2021年09月02日

業務プロセスの整理

電子インボイス推進協議会(EIPA)では、昨年12月の平井大臣への提言を経て、2021年1月に標準仕様策定部会を組成し、Peppolをベースとした日本標準仕様(JP Peppol)の策定を進めてきました。

具体的に策定作業を進めるにあたっては、かなりの作業量が見込まれることから、部会の中で、検討作業に一定の時間を費やすことができる会員をボランティアとして募集し、コアチームを組成、このコアチームが、Peppolの国際管理団体であるOpenPeppolと協議をしながら策定を進めてきました。また同時に、行政側の受け皿となる内閣官房IT戦略総合室と連携を取りながら進めてきました。内閣官房IT戦略総合室といえば、そう、昨日正式に発足したデジタル庁の母体となった組織です。

標準仕様の策定にあたっては、最初から詳細仕様の検討を行うのではなく、まずは日本の商慣習を確実にサポートするために、日本で必要とされる業務プロセスの整理から着手しました。

Peppolは元々の名前(Pan-European Public Pocurement Online: 汎欧州公共調達オンライン)が示す通り、欧州発祥の仕組みです。このため、Peppolの土台には、EN16931-1という欧州の電子インボイス標準規格が存在します。コアチームでは、まずこのEN16931-1で定義されている12の業務プロセスを検証し、日本の商慣習とのFit/Gapを分析を実施しました。

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結論としては、これは事前の想定通りですが、月締請求書など、合算型のインボイス(Summarized Invoice)がギャップであることを確認しました。欧州等でも複数の納品書をもとに合算された合算型のインボイスは存在しますが、一般的とは言えません。このため、現状のPeppolでは、合算型のインボイスはサポートされていません。つまり、現状のPeppolは納品書と請求書が1:1に対応することが前提となっています。これに対し、月締請求書をサポートしようとすると、納品書N通をまとめて1通の請求書とするというN:1の関係性をサポートする必要があります。

ここで考えるべきは、そもそも本当に月締請求書が必要なのかどうか。これはまた改めてお話ししたいと思いますが、デジタルを前提として考えると、業務効率の向上と早期の業績把握を通じた経営のリアルタイム化の観点から、日本においても請求業務は合算型から都度型に変わっていくべきであると考えています。しかし一方で、2023年10月の時点において電子インボイスが一般的に利用される状態を目指すためには、一旦は概ね現状の業務プロセスのままでも電子インボイスを利用できるようにすべきと考えました。このため、JP Peppolにおいては、合算型のインボイスをサポートすべき、と結論付け、検討を進めてきました。

そうです、JP Peppolは月締請求書をサポートします。欧州発の仕組みを日本で活用するという中で、ある意味わかっている人ほど(海外では月締請求書が一般的でないとわかっている人ほど)、月締請求書はどうなるんだ、と心配されていました。実際、その懸念は妥当だった訳ですが、OpenPeppolにも合算請求書の必要性を理解してもらい、晴れてJP Peppolでサポートすることとなりました。
posted by 岡本浩一郎 at 21:38 | TrackBack(0) | デジタル化