体調不良で一度は不参加を覚悟したものの、急速に体調が回復してくると、今度はやっぱり出場したいという欲が出てきました。不安を抱えたスイムをスキップして、バイクとランニングだけでも。当日の朝軽くランニングしてみると、うん、バイクとランニングだけならいけそうです。諸々準備不足は否めませんが、バイクをクルマに積み込み、現地に向かいました。 私が今回出場するのはマラソンで言えばハーフに相当するスプリント・ディスタンス(スイム0.75km、バイク20km、ラン5km)。オリンピック・ディスタンスよりも距離が短いため、開始は一番遅い時間です。指定された受付時間は11時半から12時半。自宅を出たのが11時過ぎとなってしまい、間に合うか焦りながら向かいましたが、12時過ぎに到着。とりあえずスイム用のウェットスーツも含め全ての道具を持って受付へ。
受付を済ませ、着替えます。スイムをスキップするつもりでしたが、ここまで来たらスイムにもチャレンジしたくなってしまいました。とりあえずウエットスーツを着込んでビーチへ。試泳の時間があり、試泳をしてからスイムスキップをするかどうかを決めることができます。難しいのは、試泳後にスイムスキップを宣言すれば、スイムをスキップしてその後バイクとランに出場できるのですが、一度スイムをスタートしてからリタイヤすれば、もう競技に戻ることはできません。スイムのリスクを取らずに確実にバイクとランに挑戦するか、リスクを取って全競技に挑戦(ただスイムに失敗すればその時点で終了)するか。
不安だらけですが、周りがわさわさと水に入っていく中、慌てて追いかけます。水は冷たいものの、ウェットスーツの効果で全く問題なし。まずは手始めに頭を上げたままで平泳ぎで泳ぐと、あれ、意外に泳げます。もちろんスピードは全く出ませんが。前回、頭が水中にあると、ウェットスーツの浮力によって足は水面から出ることも多く、その状態で平泳ぎの足掻きをしても、空を切るばかり、と書きましたが、逆に頭を上げていると、足は沈み、ちゃんと掻くことができます。これもありかも。少し泳いだらクロールにチャレンジしますが、こちらはイマイチ。泳げなくはないのですが、とにかく水が濁っているので、恐怖心でしっかり息継ぎのペースを作ることができません。
さあ、どうする。落ち着いて考える時間はありません。もうスタートに向けてビーチに整列しなければなりません。腹をくくりました。今回は頭を上げたままの平泳ぎでチャレンジしようと。それで時間制限を超えたらしょうがないと。
今回はビーチからのローリングスタート(何人かで10秒ごとにスタート)。順位を争う気は全くないので、ほぼ最後列からスタート。コースはまず沖に向かい、一つ目のブイを超えたら左に曲がり、今度は数百メートル先のブイを目指します。遅くてもいいから、とにかくマイペースで泳ぐこと。とはいえ、頭上げ平泳ぎは遅い。わずか数百メートル先のブイなのになかなか近付きません。それでも、泳ぎ続ければ少しずつ近付いていきます。特に前半はやや追い風だったので、何とかブイにたどり着きました。ここで左折して、やや内陸のブイを目指し、再び左折して今度は出発点近くのブイを目指します。
辛かったのは、後半。前半が追い風ということは、後半は向かい風。まあ、進まないこと。波が顔に打ち付け、息継ぎも苦しい。それでも、頭を上げているだけに進んでいる方向は常に見えており、安心感はありました。周囲を見渡すと、クロールで前が見えない故に大幅に蛇行している人、苦しくなったのか、背泳ぎで休憩している人など、みんな苦しんでいます。何度も、一度止まろう、いったん休憩しようという誘惑にかられましたが、どんなに遅くてもいいから止まらないことを自分に課して泳ぎ続けました。止まることを選ぶのは自分ですから、自分で止まることを選ばなければ、少しずつではあっても前に進みます(ただもちろん無理は禁物です)。
苦しみつつも、ようやく最後のブイに近付きます。これを右折してビーチに向かいます。足がつくところで立ち上がるとふらふらですが、気力を振り絞ってビーチに駆け上がり、そこからトランジションエリアに向かいます。正確な時間はわかりませんでしたが、制限時間である30分以内には十分収まったようです(すべてが初めてで戸惑ってばかりなので、AppleWatchでの計時も忘れがちでした)。
トランジションエリアに戻って着替え、と言いたいところですが、まずは息を整えるところから。ウェットスーツを脱ぐのも一仕事です。本来はここでいかに時間を使わないかがポイントなのですが、こちらはとにかく完走目的なので、時間がかかっても、しっかり準備をして次の種目に臨むことを意識しました。
ようやく着替えが完了してバイクを押して、バイクのスタート地点へ。スタート地点を超えてからバイクに乗車する必要があります。漕ぎだすと、ああ、気持ちいい。と思ったのは最初だけ。既に足が辛いです(平泳ぎは足への負担が大きいため、本当はクロールが望ましい)。バイクは同じコースを3周するのですが、1周目は、コースも把握できていないため、より長く、辛く感じます。いつもは軽々と漕いでいるはずのバイクのペダルが何と重いことか。
それでも2周目には何とかペースがつかめてきました。コース中で路面が荒れている箇所(結構な長さですが)があり、ここは漕いでいて辛いのですが、前だけ向いてとにかく漕ぎ続けます。同じ人力駆動のはずなのに、物凄いスピードの方にちょこちょこ抜かれます。後の組は15分後にスタートしているはずなのですが、もう追いつかれたようです。スプリントだから、皆お気楽参加かと思いきや、ガチな方々も結構いらっしゃるようです。
3周目。体力的には厳しいですが、先が見えてくると、何とか頑張れるものです。そして沿道で「頑張れ」「行ける」と声をかけてもらえることが実に嬉しいこと。
3周終わってトランジションエリアに戻ります。今度は着替えは最小限(の割には時間はかかりましたが)。もう終わりにしたいところですが、気力を絞ってランのスタート地点に向かいます。ランの最初の1kmは今回一番辛かったポイントとなりました。何度止まろうと思ったことか。ただこれも、止まることを選ぶのは自分ですから、自分で止まることを選ばなければ、少しずつではあっても前に進みます。辛い、辛い、と思いながらも、とにかく一歩ずつ足を前に出すことを意識します。周りも辛そう、辛いのは自分だけではないと考えると、何とか前に進むことができます。
2kmぐらい走ると、辛いながらもなんとかペースがつかめてきます。ランは2.5kmのコースを2周。2周目に入るところで(だいぶ)遅れて会場入りした家族の姿が目に入りました。ヘロヘロと走っていたのが、途端にシャキッとなります(多分、気持ちだけ)。ラスト1周。膝が痛みはじめます。ただ、2周目になるとコースもわかっているので、遅いなりにも進んでいること、そしてあとどれくらいかがわかります。いよいよFINISHという文字が見えてきました。もう少しとスパートをかけたいところですが、もはやエネルギーは残っていません。マイペースでゴール!
正式記録としては、1:55:24(スイム 0:24:10、T1 0:12:02、バイク 0:43:06、T2 0:04:42、ラン 0:31:24)、完走130名中の123位でした。正直記録としてはさっぱり(制限時間が2時間なのでまあまあギリギリ)ですが、少し前まで出場自体が危ぶまれるところから、無事に完走できたことは本当によかったと思います。
終わってホッとしています。それにしても髪がボサボサ。
新型コロナウイルス禍の中で、今年も多くのトライアスロン大会が中止に追い込まれました。そんな中で、無事に大会の開催にこぎつけていただいた大会関係者の皆さまに感謝したいと思っています。これで、まずはスプリント・ディスタンスでの実戦経験を積むことができました。来年は、いよいよオリンピック・ディスタンスに挑戦してみたいと思います。目指せ石垣島!