2015年12月28日

新たな価値

弥生が正式にオリックスグループ入りをしたのが、昨年の12月22日。早くも一年経ったということになります。正直あっという間の一年でした。

オリックスグループ入りして何が変わったか、とよく聞かれますが、正直あまり変わっていません。これは弥生のお客さまや会計事務所などのパートナーに聞いて頂いても同じような答えになるのではないでしょうか。弥生は、この一年間はあえて、変わらないこと、これまで通りにしっかりとした価値を提供することに拘ってきました。また、オリックスグループとしてもそれを是としてきました。元々オリックスグループ入りする際には、弥生をいい会社と思ってグループに迎える、だから変に手を出すつもりはない、と言って頂きましたが、その通りとなっています。

もっとも、この先は、徐々にオリックスグループの一員としての弥生の新たな価値を提供していきたいと思っています。

今年になって流行った言葉の一つにFinTech(フィンテック)があります。テクノロジーの力で金融のあり方を変える。正直、一年前はオリックス×弥生という組み合わせに首を傾げた方も多いのではないかと思いますが、今となってはご理解頂けるのではないでしょうか。そう、オリックスの金融の力と、弥生のテクノロジーの力をあわせ、新たな価値を生み出していく。

ただ、残念ながら、日本におけるFinTechという言葉自体は完全に「流行りもの」になってしまっており、必ずしも実体があるとは言えません。米国で2015年の最大規模のFinTech IPOとなったFirst Dataは1971年創業のクレジットカード決済会社ということからもわかるように、FinTechはベンチャーに限られるわけでもありません。日本で言えば、銀行や証券会社向けのシステムを提供しているNTTデータや野村総合研究所なども実は立派なFinTechです。

そういった意味で、(First Dataなどと比較して)「新世代の」FinTechといったように区別した方がいいのではないかと思いますが、新世代のFinTechが米国で台頭してきた背景に注目する必要があります。それはリーマンショック以降、既存の大手金融機関が一斉にビジネスを縮小し、お客さまを選別することになったことに原点があります。リーマンショック以降は、銀行に口座を開けない、クレジットカードを持てない人が増えた。だからこそ、その代替手段(Alternative)としての新世代FinTechが成長してきました。そもそも米国では、金融機関に対する好感度が低いということも考慮する必要があります。"Occupy Wall Street"の動きに象徴されるように、米国の金融機関はリーマンショックを引き起こした存在であり、広がりつつある経済格差の象徴として見られる傾向があります。

翻って日本はどうでしょうか。日本では、銀行に口座を開けないということは基本的にありませんし、口座維持手数料もかかりません、(信用履歴にはよりますが)クレジットカードを持つことも決して難しくありません。また今の住宅ローンの貸し出し競争を見れば自明ですが、日本はおカネを極めて低コストで借りやすい市場です。事業者向けには、日本政策金融公庫などの公的融資も充実しています。そして何よりも、日本の金融機関は非常に(個人的には過剰なまでに、とも思いますが、笑)信用されています。

こういった背景の違いがある中で、アメリカと同様な形でのFinTechが急速に成長するとは思っていません。ただ、だからといって、FinTechがダメだという気はありません。そうであれば、オリックス×弥生という組み合わせを自己否定することになってしまいます。

代替手段(Alternative)ではなく、これまでにない新たな価値(New Value)を生み出せるかどうか。弥生はオリックスはもちろん、日本の金融機関とパートナーシップを組むことによって、これまでにない新たな価値を共創(Co-create)したいと思っています。今年は変わらないことをテーマとして活動してきましたが、来年は一歩踏み出し、新たな価値の姿を見せられる年としたいと思っています。

それでは皆さま、よいお年を。
posted by 岡本浩一郎 at 13:00 | TrackBack(0) | 弥生
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