2022年10月28日

平野さん、ようこそ弥生へ

前回お話しした通り、この10月から新年度(FY23)ということで、10/14(金)に社員総会を開催しました。私はビジネスセッションのトップバッターとして全社の経営概況の報告を行いましたが、ラストでのラップアップも行いました。

トップバッターとしての経営概況報告、そしてラストバッターとしてのラップアップ、それぞれで一つずつのサプライズ発表を行いました。経営概況報告でのサプライズ発表は、既にプレスリリースも行っていますが、平野 拓也さんの社外取締役就任。

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ご存じの方も多いと思いますが、平野さんと言えば、元 日本マイクロソフト株式会社 代表取締役社長。私も平野さんがマイクロソフトの社長時代に色々とお世話になりました。2017年には日本マイクロソフトのパートナー表彰制度、Microsoft Japan Partner of the Year 2017において、「Application Development アワード」を受賞し、一緒に記念撮影したこともいい思い出です。その後2019年に日本マイクロソフトの代表取締役社長を退任され、その後は米国Microsoftで活躍されていらっしゃいましたが、この秋に米国Microsoftも退任され、新しい一歩を踏み出すタイミングにご縁をいただき、この10月から弥生株式会社の社外取締役に就任いただくことになりました。

実は今日、平野さんが社外取締役に就任されてから初の弥生株式会社の取締役会を開催したのですが、世界を代表するIT企業の日本トップを経験した方ならでの視点で様々なアドバイスをいただくことができました。弥生の社外取締役としては、2020年に太田さんと林さんに就任いただき、お二人には今年株主が変わった以降も引き続き社外取締役を務めていただいています(ですので、今回の平野さんの就任で、株主以外の純粋な社外取締役としては合計3名ということになります)。

社外取締役に入っていただくことのメリットの一つは、取締役会の議論が圧倒的に深まるということです。太田さんも、林さんも、平野さんもそれぞれの経験と知見に基づいた鋭い発言で、社内取締役としても、取締役会に挑む真剣さが格段に変わりました。株主であるKKRの取締役も含め、本当に真剣な議論の場になっています。予定調和ではない分、着地点を見出すのは難しいところ(笑)ですが、そこは取締役会議長である私の腕の見せ所です。

ちなみにもう一つのサプライズは? それは秘密です(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 23:59 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月26日

社員総会 2022

弥生はこの10月から新年度(FY23)ということで、10/14(金)に社員総会を開催しました。弥生では例年新年度早々に社員総会を開催しており、例年はホテルの宴会場で、午後一杯はビジネスセッション、夜はビアバストを開催します。しかし、新型コロナウイルス禍の中で、2019年を最後にリアル会場では開催できていません。2020年からはビジネスセッション/ビアバストという構成は同じでも、Zoomでの開催となっています。

今年も残念ながらZoomでの開催。もっとも、少なくともビジネスセッションに関してはZoomの方がいいと感じる部分もあります。プレゼンターからすると皆の反応が見えないので、やりにくい部分はありますが、聞く立場からすると資料も見やすく、聞きやすいのではないかと思います。今後開催方法に制約がなくなったとしても、完全に従来のやり方に戻るというよりは、しっかり情報を共有するセッションと、皆で交流する/懇親を図るというセッションで開催方法は変わってくるのではないかと思います。

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ビジネスセッションはまずは私の経営概況報告から始まります。まず前年度(FY22)の振り返りをすると同時に、新年度(FY23)、さらにその先中期的に弥生として何を目指すのかを私からしっかりお話しします。本当は2時間でも3時間でも、話したいことは山ほどあるのですが、ぐっと我慢して(情報も取捨選択して)30分で一通りお話しします。もちろん私からの30分だけでは語りつくせないので、私のパートの後に、これから弥生として具体的に何をしていくのか、各本部からのプレゼンがあります。

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この他、社内表彰制度である「弥生賞」の発表もありますし、ビジネスセッションの後半では「中から見た弥生」と「外から見た弥生」という2つの切り口でパネルディスカッションを行いました。かなり盛り沢山な5時間半になりましたが、弥生の現状と今後をしっかりと共有することのできる有意義な場になったと思います。その後の参加者アンケート結果でも(改善点はあれども)まずまずな評価でした。

その後はビアバスト。こちらは今後できればリアルで開催できればとは思いますが、オンライン開催はオンラインならではで色々と工夫された企画があり、大いに楽しむことができました。自宅から参加している方がほとんどなので、このパートは家族でも楽しむことができるというのはオンラインならではですね。実行委員の皆さま、お疲れ様でした & 有難うございました!
posted by 岡本浩一郎 at 18:38 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月24日

EIPAイベント

この10月でいよいよインボイス制度の開始まで一年を切りました。また、法令としてのインボイス制度への対応を果たすと同時に、デジタル化による業務の効率化をもたらすデジタルインボイス「Peppol(ペポル)」の標準仕様もまもなくv1.0として公開されます。

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デジタルインボイス推進協議会(EIPA)は、今週金曜日(28日)にデジタルインボイスの普及に向けたイベントを開催します。イベントは二部構成となっており、第一部ではEIPAの代表幹事として、私が基調講演を行います。私の基調講演ではEIPAが目指すこと、そしてデジタルインボイスが実現することについてお話しさせていただきます。EIPAが目指すことは、インボイス制度という法令改正への対応はもちろんですが、それ以上にデジタル化によって業務の圧倒的な効率化を実現すること。デジタル化によって、どのような業務がどのように効率化されるのかをお話ししたいと思います。

第一部の後半では、実際にデジタルインボイスのサービスを提供する4社によるパネルディスカッションを行います。また、第二部では、これから提供されるサービスのピッチを怒涛(笑)の15社連続でお届けします。

このイベントは、会場とオンラインのハイブリッドで開催します。オンラインについては、人数の制約はありませんので、一般事業者の方、また、会計事務所の皆さまは是非オンラインでご参加いただければと思います。もちろん参加費等はかかりませんが、事前登録が必要になります。多くの方にデジタルインボイスの今をお伝えしたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 23:15 | TrackBack(0) | デジタル化

2022年10月21日

弥生 23 シリーズ一斉発売

本日、10/21(金)に弥生は、デスクトップアプリケーションの最新バージョン、弥生 23 シリーズを一斉発売しました。保守サポートご加入のお客さまやパートナー会計事務所向けには既に少し前から提供を開始していますが、家電量販店やネットショップ等では本日から発売開始となります。

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かつては、新シリーズの発売開始は一年に一度の大イベントでした。もちろん今でも重要なイベントではありますが、今ではクラウドサービスの比重も大きくなっていますし、起業・開業ナビ資金調達ナビ事業承継ナビなど、弥生が提供する価値の幅も広がっている中で、一年に一度の大イベントというよりは、一年に何回もある大イベントの一つというところです。

一方で、今回の弥生 23 シリーズは例年以上に非常に大きな役割を担っています。というのは、来年10月のインボイス制度開始を前に、事業者の皆さまのインボイス制度対応を支えていくのがこの弥生 23 シリーズだからです。デスクトップアプリケーションでも今や一年に一度のみのバージョンアップということはなく、必要なタイミングでオンラインアップデートを提供しており、インボイス制度対応の主要な機能は来年の春のオンラインアップデートでの提供を予定しています。ただ、そのベースになるのが今回の弥生 23 シリーズ。日本全国津々浦々の事業者の方がしっかりとインボイス対応できるよう、この弥生 23 シリーズを一人でも多くの事業者の方にお届けしたいと考えています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:59 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月18日

泳いだ、漕いだ、走った 2022秋 @ 千葉

一昨日10/16(日)、千葉シティトライアスロン大会が無事に開催されました。ちょうど一年前のこの大会で初めてのトライアスロン大会に挑戦。直前に体調を崩すなどハプニングはありましたが、無事にスプリント・ディスタンス(スイム0.75km、バイク20km、ラン5km)を完走することができました。これに気をよくして、今年はオリンピック・ディスタンス(スイム1.5km、バイク40km、ラン10km)に挑戦すると宣言6月の木更津トライアスロン大会で有言実行を果たすことができましたが、今回の千葉シティトライアスロン大会はデビュー戦の場として思い入れのある大会です。その大会に無事参加、そして無事完走することができました。

当日の天候は曇り時々晴れ。最高気温が24度という絶好の大会日和でした。朝泳ぐ際には日も差して、ウェットスーツを着ていると汗ばむぐらい。水温がかなり低いのにはびっくりしましたが、波もほぼなく、泳ぎやすいコンディションでした(その割にはスイムでかなり苦戦しましたが、これはまた追って)。バイクやランの際は曇りで、楽とは言わないまでも、暑くて苦しいということはありませんでした。今回のランでは頭から水をかけてもらわないとオーバーヒートする、とはならず。でも楽しいので、一回はかけてもらいましたが(笑)。

結果ですが、無事に完走。タイムは3:27:43でした。木更津では3:25:32でしたが、実は木更津の記録はスイムからバイクのトランジションの時間(T1)が含まれていないのに対し、今回の大会では含まれており(通常の大会では含まれるのが普通)、私の場合はT1が0:15:04。つまりT1を除くと3:12:39となるので、木更津よりはまずまず早くゴールできたということになります。オリンピック・ディスタンス2戦目ですが、引き続き完走することができ、なおかつ実質的なタイムを縮めることができたので、まずまずの結果かと思います。

ただ、順位としては、完走708人中658位(公式結果はこちら)なので、まあさっぱりですね。ただ、私としては順位にこだわりはなく、まずは完走、次に少しでもタイムを縮めること。今回は、3時間半は切りたいと思っていたので、順当な結果というところです。

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何よりも嬉しかったのは、今回、これはやばいとか、これは辛いと思う以上に、ああ、これは楽しいと思える瞬間があったこと。一年前のデビュー戦では、やばいが30%、辛いが70%。やったと思えたのはようやくゴールした後。6月の木更津では、やばいが15%、辛いが85%。今回もまあ辛いが90%ぐらいなのですが(笑)、それでもスイムで着実にゴールに近付いている時や、バイクで走りだした瞬間、ランで半分を越えた時などに、ああこれは楽しいという瞬間がありました。

ひとまずまだ生きてますよ、ということと、結構楽しかったという報告まで。
posted by 岡本浩一郎 at 22:49 | TrackBack(0) | パーソナル

2022年10月14日

いよいよ今週末

いよいよ今週末、10/16(日)に千葉シティトライアスロン大会が開催されます。私にとっては6月の木更津トライアスロン大会に続き、今年2回目の大会です。

大会に向け、先々週の日曜日に、バイク30km、スイム2.5km、ラン10kmという予行演習を行いました。本番(スイム1.5km→バイク40km→ラン10km)とは順番と距離が異なり、またバイクとスイムの間には3時間ほどの休憩をとりましたが、運動量としてはほぼ本番並み。翌日にはかなり筋肉痛になるかと思いきや、意外に平気でした。やはりトレーニングの積み重ねが地道に効いているんですね。

これに気をよくして先週末(正確には祝日の月曜日)には、バイク40km、ラン10km、スイム2.5kmをこなしました。これも本番とは順番が異なりますし、また、ランとスイムの間にやはり3時間ほどの休憩をしていますが、本番以上の運動量です。この時はさすがに最後のスイム中に足が攣ってしまい、翌日の筋肉痛もそれなりでした。本番でスイムが一番最初なのは、スイムで足を攣ると命に関わるからでしょうね(実際には浮力バッチリのウェットスーツを着用しているので、溺れることはありません)。

これで2週連続で本番並みの予行演習ができましたので、まずまずの仕上がりでしょうか。フルマラソンを走る前週に42.195kmの練習はなかなかできないのではないかと思いますが、トライアスロンの場合、競技の間に十分休憩すれば、練習でも本番同様の距離をこなせるのがいいところです。さすがに今週火曜日以降は本番にそなえ、運動は控えていますが。

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日曜日の千葉の予報は曇り。最高23度と運動にはもってこいの天気です。目一杯楽しみながら、完走を目指したいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 22:55 | TrackBack(0) | パーソナル

2022年10月12日

帳簿付けの価値

前回お話しした事業所得か雑所得かの判断基準に関するパブコメの結果ですが、個人的にはかなりの驚きでした。もともと多くの意見が寄せられており、また大半が改正反対の趣旨の内容であったという報道から、ある程度の見直しはされるものとは思っていましたが、ここまで大幅な見直しになるとは思っていませんでした。

しかし、実のところ、今回の見直しに通じる提言を本ブログで行っていました。既にパブコメの募集自体は締め切った後ですが、9/2の本ブログで「雑所得にも特別控除?」というタイトルで、ちょっとした提言を行いました。以下、引用です。

副業を推進しようという動きもある中で、収入金額が 300 万円を超えない場合(かつ有効な反証がない場合)に税金上のメリットがない雑所得になることに対する反対の声もあるようです(というか報道によれば、そういった声が大きいのかと思われます)が、それであれば、雑所得にも一定の税制上の優遇措置を設けるという方向もありえるのではないでしょうか。事業所得でなおかつ青色申告の場合、1) 青色申告特別控除、2) 損失の繰越、3) 損失の他の所得との通算というメリットがありますが、例えば、雑所得についても一定の条件の下で特別控除を認める(逆に3)は認めない)という考え方もあるのではないかと思います。

以前お話ししましたが、業務に係る雑所得について、今年(2022年分、令和4年分)分の所得税(=来年の確定申告)から求められることが格段に増えています。まず業務に係わる収入が300万円を超えた場合には、領収書等の保存が義務化されます(ただし、逆に言えば、300万以下であれば領収書の保存すら求められないわけですから、雑所得と、帳簿の作成と証憑の保存が求められる事業所得とは大きく性格が異なることがわかるかと思います)。また、業務に係わる収入が1,000万円を超えた場合には、確定申告書とともに収支内訳書を作成し、提出することが義務付けられます。

上記も踏まえ、収入に関わらず、業務に係わる雑所得について、収支内訳書を作成し提出した場合には、特別控除として一定額の控除を認めるというのはどうでしょうか。収支内訳書は、もともと事業所得の白色申告の際に作成するものです。事業所得の白色申告について、2014年分から帳簿付けが義務化されていますが、これと足並みをそろえ、事業所得の白色申告および業務に係わる雑所得ともに、帳簿付けをして収支内訳書を提出すれば特別控除が認められるとなれば、やる気もおきるのではないでしょうか。

この内容自体は、あくまでも雑所得に関する提言で、雑所得にも一定の特別控除を認めたらどうか、というものです。これは今回の見直しとは異なりますが、注目いただきたいのは、この際に想定していた条件です。そう「帳簿付けをして収支内訳書を提出すれば」としています。要は白色申告と同様な条件で、雑所得に特別控除をという提言だったわけですが、今回の見直しでは、これが雑所得ではなく、事業所得として認められ得る条件として明らかにされた訳です。私の提言が今回の見直しに何ら反映されている訳では(当然)ないのですが、帳簿付けの価値を認めているという意味では、通じる部分があるのではないかと思います。

私の提言では、最後に「立場的に我田引水と見えるかもしれませんが(笑)、正しく帳簿を付けて正しく申告する人がトクをする仕組みのお手伝いをしたいと思っています。」と書きました。正直、今回の見直しは我田引水というよりは、漁夫の利です。帳簿付けの価値が示された訳ですから。

ただ、漁夫の利と書きましたが、弥生の存在価値が示されたという意味での「利」はありますが、実際問題として、(少なくとも直接的には)「利」はありません。なぜならば、やよいの白色申告 オンラインのフリープランであれば、ずっと無料だからです。少々宣伝になりますが(笑)、やよいの白色申告 オンラインであれば、帳簿付けから確定申告まで全ての機能がずっと無料で使えます(実際にやよいの白色申告 オンラインをご利用の方のほとんどはフリープランを選ばれています)。

やよいの白色申告 オンラインは、もともと2014年1月に白色申告でも帳簿付けが義務化されるのにあわせ提供を開始しました。新たに多くの方が帳簿付けをしなければならない中で、その受け皿を提供したいという想いから生まれたサービスです。今回の見直しを受け、晴れて事業所得として認められるために、やっぱりちゃんと帳簿付けをしなければという方も増えるのではないかと思いますが(注)、やよいの白色申告 オンラインで、しっかり支えたいと思います。

弥生にとっての本当の漁夫の利という意味では、その先は、できれば事業規模を着実に伸ばしつつ、青色申告にチャレンジしていただければと願いつつ(笑)。

(注) ただし前回お話ししたように、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかにより判定する」という原則は変わりませんから、帳簿を作成し、保存していれば事業所得になり得ますが、だからといって必ず事業所得と認められるわけではありませんので注意が必要です。
posted by 岡本浩一郎 at 21:33 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月07日

パブコメ結果

事業所得か雑所得かの判断基準について、国税庁より通達の一部改正の形で新しい基準(案)が示され、8月末を期限にパブコメが募集されていましたが、その結果が本日公表されました

パブコメで寄せられた意見を受け、結論としては大幅な見直しとなりました。率直に言って驚くほどの大幅な見直しです。8月下旬に4,000件以上の意見が寄せられているという報道がありましたが、最終的に7,059件の意見が寄せられたとのこと。本ブログでお話しした通り、私としては、改正案に一定の懸念はあり、明確にすべき点は存在するが、全体としては賛成でした。弥生としてもそういった趣旨の意見は提出しています。7,059件が個別にどのような内容だったのかはわかりませんが、報道から察するに、また、結果的に大幅な見直しになったことを踏まえると、否定的な意見が相当多かったということなのかと思います。

どのように見直しになったのか、ですが、もともとの改正案は、事業所得か雑所得かの判断において、1) 主たる所得か、主たる所得でないか、また、2) 収入が300万円超か、300万円以下かという二つの判断ポイントがありました。今回公表された改正では、この二つのポイントは両方ともなくなり、新たに、帳簿が作成され保存されているかという判断ポイントに変わりました。これは、「所得税法上、事業所得者には、帳簿書類の保存が義務づけられている点」を鑑みたものだそうです。

結果的に、副業であっても、あるいは収入が300万円以下であっても、帳簿を作成し、保存していれば、事業所得と認められ得るということになります。もともとの改正案に対する私の懸念としては、事業立ち上げ期につき結果的に(収入が少ない)副業に見えてしまう場合や、新型コロナウイルス禍など外的な要因により一過性で収入が300万円以下となった場合などに、本来は事業所得として扱うべきものが、雑所得になりかねないというものでした。それが今回の改正では、帳簿を作成し、保存していれば事業所得になり得るということで、懸念は無事に解消されました。

ただし、注意が必要なのは、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかにより判定する」という原則が何ら変わった訳ではないということです。ですから、帳簿を作成し、保存していれば事業所得になり得ますが、だからといって必ず事業所得と認められるわけではありません。

意見公募結果には書かれていませんが、日経の記事では「ただし帳簿があっても、収入金額が300万円以下でかつ本業の収入の1割未満の場合や、赤字が続いているにもかかわらず赤字解消のための取り組みを進めていない場合などは、状況により個別に判断する方針だ」とありますが、これが社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかという判断(の一例)なのかと思います。

個別判断が必要なところは残ります。日経にも書いてある通り、そもそも「通達は国税庁の内規で、法律ではない。こうした取り扱いを不服とした納税者が訴訟を起こした場合は、事業実態を裁判所が総合的に判断することに」なります。0/1の絶対的ルールではありませんが、それでも帳簿を作成し、保存していれば原則として事業所得という一つの基準が示されたことは大きな前進だと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:29 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月05日

弥生の設立お任せサービス

一昨日の10/3に、弥生は「弥生の設立お任せサービス」という新しいサービスの提供を開始しました。「弥生の設立お任せサービス」は、弥生が提携する専門家が、お客さまの代わりに会社設立手続きを代行するサービスです。

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弥生では、起業・開業を支援したいということで、従前から会社設立のための書類を作成するサービスを提供してきました。2017年に初代の「弥生のかんたん会社設立」を提供開始。その後昨年春に「起業・開業ナビ」の一部として、完全リニューアルした2代目の「弥生のかんたん会社設立」の提供を開始しました

これらが今回サービスを開始した弥生の設立お任せサービスとどう違うのか、ですが、端的に言えば、自分でやるのか、その名の通りお任せするのか、です。弥生のかんたん会社設立は自分でやりたい人向け、弥生の設立お任せサービスは任せられるものは任せたい人向け、ということになります。

私は22年前(!)、自分で経営コンサルティング会社を立ち上げました。当時は、どうせやるのであれば、何でも自分でやってみて「会社」というものを徹底的に理解しようと考え、株式会社としての設立・登記も解説本を片手に全て自分で行いました。そういった人向けには、弥生のかんたん会社設立が適しています。弥生のかんたん会社設立であれば、画面の誘導に従って進めば、株式会社の設立前後に必要な書類を簡単に作成することができますし、書類の届出先や準備物について知ることもできます。ああ、22年前にこんなサービスがあったら(笑)。

一方で、皆が皆、自分でやってみようという方ばかりではありません。むしろ事業そのものを立ち上げることに専念したい、その分任せられる作業はどんどん任せたいという方もいらっしゃるでしょう。そんな方には、今回の弥生の設立お任せサービスがぴったりというわけです。

弥生の設立お任せサービスであれば、自分の時間を割かずとも、専門家が会社設立に必要な定款や登記書類の作成を代行することでスピーディかつ正確な登記が可能になります。また、専門家による対応であるため、登記申請に加え、融資や助成金、節税等も加味した支援が可能です。専門家による対応となるため、本サービスには5万円という利用料金が必要になりますが、対応した専門家と税務顧問契約を結べば、利用料金はその後の顧問料からその分割り引かれます。つまり条件付きではありますが、実質無料で本サービスを利用することも可能です。

めったにない機会だから自分でやってみるか、あるいはめったにないことだからこそ専門家に任せてしまうか。どちらの判断もありだと思います。どちらの場合でも弥生がしっかりサポートします。
posted by 岡本浩一郎 at 19:55 | TrackBack(0) | 弥生

2022年10月03日

あと一年

先週土曜日は10/1。弥生は新年度(FY23)に入りました。また、今年も残り3ヶ月ということで、うかうかしていると今年もあっという間に終わってしまいそうです。

今年の10/1は例年にない大きな通過点でもあります。それは、来年10月1日のインボイス制度開始のちょうど一年前ということ。正直に言って、インボイス制度はまだまだ先だと思っていました。社会的システム・デジタル化研究会が立ち上がり、インボイス対応をデジタルを活用してどのように進めるべきかという議論が始まったのが、2019年12月のこと。この時点ではインボイス制度開始までに4年弱ありましたから、まだまだ余裕はあると考えていました。そして実際に、皆が活用できる標準的なデジタルインボイスの仕組みの構築を目指してデジタルインボイス推進協議会(EIPA、発足当初は電子インボイス推進協議会)を設立したのは2020年7月。この時点でもまだ3年以上ありましたから、余裕とは言わないまでも、時間はあると思っていました。

平井卓也デジタル改革担当大臣(当時)を訪問し、Peppol(ペポル)と呼ばれる国際規格をベースとして、デジタルインボイスの日本標準仕様を策定すべきであると提言を行ったのが2020年の12月。翌月の2021年1月からは、Peppolの国際管理団体であるOpenPeppolとの議論が始まりました。日本標準仕様の策定は徐々に進んできましたが、明確に進捗するようになったのは、2021年9月にデジタル庁ができてから。デジタル庁が立ち上がるのとほぼ同時に、日本におけるPeppolの管理主体(Peppol Authority, PA)として登録され、以降はデジタル庁が司令塔として日本標準仕様の策定を強力に推進してきました。EIPAは民間の立場からその支援を行ってきています。

直近では日本標準仕様がJapan PINT Invoice Version 0.9.3として公開されていますが、もうすぐ正式バージョン(Version 1.0)となると聞いています。つまり、標準仕様の観点からは、日本のデジタルインボイスはもう(ほぼ)readyということです。

一方で、時間は着実に経ち、インボイス制度の開始まであと1年。実際にPeppolをベースとしたデジタルインボイスが、ベンダーを問わず自由にやり取りできるようになるためには、弥生をはじめとしたソフトウェアベンダーの対応が必要です。お客さまでの対応準備を考えると、来年の9月末、制度開始の直前にソフトウェアの準備ができるというのでは遅すぎます。遅くともこの先半年ぐらいで、対応の目途を付ける必要があります。

まずは法令改正としてのインボイス制度への対応、さらには業務効率化をもたらす、デジタルインボイスへの対応。残された時間は少ないですが、しっかり対応を進めていきます。
posted by 岡本浩一郎 at 19:22 | TrackBack(0) | デジタル化