2022年05月31日

不思議なご縁

ビジネスの中でご縁を感じることが多いというのは本ブログでもたまにお話ししていることですが、直近でもこれはご縁だなあ、と感じる出来事が。

この3月から弥生の株主がKKRに変わったということはこれまでにもお話ししてきました。実はKKRの日本代表である平野さんは約20年前から存じ上げています。当時私はBCGから独立し、自分で経営コンサルティング会社を立上げたところでした。当時は、日本でもPEファンドの活動が活発化してきたこともあり、案件としては、PEファンド案件が多かったのですが、記念すべきPEファンド案件の第一号がタワーレコード。平野さんは、そのPEファンド代表、私は投資先のお手伝いをするコンサルタントという関係性でした。当時の私からすると仰ぎ見る存在でしたが、非常に丁重に対応していただいたことをよく覚えています。

ここまでは、まあありうる話。PEファンド業界もここ20年で大きく拡大しましたが、狭い世界といえば狭い世界。平野さんと私がPEファンド代表と投資先の代表として一緒に仕事をするようになるというのは、嬉しいことですが、想定の範囲内ではあります。

ここからご縁が広がっていきますが、KKRは2021年初には楽天とともに西友の主要株主となっています。そしてその西友と言えば、もともとはWalmart傘下(現在でも15%は保有)。Walmartと言えば、前回お話しした通り、今回訪れたArkansas州が地元です。

さらにここから話はつながっていきます。私がタワーレコードのお手伝いをしていた際に、タワーレコードの執行役員をしていたNさんという方がいます。私はNさんと、その直属の部下であったKさんとともに、当時のタワーレコードの基幹システムの総入れ替えという難プロジェクトに取り組んでいました。コンサルタントというのは所詮脇役。その会社のメンバーが牽引しない限りは、何の成果も産めません。そういった意味では、私は、NさんとKさんのお蔭で一定の成果を出すことができました。お二人とは数年に一度はご一緒するのですが、プロジェクトが終わってから15年以上経ち、お客さまというよりは、もはや旧友という感じです。

このNさんとKさんと、4月に久し振りにご一緒する機会がありました。新型コロナウイルス禍が始まって以来ですから、随分ご無沙汰です。その際に近況報告の一環として、近々Arkansasに行くこと、ただ、学生の引率なので、大学寮に泊ることになっており、気が重いことを話したのですが、なんとなんと、Nさんはその大学寮に泊ったことがあるとのこと。

そもそも日本人でArkansasに行ったことがある人は珍しいと思いますし、ましてや大学寮に泊ったことがある人と出会うとは、ほぼ奇跡。

実は、Nさんは少し前まで西友で働いており、その関係でWalmartの地元であるArkansasに行ったことがあるとのこと。世界中の従業員を集めての全社イベントがあったとのことですが、あまりの多くの人が集まるため、地元のホテルでは収容しきれず、University of Arkansasの大学寮に泊ったのだそうです。Nさん曰く、大学寮は全く知らない人と同室ということもあり、やはりキツかったとのこと。

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ちなみに、その大学寮がこちら。古い建物ではなく、思ったほどにはキツくはありませんでしたが、何分少なくとも数ヶ月から1年単位で住む前提の大学寮なので、数泊しかしないゲストからすると、クローゼットはあるけどハンガーはないですとか、電気ポットもないので、味噌汁を飲めない(これはWalmartで電気ポットを買いました、笑)ですとか、冷蔵庫がないので毎日ビールを買い出しに行かなければならない(さすがに冷蔵庫は買いませんでした、ちなみに飲酒は自室内で静かにであればokとのこと)、ですとか、椅子が完全にプラスチック(クッションが全くない)で、30分も座っていられないなど、まあまあ大変でした。

まさかこの歳になって大学寮に泊ることになるとは、という感じですが、生徒たちにとっては新鮮な体験であり、喜んでいたので、これもいい経験でしょうか。それにしても、この大学寮に泊ったことのある人が、実は身近にいるとは。本当に世の中はご縁であり、色々なところでつながっているのだな、と思います。
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2022年05月27日

Walmart

前回は、先週水曜日から一週間、Arkansasに行ってきたとお話ししましたが、現地最終日に半日ほど空き時間があったため、バスをチャーターし、一行でちょっとしたショッピングと観光に行ってきました。

ショッピングはWalmart。超巨大なホームセンター兼スーパーマーケットです。ある意味最もアメリカらしいお店ですからね。せっかく自然豊かなArkansasに行ったのに、Walmartか、と思われるかもしれませんが、実はArkansasだからこそだったりします。

前々回に写真を掲載しましたが、実はArkansasはWalmart創業の地であり、今でも本社があるのです。具体的にはBentonvilleという街。Arkansasは決して人口が多い州ではありません(約300万人弱ですから茨城県ぐらい)が、そのArkansasで10番目に大きい街がBentonvilleなので、決して都会とは言えません。

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そのBentonvilleの街の中心に広場があるのですが、その広場(ちなみにBack to the Futureに出てくる広場にそっくり)に面して、最初のWalmart(当時の名前はWalton's 5&10)があります。1950年オープンの小さな小さなお店。それが70年後の今、Walmartは世界24ヶ国に10,000以上の店舗を構える世界最大の小売業となっています(出所: wikipedia)。

せっかくなのでWalmartの本社にも行ってみました(中学生/高校生を連れて、笑)が、新型コロナウイルス禍でWalmartの本社もここ2年はほとんど出社しない状況だったそうです。ただ、実はコロナ後を見据えて新本社を建築中とのこと。この新本社の敷地があまりに巨大でスケールの違いを感じました。

アメリカの小売業は、ネット通販におされて青息吐息。米国ではTower Recordはなくなり、Toys-R-usもなくなり(その後一部復活)、有力百貨店のJC Penneyも民事再生中です。そんな中で気を吐いているのがWalmart。オフライン(実店舗)にオンラインのサービスを組み合わせ、Amazonの有力な対抗馬と看做されているのがWalmartです。ただ巨大なだけではない、常に変わり続けているからこそ今のWalmartがある。そのWalmartの原点を見ることができ、とても刺激になりました。
posted by 岡本浩一郎 at 19:47 | TrackBack(0) | ビジネス

2022年05月26日

Arkansas

いきなりですが、Arkansasってどう発音するかおわかりですか? そう、アーカンソーです。アメリカの中南部にある州。テキサス州の右上と言えばいいのでしょうか。ちなみに近くにはKansasという州がありますが、こちらの発音はカンザス。Arkansasというのは"Ar"+"kansas"ですが、発音が異なります。これはなぜかというと、Arkansasはフランス語発音(最後の"s"を発音しない)のに対し、Kansasは英語発音だからだそうです。さらにちなみに、Kansasというのは、もともと「南風の人たち」を意味するKansa族というNative Americanの名前が由来なのだそうです。

今回の訪米で行ってきたのがこのArkansas州。Arkansasに行くというのを初めて聞いた時は、ええっとどこにあるんだっけと地図で確認したほど印象が薄かったのが正直なところです。唯一記憶にあったのはクリントン元大統領の地元だよね、ということ。クリントン氏は私がLAに留学していた際に大統領だったので、何となく親しみがあります(まあスキャンダル等もありましたが)。逆に言えば、それ以外は全く印象の薄い州。地球の歩き方を見ても、Arkansasについてはほんの数ページほどしか記載されていません。

そんなArkansasに行くことになったのは、娘の部活がArkansasで開催される世界大会に出場することになり、ご縁で引率役を仰せつかることになったから。そして実際に行ってみての感想ですが、Arkansasは魅力あふれる素晴らしいところでした。

どんな大会かというと、FIRST LEGO League Razorback Open Invitationalというロボット競技の大会です。70のチームが北米から、10チームは北米以外から(今回は、日本、韓国、スペイン、イスラエル、オーストラリア)、Arkansasに集結し、合計80のチームで競技が行われました。

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日程は4日間。準備で1日半、競技本番で2日、閉会式で半日。とにかく内容が充実しており、息をつく暇もないという状況で、引率役兼コーチ兼通訳兼買出係兼何でも屋としてはとにかく疲労困憊でした。ただ、生徒たちにとっては人生を変えるイベントになったと思います。疲労困憊とは言いましたが、生き生きとした生徒たちを間近で見ることができ、私自身にとってもとても貴重な経験となりました。娘のチームは、お陰さまでそこそこの成績を収めることができ、意気揚々と帰ってきました。

ただ、成績以上に、生徒たちが様々な国の人たちと交流できたことが何よりのお土産だと思います。これもご縁で地元Arkansasのチームとペアを組んで活動したのですが、本当にその優しさ、温かさが印象的でした。こういった機会がなければ行かなかったであろうArkansasですが、是非また行きたいと思っています。
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2022年05月24日

再び米国へ

これまでお話ししてきたように、このゴールデンウィークに2年以上振りに国外脱出を果たし、アメリカに行ってきました。

前回のアメリカ訪問から1ヶ月弱。帰国してすっかり落ち着いたと言いたいところなのですが、実は本日まで再びアメリカに行ってきました。出発は5/18(水)、現地で5泊して、本日夕方前に帰国しました。2年半海外に出れなかった訳ですが、この4月末から立て続けに海外2回というのは、なかなか面白いものですね

今回の渡米は3月末に急遽決まったものですが、本当に行けるのか半信半疑でした。前回のLA訪問で、これなら行けるという実感が得られたことが大きかったように思います。今回の訪問先はこの後お話ししたいと思いますが、ヒントになる写真を一枚。

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これは、世界的な小売企業の第一号店で、今ではMuseum shopとなっています。ここが直接の目的地ではないのですが、目的地から近いということで行ってきました。

今回も、出発前のPCR検査、帰国前のPCR検査、そして帰国時に空港での抗原検査を行ったわけですが、今回の訪問先ではPCR検査を実施している(なおかつ短時間で検査結果が出る)場所が極端に限られており、苦労しました。前回の帰国は羽田着でしたが、今回は成田着。同じことを行っているはずですが、そのプロセスにはかなり差があります。羽田にせよ、成田にせよ、実際の運営は外部に委託しているのかと思いますが、その委託先の違いが、プロセスの違いを産んでいるのかもしれません。

オペレーションに一家言ある人間としては、ここはこうあるべきと言いたいところです。ただ、成田の方が羽田に比べ、より大人数に対応しているようで、それがプロセスの違いにつながっているのかもしれません。今回どこに何をしに行ったかはまた次回お話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 23:08 | TrackBack(0) | パーソナル

2022年05月19日

期待値の違い

引き続きアメリカでの話。今回の主目的はビジネススクール(UCLA Anderson School of Management)のReunion(同窓会)に参加することですが、もう一つの目的はDisneyland Resortに行くこと。家族的にはこちらの方が主目的ですね。

さすが夢の国で、とても楽しかったのですが、印象的だったのが、乗り物がしょっちゅう壊れること。乗り物に並んでいると、列が全然進まなくなることがちょこちょこあるのですが、それは乗り物が壊れて一旦止まっているから。最悪の場合、一時閉鎖となってまた後で来てくださいとなることがあります。Disneyland Resortでは、Lightning Laneという時間帯予約の仕組み(FastPassの代わりに導入された仕組み)が導入されており、このLightning Lane予約については、別の時間帯への振り替えという救済措置があるのですが、普通に並んでいる(Stand-by Line)場合には、何の救済措置もありません。ですので、1時間並んでもう少し乗れるというところで、乗り物が一時閉鎖になると1時間を棒に振ることになります。

ある意味、もっと印象的だったのが、誰も文句を言わないこと。意外かもしれませんが、列が動かなくなっても大人しく(というよりはワイワイと賑やかに会話しながら)待ち続けますし、一時閉鎖になって待ち行列を解散させられても文句を言う人はいません。日本だったら、どうなっているんだ、とか、何とかしろよ、となりそうなんですけどね。

根底にあるのは、期待値の違いなのではないかと思います。アメリカの場合、壊れるのが当たり前。壊れるのが当たり前だから、文句を言ってもしょうがないよね(実際、そこに居合わせたスタッフに文句を言っても、自分の責任じゃないし、知らんがな、と言われて終わりです、笑)。

日本の場合、完璧に動くのが当たり前。新幹線で、到着が数分遅れただけで、「遅れて申し訳ございません」とアナウンスが入る国ですから。ATMが止まればニュースになる。日本のディズニーランドの場合、スタッフは自分では何もできなくても、とりあえず「申し訳ございません」とお詫びしますよね。完璧に動くのが当たり前だからこそ、問題があったらとりあえずお詫びする。

面白いなと思ったのが、壊れることが当たり前であり、それに対する備えも一定程度されていること。今回行きたかったStar WarsエリアのGalaxy's EdgeにはMillenium Falcon: Smugglers Runというアトラクション(あのMillenium Falconの操縦ができる!)があり、このアトラクションでは、まずHondo Ohnakaというキャラクター(Clone Warsというアニメシリーズでたびたび出てくる憎めない海賊)からミッションの説明を受けます。

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しかし、何回か乗ったうちの一回は、このロボットが壊れたようで、ロボットの上に布が被され、見えないようになっていました。その代わり、ビデオで「今日はそこにいれないのが残念だが…」というセリフが流れます。つまりロボットである以上、一定の頻度で壊れる、壊れた時はその場にいないことにして、代わりのビデオを流そう、と予め設計されているわけです。

日本の通販は、完璧なものが届くために全力を尽くす一方で、Amazonは何かあったらすぐ交換(問題は一定の確率で起きると割り切る)という違いも、やはりこの期待値の違いから来ているような気がします。

壊れるのが当たり前か、完璧に動くのが当たり前か。これは良し悪しですね。完璧に動くのが当たり前の国から壊れるのが当たり前の国に行くと、イライラするのも確かです。ただ、完璧に動くのが当たり前にするために、国全体としてかけているコストを考えると、もっと大らかでもいいのではないかとも思います。
posted by 岡本浩一郎 at 23:17 | TrackBack(0) | ビジネス

2022年05月17日

米国キャッシュレス事情

2年以上振りに国外脱出を果たし、アメリカに行ってきた感想としては、とにかく何でも高かったとお話ししました。一方で、高いと思いつつ、意外にも(?)あまり実感がなかったのが正直なところ。

もちろん負担感は確実にあるのですが、99%の支払いがキャッシュレスなので、ピンとこないというのが正直な感想です。お札で払えば物理的にお札が減ることを実感しますが、キャッシュレスの場合、良くも悪くもレジやレシートに表示された数字に過ぎません。まあ、それが実際に口座から引き落とされて、激しく実感することになるわけですが(苦笑)。

改めて感じたのが、ますますキャッシュレスが進んだな、ということ。もともとアメリカはクレジットカードおよびデビットカードの利用が一般的であり、ほとんどの場所で使えますが、それがさらに進んだように思います。なおかつ、今回はほとんどの場合、タッチ決済(アメリカの表現ではTap)ができるようになっていました。日本でも一部のクレジットカード&一部のお店でタッチ決済ができるようになってきていますが、今回アメリカではかなりの確率でタッチ決済で済ませることができました。タッチ決済は端末に触れる必要もありませんから、新型コロナウイルス禍において、普及が進んだということもあるのでしょうね。

タッチ決済は便利なので、日本でも広がってほしいと思いますが、暗証番号を求められないので、万が一カードを落とした場合がちょっと心配です。落としたとわかった瞬間にカードを止めないと、被害が大きくなりかねない。特にデビットカードは銀行口座から直接引き落とされますから。ただ、その分、デビットカードの方がセキュリティのチェックは厳しいようで、特にネットの決済では支払いが通らないことも。そういった時のために、カードは複数持っていないと困るケースもあるように思います。

意外かもしれませんが、アメリカではいわゆるQRコード決済はほぼ存在していません。中国はQRコード決済大国になりましたが、アメリカにおいては、もともとクレジットカード/デビットカードが浸透しているので、QRコード決済ならではのメリットを示せないのではないかなと思います。アメリカの場合、クレジットカードはリボルビング払いが基本で、カード発行会社にとって高い金利収入が見込める分、多少低い信用力でもクレジットカードが発行されやすいとか、そもそもデビットカードであれば支払いの銀行口座の残高の範囲内でしか使えない(要は所持金以上に使うことができる信用力供与=クレジットが提供されていない)ので、入手が容易、といった事情もあるのでしょうか。

キャッシュレスが進んで困るのは、現金の入手が難しくなっていること。現金の用途は限られており、今回の旅行でもせいぜい数十ドルしか使っていませんが、必要な時は必要。用途としては、基本的にはチップです。レストラン等はカードで支払う際にチップの金額を上乗せすればいいのですが、荷物を運んでもらった時、預けていたクルマを出してもらった時、ハウスキーピング(毎朝)には現金でのチップが必要です。ホテルにチェックインする際に、小額紙幣に崩しておかないと、チップが払えないと慌てることになるので、注意が必要です(なおかつ$100紙幣はあまり一般的に使われていないので、ホテルですら両替を断られることがあるので注意が必要です。万能なのは$20紙幣ですね)。

基本的にはキャッシュレス先進国ですが、現金でのチップもあり(そういった意味では小切手も今でも現役ですし)。そういったまだら模様がアメリカらしいと言えばアメリカらしいように思います。ただ、最近ではVenmoZelleなどの個人間送金アプリでチップを払うということもあるようですし、逆にお店がservice feeやresort feeを請求することで、個々のチップを不要にするという動きもあり、現金でチップというのもいずれはなくなっていくのかもしれません。
posted by 岡本浩一郎 at 22:50 | TrackBack(0) | ビジネス

2022年05月13日

2.7倍!?

これまでお話ししてきたように、このゴールデンウィークに2年以上振りに国外脱出を果たし、アメリカに行ってきました。せっかくなので、その感想など。

まず一番強烈な印象は、とにかく何でも高かったということですね。デフレ経済の日本と異なり、アメリカはインフレ経済。値段は上がって当たり前。これにさらに1ドル130円という円安も相まってとにかく何でも高いです。

私が留学していた1995年から1997年はちょうどかなりの円高で、何を見ても安く感じましたが、その真逆という感じです。当時は一瞬ですが、1ドルが80円を切ることもありました。これが130円になった瞬間に、日本円で考えるアメリカの物価は1.6倍になります。さらにこの間日本は物価がほとんど上がっていない(1996年を1として、2021年に1.038と見事なまでに横這い)のに対し、アメリカは年平均2.2%で物価が上昇してきており、1996年を1とすると、2021年には1.73となっています。

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円安の1.6倍と、インフレの1.7倍を掛けると、2.7倍という実に恐ろしいことになります。それは何でも高く感じるわけです。

例えばDisneylandで水のペットボトルを買うにしても、日本だとディズニーランドでも200円ぐらいで買えるかと思いますが、アメリカでは4ドル! 今の為替レートだと500円越えです。日本だと1,000円で美味しいランチは選び放題ですが、アメリカだと軽く2,000円は超えます。

ああ日本は何でも安くていいねえ、と思ったりもしますが、本当にそれでいいのでしょうか。日本は安く売ること、安く買うことにこだわりすぎているようにも思います。安く売るためにはコストを究極まで削らなければならない、だから従業員の給料もなかなか上げられない。そして従業員も給料が上がらない中で生活を守るために1円でも安いものを求める。

それに対し、いいものを価値に見合ったいい価格で販売する。その売上をしっかりと従業員にも還元する。そして余裕の出た従業員は、多少高くてもいいものを買う。

どちらがいいのでしょうか。もちろん経営者として、後者が簡単なことではないことは重々承知はしています。ただデフレ経済の中で皆が(特に国際的にみれば)どんどん貧しくなっていく先になかなか明るい未来を描き難いと感じます。
posted by 岡本浩一郎 at 22:06 | TrackBack(0) | パーソナル

2022年05月11日

25th reunion

前回お話ししたように、ゴールデンウィーク中、4/29(金、祝)から5/5(木、祝)まで2年以上振りとなる国外への脱出を果たしてきました。目的地はLos Angeles。ビジネススクール(UCLA Anderson School of Management)のReunion(同窓会)に出席することが主目的です。卒業後5年に一度大きなパーティが開催されるのですが、今回は私が卒業後25年目となります。

ただ、これも前回お話しした通り、本当に行くべきなのか、行ってよいのか、最後の最後まで迷いました。ワクチン接種を3回済ませていれば、米国を含むほとんどの国からの帰国時に隔離(自宅等待機)が必要ないこととなり、行くための最低限の条件は満たされました。

しかし悩ましいのは、今回の主目的がReunionであること。要はパーティです。ご存じの方も多いと思いますが、アメリカのパーティはハグして挨拶はもちろんのこと、騒がしい中で、相当顔を寄せ合って会話します。そしてアメリカはもうpost COVID-19状態。すなわち、マスクはしないことが当たり前。地元からの出席者はそれでも何も困ることはありません。仮に陽性になっても無症状か、あっても軽い症状で終わり。強制的な検査があるわけではありません。これに対しこちらは帰国のために強制的に検査を受けなければならず、仮に無症状であっても陽性になった瞬間に極端に行動を制限されます。

家でもさんざん議論し、やはりパーティはリスクが大きすぎるということで出発一週間前には一旦キャンセルするという話にまでなりました。

ただ、それでも諦めきれませんでした。Reunionは5年後にもありますし、その時は必ず行くと思いますが、その際に家族3人揃って行くことができるかどうか。我が娘は今、14歳。ということは5年後は19歳。LA行くぞ、と言ったら喜んで行くという歳でもありません。家族揃ってLAに行けるのも最後かもしれない。何とか行ける方法を考えたいと思いました。

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で、結論ですが、確かにLAに行きました。そしてReunionにも参加しました。皆あまり変わらないなあ、というのが感想です。お互いに歳はとりましたが、一瞬で25年前に戻ることができます。ただ、私が参加したのは冒頭の1時間のみ。最初の1時間がレセプションで、その後に着席してのディナーだったのですが、私はレセプションのみの参加としました。周りは一切マスクをしていませんが、私はマスクを二重に着用。当然、飲み物等は一切に口にしませんでした。ディナーで着席するタイミングで、皆に5年後にまた会おうと別れを告げ、会場を後にしました(そのタイミングで入念に手洗いし、マスクも付け替え)。

Reunionに参加した翌日以降は、もう一つの目的であるDisneyland Resortを楽しんだのですが、この際にも常にマスク着用です。ちなみに、LAの街中はマスクをしていないのが普通ですが、マスクをしている人も一定割合ではいるという状態。ざっくり1割ぐらいでしょうか、意外にマスクをしている人もいるんだな、というのが正直な感想です。マスクをするもしないも、そこは個人の自由。このため、懸念していた、マスクをしているから指をさされるといういったことは一切ありませんでした。一方で、お話しした通り、パーティの際にはマスクをしている人は皆無。まあ、ワイワイ楽しむ場ですからね(ただし、パーティ参加にあたって、ワクチン接種証明もしくは48時間以内の陰性証明が求められました)。ちなみにDisneylandは、屋内はマスク推奨ということにはなっていたのですが、実際にマスクをしている人はほぼ皆無。やはり楽しむための場であり、何よりも夢の国ということでしょうか

ReunionからDisneylandまでマスク着用。正直何だかなあという思いはあります。クラスメートたちと一緒にご飯を食べたかったし、5年前のように日が変わるまでワイワイやりたかったというのが正直なところです。ただ、この状況を鑑みると、結果的には最善の選択だったのかと思います。とにもかくにも、日本から脱出し、アメリカの空気を吸うことができた。そして何よりもクラスメートたちに短時間でも会うことができた。そして家族でDisneylandを堪能することができた。そして全ての検査をクリアし、無事に帰ってくることができ、行動を制約されることもなかった。

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でもやっぱり次回の30周年は、マスク着用といったことを気にすることなく、心置きなく楽しみたいですね。
posted by 岡本浩一郎 at 21:47 | TrackBack(0) | 弥生

2022年05月09日

日本脱出!

このゴールデンウィークに、ついに2年以上振りとなる国外への脱出を果たしてきました。目的地はLos Angeles。そう、今年の1月に今年の抱負の追加分ということでお話ししましたが、私が卒業したビジネススクール(UCLA Anderson School of Management)のReunion(同窓会)に出席するためです。私がAnderson Schoolを卒業したのが1997年。それから実に25年ということになります(遠い目、笑)。Reunion自体は毎年、おおよそゴールデンウィークの時期に開催されるのですが、卒業から5の倍数に当たる年は、特別な年として位置付けられ、学校主催でパーティが催されます(と同時に、寄附に対するプレッシャーも高まります、笑)。

私はこれまで5年目(2002年)、そこからは子どもが小さかったことで間が空いてしまいましたが、20年目(2017年)のReunionに参加してきました。今回は前回から5年後の25年目ということになります。ただ、正直に言って、今回のReunion参加は一筋縄では行きませんでした。最後の最後まで迷ったのも事実です。実際問題として、出発一週間前には一度全てキャンセルすることも考えました。

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しかし結果的には、4/29(金、祝)に日本を出て、LAでReunionに参加、その後、もう一つの目的であるDisneylandのStar Warsエリア、Galaxy's Edgeを楽しんだ後、(私にしては)やや短めの日程となりましたが、5/5(木)早朝に日本に帰ってくることができました。

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、この3月から国の水際対策が見直され、ワクチン接種を3回済ませていれば、ほとんどの国からの帰国時に隔離(自宅等待機)が必要ないこととなりました。とはいえ無条件という訳ではなく、まずアメリカ入国のために、出発前日にPCR検査を受け、次に日本帰国のために帰国便出発前の72時間以内に再度PCR検査、そしてダメ押しとして、日本帰国時の空港で抗原検査を受ける必要があります。どれか一つでも陽性になれば、行けないのはまだマシな方で、行ったが最後帰ってこれない、あるいは帰国時の空港で陽性になれば療養機関に直行と、どれも極めて嬉しくない結末になります。

正直ドキドキしましたが、幸いにして家族全員が3回の検査をクリア。5/5は早朝5時前に羽田空港に到着しましたが、一連の手続きを経て、約2時間後の7時ごろには、自宅待機等の条件なしで空港を出ることができました。

ドキドキしたと書きましたが、当然感染のリスクを下げるために、できるだけのことはした結果です。そのため、100%心置きなく楽しむという訳には行きませんでしたが、それでも、久し振りの海外、日本と異なる空気を吸うことは実に楽しかったです。少しずつでも着実にpost COVID-19の世界に近付いていることを実感したLA行きとなりました。ひとまずは無事に帰国のご報告ということで。
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2022年05月06日

そこまでシンプルではなかった解法

年明けに、私が通っているスポーツクラブで、ロッカーの利用方法が変わったとお話ししました。会員証をプラスチックカードではなく、入館の都度スマホの画面で表示するようにする、という変更にともなって、ロッカーの利用に際し、プラスチックカードを差し込まなくてよいようになりました。

その実現方法がロッカーの大幅な仕様変更ではなく、全てのロッカーに予め会員証と同じものを差し込んでおくというシンプルな解法だったことが驚きだったということをお話ししました。

それから何ヶ月か経っていますが、実際のところシンプルな解法による問題も明らかになっているようです。どのような問題が発生しているのかというと…。

1) 一人で複数のロッカーを使う人が発生

以前は、ロッカーの使用に際し、ロッカーに会員証を差し込むようになっており、結果的に一人で複数のロッカーを利用することはできませんでした(会員証と同じ形状のプラスチックカードを偽造しない限り)。しかし、現状では会員証を差し込むという行為がなくなったことにより、一人でいくつでもロッカーを利用できるようになりました。ただ、私自身としては、一人で複数のロッカーを使う理由が見出せませんが。

2) ロッカーのカギを持ち帰ってしまう人が発生

以前は、ロッカーに会員証を差し込むとはじめて、ロッカーのカギを取り外せる(=ロッカーに施錠できる)ようになっていました。しかし、現状では会員証を差し込むという行為がなくなったことにより、自由にロッカーのカギをかけられるようになりました。例えば、気に入った位置のロッカーがあったとすると、そのカギを持ち帰ってしまうことによって、そのロッカーを事実上占有することができるようになりました。

なぜこれらの問題が発生していることがわかったかというと、これらの行為をやめてくださいという張り紙がされたからです(笑)。

正直何なんですかねえ、という感じです。どんな仕組みにせよ、その裏をかこうとする人はいるものです。それを防ごうとすると、より複雑な仕組みにせざるを得ない。シンプルな仕組みが望ましくても、なかなかシンプルな仕組みに徹しきれないというのも、また現実かと思います。

先日、相続したマンションで路線価などに基づいた不動産評価が低すぎるなどとして課税した国税当局の処分の妥当性が争われた訴訟で、国税当局の処分を適法とした最高裁判決が下され、話題になりました。

誰にとっても税金は多く払いたいものではありません。このため税制の穴を突こうとする人が現れ、それを防ごうと対策を講じる、それでもさらに穴を突こうとする、それを再び防ごうとする、の繰り返しで、税制がどんどんと複雑化してしまう。この繰り返しにはきりがないため、用意されているのが、国税当局の「伝家の宝刀」である「著しく不適当と認められる財産の価額は国税庁長官の指示を受けて評価する」という例外規定です。今回はこの伝家の宝刀の妥当性が問われた訴訟でした。

税制も本来はシンプルであり、誰にとってもわかりやすいことが一番のはずです。ただ、シンプルな解法も万能ではない。シンプルでありながら、ロッカーを占有するように/過度に節税が可能になるように、誰かだけがトクをすることを許さない公平な仕組み。言うは易しいが、現実はなかなか難しい。これは完全に私見になりますが、やはり基本はシンプルであるべきだと思います。シンプルな仕組みの穴を突く、裏をかく人も現れるのだと思いますが、何が許されるのかは、良識/良心で判断すべき、というのは理想主義にすぎるでしょうか。
posted by 岡本浩一郎 at 19:17 | TrackBack(0) | 税金・法令