2018年10月26日

お客さまのことを考える

今日は大阪でのPAPカンファレンスということで、早朝から大阪入り。大阪伊丹空港から、淀屋橋のオフィスまではいくつかのコースがあるのですが、モノレールで千里中央に出て、そこから御堂筋線(北大阪急行線)というのが典型的なコース。モノレールを降りると、野村證券の千里支店の前を通ります。この千里支店は私にとっては思い出深い場所。ある意味私のキャリアの一つの転換点になった場所です。

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私は毎月社内報に記事を書いているのですが、実は弥生の社長に就任して最初に書いた記事(2008年5月!)でこの千里支店のことを書いています。

--(以下引用)--
皆さんご承知のように、私は元々はエンジニアの出身です。エンジニアと言えば、オフィスにこもってコードを書くのが仕事と思われがちですが、エンジニアであっても、お客さまを理解し、そのニーズにお応えすることは絶対に必要なことです。私は野村総合研究所(NRI)という会社で社会人人生をスタートしました。NRIは野村證券と資本関係があり、野村證券のシステムを構築・提供しています。このため、NRIでは全ての新人エンジニアは一年目中に野村證券の支店での一ヶ月間の研修を義務付けられています。私の場合は大阪の千里支店でした。この一ヶ月の体験が私のエンジニアとしての価値観を大きく左右したと言っても過言ではありません。

支店で驚くと同時にショックだったのは、鳴り物入りで開発された機能が全く使われていないこと。どこの会社でもよくある悩みですが、当時の野村證券ではお客さまに関する情報を担当営業のみが持っていることが大きな問題になっていました。担当営業が異動になると、お客さまに関する情報が失われてしまい、後任の担当営業が一からやり直すという繰り返しでした。そこで、野村證券はお客さまとの接触履歴を記録するシステムを開発し、全店に導入したのです。これは1991年のことですが、今で言うCRM(Customer Relationship Management)の先駆けというべきものです。

ただ、これは会社の「こうしたい」であって、使う人(営業)の「こうしたい」とは全く一致していなかったのです。営業としてはお客さまとのやり取りこそが生命線であり、それを(システムを通じて)全社で共有するのは下手をすれば自分の業績にひびくと考えていたわけです。情報を共有することがお客さまと会社にとってどんな意味があるのかをキチンと示す、また情報を共有するインセンティブを提供していれば話は別だったのでしょうが、結果的には全く使われないシステムができてしまったわけです。エンジニアとしての自分に自信を持ち、良い物を作っていると思っていた私にとっては非常にショックな出来事でした。

弥生はテクノロジーカンパニーですが、お客さまに利用されないテクノロジーには何の意味もありません。お客さまに使って頂き、お客さまに喜んで頂くためには、やはりお客さまが何を考え、何を求めているのかを正確に理解する必要があります。これは製品に限ったことではなく、サービスの提供でも同じです。お客さまに利用されない、評価されないサービスは自己満足にしか過ぎません。

社員一人一人が常にお客さまのことを考え、何ができるかを考える。その積み重ねが弥生の将来につながっていくものと信じています。
--(引用ここまで)--

もう30年近く前のことですから、当時自分がどのように千里支店に通っていたのかすら覚えていない(豊中にあった寮にお世話になっていたことは覚えています)のですが、エンジニアとしての大事な学びは今でも自分の礎になっています。テクノロジーが進化し、ある意味何でも実現できるようになってきた中で、お客さまのことを考え、何ができるかを考え続けることの必要性はますます高まってきていると感じます。
posted by 岡本浩一郎 at 12:21 | TrackBack(0) | 弥生
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