2019年10月08日

導入一週間

消費税率が10%に引上げとなり、同時に軽減税率制度が導入されて一週間。最悪のシナリオとして想定した(?)ほどの混乱はないな、と感じています。標準税率が10%に引上げになること自体は、5年前にも8%への引上げを経験したこともあり、スムーズに対応されているように見受けられます(家計への影響といった話は一旦置いておき、あくまでも店舗などのオペレーションという意味で)。まだ一週間ということで、訪問できた店舗の数も限られますが、本当は10%のはずなのに、まだ8%のまま、というケースにはまだ遭遇していません。何だかんだ言いつつ、皆さんそれなりに準備を進めてきたのかな、と思います。

ただ、テイクアウトか店内飲食か、というところは、かなりグレーな運用で何とか成り立っているように見受けられます。ファストフードなどでは、もともとのオペレーションとして、店内か、テイクアウトか聞かれ、それに応じた消費税率になっていますが、イートインコーナーのあるコンビニなどでは、いまだかつて聞かれたことがありません。お客さまが自己申告すれば、ということなんでしょうね。ただでさえお昼時は行列になっている中で、毎回確認していたらオペレーションが成り立ちません。まあ、現実そうならざるを得ないように思います。

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さて、これまでに遭遇した中ではこんなレシートもありました。これは(何か影響があると困るので、かなりぼかしが入っていますが)パン屋さんで、パンを買った際のレシート。持ち帰りなので、軽減税率対象となり、8%。実際に外税で8%の消費税が課されており、これでいいようにも思えますが、実はやや問題ありなのです。この8%はあくまでも軽減の8%なので、その旨を明記しなければなりません。

これまでご紹介してきたレシートでは、品目単位で「※」や「軽」という付記がされており、なおかつレシート下部に「※/軽は軽減税率対象商品です」と記載されています。そもそも飲食料品しか扱わない、また、持ち帰りしかないというお店(パン屋さんはその典型例ですね)、結果的に軽減税率対象商品しか扱わないケースもそれなりにあると思います。この場合には、品目単位での「※」や「軽」の付記は必要ありませんが、その代わり、全体として、「全商品が軽減税率対象」といった記載をする必要があります(こちらのFAQの問112)。

ですので、このレシートの場合も、どこかに「全商品が軽減税率対象」と記載されているのが、正解となるはずです。手間を考えるとレジで印字するのが望ましいですが、「全商品が軽減税率対象」というゴム印を作って、それを押すのでもokだそうです。

想像するところ、うちは飲食料品で持ち帰りだけだから、これまでと同じ8%。だから何もしなくてもいい、と勘違いされている可能性もあるのではないかと思います。

しかし実は、同じ8%でも、2019年9月30日までの8%と、2019年10月1日以降の軽減での8%というのは、区別して管理しなければなりません。詳細の説明はここでは省きますが、一口に消費税と言っても、実態は国税としての消費税と、地方税である地方消費税に分かれています。9月までの8%の内訳は(国)消費税が6.3%に加え、地方消費税が1.7%で合計8%だったのに対し、軽減税率の8%の内訳は(国)消費税が6.24%に加え、地方消費税が1.76%で合計8%となっています。内訳が異なるだけに、9月までの8%と10月以降の軽減8%は明確に分けて管理する必要があるのです。これは意外に知られていませんが、その実非常に重要なポイントです。

レシートの表記だけでいえば、それほど大きな問題ではないとも言えます。しかし、売上の管理という意味では、これまでの8%とは違うという管理をしておかないと、後で結構困ることになってしまいますので、注意が必要です。

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逆に、外食で持ち帰りはないというパターン。このレシートでは、「内2/*印は軽減税率対象商品」と印字されていますが、そもそも軽減税率対象商品の扱いがないのであれば、この表記も不要です。つまり、これまで通りのレシートで基本的にありません(上記のFAQの問113)。

ただ、このように税込の価格表記をしている場合、価格はそのままで、レジの設定で消費税率10%としているだけのケースも多いのではないかと感じています。要は税込価格を見直していないということですね。確かに対応としてはラクなのですが、以前もお話ししたように、これは実質的に約2%の値引きをしていることになり、利益を確実に圧迫します。とりあえず10月1日はレジの消費税率設定の変更だけでしのいだ、というケースも、是非今一度価格の見直しをご検討いただきたいと思います。

いよいよ滑り出した軽減税率制度。レシートの読み込み精度が落ちるなど既に明らかな問題もあれば、キャッシュレス・ポイント還元の処理の問題、さらには、今後決算の時に利益が減った、あるいは、消費税の納税の際に、納付額がこんなに増えたという今後明らかになってくるであろう問題もあります。お客さまの事業に支障がでないよう、弥生としてしっかりと情報発信し、サポートしていきます。
posted by 岡本浩一郎 at 17:39 | TrackBack(0) | 税金・法令
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