2018年11月28日

プロ経営者の賞味期限

以前、社長の賞味期限という記事を書いたことがありますが、今回はプロ経営者の賞味期限というお題で。私はプロ経営者として取り上げられたことがあると本ブログでも2回ほどお話ししたことがあります(その1, その2)。プロ経営者の定義は色々ありうるかと思いますが、外部から招かれて(時には全く異なる業種から)、「企業を変革に導き結果を残すことのできる経営者」という意味では、私は結果という意味ではまだまだだとは思いますが、(僭越だとは思いますが)プロ経営者としての自覚と誇りは持っています。

そんな私が気になるニュースが相次ぎました。RIZAPでの松本COOの退任LIXILグループでの瀬戸CEOの退任、そして極めつけは日産でのゴーン会長の逮捕/解任。いずれも私とは次元の違うプロ経営者ですが、やはり気になります。松本さんに関しては、その後RIZAPが買収した子会社の業績不振により赤字転落することを発表する中で、グループの構造改革に専念するためということが判明し、必ずしも一部報道にあったようなプロ経営者を生かし切れず、ではないことがわかってきました。

一方で、(LIXILの)瀬戸さんに関しては、正直悔しいだろうな、と心中を察してしまいます。プロ経営者として「席を譲れと言われれば譲る」と公言されてきた瀬戸さんですが、プロ経営者といっても、結果を出すためには一定の時間は必要です。出血を止めることは短期間でできても、再成長軌道に乗せるためには一定の時間が必要。私の場合も、これは結果につながってきた、と実感できるまでには2年かかっています。弥生の規模でもそうですから、LIXILグループという巨体ではもっと時間がかかっても不思議ではありません。瀬戸さんは就任されてから3年弱。戦線を縮小するなど、前向きではない、それでも必要な手を打ってきて、ようやく結果につながるという段階で引導を渡されるのは本意ではないでしょう。ある意味、創業家が汚れ仕事だけを瀬戸さんにまかせて、これからという時に「美味しいとこ取り」をしたと見られても不思議ではないと思います(ちょっと言い過ぎですかね…)。

他方、衝撃的なのはゴーンさん。まだ実際に何が起こったのかは明らかではありませんから、憶測で物を言うことは控えたいと思います。ただ、様々な報道を見ている中で、ゴーンさんが半ば神格化していた、ということは事実なのではないかと思います。ゴーンさんが日産のCOOに就任したのが1999年、CEOに就任したのが2001年。経営危機に瀕していた日産を立て直し、ルノー・日産・三菱アライアンスによって世界最大の自動車メーカーの座を争えるまでにしたという功績を否定することはできないでしょう。ただ、そんなゴーンさんも20年近く経営権を握っている中で、(それが犯罪となるのかどうかは別として)当人にとっての当り前が世間の常識とかけ離れてしまう、そして神格化した存在を周りが止められない、ということが起こりうるのかと思います。

3年では短すぎる、でも20年だと長すぎる。社長の賞味期限も難しいですが、プロ経営者の賞味期限はより難しいですね。良くも悪くも(それこそ死ぬまで)自分の納得のいくまで続けることのできる創業者と違い、プロ経営者は結果を出して次にバトンを渡すことがミッション。この記事の「『自分がいなければ立ちゆかない』は業績ではない」(元記事では、"Mr Ghosn might look at Renault's and Nissan's share prices as evidence that he is indispensable. But the best bosses do not regard that as an achievement.")が身に沁みます。
posted by 岡本浩一郎 at 19:20 | TrackBack(0) | ビジネス
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