2022年11月11日

EIPAイベント(その1)

前回お話しした通り、デジタル庁が「わが国の『デジタルインボイス』の標準仕様(JP PINT)」として、Peppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.0を公開した10/28に、デジタルインボイス推進協議会(EIPA)は、デジタルインボイス利活用に関する発表会「請求から『作業』をなくそう。〜今だから考えるデジタルインボイスの利活用」を開催しました。

発表会は二部構成。第一部では私が基調講演を行い、その後、EIPA幹事4社のパネルディスカッションを実施しました。その後第二部では、EIPA会員15社による、サービス紹介のピッチを実施しました。

実は第一部の冒頭では、河野デジタル大臣によるサプライズ・ビデオメッセージが寄せられました。サプライズということで、このメッセージそのものは公開できないのですが、デジタルインボイスの普及に向けた熱い想いと期待を語っていただきました。

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このビデオメッセージの後に、私は20分ほど基調講演を行いました。私の基調講演を含めイベントの様子はYouTubeで公開しています(第一部第二部)。

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私が基調講演で特にお話ししたかったのは、デジタルインボイスというのは、インボイス制度という法令改正のためだけではないということ。インボイス制度(適格請求書等保存方式)というのは、確かに法令改正であり、法令である以上これを守らなければならない。ただ、法令改正対応はできたけれども、業務は複雑になった、業務の負担が重くなったというのでは、事業者としては嬉しくありません。法令だから渋々対応はするものの、何のメリットも感じられない。実際、紙を前提としてインボイス制度に対応しようとすれば、そうなりかねません。でも、デジタルを前提とすれば、それを変えることができる。法令改正対応をしつつ、業務のデジタル化によって、むしろ業務がシンプルになった、楽になったということが実現できるのです。

ここでいう業務が楽になったというのは、デジタルであれば、紙の請求書を印刷し、封筒サイズに折り畳み、封入して、切手を貼って、ポストに投函してという手間がかからないということだけではありません。むしろ楽になるのは、それ以降です。デジタルでインボイスを受領すれば、買掛の仕訳を自動で計上できる。また、その買掛の仕訳をトリガーとして、支払の処理を自動化できる(支払という特性上、人間の最終確認は必要ではありますが)。そして。デジタルでインボイスを発行すれば、売掛の仕訳を自動で計上できるのはもちろん、入金がどの請求に対応するものなのか、すなわち入金消込業務を自動化することができます。

つまり、デジタルインボイスのメリットは、単にインボイスを紙ではなくデジタルでやり取りするということだけではありません。請求から入金まで、一連の業務を圧倒的に効率化できるということなのです。(続く)
posted by 岡本浩一郎 at 23:00 | TrackBack(0) | デジタル化