2021年03月30日

経理の日 2021

明日3/31は経理の日です。期末&月末ということで、日本全国でビジネスの土台である会計や請求といった経理業務に携わっている方々に敬意を表する日。3&31ということで、3月の「弥生」と月末(晦日)の「Misoca」が一緒になったことを記念して2016年にできました(日本記念日協会によって、ちゃんと記念日として認定されています)。早くも今年で6回目の経理の日ということになります。

本ブログでもお話しした通り、昨年7月に会社としての弥生(弥生株式会社)とMisoca(株式会社Misoca)が合併しました。今では弥生株式会社の下でのONE TEAMですが、この経理の日は、このONE TEAMの想いを表す日として大事な一日です。

一年に一度必ずやってくる経理の日ですが、毎年全く同じではなく、その時々の時代背景も反映しています。昨年は新型コロナウイルス禍の影響が顕著になる只中。小池東京都知事がロックダウンの可能性を発言されたのが、昨年の3月23日です。もともと経理の日では、毎年記念イベントを開催していました(例えば2018年には「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」で一世を風靡した山田真哉先生によるセミナーを開催しました)が、残念ながら昨年は断念せざるを得ませんでしたTwitterでの#経理エピソードキャンペーンなど、オンラインでできることに特化しての経理の日となりましたが、本来やりたかったことができなかった残念な一年となりました。

2021033001.png

今回の経理の日も残念ながら新型コロナウイルス禍の影響は避けられていませんが、今回は、最初からオンライン前提で準備を進めてきました。担当メンバーが、今できること、今伝えたいことを一生懸命考えた、熱い想いがこもった特設サイトはこちら。私も微力ながら参加していますので、是非ご覧いただければと思います。

昨年の経理の日には、なかなかリモート対応が進まない経理業務について、「結局ITがどんなに進んだとしても、それを活用して業務そのもののあり方を見直さない限り、本当の意味での業務効率化は実現できません」と書きました。弥生製品を活用してのリモートワーク/テレワークについてはこちらで情報発信していますが、同時に、業務そのもののあり方を見直すことへの取組みを、時間はかかっても、着実に進めています。

昨年の経理の日は、社会的システム・デジタル化研究会での議論がまさに大詰めを迎えるタイミング(この研究会も当初は会議室に集まって開催していましたが、道中でリモートが当たり前になりました)。昨年の6月には最初の提言を発表し、その提言を踏まえ、昨年7月には電子インボイス推進協議会(EIPA)を立ち上げました。EIPAでは、日本における電子インボイスの標準規格のベースとして、欧州で実績のあるPeppolを採用することを決め、昨年末に平井デジタル担当大臣に提言、大臣からは、日本における電子インボイス普及に向けて全面的な賛同をいただけました。これを受けて、現在、EIPAでは、Peppolをベースとした日本標準仕様Ver. 1.0の策定を進めています。

上では、昨年の6月に「最初の提言」と書きましたが、社会的システム・デジタル化研究会での議論はその後も継続しており、もうすぐ第二の提言を発表できそうです。

経理の日は、日本全国でビジネスの土台である会計や請求といった経理業務に携わっている方々に敬意を表する日。同時に、弥生&Misocaの想いを再確認する日でもあります。経理という業務そのもののあり方を変えることは一朝一夕ではできません。それでも、少しずつではあっても、着実に変えていきたいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:00 | TrackBack(0) | 弥生

2021年03月26日

継続は力なり、で1,500

この記事は本ブログの1,500記事目となります。1,000記事目は2017年1月でしたが、それから4年2ヶ月。2014年以降は月10本のペースで更新していますので、50ヶ月でちょうど500記事増え、1,500に到達しました。本ブログを始めたのは2009年12月ですから、そこからカウントすると実に136ヶ月。もう10年以上となります。そりゃ娘も大きくなるわけです(笑)。

1,000記事目は「翼が生えた」という記事で、約25年振りに思い立ってコーディングを再開したことをお話ししました。当該記事を書く前週末にMisoca創業者である豊吉さんにRubyの参考書を教えてもらい、その翌週中にブログ記事にしている訳ですから、まさに思い立ってですね。

2021032601.png

今回もこれまでの投稿を分析してみましたが、前回までの1,499記事で1,650,294文字。165万文字! 1文字2バイトだとして33MB。イマドキの感覚で言えば驚くほどのサイズではありませんが、本16冊分といえば、結構なボリュームです。自分自身でもよく続けているな、と思います。

ちなみに前回はRubyで書きましたが、今回はPythonで書き直しています。コーディングを再開した理由の一つが当時立ち上げつつあった新事業(そう、実はそれがアルトアです)のプロトタイプぐらいは自分で書けるようにしたいというものでしたが、アルトアではモデル系を中心にPythonで構築しているため、早々にRubyからPythonに切り替えました。どちらもいい言語だと思いますが、個人的にはPythonの方がしっくりきます(もう慣れてしまったから、というのが大きいと思いますが)。

今回は前回の記事と比べると数字の3ケタ区切りが入ったりと微妙に改善されています(笑)が、この4年間、正直思うほどにはコーディングスキルは上達していません。それなりな時間をかければ、だいたい書きたいものは書けるのですが、Google先生にしょっちゅうお伺いをたてながらの試行錯誤です。書きたいものをスラスラと書けるようにするためには、やっぱり一定期間がっつりやらないと駄目ですね。

ただ、有限の時間の中で、そのがっつりやる時間が取れないのが残念なところです。本番用のコードを書くのは弥生とアルトアのプロのエンジニア達にお任せするとして、私自身は、趣味半分で今後もコツコツと続けていきたいところです。

昔はコツコツと続けるというよりは瞬発力で勝負でしたが、歳をとってかコツコツと続けることが苦にならなくなってきました。子どもの時から日記を書こうと思ったことは何度もありますが、だいたいが三日坊主(せいぜい一週間坊主ぐらい)。それでも実はここ6年ほどは日記を続けることができています。一日あたりは簡単なものだからこそ、続けることができています。定期的な運動でプールに通うというのも以前は続きませんでしたが、ここ2年ほどはほぼ毎週1回は通うことができています。

よく考えたら、歳をとったから、というよりも、このブログがコツコツと続けるクセを付けてくれたのかもしれません。1回1回は小さな一歩でも、継続することによって、それが蓄積になる。まさに継続は力なり。瞬発力もそれはそれで大事だけれど、積み重ねることも大事。今後もこのブログも、コーディングも(そういう意味では日記も、プールも、笑)コツコツと続けたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:00 | TrackBack(0) | パーソナル

2021年03月23日

国民健康保険料の減免

延長後の確定申告期間も中間地点を過ぎ、そろそろ確定申告を終えた方も増えてきているのではないかと思います。申告を終えてホッとしているところだと思いますが、一点だけ3月中に確認しておいていただきたい点があります。それは、国民健康保険料の減免措置を受けられるかどうか。

日本では国民全員が何らかの健康保険に加入が義務付けられていますが、個人事業主の方は、原則として地方自治体が運営する国民健康保険に加入することになります(個人事業主となる前に企業で勤めていた場合には、一定期間企業で加入していた健康保険を任意継続することができるなど、例外もあります)。個人事業主にとって、国民健康保険料の負担はバカになりません。所得の金額(および居住している地方自治体)によりますが、所得税や住民税よりも負担が大きいということも珍しくありません。

その国民健康保険料について、新型コロナウイルス禍の影響で事業に大きな影響を受けた場合には、減免措置を受けられる可能性があります。

減免措置を受けるには、2020年(令和2年)分の事業収入等が2019年(令和1年)分と比べて30%以上減少することが見込まれることが基本的な条件となります。ただし2019年(令和1年)分の合計所得金額が1,000万円以下、かつ、減少することが見込まれる事業収入等以外の所得の合計額が400万円以下であることという条件もあります。

ご注意いただきたいのは、減少の判定対象は事業「収入」であること。税金の世界では「収入」と「所得」は全く別物です。ここでいう事業収入は基本的に売上です。例えば、売上は前年比70%(=30%減)、ただし経費の削減努力をしたので、所得(=利益)は前年比90%(=10%減)という場合、国民健康保険料の減免判定対象はあくまでも収入ですから、減免の対象になりうるということになります(一方で、上記の「ただし」以降の合計所得金額が1,000万円以下、かつ…というのは「所得」が判定対象となっています。紛らわしいですが)。

もう一点注意が必要なのは、減少の判定対象である事業収入において、「新型コロナウイルス感染症の影響により、国や都道府県等から支給される各種給付金は収入に含みません」ということ。以前、持続化給付金は雑収入として所得税の課税対象となるとお話ししました。しかし、例えば、昨年新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年対比で50%以下となる月があり、100万円の持続化給付金を受け取った。年間での売上が前年比70%、ただ持続化給付金を加えると前年比90%となるという場合には、国民健康保険料の減免判定は持続化給付金を除いて判断しますから、減免の対象となりうるということです。

国民健康保険料の減免措置については、各地方自治体で情報を発信しています(例えばこちらは大阪市)。ただ、情報は発信しているものの、減免は自動的に行われる訳ではなく自分から申請が必要です。この申請期間がこの3月末で終了します。一度減免対象と判断されれば、2020年(令和2年)2月相当分からこの3月相当分までの保険料が減免対象となり、既に納付した分は減免決定後に還付されます。

今回確定申告が終わったということは、2020年分の事業収入額は既に確定しているということ。2020年分の事業収入(上でお話しした通り、持続化給付金等の各種給付金の金額は除く)と2019年分の額を比較していただき、30%以上のマイナスとなっている場合には、お住まいの地方自治体(国民健康保険の担当窓口)に減免について問い合わせてみることをお勧めします。
posted by 岡本浩一郎 at 21:26 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月18日

中間地点

先日お話した通り、3/15(月)は本来確定申告の期限日でしたが、今年は新型コロナウイルス禍を鑑み、申告期限は4/15(木)に延長されています。結果的に、今回の確定申告期間においては、3/15が中間地点となりました。

弥生オンライン(やよいの青色申告 オンライン/やよいの白色申告 オンライン)では、どれぐらいのお客さまが確定申告を済ませたかを随時把握することができるようになっています。3/15時点では、昨年を大きく上回る数のお客さまが申告を既に終えられています。ただ、これは弥生オンラインをご利用いただいているお客さまの母数が増えていることが影響しています。

絶対数ではなく、確定申告を済ませられた方の割合で見ると、話が変わってきます。同じ中間地点で見ると、残念ながら、今年の方が進捗が悪い。ざっくり言って、昨年は申告を完了されるであろう方の半分以上が申告を実際に完了されていましたが、今年に関しては、ちょうど半分ぐらいといったところです。

これは、確定申告期限の延長がいつ発表になったのかに影響されているのかと思います。昨年は、既に申告期間に入った2/27に延長が発表されたため、3/15に間に合わせなきゃと準備を進めていた方が多く、結果的に3/15には半分以上が申告を済ませた状況でした。今年に関しては、2/2と申告期間前に発表になったため、その時点でだいぶ余裕ができたと準備の手を止めてしまったお客さまも多かったのではないかと思います(笑)。結果的に3/15でちょうど半分ぐらいといった状況なのではないかと。

ちなみに、弥生オンラインをご利用のお客さまのうち、青色申告か白色申告かで明確に傾向が異なります。青色申告の方は比較的早めに準備を進める方が多いのですが、白色申告はギリギリになって準備を進められる方が多い。ですから、全体としてちょうど半分の方が申告を済ませているというのを分解すると、青色申告は既に半分以上の方が済ませており、白色申告は逆にまだ済ませていない方が多いということになります。

今年の傾向としてはっきり出ているのは、電子申告をされる方が明確に増えているということ。昨年から弥生ではe-Taxモジュールを提供し、弥生のお客さまは(クラウドでもデスクトップでも)これまでよりも圧倒的に簡単に電子申告ができるようになっています。さらに今回の申告からは、電子申告をするかどうかで青色申告特別控除の額が変わります。結果的に3/15まででも、昨年同時期と比べ実に3倍以上の数のお客さまが弥生のe-Taxモジュールを活用し、電子申告をされています。これは私たちとしても、e-Taxモジュールを提供してよかったと実感できる数字です。マイナンバーカードの入手に時間がかかっている方もいらっしゃることを考えると、この数字はもっと伸びうるのではないかと楽しみにしています。

カスタマーセンターへのお問合せは、足元では少し落ち着いた状況になっています。当初の期限通りに申告を済ませようという方の波が落ち着いた状態。こちらのページで、お問合せのつながりやすさをご案内していますが、3月中は月曜日を除き比較的つながりやすい状況が続くと予測しています。一方で、4月に入ると、今度は4/15に間に合わせなければという大波がやってくる結果、残念ながらつながりにくい状況になると予測しています。

ということで、お問合せいただくのであれば、今ですよ、今。まだまだ余裕と思っていると、4/15はあっという間にやってきます。3月中には終えるつもりで、今週末はちょっと頑張ってみませんか。
posted by 岡本浩一郎 at 18:28 | TrackBack(0) | 弥生

2021年03月15日

添付書類

今日は3/15。本来の確定申告の期限日となります。ただ、既にご承知のように、今年は新型コロナウイルス禍を鑑み、申告期限は4/15(木)に延長されています。もっとも、延長されたからといって当面放置してしまうと、あっという間に延長後の期限が到来してしまいます。あと一ヶ月ある、ではなく、もうそろそろ終えないと、と考えたいところです。

ということで、今回は添付書類について。確定申告の際には確定申告書に加えて、事業所得であれば青色申告決算書(青色申告)もしくは収支内訳書(白色申告)を提出する必要があります。この他に、所得や控除について申告内容に間違いがないことを証明するための一定の添付書類が必要となります。

特に初めて事業所得の申告をされる方にはあるあるな誤解ですが、作成した帳簿やそのもととなった領収書等を提出する必要はありません。その代わり基本的に7年間の保管が義務付けられています。これらは、電子帳簿保存の申請をしていない限り、紙での保管が義務付けられていますので、申告が終わったら、帳簿は紙として出力して保管するようにしましょう。

2021031501.png

その他所得に関係する添付書類については、平成31年度税制改正で大幅に簡素化され、例えば給与所得の源泉徴収票については、電子申告でも紙での申告でも添付・提示が不要となりました。所得関連については、支払っている側から情報を収集しているので、受け取った側からの証明は必要ないということなんでしょうね。

一方、控除関係の添付書類ですが、こちらは電子申告か紙での申告かによって大きく変わってきます。電子申告の場合、生命保険料控除証明書など主要な添付書類の添付・提示が不要となっています。ただ、省略可能という位置付けなので、別途郵送という形で添付することも可能です。添付・提示を省略した場合、法定申告期限から5年間保管する必要があります(その間は、税務署等からこれらの書類の提示又は提出を求められることがあります)。

これに対して、紙での申告の場合には、添付書類を申告書に添付して提出、もしくは税務署で提出する際に提示する必要があります。添付して提出してしまえば、以降保管の義務はありません。

一点だけ注意が必要なのが、医療費の領収書。2017年分から制度が変わり、現在では、領収書にかわって医療費控除の明細書を作成し、提出するようになっています。逆に領収書を添付することが不要、というよりはできなくなったので、医療費控除を受ける場合には、領収書を法定申告期限から5年間保管することが必要になりました。

私自身の確定申告は2/28(日)に電子申告で済ませました(ホッ)。先週末の3/13(土)には還付金の処理が済んだというお知らせがあり、今週中には還付金が着金する模様です。やはり電子申告だと処理が早いですね。電子申告ということで、添付書類を省略することも可能だったのですが、個人的には手元で保管はしたくないので、出せるものは出してしまう主義。先週末に税務署に郵送しました。ただし、医療費に関しては、提出するという選択肢がなくなったため、これだけはしぶしぶ手元で5年間保管することにします。
posted by 岡本浩一郎 at 19:28 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月11日

Build Back Better

東日本大震災の発生からちょうど10年が経ちました。亡くなられた多くの方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに謹んでお悔みを申し上げます。また、いまだ復興のただ中におられる方々には心よりお見舞い申し上げます。

本ブログを始めたのは2009年12月ですから、10年前の記事も残っています。当日21:10にアップしたブログ記事を見てみると、その段階では被害の全容がまだまだ見えていなかったことがわかります。10年前は秋葉原に引越す前の神田のオフィスでしたが、天井から鉄筋が飛び出して、長い時間ギシギシいっていたこと、帰宅する手段がなく、夜は自分のオフィスでUstreamでNHKに釘付けになっていたことを覚えています。

比較するものではありませんが、約一年前は、新型コロナウイルス禍が日本でも徐々に広がり、学校の休校など社会に影響が出てきたタイミングです。残念ながら、一年後の今も、ワクチンの接種が始まる一方で、変異種が広がり、新型コロナウイルス禍の収束は見通すことができていません。

大震災にしても、新型コロナウイルス禍にしても、災厄に耐え忍ぶことは日本の強みだと思います。大震災の翌日、ようやく動き出した電車を色々と乗り継いで帰路に着きましたが、どこでも皆秩序を保って行動していました。必要であれば、文句も言わず何時間でも並ぶ。新型コロナウイルス禍でも、ここまでマスク着用を徹底していることが、諸外国ほどには感染者数が爆増していないことにつながっているのではないでしょうか。日本の緊急事態宣言は、強制力はほとんどありませんが、それでも確実に行動の自粛につながっています。

耐え忍ぶことは日本の強み。一方で、正直、喉元を過ぎれば熱さを忘れやすいという部分もあるように思います。大震災は日本が大きく変わるきっかけになる、新たな始まりになると思いました。もちろん、変わった部分はありますが、ふと振り返ってみると、いつの間にか良くも悪くも日常に戻り、根本的には変わっていないように思います。新型コロナウイルス禍に対しても、今でこそ危機感はありますが、ワクチンが奏功し、感染が収束すれば、いつの間にかもとの日常に戻ってしまうのかもしれません。

でも、それでいいのでしょうか。単純に耐え忍ぶ(Survive/Endure)だけではない。もとに戻す(Build Back)だけでもない。災厄の中で見えてきた私たちの社会の課題から目をそらすことなく、災厄が過ぎ去った後も、課題に取り組み続けることによって、より良い社会を作る。Build Back Better.

どんな課題にどのように取り組むのかは、人によると思います。それぞれの関心や強みを活かしたBuild Back Better。新型コロナウイルス禍は日本のデジタル敗戦とも言われています。テクノロジーを生業とする者として、足元だけでなく、この先5年10年、時間はかかっても着実にデジタル化による社会の変革を実現することが私に与えられた課題だと感じています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:56 | TrackBack(0) | その他

2021年03月09日

新型コロナ禍と経費/控除

前回は、持続化給付金など事業者に対する給付金は課税対象となること、一方で、個人に対して支給された特別定額給付金は非課税であることをお話ししました。この他収入面で注意が必要なのは、GoToキャンペーンの扱いでしょうか。GoToトラベルやGoToイートなどのGoToキャンペーンによる割引額は一時所得の対象となります。ただし、一時所得には50万円の特別控除額がありますので、50万円を超えなければ一時所得は発生しません。とは言え、ふるさと納税の返礼品も一時所得になりますし、昨年から今年にかけて実施されているマイナポイントも一時所得。あくまでもレアケースだと思いますが、これらが合計で50万円を超えるようであれば、一時所得として申告が必要です。

逆に支出面では、今や必需品となったマスクや消毒液などはどうでしょうか。これらは基本的には(前回お話しした)「事業者」としてのお財布ではなくて、「個人」としてのお財布から出たものとなります。つまり基本的には事業上の経費にはなりません。ただし、例えばイベントなどで参加者用のマスクや消毒液を用意したなど、明らかに事業上の用途と説明できるものであれば、経費になります。

PCR検査を自費で受けたという方もいらっしゃるかもしれませんが、これも基本的には「事業者」のお財布ではなく、「個人」としてのお財布になります。ただ、ビジネス上の会議に参加する際にPCR検査を求められたといったような明らかな事業上の必要性があったのであれば、経費になりえるでしょう(最終的には個別判断です)。

一般的な医療費は、「個人」のお財布から出たことになりますが、確定申告時には、医療費控除の対象となります。では、マスクやPCR検査は医療費控除の対象になるのでしょうか。まずマスクは、残念ながら、医療費控除の対象にはなりません。これはマスクは病気の治療のためでなく、病気の感染予防のためだからです。薬局で買った風邪薬は治療のためですから医療費控除の対象になりますが、健康維持を目的とするビタミン剤は医療費控除の対象にならないのと同じ理屈ですね。

自分の判断で受けたPCR検査についても基本的には医療費控除の対象にはなりません。ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるため、その場合の検査費用については、医療費控除の対象となります。これは基本的に控除対象とならないが、検診の結果、重大な疾病が発見され、引き続きその疾病の治療を行った場合には、対象となるという人間ドックと同じ考え方です。

こちら国税庁のFAQスモビバの記事も参考にしてくださいね。
posted by 岡本浩一郎 at 19:17 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月05日

給付金と確定申告

昨年は新型コロナウイルス禍により大きな影響を受け、結果的に、事業所得(売上マイナス経費)が赤字、つまり損失という方が例年より多いものと思われます。こういった場合に、損失でも確定申告をすべきかどうかについてお話ししてきました。結論から言えば、どんな場合であれ、申告はしておくべき。特に青色申告には損失の繰越(+損失の繰戻し)というメリットがあるため、必ず申告しましょう。

さて、では申告しなければと考えると、例年とは異なる収入や支出があり、これはどうするんだろうと迷われることも多いのではないかと思います。例えば、売上減少等の一定の要件を満たした場合に最大200万円(個人事業主は100万円)を限度に給付された「持続化給付金」。実はこれは所得税の課税対象となります(個人事業主の場合、法人であれば法人税)。

え、こんな苦しい時期だから給付されたのに、それが課税対象になるの?と違和感を感じるかもしれません。ただ、これは持続化給付金の額に直接所得税の税率をかけるわけではありません。あくまでも黒字の額に所得税の税率をかけることになります。ですから、持続化給付金を受け取っても、経費の方が大きく、結果的に赤字になるのであれば、納税することにはなりません。つまり赤字を多少なりとも補填するための持続化給金であって、逆に黒字になるのであれば、その分は所得税率をかけて納税してください、ということです。

事業者の事業継続を支援するための給付金としては、この他に家賃支援給付金ですとか、地方自治体による休業・時短要請協力金がありますが、これらはすべて同様に所得税の課税対象となります。これらを記帳する際には、消費税不課税の雑収入として仕訳します

名称はやはり給付金ですが、日本の住民基本台帳に記録されている人に対し、1人につき10万円給付された「特別定額給付金」。こちらは扱いが異なります。というのは、特別定額給付金は事業者ではなく、個人に給付されたものです。個人事業主は「事業者」としてのお財布と、「個人」としてのお財布、二つのお財布を持っています。事業の売上や経費は事業者としてのお財布。上記の持続化給付金も事業上受けた支援ですから、事業者としてのお財布に属することになります。これに対して、特別定額給付金は個人としてのお財布に属するということです。

仮に事業で使用している銀行口座に入金された場合には、事業主借(個人である事業主から事業の口座に10万円を借りた)として仕訳します

一方で個人で受け取っても所得は所得だから課税対象になるのでは、と思うかもしれませんが、特別定額給付金は「法律により非課税になりますので、課税されません」とされています。ですので、個人のお財布ではありますが、課税対象にならない特別なお財布に直接入ったと考えればいいかと思います。名称通り、それだけ「特別」なものなのです。課税対象になりませんので、確定申告上どこにも出てこない金額となります。
posted by 岡本浩一郎 at 18:48 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月03日

繰越か繰戻しか

前回は、青色申告で認められている損失の繰越についてお話ししました。残念ながら昨年(今回の申告)が損失となった場合には、その損失を繰り越し、翌年以降3年間の所得と相殺することができます。これは青色申告ならではの特典ですから、是非活用すべきものです。ただし、実際に未来の所得と相殺され、節税となるのは早くても一年後となります。

実は、損失が発生した際にもっと早く節税につなげる方法があります。それは損失の繰戻し還付という制度。損失の繰越はこれから発生する所得と相殺する仕組みですが、損失の繰戻し還付は過去の所得と相殺する仕組みです。

2021030301.png

左の図は、前回お話しした損失の繰越ですが、今回の損失を翌年以降3年間の所得と相殺します。一方、損失の繰戻し還付は右の図のように過去の所得と相殺します。仮に今回の申告で300万円の損失となり、一方で前回は300万円の所得を申告していたとすると、繰戻し還付では前回の300万円の所得と今回の300万円の損失が相殺されます。結果的に前回の申告での課税所得が0円であったとされ、既に納付していた所得税が還付されることになります。

ご存じの方も多いと思いますが、お金の時間的価値をふまえれば、今の100万円と1年後の100万円では同じ100万円でも今の100万円の価値の方が高いとされます。これだけ低金利の時代にはピンと来ないところがありますが、仮に今100万円を返済しなければならないとなると、今の100万円はその役に立っても、1年後の100万円では役に立ちません。

この時間的価値を考えると、損失の繰越か、損失の繰戻しか、その優劣は明確です。もちろん、より早く節税を実現できる(キャッシュを確保できる)繰戻しの方が有利です。

しかし実際問題としては、損失の繰越は一般的に行われていますが、損失の繰戻しはそこまで一般的ではありません。損失の繰戻しのためには、確定申告書とあわせ、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を提出するのですが、この請求を受けた際には、税務署でその内容を調査して還付を決めることになっており、これがこの手続きが敬遠される要因になっているようです。

税務署による調査といっても、いわゆる税務調査が必ずしも行われる訳ではありません。還付請求に関する問い合わせがあったとしても、税務署内での机上調査で終わることもあるようです。それでも、何ら後ろめたいところがなくても、「調査」と聞いただけで敬遠したくなるのも理解できます。

そういった意味では、一般的なのはやはり前回お話しした損失の繰越。ただし、本当に足元で資金繰りが切迫しているとすると、今日お話しした損失の繰戻し還付も有効な選択肢です。損失の繰戻し還付について詳細はこちらのスモビバ記事をご参照ください。
posted by 岡本浩一郎 at 22:52 | TrackBack(0) | 税金・法令

2021年03月01日

損失の繰越

3月になりました。例年であれば確定申告も折り返し地点です。自分自身の申告の下準備はしていたものの、なかなか申告を済ませる時間がなかったのですが、先週末ようやく申告を済ませました(もちろんマイナンバーカードを使って電子申告)。今年は期限が一ヶ月延長され、まだ時間的な余裕があるとはいえ、やはりやらなければならないことを積み残しているのは気分がよくないもの。申告が済んでようやくすっきりです。

今年は期限が一か月間延長されて良かったなと思うのは、本ブログで確定申告についてお話しする機会が増えたこと。毎年お話ししたいことは山ほどあるのですが、全部お話しする前に申告期間が終わってしまい、お話ししきれていません。今回は例年よりも少し時間をかけて確定申告にまつわる話題をお話ししたいと思っています(とはいえ、申告の準備を待っていただく必要はないので、どんどんと進めてくださいね)。

前回は、損失、つまり、事業所得(売上マイナス経費)が赤字となった場合に、申告すべきかどうかということをお話ししました。どんな場合であれ、申告はしておいた方がいいというのが結論です。

損失でも申告をすることのメリットがはっきりしているのは、青色申告。前回もお話ししたように、青色申告の場合には、今回の損失を翌年以降に繰り越し、翌年以降3年間の所得と相殺することができます。

2021030101.png

例えば、今回(昨年分)の事業所得が残念ながらマイナス300万円の損失だったとしましょう。この場合、当然今回は納税は発生しません(事業所得以外はない想定)。これに対し、次回(今年分)の事業所得が100万円だったとします。図の左側、白色申告の場合は、この事業所得100万円が全額課税対象となります。つまり今回発生した300万円の損失は無視されます。これに対し、図の右側、青色申告の場合には、次回の事業所得100万円は今回の損失300万円の一部(100万円)と相殺され、課税所得はゼロになります。

さらに翌年以降、所得が150万円、300万円と増えた場合も、白色申告(左)はそれらがそのまま課税所得になるのに対し、青色申告(右)は今回の損失300万円が相殺されきるまで(ただし最大3年間)課税所得が発生しません。結果的に、次回以降3年間で合計550万円の事業所得があった場合、白色申告では、今回の損失が一切考慮されずそのまま550万円が合計の課税所得になりますが、青色申告の場合、今回の損失300万円が相殺対象となるため、3年間合計の課税所得は550万円-300万円の250万円で済みます。当然のことながら、3年間合計で納めなければならない所得税額には大きな差がつきます。

事業はお客さまに価値を提供し、その対価として利益を上げるために行うもの。ただ、昨年のように新型コロナウイルス禍によって事業環境が激変し、残念ながら利益を上げるどころか、損失で終わる年も発生します。その際に、その損失を翌年以降に繰り越し、しっかりと節税できるのが青色申告の大きなメリットです。

事業の立上げ期においても、顧客基盤が出来上がる前は残念ながら損失となることもあるでしょう。青色申告を選ばない理由として「まだ儲かっていないから」というのは比較的よくある理由なのですが、実際問題としてそれは誤解です。儲かっていないからこそ、最初から計画的に行うべきなのが青色申告なのです。

なお、青色申告で損失を繰り越す際に必要となるのが確定申告書の第四表という帳票です。もちろん、当然のことながら、弥生ではクラウド(やよいの青色申告 オンライン)でもデスクトップ(やよいの青色申告 21)でもこの第四表に対応しています。ただ、弥生以外ではこの第四表に対応していないソフトもあるので注意が必要です。
posted by 岡本浩一郎 at 21:44 | TrackBack(0) | 税金・法令