2018年03月02日

オリックスとWecash

弥生の親会社であるオリックスは、本日3/2(金)に、中国のFinTech企業Wecash(閃銀奇異、ウィーキャッシュ)にUS$60M(約64億円)の投資を行ったことを発表しました

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あれ、この一文、ついこの間も書いたような…。そうです、オリックスは一ヶ月ちょっと前の1/24にもDianrongという中国のFinTech企業への投資を発表しています。Dianrongへの投資額もUS$60Mですから、合計でUS$120M(約130億円)を中国のFinTech市場に投じたことになります。FinTechが(良くも悪くも)話題になるようになって久しいですが、我がアルトアへの投資(これは弥生からの投資分と合わせても十数億円とやや小ぶり?ですが)とあわせ、FinTechへのコミットメントという意味では、オリックスは他の日本企業と比較して、一歩も二歩も先を行っています(むろん、別格のソフトバンクを除く)。

日本はアルトアが頑張るとして、前回投資したDianrong、今回投資したWecashも中国市場。テクノロジーと言えばアメリカというイメージがありますが、ことFinTechに関しては、中国が圧倒的な世界No.1の市場になっています。アルトア/Dianrong/Wecashが活動しているAlternative Lending(代替的融資)市場は、アメリカの市場規模が2016年で$30B(約3.3兆円)ちょっと。これに対し、中国は$230B(約25兆円)と、圧倒的な差で世界最大の市場。ちなみに日本は同じく2016年でわずかに400億円程度とまだまだこれからの市場です。

中国の市場が大きいのは、金融がまだまだ発達していないからなのでは? やっていることは大したことがないのでは? 実は、私もDianrongやWecashと議論するまではそう思っていました。しかし、実際に話を聞いてみると、彼らが実現しているサービスは、世界でも最先端にあるということが見えてきました。

前回投資したDianrongは、おカネを借りたい人と、おカネを貸したい人を結びつける融資仲介サービス、Pier-to-Pier (P2P) Lendingを提供しています。これに対し、今回投資したWecashは、LFC(Loan Facilitation Company)と呼ばれ、借り手を金融機関に紹介し、融資につなげる(Loan Facilitation)ことをビジネスとしています。世界最大の市場だけに複数のビジネスモデルが併存しており、DianrongはP2Pのトッププレーヤーの一社、WecashはLFCのトッププレーヤーの一社として、それぞれ意識をする存在だとは思いますが、直接的には競合していません。

アルトアの観点では、与信ノウハウ(借り手の返済能力を判断する)という意味では、両社とも学ぶべき存在です。一方で、金融機関との連携を積極的に行っているという意味では、Wecashの方がアルトアとの共通点が多いとも言えます。吸収できるものを吸収し(一方で、アルトアの方が先進的な取り組みをしている部分もあるので、それはそれで共有し)、その学びを日本のAlternative Lending市場の拡大につなげていきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 15:52 | TrackBack(0) | オリックスグループ
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