2016年04月08日

新卒一括採用の是非

前回は、批判の声も聞こえる日本の新卒採用制度について、一定の合理性があると書きました。私は日本の新卒採用制度は、一定の条件の下でですが、いい制度だと思っています。

米国やヨーロッパ(国による違いはありますが、ここでは全体的な傾向としてお話しすると)の採用は即戦力志向。これは中途採用(転職)はもちろん、新卒についても同様です。新卒の場合、大学での成績に加え、インターンの経験などが重視されますが、これは専門職としてすぐに使い物になるかどうか、が重要な判断ポイントだからです。結果的に、最初の就職のハードルは日本とは比較にならないぐらい高い傾向にあります。むろん誰が見ても優秀な学生が就職に困ることはありませんが、平均的な学生にとっては即戦力として認められるというのは高いハードルです。他にも色々と要因がありますが、欧米で若年層ほど失業率が高いのは、採用する側の即戦力志向も一つの要因になっています。

これに対して、日本の新卒採用はポテンシャル重視。弥生でもお話ししていますし、同じような考えの会社も多いと思うのですが、即戦力として一年目からバリバリと結果を出すことは求めていません。一年目はまず着実に学ぶことが大事。焦ることはないよ、と。

つまり新卒の就職の難易度という意味では、日本の方が圧倒的にハードルが低いのです。実際、昨年3月に卒業した大学生の(昨年)4月1日時点での就職率は96.7%。9割以上の人が、卒業と同時に就職することができています。必ずしも希望通りの就職ではないにしても、とりあえず働くという入り口に立つことはできています。2年前に採用試験に受験料を徴収するとして話題になったドワンゴの川上会長(現カドカワ代表取締役社長)も言われている通り、新卒採用は「『新卒一括採用』というしくみは日本全体の大規模なインターンのようなもの」。まず入り口に立てる、チャンスを与えると意味で、本来は学生にとっては有利な仕組みのはずです。

ただし、新卒一括採用が唯一のチャンス、すなわち、新卒一括採用を逃してしまうと、入り口が一切閉じられてしまうとなってしまっては、途端にデメリットが大きくなります。海外留学で卒業のタイミングが異なる、大学を出てから就職する前にやっておきたいことがある、そういったケースでも入社のチャンスは与えられるべき。あるいは、一旦入社したものの、自分の目指す方向と会社の方向性が異なることがわかった、もう一度やり直したいというケースもあるでしょう。

弥生では、世間と同様のスケジュールで新卒の採用を行っていますが、弥生への入り口はそれだけではありません。他の会社で一定の経験を積んだ上で、さらなる活躍の場を求めての中途入社ももちろんあり。これまでのところ、新卒採用よりも中途採用の方が数が多いのが実態です。新卒入社で1〜2年程度経験は積んだものの、会社の方向性を踏まえ、別の道を選択する、いわゆる第二新卒もあり。これは実績としてはないのですが、留学などの理由で通常とは異なるスケジュールでの選考/入社となる新卒採用もありです。

小さいことですが、ある意味似た話として、就職活動時のいわゆる就活スタイル(就活スーツ)もそれはそれであり。とりあえず一着あればokですとか、一日に複数件まわれるというメリットはあるのでしょうから。一方で、いわゆる就活スタイルでないからダメということは一切ありません。もちろん、ビジネスの場としての清潔感は必要ですが、自分らしいスタイルはプラスになることはあっても、マイナスになることはありません。

大事なのは選択肢を提供すること。会社のビジョンに共感し、同じ方向に向かって歩むことは必要ですが、様々なバックグラウンドを持った多様な方が入社し、そして活躍できる場でありたいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 21:43 | TrackBack(0) | 弥生
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/174817745
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック