2017年08月23日

Going Concern

前回、「会社はGoing concernですから、今期が良ければすべて良しとはいきません」と書きました。Going Concern、すなわち、企業は将来にわたって無期限に事業を継続するものだ、という考え方。あまり深く考えず、さらっと書いてしまいましたが、冷静に考えれば、決して当たり前のことではありません。お客さまのために、企業は事業を継続し、価値を提供し続けなければならない。ただし、必ずしもそれができるわけではない。つまり、企業はGoing Concern「であらねばならない」、だけれども、Going Concern「であるとは限らない」。

前回書いた記事を自分で読み返してふと思い出したのが、少し前に目にした、あるクラウド会計ソフトが来年5月末をもってサービス提供を終了するというプレスリリース。このクラウド会計ソフトは、実は、同種のサービスの草分けともいえる存在。まだクラウドという表現はもとより、SaaSという表現もなかった、2000年にスタートしたサービスです(当時はASP, Application Service Providerという表現でした)。そういった意味で間違いなく先進的なサービスではありましたが、利用は進まず、その結果2011年に現在サービスを提供している会社に事業売却されたという歴史があります。その後も新しい会社で普及のための努力は続けていたようですが、残念ながら期待された結果にはつながらず、今回のサービス終了という判断につながったようです。

こういった背景を知っている人間としては、「やはり、ついに」という感想ですが、いざ正式発表として目にすると、やはり残念です。プレスリリースを見ると、ユーザー数(有効アカウント数)が約1,200件、売上が2,000万円弱、当然のことながら赤字ということで、経営判断上はやむを得なかったのだと思います。それでもサービス開始から17年間、新会社に移管されてからも約6年間なので、本当によく頑張ってこられたと思います。

これは会社全体の話ではなく、事業としてGoing Concernであるかどうか、ですが、やはりGoing Concern「であらねばならない」、だけれども、Going Concern「であるとは限らない」。

特に会計ソフトの場合には、お客さまの事業の土台となる情報をお預かりしています。あれば便利だけれど、なくても何とかなる存在ではありません。ですから、Going Concernであることは極めて重要。特に昨今は、単なる帳簿だけではなく、領収書等の画像を電子帳簿保存制度(スキャナ保存制度)でお預かりするというサービスも提供するようになっていますから、万万が一サービスの継続ができない、あるいは会社として存続できないということになれば、お客さまに取り返しのつかないご迷惑をお掛けすることになってしまいます。総勘定元帳といった帳簿は紙で出力して改めて保管すればまだ何とかなりますが、画像で保管する際に破棄してしまった証憑を取り戻すことはできません。そもそも電子帳簿保存制度(スキャナ保存制度)自体がまだあまり普及していませんので、こういった問題はまだ実際に発生していないと思いますが、将来的には発生しうる問題です。

Going Concernであること。「であらねばならない」けれど「であるとは限らない」。弥生はGoing Concernであることに、そして10年後も、20年後も、30年後も安心してご利用頂けることに、徹底的にこだわっていきます。
posted by 岡本浩一郎 at 20:10 | TrackBack(0) | 弥生
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