2014年08月26日

KPIはSMARTに

前回お話しした厚生年金に加入させてもらえなかった件は、誤った管理指標の典型例と言えるかと思います。指標として誤っているというよりは、誤った運用がされていると言った方が正確ですが。

特に重点的に管理すべき管理指標を一般的にKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)と言います。厚生年金や国民年金では、納付率がKPIとして採用されているようですが、前回お話しした事例が示すように、納付率というひとつのKPIだけでは不十分で、必ずしも正しくない行動につながりかねません。

国民年金でも納付率を見かけ上改善するために、保険料の免除や猶予を安易に促していることが問題になっています。保険料の免除や猶予を受けている人は「法律上、納付義務のない免除者や猶予者を計算に含めるべきではない」との考えで、納付率の計算(分母)から除外される、その結果として納付率が高く見えるという仕組みです。

この6月に厚生労働省は、2013年度の国民年金保険料の納付率が60.9%と前年度より1.9ポイント改善したと発表しました。ところが、免除や猶予を受けている人も計算に含めた実質的な納付率は40.2%に過ぎないそうです。それでも前年度よりは0.3%の改善とのことなので、納付率の低下傾向に歯止めがかかったとは言えるかと思いますが、「1.9%改善で60.9%」と見るのか、「0.3%改善で40.2%」と見るのかで、状況の深刻さは異なって見えるのではないかと思います。

一般的にKPIというのは一つだけではなく、複数のKPIを組み合わせて判断すべきです。それに対し、厚生年金や国民年金では、「納付率」という一つのKPIだけが独り歩きしたために、誤った行動を生んでいるように思います。

KPIは一つだけではないというのは、例えば、会社の場合、売上だけではなく、利益も重要な指標ということを考えれば容易に理解ができるのではないかと思います。ただし、売上も利益も実際にはKPIとしてはあまり適切ではありません。

KPIは、計測が可能であり、なおかつ働きかけができる指標(どのようなアクションによって、どのような結果を生むのかという関連性が相当程度明らかになっている)であるべきです。売上や利益に関して言えば、計測は可能ですが、例えば、売上を伸ばすためにどうすればいいかが漠然としすぎていて、何をすればいいのかが明確になりません(ちなみに、売上も利益も重要な指標であることは事実なので、KPIではなく、最終的な成果指標としてのKGI, Key Goal Indicatorという捉え方になります)。

売上に関しては、例えば、売上 = 客数 × 購入頻度 × 購入単価と分解し、それぞれをKPIとして管理することによって、売上が伸び悩んでいる時に、絶対的な客数が伸び悩んでいるのか、購入頻度が伸び悩んでいるのか、あるいは単価が伸び悩んでいるのか、を切り分けることができるようになります。それによって、例えば、客数は計画通りなのに対し、購入頻度が低いのであれば、リピートしてもらえるような施策につながるわけです。

KPIの設定にあたっては、一般的にSMARTを心がけると言われてます。

S: Specific (具体的である)
M: Measurable (計測できる)
A: Achievable/Attainable (達成できる、働きかけられる)
R: Relevant (関連性がある、意味がある)
T: Time-bound (期限がある、一定の時間軸で計れる)

弥生のカスタマーセンターでも複数のKPIを組み合わせて、カスタマーセンターとしての業績を評価しています。少々長くなりましたので、弥生カスタマーセンターにおけるKPI管理は次回お話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:58 | TrackBack(0) | ビジネス
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