2014年08月22日

不本意な未加入期間

最近複数のメディアで、厚生年金の加入逃れを阻止するための施策がとられるという報道がされています。私が目にしたのは、日経新聞のこちらの記事。曰く「政府は厚生年金に入っていない中小零細企業など約80万社(事業所)を来年度から特定し加入させる方針だ。国税庁が保有する企業情報をもとに厚生年金に加入していない企業を調べ、日本年金機構が加入を求める。応じない場合は法的措置で強制加入させる…」。

ご存知の方も多いと思いますが、厚生年金は公的年金制度の一部で、主に法人の従業員(および役員)が加入します。厚生年金は会社(事業所)で加入するのですが、一定の条件に該当する場合には、加入が義務付け(強制的に適用)となっています。具体的には、常時従業員を使用する株式会社など、一定の条件が当てはまる場合には必ず加入しなければなりません。ただ、年金保険料の会社側の負担も発生することから、実際には加入手続きを行っていない会社もかなりの数に上るようで、これが上記の報道につながっています。

この記事を目にして、個人的に思い出したのは14年前のこと。私はかつて、2000年の6月に株式会社リアルソリューションズという経営コンサルティング会社を起業しました(弥生の社長に就任する前の話です)。株式会社で、私は常勤ですので、厚生年金に加入する必要があります。では手続きをと、社会保険事務所に向かいました。そこで告げられたのは結構衝撃的な一言。

「今日は加入できません。」

話を聞いてみると、会社を立ち上げてもその後どうなるかわからないので、様子を見ます、ということでした。しばらく経ってから再度来てくれと言われ、その日はそのまま帰ることになりました。

加入は義務のはずなのに、なぜ?

おそらく、加入した後に年金保険料の滞納をされると困るので、ということでしょう。つまり年金保険料がキチンと納付されている「納付率」を下げたくないので、ということかと思います。国民年金では納付率が低いと問題になっていますが、おそらく厚生年金でも内部管理的に納付率を維持せよとの目標があり、そのために、滞納するかもしれない事業者はあえて加入させないということなのではないかと思います。

ただ、これは明らかに間違ったやり方ですよね。最終的に納付される年金保険料を最大化するのが本来の狙いのはず。それが、管理指標(KPI)としての納付率を高めるために、納付率を下げそうな事業者は加入させないというのは本末転倒かと思います。

私の場合は2ヶ月後に再度訪問し、今度は無事に加入を認めてもらいました。とはいえ、正直釈然としない気持ちは残ります。最近はねんきん定期便として年金の加入状況が送られてきますが、その記録を見ると、私は2ヶ月間だけ年金への未加入期間があります。ただ、それは望んでできた未加入期間ではなく、加入させてもらえなかったから。

もう14年も前の話ですし、当時こういったことが広く行われていたのか、あるいは一部の社会保険事務所に限られた話だったのかもわかりません。その後、社会保険事務所の親玉である社会保険庁は廃止され、日本年金機構が発足しました(このため、社会保険事務所は年金事務所に衣替えとなっています)ので、今はこういった話はないのかもしれません。ただ、今回の報道で、未加入の事業者が多く存在するとありましたが、中には私のように、最初は加入するつもりでも加入させてもらえず、結局そのままになってしまった事業者もあるのでは、と思います。
posted by 岡本浩一郎 at 23:10 | TrackBack(0) | 業務
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