2019年04月22日

AI/SUM 2019

アルトアもそうですが、オンラインレンディングでは、一般的にデータ(アルトアの場合は会計データ)をAIで分析することによって、融資の可否を判断します。今月上旬に開催されたLendIt FinTech USA 2019でも、AIの活用は一つの大きなテーマとなっていました。ただ、イベント全体も落ち着いた感じでしたが、AIに関する議論もやや落ち着いたように感じられました。これは、AIが活用されていないということではなく、むしろAIの活用が当たり前になったということかと思います。

その中で印象に残ったのが、AIについて語る時に、必ず説明可能性(Explainability)について語られるようになったこと。AIの活用が進む中で、意図せぬ形で差別(金融の世界では金融排除)が起きるのではないかが懸念されており、それを避けるために、AIの判断ロジックを説明できることが重視されてきています。例えば、従来の融資において、(当然いいことではありませんが)人種によって融資の可否判断が影響を受けていた場合、その実績を学習したAIは、人種を可否判断に取り込んでしまう可能性があります。

AIというと、約2年前についに碁で人間のチャンピオンに完勝したとして今のブームの火付け役になったのがAlphaGo。AlphaGoが採用しているAIの手法はDeep Learning(深層学習, 以下DL)というものですが、DL(あるいはそのベースであるMachine Learning)はなぜそういった判断がされるのかが外からはわからない、いわゆるブラックボックスになります。碁のような勝負の場合には、勝てばいいので、必ずしも説明可能性は求められませんが、金融の場合はそうはいきません。そういった中で、今回のLendIt FinTech USA 2019では、説明可能性があるDLという技術が注目を集めていました。

もっとも、金融におけるAIはそもそもDLとは限りません。確かに、例えば画像から犬か猫かを判定するなど、構造化されていないデータに関してはDLが威力を発揮します。一方で、構造化されているデータについては、DLでない、よりトラディショナルな統計的アプローチでも十分性能を発揮でき、なおかつ説明可能性を確保できるからです。アルトアの場合は、扱うデータが会計データという構造化されているデータであること、また、説明可能性が必要であるという考えから、統計的なアプローチによるAIを採用しています。

AIといえば、今日から開催されているAI/SUM 2019(アイサム、Applied AI Summit)というイベントで登壇します。AI/SUMは、日本経済新聞社主催のAIを実社会・産業にどう適用するかにスポットをあてた日本最大級のグローバルAIカンファレンス。私は最終日となる4/24(水) 午前9:30-10:15の「AIが金融におけるデジタル革命の潮流を起こす 〜ビジネスを変える〜」というセッションにパネリストとして登壇します。

このセッションでは、金融庁の三輪フィンテック室長をモデレーターとして、実際にサービスを提供している3社および金融機関の有識者で熱くオンラインレンディングについて語ります。AI/SUMは一般チケットが10万円(!)と、私が登壇するセッションのためだけにチケットを買っていただくのは難しいと思いますが、既にチケットを購入済みという方がいらっしゃいましたら、是非当セッションにもご参加いただければ幸いです。
posted by 岡本浩一郎 at 22:28 | TrackBack(0) | アルトア
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