2019年07月24日

Brexit、またの名は

イギリス保守党の新党首としてBoris Johnson氏が選出され、今日にもイギリスの首相に就任するそうです。本来は3月末の予定だったイギリスのEU離脱は、方向性が定まらないままに一旦10月末までということで延期されていますが、これでいよいよ10月末での離脱に向かって動きそうです。しかもJohnson氏のこれまでの言動からすると、合意なしでの強硬離脱もありえそうです。

先日イギリスを訪問したことは本ブログでもお話ししましたが、その際に、気になっていたのはこのBrexit。Brexitで観光客が減ったり、あるいは経済に明らかな変調をきたしているのではないか、という懸念を抱いていたのですが、これは思いっきりはずれ。観光地は観光客であふれ、景気が悪いという印象は全くありませんでした。ある意味、何の変化も感じられない。いつも通り。

イギリスの同業者との会食の際に、あまりに平然と物事が動いているけど、どうなっているの、とかなり不躾な質問をしたのですが、曰く「もう我々は政治に呆れかえって何も感じなくなっているんだよ」とのこと。噛み合わない議論ばかりで一向に明確な方向性を出せない政治家に呆れており、もう何も期待していない。民間は民間でできることを粛々とやるしかない、ということのようでした。

一つ面白いなと思ったのは、イギリスの政府関係の方とお話しした時。その方は"Brexit"ではなく、"EU Exit"という表現をしていました。"Brexit"はイギリス(Britain)がEUを離脱するという事実を表す第三者的な表現なのですが、"EU Exit"はイギリスが自分の意志でEUを離脱するんだという主観を感じる表現です。この"EU Exit"という表現がどこまで一般的なのか(その方固有なのか、あるいは、イギリスの政府関係者はそういった表現をするのか)はわからなかったのですが、なるほど人によって見方は変わるものですね。

Brexit、またの名をEU Exitがどうなるのかは、わかりません(どうなるにせよ、さすがに合意なしは避けるべきだと思いますが)。ただ、それ以上に、ここまでの政治不信はイギリスの将来にとって非常に大きな課題を突き付けていると感じました。

翻って日本。先日の参議院議員選挙の結果について、人によってとらえ方は異なると思いますが、個人的には、ひとまずは与党に国の運営を任せつつも、将来については、党を越えてしっかりと議論してもらいたいという(私も含め)国民の政治への期待を感じるものでした。日本も課題は山積みですが、世界がこれだけ揺れている中で、政治が安定していることは大きなアドバンテージだと感じています。
posted by 岡本浩一郎 at 17:29 | TrackBack(0) | その他
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