2016年11月10日

終わりの始まりか、始まりの終わりか

この2016年という年は世界にとっての転換点として、歴史に残る年になるのかもしれません。6月のBrexit、そして昨日のトランプ大統領の誕生。まさかが続くというのは、偶然ではなく、そこに歴史の必然があるようにも感じます。

私は、イギリスは当然のようにEU残留を選ぶと思っていましたし、どう考えてもトランプ氏が世界一の大国の大統領になり、核のボタンを握るとは思っていませんでした。(今から振り返ってみれば)不遜な言い方をすれば、イギリス人にせよ、アメリカ人にせよ、理性があるのだから、当然イギリスはEUに残留し、クリントン氏が大統領になるなるだろうと。

Brexitの時も、EU残留を希望していたのは、ロンドン近郊やスコットランドなどの一部地域。今回の大統領選でも、クリントン氏が勝ったのは、ニューヨークを中心とする東海岸と、カリフォルニアなどの西海岸。逆に南部/中部は(共和党のカラーである)真っ赤に埋め尽くされています。Brexitと今回の大統領選を、赤と青に塗り分けられた地図で見てみると相似形を感じざるを得ません。

私のアメリカでの友人は、大学院がロサンゼルスでしたから、今でも多くはカリフォルニアに住んでいます。残りはやはりニューヨークを中心とする東海岸。私がFacebookを見ていても、クリントン氏を推す声はあっても、トランプ氏を推す声は皆無でした(現時点では、悲鳴とも言える投稿で溢れています)。メディアにしても、明らかにクリントン氏推し。だからのまさか。ただ、今から思えば、私から見る米国というのは、友人とメディアというフィルターがかかっており、本当の意味で理解できていたわけではないかもしれません(ちなみに、私の父親はテキサス在住が長かったため、別の見方をしていたかもしれません)。

ただ、良くも悪くもこれが民主主義です。この結果を受け入れて(米国民でないので変な表現ですが、世界中に影響があることは確実ですので)、私たちが今からどんな世界を作っていきたいのか、いけるのかを考え、行動しなければなりません。

私が子どもの時代には、子どもから見える世界は概ね平和でした。日本は高度成長の時代。そして世界は徐々にまとまってきているようにも感じられました。1989年にはベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結。EUの発足と拡大。新興国の成長。世界はまとまり、平和な明るい未来が開けているようにも思えました。

一方で、特に2000年前後から、様々な歪みを隠し切れなくなってきたのも事実です。911テロ事件を一つの象徴とする悲しみの連鎖。大国のエゴ。広がる格差。そういった歪みから目を背け続けることができなくなり、何かを変えなければならないという思いが形になったのが(それが手段として正しいかは別として)、Brexitであり、トランプ大統領の誕生。

これが、第二次世界大戦終結から近年までの(比較的)平和な時代の終わりの始まりであり、これから世界は暗い時代に向かっていくのか。あるいは、平和な時代の始まりの終わりであり、紆余曲折はありながらも、より良い未来に向かっていくのか。それは後年振返ってみないとわからないことですが、救いとなるのは、誰も暗い未来を望んでいないはずだ、ということ。そして確かなことは、私たちが何を考え、どう行動するのかが重要だということかと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 11:35 | TrackBack(0) | パーソナル
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