2021年02月24日

事業所得か雑所得(業務)か

前回、雑所得の中に業務という区分を新設されたということをお話ししました。このいわば「業務所得」と事業所得、非常に紛らわしいですね。

前回お話ししたように、国税庁の説明では、雑所得とは事業所得等、他の所得のいずれにも当たらない所得とされており、その中で、業務に係るものに該当するものとしては、「副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)」と説明されています

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実際問題として、事業所得なのか、あるいはそれに該当せず雑所得(業務)となるのかの線引きはグレーな部分があります。一方で、明確なのは、事業所得の方が確実に有利であること。事業所得にせよ、雑所得(業務)にせよ、課税対象は売上マイナス経費と、経費を差し引けるのは共通ですが、事業所得の場合は、青色申告が認められており、結果的に最大65万円の青色申告特別控除が得られること、また、仮に事業所得で損失が発生した場合には、その損失を例えば給与所得から差し引くことができる(損益通算)など、明確なメリットが存在します。逆に雑所得は、青色申告特別控除的なものは存在しませんし、雑所得が損失になっても、他の所得と相殺することはできません。

このように事業所得の方が明らかに有利ですが、では事業の開業届を出せば自動的に事業所得として認められるかというとそうではありません。事業所得であるかどうかは、社会通念上、事業を営んでいると認められるかどうかという実態で判断されます。この点については、判断基準となっている最高裁の判例があり、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」とされています。つまり営利性と継続性が必要であり、その結果として社会通念上、事業を営んでいると認められるかどうかということです。

そもそも儲ける気がなければ、事業所得として認められません。それはそうですよね。儲けることを目的とせずに、損失を他の所得から差し引くことが目的になっていれば、それは脱税です。

逆に、雑所得(業務)の説明として、副業に係る所得とされていますが、副業だから事業所得にならないという訳でもありません。そもそも何をもって副業とするのか。例えば、週3日会社で働き、週2日はフリーランスとして働くことは今後着実に増えていくかと思いますが、この場合もフリーランスの報酬はここでいう副業に係る所得になるのでしょうか。仮に、会社からの給料とフリーランスの報酬が5:5だったら? これもなかなか曖昧ですよね。結論から言えば、本業よりかける時間が少ない、あるいは得られる所得が少ないという意味での副業であっても、上記のように営利性、継続性があり、社会通念上、事業とみなせるレベルであれば、事業所得になりえます。

ということで、整理をすると、

継続的に儲けるつもりで、儲ける一定の確からしさがある場合は事業所得
  • 開業届は出しておくべき、ただ、開業届が出ているから自動的に事業所得になるわけではない
  • 副業でも、一定の規模があり、継続性営利性があれば事業所得になりうる
  • 一方で、恒常的に赤字だったら、継続性営利性が認められないので雑所得

儲かったらラッキーぐらいのつもりの場合は、雑所得の業務
  • 事業所得に該当しない場合は雑所得
  • ちょっと小遣い稼ぎの副業は、規模の観点でも、継続性営利性の観点でも事業所得として認められない

ただ、この境界線ははっきりした白黒ではありません。そのため、どちらに該当するか迷う場合には、税務署もしくは税理士に相談すべきかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 20:36 | TrackBack(0) | 税金・法令