前々回、前回と2021年版中小企業白書を題材にお話ししてきました。今回の中小企業白書は、中小企業が新型コロナウイルス禍による危機に直面する中で、「危機を乗り越える力」が大きなテーマになっており、デジタル化が「事業継続力と競争力を高める」としています。
実は、今回の中小企業白書で一番ご紹介したいのは、P242にある、事例2-1-9: 株式会社トオセヨという「トランザクションレンディングを活用し、資金繰りに余裕を持たせる企業」の事例です。はい、そうです、トオセヨさんはアルトアのお客さまです。アルトアのオンライン融資サービスは行政機関からも注目されており、今回の中小企業白書でその事例を紹介したいということで、アルトアからご紹介したという経緯があります。
「そうした中、利用していた会計ソフト「弥生会計」からメールで案内を受けたのが、アルトア株式会社のオンライン融資サービス(以下、「アルトア」という。)であった。申込みに当たっては「弥生会計」の会計データだけ用意すればよく、面談も不要で、金融機関に比べて融資も迅速だという。24 時間インターネット上から申し込めるので、店を閉めた後の夜間の時間を使って利用できるのも大きなメリット。同サービスを活用して手元資金に余裕を持たせることで、本業に集中できるようになった。」
前回は、デジタルで懇親会のあり方を変えたnonpi foodboxというサービスを紹介しつつ、同時に、「誤解のないように申し上げると、何でもかんでもデリバリーすればいいとは思っていません。またデジタルはあくまでも有効なツールであって、全てがデジタルであるべきだとも思いません」とお話ししました。外に食べに行く飲食店がなくなり、全てがデリバリーになってしまったら、それこそ味気のない世界です。飲食店には、普段と違う空間で楽しい時間や美味しいものを共有するという喜びがあります。
もっとも、だからといってデジタルは無縁ということではありません。むしろ、普段と違う空間で楽しい時間や美味しいものを共有するという喜びを最大化するために、デジタルをどう活用するか。トオセヨさんの場合には、お客さまに楽しい時間や美味しいものを提供することに精一杯で、金融機関に相談に行くことも難しかった。そこで24時間インターネット上から申し込めるアルトアを活用したわけです。アルトアであれば、改めて書類を用意する必要もなく、日頃から記帳している会計データさえあればいい。これもデジタルを活用して事業継続力を高めた好例ではないでしょうか。
(なお、本ブログでも既にお話ししておりますが、アルトアは自社融資事業をオリックスに移管しており、現在はオリックスがアルトアと全く同様の利便性を提供するオンライン融資サービスを提供しています。)
個人的に残念なのは、行きたい行きたいと思いつつ、新型コロナウイルス禍の影響で未だにトオセヨさんのお店(「満月」)にお伺いできていないこと。そう言っているそばから、緊急事態宣言が延長という報道があり、ため息が出ます。現状の新型コロナウイルス禍の状況を鑑みると、しっかりとした対策が必要であることに異論はありません。ただ、感染者増加に対する直接的な対策である医療体制の強化、また、感染者増加を未然に防ぐワクチン接種になかなか有効な手を打てていない中で、結果的に飲食店を中心として一部の事業者にばかり過大な負担を強いる策が本当に妥当なのかは疑問に感じています。