2021年02月26日

申告の要否

今回の確定申告は2020年分。昨年1月から12月までの所得を申告する必要があります。昨年は新型コロナウイルス禍により大きな影響を受けた事業者の方も少なくないのではないかと思います。結果的に、昨年は事業所得(売上マイナス経費)が赤字、つまり損失という方も例年より多いものと思われます。

前回、「継続的に儲けるつもりで、儲ける一定の確からしさがある場合は事業所得」とお話ししました。逆に、「儲かったらラッキーぐらいのつもりの場合は、雑所得の業務」とも。今回の申告で損失になった、つまり儲けていないから、事業所得として認められないのではないか、と心配されるかもしれませんが、その心配はご無用です。前回、事業所得とは「自己の計算と危険において…」という最高裁の判例もご紹介しましたが、危険・リスクがあるのも事業所得ならでは。万年赤字ではさすがに儲けるつもりがあるのか、儲ける一定の確からしさがあるのか、となってしまいますが、通常は黒字だけど何らかの理由で今年は赤字ということは事業所得として想定の範囲内です。ましてや昨年は誰にとっても経験したことのない一年でしたから、赤字になることも無理はありません。

ところで、確定申告は所得がある人が申告をするものですから、所得がない、つまり損失となった場合には申告をしなくてもいいのではないか、と思われるかもしれません。

これはイエスといえば、イエス、一方でノーと言えばノー。申告をしないことも可能だが、基本的には申告した方がいいというのが答えになります。

雑所得と異なり、事業所得の場合には、他の所得(給与所得など)との損益の通算ができますから、事業所得がマイナスであれば、それを給与所得と共に申告すれば、給与所得にかかった部分の税金を減らすことができます。

他の所得がない場合にも、青色申告の場合には、今回の損失を翌年以降に繰り越し、翌年以降の所得と相殺することができます。これは青色申告の大きなメリット。ですから、青色申告の場合には、損失でも必ず申告すべきです。

では、白色申告で、なおかつ他の所得もない場合には? この場合も基本的には申告はしておいた方がいいようです。というのも、申告をしなかったら、自動的に所得がゼロ(マイナス)と認められる訳ではないからです。児童手当の申請や保育園の入園申請などで、所得の証明が求められることがありますが、申告をしていないと、これが出ないことがあります。実際に、千代田区では、住民税の証明書の交付を受けられるのは、「税務署に確定申告を、または千代田区に住民税の申告をされた方」とされています

つまり、所得がゼロ(マイナス)であるということを国だけでなく、地方自治体にも明確に伝え、その後に不利益が発生しないようにするために、確定申告をしておくことが望ましいということです。一例として、東かがわ市では「申告がない場合は『未申告』となり(税の被扶養者は除く)、国民健康保険税の軽減措置を受けることができなかったり、所得課税証明書の発行ができません」とされています(pdf)。なお、国に対する確定申告はせずに、地方自治体に直接住民税に関する申告をするということも可能ですが、確定申告をしたことがある方であれば、確定申告で済ませた方が簡単なのではないでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 22:25 | TrackBack(0) | 税金・法令