この度、弥生は、株式会社Misocaの全株式を買収し、100%子会社とすることになりました。Misocaは、名古屋のベンチャーで、クラウドベースの請求管理サービスを提供している会社です。見積書や請求書の作成・送付・管理をクラウドで行うクラウド請求管理サービスは、まだ新しいマーケットですが、Misocaは、2011年11月にサービスを開始した先駆者であり、90,000社近い登録事業者(正確には先週時点で88,000事業者)を誇る、この分野でのマーケットリーダーです。今後Misocaと弥生は同じグループとして、クラウド請求管理サービスのさらなる発展を目指していきます。
Misocaの豊吉さんと初めてお会いしたのは、2014年8月の末のことでした。YAYOI SMART CONNECTでの連携に向けての打合せの場です。初めての印象は「結構地味な方だな」というもの。失礼に聞こえるかもしれませんが、これ、褒め言葉です。昨今は良くも悪くも「イケイケ」なベンチャーが多い中で、Misocaは地味といえば、地味。ただ、それがMisocaと弥生の共通点かもしれません。ビジネスとかファイナンスの話以前に、まずは、よい物を創って、お客さまに新たな価値をお届けしたい。少しお話ししただけで、豊吉さんの想いがストレートに伝わってきました。豊吉さんもエンジニアですし、私もエンジニア出身(現役引退からだいぶ経ってはいますが)だけに、お互いの理解が早かったのかもしれません。
最初の打合せで、私がした質問とその回答が、今回の縁組みをある意味運命付けていたような気がします。私の質問は結構単純で、「ミソカって、どういう意味なんですか」、というもの。「月末に請求業務が集中する事業者の方をお手伝いしたいと思ったからです。実は弥生さんの名前も結構意識しました」というのが豊吉さんの答え。そう、ミソカというのは、晦日、つまり月末の意味。名古屋だけに「味噌カツ」というのはよくある誤解です(笑)。ご存知の方も多いと思いますが、弥生は、法人の決算だったり、個人事業主の確定申告が重なる三月(旧暦の弥生)にこそお客さまのお手伝いをしたいという想いで、当初は製品名として命名され、それがその後会社名にもなりました。
つまり繁忙期のお客さまのお手伝いをしたい、という想いこそがMisocaであり、弥生の共通した原点なのです。
その後9月末には、TOKYOイノベーションリーダーズサミットのパネルディスカッションにおいて、一緒に登壇させて頂きました。競合になりうるけれども、お互いに連携することによって、つまりオープンイノベーションによって、一社ではできないことを実現したいということをそれぞれの立場でお話したのですが、私はその時点から、ひょっとすると将来的には、と思っていたのは、今だからこそお話しできること。
その後11月には、YAYOI SMART CONNECTによる連携を開始。以降、Misocaは順調に事業を伸ばし、そして弥生も順調にクラウド(弥生オンライン)を立ち上げ、そして伸ばしてきました。TOKYOイノベーションリーダーズサミットの記事を見ると、当時のMisocaは登録事業者数が15,000、月間の請求発行総額が15億円を超える状態でしたが、今では、登録事業者数が88,000、月間の請求発行総額が100億円を超えるというところまできました。一方で、弥生は、デスクトップアプリケーションで17年連続の圧倒的No.1を維持するだけではなく、初の法人向けクラウドサービスとなる弥生会計 オンラインを無事にリリースし、個人事業主向けに関しては、利用シェアで過半を超えるところまできました。つまりNo.1という実績においても一致しているのが、Misocaと弥生です。
想いの一致、実績の一致。ここに至るまでにはそれなりにドラマもありましたが、一緒になるべくして一緒になれたと感じています。それぞれが市場を牽引する存在だからこそ、一緒になることによって、さらなる先を目指すことができます。これからMisoca & 弥生で実現する新たな価値に是非ご期待頂きたいと思っています。