2018年06月07日

オープンAPI推進研究会

先週金曜日に、全国銀行協会(全銀協)より、「改正銀行法対応のAPI利用契約の条文例 (中間的な整理(案))」という資料が公開されました。これは、金融機関と金融機関APIを利用する事業者(法的には電子決済等代行業者という名称になります)の間でのAPI連携に関する契約締結を効率化することを目的に、金融機関、事業者、弁護士をメンバーに、全銀協を事務局とした「オープンAPI推進研究会」の中間成果物として発表されたものです。

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私自身も、このオープンAPI推進研究会の一メンバーとして、昨年11月から現在まで一貫して議論に関わってきました。研究会の会合はこれまで11回開催されていますが、1回を除き全参加しており、全会合を通じ、おそらく一番発言したのは私なのではないかと思います(当社比、笑)。決して自己アピールしている訳ではなく、それだけ金融機関APIに対し、期待もしていれば、懸念も持っているということです。

以前もお話ししたように、金融機関APIを通じ、お客さまがお客さま自身のデータをより自由に活用できるようになることによって、これまでにない利便性がもたらされることが期待されます。一方で、扱いようによっては、むしろお客さまの自由を損ねかねないという意味で、大きな懸念も存在します。

私がこの領域に時間を割くようになったのは、昨年の前半。昨年の前半から、金融機関のAPI対応が少しずつ始まり、弥生としてもAPI連携をすべく、複数の金融機関との議論を始めました。そこで直面したのがN対N問題。弥生は、個別の金融機関とそれぞれ議論をしなければならない。一方で、金融機関としても複数の事業者とそれぞれ議論しなければならない。既に確立した事業であれば、議論/交渉すべきポイントも限られますから、それでも何とかなるかもしれませんが、ことAPI連携に関しては、まだ新しい領域であり、どんな問題が起こりうるのか、その際にどういった対応を行うべきなのか、から始まって全てが未知の世界。N対Nの議論では早晩限界が来ると判断し、多くの金融機関/事業者が集まっての検討の場が必要だと動き出したのが、ちょうど一年前のことです。

それから紆余曲折があり、ようやくオープンAPI推進研究会として動き出したのが、昨年の11月のことです。そしてそれから半年以上経って、ようやく中間という位置付けではありますが、成果物として発表できるようになりました。

研究会として発足し、課題だったN対N問題は解決できたものの、逆に直面したのは、様々な考え方をどうまとめていくか。金融機関も一枚岩ではありませんし、事業者側もそれぞれ事業の背景が異なりますから、全く同じ発想をしているわけではありません。そういった中で、実に様々なトピックを、時間をかけてじっくりと議論する必要がありました。こうした議論によって、お互いに理解が深まり、納得感のある成果になってきたと思っています。

ただ、やはり根本的な考え方の違いもあり、全ての穴を埋め切れている訳ではありません。考え方の違いは説明が難しいですが、あえて単純化してお話しすると、「お客さまの保護」を第一と考えるのか、あるいは「お客さまの自由」を第一と考えるのか、と表現できるように思います。充分に理解できることですが、金融機関の出発点は「お客さまの保護」。お客さまは全てを理解している訳ではないし、間違いをすることもあるかもしれない、そんな際にもお客さまを保護できるよう、(場合によってはお客さまの自由を一部制約してでも)万全な守りが必要。これに対し、弥生も含め、事業者の出発点は「お客さまの自由」。お客さまがキチンと理解して、こうしたいという意思を示されている以上、それを実現できるようにするのが、事業者の責務という発想です。むろん、意志を示さない(必要と感じていない)お客さまに何かを押し付けることはあってはなりませんが、意志を示された以上は、それを極力尊重し、最大限の利便性を提供したいと思っています。

おそらく最適解は、その中間にあるのだと思っています。お客さまの保護はもちろん大事だし、お客さまの自由ももちろん大事。オープンAPI推進研究会の議論はまだ中間とりまとめですから、最終案に向けて、引き続き議論をつくし、本当の意味でお客さまのためになる方向性を見出したいと思っています。
posted by 岡本浩一郎 at 13:27 | TrackBack(0) | 弥生
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