これまでにないモノという意味で、APPLE WATCHも面白そうですが、その前にやはり気になるのはiPhone 6とiPhone 6 Plus。買うべきか買わざるべきか。
今回のiPhone 6 (6 Plus)で大きなトピックはNFCがようやく搭載されたことではないでしょうか。NFCとはNear Field Communication(近距離無線通信)の略で、13.56MHzの周波数を利用する通信距離10cm程度の近距離無線通信技術です。おサイフケータイやSuica/Edy/nanaco/WAONといった電子マネーではNFCのうち、Felicaという技術が使われています。
ただ、より厳密に言えば、NFC = Felicaではありません。NFCは、Felicaも含む技術ではあるのですが、FelicaがNFCのうち、Type Fという規格(NFC-F)であるのに対し、この他にType AやType Bという規格(NFC-A, NFC-B)という規格があり、今回のiPhone 6でのNFC対応には、NFC-Fは含まれていないようだからです。つまり、今回のiPhone 6は、NFC搭載ではあるけれども、Felica(NFC-F)搭載ではないので、モバイルSuicaやEdyのようなサービスは(少なくとも当面の間)使えません。
iPhone 6で搭載されたNFCを狭義のNFCとして、これとFelicaを比較すると、Felicaの特徴は処理速度が速いこと。モバイルSuicaでは、改札での渋滞を発生させないために、100ms(=0.1秒)で処理が完結することが求められていますが、Felicaであればこのスピードを実現することができます。ただし、このスピードを実現するために、Felicaでは、専用のチップを必要とするのです。つまりモバイルSuicaはFelicaだからこそ実現できたもので、狭義のNFC(Type AやType B)では実現できないのです(今のところ)。
確かにFelicaには処理速度という大きなメリットがある(だからこそ改札でも利用できる)。一方で、Felicaは世界的に言えば、マイナーな存在です(大人数が続々と改札を通ってというニーズもある意味日本ならではですよね)。世界的には、今回のiPhone 6のように、狭義のNFC(Type AやType B)が主流になりつつあります。狭義のNFCは、Felicaほどのスピードを実現できない代わりに、Felicaのような専用チップを必要としません。
今後どちらが伸びていくかというと、日本でも狭義のNFCの採用が進みそうですね。もっともFelicaもこのままガラパゴス化するつもりはなく、専用チップなしでFelicaを使える技術も開発中のようです(専用チップの代わりになるものをソフトウェアで実現)。ただし、このアプローチでは、まだSuicaに必要とされる100msは達成できていないそうです。
ということで、iPhone 6でのNFC搭載は大きなニュースですが、日本でNFCのメリットをあちこちで実感できるようになるのは少々時間がかかるかもしれません。それなりに使えるようになる頃にはiPhone 6Sとかが発売されていたりして…