2016年03月30日

どうなる軽減税率

昨日3月29日に平成28年度予算が国会で成立しましたが、実はこれと同時に、平成28年度税制改正関連法も成立しています。メディアの報道は予算成立に集中しており、税制改正関連法についてはあまり触れられていませんが…。今回成立した税制改正関連法によって、来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げにあわせ、軽減税率が導入されること、さらに平成33年4月には適格請求書(いわゆるインボイス)の発行が求められることが法律として定められました。

あれ、軽減税率ってもう決まっていたのでは、と思われるかもしれませんが、昨年秋から議論されてきたものの、それが法律として正式に国会で成立したのが昨日ということになります。

一方で、そもそも来年4月の消費税率10%への引き上げは延期になる可能性が高いのではと感じられている方もいらっしゃるかと思います。確かに昨今の報道を見聞きするにつけ、引き上げ延期のための伏線を引いているようにしか見えないですよね。

ただ、国の最終的な決定事項としての法律としては、今でも2017年4月には消費税率10%への引き上げとなっていますし、さらに昨日の国会決議によって、軽減税率もあわせて導入されることが正式に決定したということになります。

現実問題として、軽減税率導入に向けた準備は既に始まっています。ソフトメーカーに対する説明会も開催されていますが、詳細を聞くにつけ、本当にこれをやるのか、しかもこの先一年間で、とため息が出ます。

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軽減税率はおそらく多くの方が思っている以上に厄介です。今回軽減税率の対象となった飲食料品や新聞を販売する事業者以外には関係ないと思われるかもしれませんが、そうではありません。なぜならば、消費税は仕入にも関わっているから。軽減税率が生鮮食料品に限られるのであれば、生鮮食料品を仕入れる事業者は限られていますから、確かに影響は小さかったでしょう。ただ、最終的にそれが飲食料品に広がったことによって、事実上全ての事業者に影響が及ぶことになりました。新聞に関してはこの際に購読を止める(か電子版に絞る)という消極的対応策もありますが、来客時や来客時のために、お水やお茶を買わないという選択肢はありません。

詳細はここでは省きますが、軽減税率を正しく処理しない、例えば、お茶を標準税率で計上してしまうと、仕入税額控除が過大になり、結果的に納めるべき消費税を過少に計算してしまうことになります。

でも、軽減税率は8%でしょ。今も8%だから、変わらない。これに10%が加わるだけ、と思われるかもしれませんが、実は軽減税率の8%と今の8%は違うのです。消費税というのは、実は国税としての消費税と地方税としての消費税で成り立っているのですが、今の8%は、国分が6.3%、地方分が1.7%、これに対して軽減税率の8%は国分が6.24%、地方分が1.76%となっています。つまり、今の8%と軽減税率の8%は明確に区別しなければなりません。消費税率が10%に引上げになる際には、経過措置としての(今と同様の)8%と軽減税率の8%が混在することになりますが、それらを正しく分別しないと、国分/地方分の計算が狂うことになります。

それでも影響が仕入れる側だけであれば、まだマシかもしれません。販売する側で厄介なことと言えば、例えば、割引の問題。軽減税率対象品と対象外品を同時に販売し、なおかつ、割引を行った場合、この割引を軽減税率対象分と対象外分に按分しなければなりません。

考えれば考えるほど、これは相当な大ごとであると再認識させられます。この軽減税率が日本全国の事業者に大きな影響を与えることは確か。しかも残された期間はわずか一年間。正式に法律となった以上、その是非を語っていてもしょうがありません(ちなみに、まだ検討段階での私の意見はこちら)。弥生としては、お客さまの業務が支障なく進められるように全力を尽くしたいと思っています。一方で、法律として決まっていても、実際にどうなるかわからないという宙ぶらりんな状況は正直厳しいです。

もちろん日本という国の将来のために最も適切な判断が下されるものと思いますし、そのためには、状況を慎重に見極める必要があるのだと思いますが、このまま進むにせよ、軌道修正をするにせよ、とにかく一刻も早く判断して頂きたいと願っています。
posted by 岡本浩一郎 at 11:49 | TrackBack(0) | 税金・法令
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