが。
posted by 岡本浩一郎 at 23:42 | TrackBack(0) | その他

2020年12月08日

GoToトラベルと新型コロナウイルス

「GoToトラベル」を利用している人は新型コロナウイルスへの感染リスクが高いとする東京大学などの研究チームによる調査結果が話題になっています。新型コロナウイルスの検査陽性者数が増えているのはGoToトラベルの影響ではないか、とも言われている中で、ほらやっぱり、という受け止め方も多いようです。

ただ、注意しなければならないのは、「GoToトラベルを利用している人は新型コロナウイルスへの感染リスクが高い」ということと、「GoToトラベルが新型コロナウイルス感染拡大の要因になっている」ということはイコールではないということです。また、疑り深い私としては、そもそもこの調査の正当性も気になります。例えば、GoToトラベルを利用する人は高齢者が多い、と同時に、高齢者は感染リスクが高いという関係があると、GoToトラベルを利用する人は感染リスクが高いという必ずしも正しくない因果関係を導き出してしまう可能性があります。以前、「年収が高い人ほど歩くスピードが速い?」という突っ込みどころ満載のリリースを例にお話ししたことがありますが、疑似相関である可能性があるからです。

こういう時は原典にあたってみようということで、調べてみたところ、この調査は、宮脇敦士氏(東京大学大学院医学系研究科)、田淵貴大氏(大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部)、遠又靖丈氏(神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科)、津川友介氏(カリフォルニア大学ロサンゼルス校[UCLA])によって構成される共同研究チームによるものだそうです。

津川先生のブログを読んでみると、さすがに「年収が高い人ほど歩くスピードが速い?」ほどの安直な分析ではありませんでした(査読が終わっていないとはいえ、アカデミックな論文なので、まあそれはそうですよね)。「性別・年齢・社会経済状態・健康状態などの影響を統計的に取り除いた」とありますので、母集団の偏りは排除したもののようです。津川先生のブログでは、「Go To トラベル事業の利用者は非利用者よりも新型コロナに感染するリスクが高いことを示して」いると同時に、「Go To トラベル事業が新型コロナ感染拡大に寄与している可能性があることを示唆しています」と記されています。感染拡大への寄与はあくまでも可能性ということです。実際、この研究の限界として、「Go To トラベルの利用が直接的に新型コロナ症状の増加につながったという因果関係は断定できない」とも明確に記載されています(その他の課題も明確に記載されています)。

個人的には、「GoToトラベルを利用している人は新型コロナウイルスへの感染リスクが高い」のは当たり前だと思います。家にこもっているよりは、外に出て活動する(特に旅行の場合、食事も基本的に外食とならざるを得ない)方が、感染リスクが高くなるのは当然のことではないでしょうか。逆に、「GoToトラベルが新型コロナウイルス感染拡大の要因になっている」については、主要因かどうかは言い切れないものの、一定の要因になっていることも当たり前と言えば当たり前だと思います。人々が家にこもった状態よりは、旅行する人が多い方が感染拡大はしやすい。

結局は程度問題なのかと思います。そもそもGoToトラベルであり、その他のGoToも含めて、感染リスクをゼロにすることは目指していないはずです。感染リスクをゼロにするのであれば、皆が家にこもるのが一番。でもそれでは日本経済が壊滅的な打撃を受けかねない。そうならないよう、感染リスクを極力下げながらも、人が行動し、経済を回す。ですからGoToが主要因として感染が爆発し、制御できない状態になることはもちろん許容できませんが、一定程度の感染につながることは本来織り込み済みではないでしょうか(なかなか公言しにくいことだとは思いますが)。

そういった意味で、今回の調査は、なかなか興味深い結果だと思います。今回の分析で意外とも言える結果は、「GoToトラベルの利用経験による有症率の違いは、65歳以上の高齢者よりも、65歳未満の非高齢者で顕著」だったということ。これには、「高齢者の方が新型コロナ感染を恐れているため、たとえ旅行をしても慎重に行動し、その結果として感染リスクを増加させていなかった」という仮説が提示されています。とすると、高齢者に自粛を要請するのは実は的外れなのかもしれません。津川先生もGoToトラベルがダメだと言っている訳ではありません。「感染者数の抑制のためには、対象者の設定や利用のルールなどについて検討することが期待されます」と。今回の調査にも色々と限界はありますが、定量的なデータを活用し、ゼロイチではなく、最適解を見出そうとすることが大事なのではないでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 23:36 | TrackBack(0) | その他

2020年12月04日

新常態の運動会

少し前になりますが、小学校の運動会が開催され、お手伝いに行ってきました。あれ、娘は小学校を卒業したのでは、と思われた方、鋭い。はい、娘は卒業しましたが、父親の会には卒業がないという名言(迷言?)があり、お手伝いに行ってきました。

例年この小学校の運動会(スポーツフェスティバルという名称が今どきです)は5月開催ですが、今年に関しては新型コロナウイルス禍の影響を受け、見送りとなっていました。それから時間が経ちましたが、子どもたちのために何とか開催したいという先生方の熱意の結果、10月末に無事開催することができました。

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新型コロナウイルス禍の中での運動会開催ということで、開催方式は大幅に見直しになりました。学年ごとに競技をする時間を分け、まずはある学年がグラウンドに移動して競技、その次は別の学年と入れ替えを行い、その学年の競技という方式となりました。ある一時点でいうと、一学年とその保護者のみがグラウンドにいるという状況を作ったわけです。

そうすると、子どもたちは他の学年の競技を見ることができない。そこで父親の会の出番です。Zoomを使ってグラウンドから各教室への配信を実施しました。簡単そうに見えますが、公立小学校のITインフラにはまだまだ課題が多く、各教室には父親の会メンバーがボランティアで貸し出したPCを一台ずつ配置、ネットワークはモバイルWiFiルーターをレンタルすることになりました。途中でZoomが落ちるといったアクシデントもありましたが、父親たちが校内を駆けずり回って再接続、無事に最初から最後までの運動会のライブ配信を実現することができました。

当日は天気もよく、絶好の運動会日和。私自身は微力ながら、子どもたちの教室からグラウンドへの移動の見守りと、保護者の受付(1家庭1名のみ)のお手伝いをしました。Zoom配信は子どもたちに好評だったようですし、グラウンドは一学年とその保護者で占有することになった結果、保護者の方からも例年より見やすいとこれもまた好評だったようです。

工夫して何とか運動会を開催にこぎつけた先生方の熱意、そしてそれを子どもたちのために最高の運動会にするための努力を惜しまなかった父親たちの熱意には本当に頭が下がります。次は卒業式でライブ配信ができないか、検討が始まっているようです。私の娘の時には卒業式の様子を全く見ることができず悲しい思いをしたので、課題はあるとは思いますが、是非実現してほしいなと思います。新型コロナウイルス禍の収束が見通せない中で、学校のイベントも新常態に適合をしていく時代ですね。親としてできるだけの協力をしたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:01 | TrackBack(0) | パーソナル

2020年12月02日

あっという間に12月

早いもので今年も12月になりました。うーん、今年は本当に時間が過ぎるのが速いように感じます。新型コロナウイルス禍というこれまでにない環境下もあるのでしょうが、焦りを感じないというと嘘になります。

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そういった中でも先日お話ししたようにデスクトップアプリケーションの新製品「弥生 21 シリーズ」は11/13から発売になっています。いつも新製品発売のタイミングで部屋の模様替えをするのですが、現状は皆がそれぞれのタイミングでリモートワーク中ということで、今年は模様替えはなしかなあ、と思っていたところ、いつの間にかしっかりと弥生 21 シリーズになっていました。いまだに誰が模様替えしてくれたのかわからずじまいですが、有難うございました。

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私の部屋のすぐ外に飾られている縁起物の熊手もいつの間にやらしっかりと弥生 21 シリーズ仕様に変わっていました。私は時間の経過に慌てふためいていますが、周りはしっかりとやるべきことをやってくれているようです。

12月といえば年末調整。これまで何回かにわけて今年の年末調整がヤバいということをお話ししてきました。一通り読んでいただいた方であれば、これはヤバいと実感いただいたのではないかと思います。もはや12月、時間の余裕はありません。できるだけ早めに年末調整の目処を付けていただきたいと切に願っています。

これも少し前にお話ししましたが、新型コロナウイルス禍が再び拡大傾向にある中で、弥生は対応レベルの引上げを行っています。まずは札幌がレベル3に移行しましたが、その後大阪、東京、そして名古屋と、新型コロナウイルス禍の拡大傾向と共に、対応レベル3とする拠点が増えています。ご承知の通り、弥生のカスタマーセンターは大阪と札幌にあります。対応レベル3ですと、時差出勤等は行っていますが、対応能力として大きくは落ちていません。しかしこれが対応レベル4となると、在宅での受電等を行ったとしても、対応能力はどうしても下がらざるを得ないと考えています。そうならないことを願ってはいますが、万が一そうなっても困らないように、年末調整の処理は早めに始めて早めに目処を付けていただきたいと思っています。

今年はあっという間の一年でしたし、12月はそれ以上にあっという間の一ヶ月になるのだと思います。それでもやるべきことはやった一年と言えるように、一日を大事にしていきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:43 | TrackBack(0) | 弥生