2023年03月31日

永遠の都にて

私は3月末をもって退任するものの、約1年前から3月末にプライベートでの旅行を予定しているとお話ししました。実は私は今、永遠の都、Romeにいます。

Romeは、2019年7月以来。ただ2019年はあくまでも仕事でしたから、ゆっくりと観光することはできませんでした(一方で、イタリアにおけるデジタルインボイスに関する取り組みが、その後のEIPAの活動につながったという意味で、極めて重要な出張となりました)。

今回はプライベート(命の洗濯・特別版)ということで、前回は外から眺めるだけだったColosseoVatican Cityをじっくりと見学しています。ColosseoやVatican Cityもただただ圧倒されるだけなのですが、私が一番圧倒されるのはPantheonです(今回は宿もPantheonが見えるところにしました、笑)。Pantheonは2世紀(118~128年)に建造された巨大なコンクリートの建物です。ドーム上の屋根の頂上にOculusという開口部があることで有名です。

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2世紀といえば日本では弥生時代ですが、そんな時代にここまでの巨大な建物が作られたということに驚かざるを得ません。さらに、その建物がそのまま現代に残っていることは実に驚異的です。まさに永遠の都を象徴する存在です。

2世紀にPantheonを建造したのは古代ローマの五賢帝の一人であるハドリアヌス帝です。ハドリアヌス帝と同じように歴史に名を残すことはできそうにありませんが(笑)、技術が人間の進化を加速している、場合によって技術が人間の進化を超越しそうなこの時代に、自分が何をすべきなのかを考えます。

2010年代からAIの第3次ブームが到来しましたが、ここ数ヶ月間でChatGPTに代表される新たな波がやってきているように思います。一方で、ChatGPTは、万能ではありませんし、いわゆる強いAIではありません。あくまでも、こういった入力があったら、こういった出力をすればいいということを、膨大なデータから学んでいるだけです。猫とは何かを答えることはできますが、猫を理解しているわけではありません。知識は持っているが、知能や意識は持っていない。

一方で、では人間が普段どこまで知能を発揮しているのか、という疑問もあるかと思います。人間も一定のデータに基づいて判断をしているだけなのであれば、実はそれは弱いAIと変わりません。例えば、Romeで美味しいご飯を食べようとすると、今時はインターネット上の情報を頼ることになります(日本では食べログですが、海外だとTripadvisorが多いですかね)。Tripadvisorの情報を元に、食べに行くお店を選ぶ。そこに人間の創造性があるかというと、どうなんでしょうね。

そういった意味では、今のAIは所詮弱いAIでしかないけれども、実は人間の活動の90%程度はカバーできるのかもしれません。

Pantheonは永遠の都の過去約2,000年を見つめ続け、今でもその威容は健在です。おそらくこの先も永遠の都のシンボルであり続けるでしょう。一方で、人間の1,000年後、1,000年後と言わず100年後でも、どうなるのでしょうか。正直どうなるのかわかりませんが、それが娘やさらにその先の世代にとって明るいものになるよう、まだまだやるべきことはあるように思っています。

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弥生社長の愚直な実践は、今回で更新を終了します。これまで長い間、愛読 & 応援を有難うございました。今後は場所を変えて、何らかの発信を続けていきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 14:51 | TrackBack(0) | パーソナル