2016年11月25日

年収が高い人ほど歩くスピードが速い?

ちょっと前に、NTTドコモ(ドコモ・ヘルスケア)が、「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちであることが判明!?年収1,000万円以上の人は平均年収の人より約1.2倍速で歩いている」というプレスリリースを出していました。「ムーヴバンド3」というデバイスを利用している人へのアンケートおよび歩行に関するデータを用いて、年収と歩行速度の関係を調査したところ、なんと(!)、「年収が高い人ほど歩くスピードが速く、せっかちである」という結論に至ったのだそうです。

このリリース中にある「年収ごとの平均歩行速度」というグラフを見ると、確かに、年収が上がるにつれて、平均歩行速度が上昇しているように見えます。年収が100万円未満の場合は2.46km/hだったものが、年収が1,000万円以上になると3.13km/h。

単純に考えれば、歩く速度を上げれば、年収も上がる!?と考えてしまいます。例えば、年収が400万円以上500万円未満の人(平均歩行速度が2.69km/h)が、頑張って歩く速度を3.13km/hまで上げれば年収も1,000万円以上にまで上がる? 歩く速度を上げると、より有効に時間を使うことができ、それが年収増につながるのでしょうか? とはいえ、例えば一日7.5km(歩幅75cm×10,000歩)歩くとして、平均歩行速度が2.69km/hから3.13km/hに上がったとしても所要時間は23.5分しかかわりません。23.5分の余剰時間が年収倍増につながる?

普通は何かおかしいな、と感じられるかと思います。まず、一つ目の突っ込みどころとして、原因と結果を取り違えている可能性があります。原因が歩行速度で、結果が年収であれば、確かに歩く速度を上げれば年収も上がることになります。ただ、因果関係が逆で、原因が年収で、結果が歩行速度(年収が高い人ほど忙しいから歩く速度も上がる?)であれば、頑張って歩く速度を上げても、残念ながら年収は上がらないことになります。

二つ目の突っ込みどころとしては、そもそも因果関係が存在しているのか。実際問題として、これは因果関係が存在しない、疑似相関の可能性が高いのではないかと思います。

疑似相関の説明でよく見る例としては、アイスクリームの売上と溺死者の数の相関関係。アイスクリームの売上が最も高い時期には、プールでの溺死事故も最も多い。ということは、アイスクリームの売上増が溺死増の原因ではないか? アイスクリームを食べると、幸せな気分になり、気を緩めるから溺死者が増える? でもまあ、普通に考えれば、そんな因果関係はないことはわかりますよね。より妥当な説明としては、夏の暑さがこの二つの事象の共通の原因であるというもの。暑くなると、アイスクリームの売り上げが上がる。また、プールに行く人も増えて、結果的にプールでの溺死事故も増える。ただ、アイスクリームの売上と溺死増には直接的な因果関係はありません。

さて、それでは歩く速度と年収の関係の裏にある、本当の因果関係は何でしょうか。ちょっと長くなったので、私の見解はまた次回。
posted by 岡本浩一郎 at 22:51 | TrackBack(0) | ビジネス
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