2月ぐらいから断続的に発表しており、4月/5月にはかなりのハイペースで発表していますが、銀行とのAPI連携を急ピッチでリリースしています。現時点で約30行との契約が完了し、API連携がスタートしています。
ご承知のように弥生のスマート取引取込では、インターネットバンキングのデータを自動で取り込み、AIで自動で仕訳データとして登録することができます。これまで、インターネットバンキングのデータの取り込みについては、スクレーピングという方式を利用していました。これはいわばお客さまになりすまして、インターネットバンキングにログインし、データを取り込む方式です(データを「掻き取る」という意味でスクレーピングと言われます)。この方式は、どんなウェブサービスにでも対応しやすいというメリットがある一方で、対象となるウェブサイトの構成が少しでも変わるとデータを取り込めなくなる可能性がある、万が一問題が発生した場合に責任の所在が曖昧であるという課題がありました。
このため、2018年に銀行法が改正され、銀行にデータを取得するためのAPI(Application Programming Interface)と呼ばれる接続口の提供の努力義務を課すと共に、弥生のようなFinTechサービス提供会社(電子決済等代行業者)は銀行と契約を締結した上でAPIで接続することが義務付けられました。弥生は2018年12月にこの電子決済等代行業者としての登録を済ませています。この銀行法の改正の中で、銀行とFinTechサービス提供会社の契約締結を2020年5月末までに済ませることが求められており、急ピッチで対応を進めてきている訳です。
契約締結にせよ、システム対応にせよ、数多くの銀行と同時並行で進めていかなければならないので、かなりチャレンジングなタスクです(契約という意味では、以前お話ししたオープンAPI推進研究会で策定した条文例が一助にはなっています)。また、契約締結にともなって各銀行に対しAPI使用料を支払うことになり、弥生の金銭的な負担は実のところ決して軽くありません。ただ、お客さまにとっては、安定性の観点でも、セキュリティの観点でも、スクレーピングよりAPIの方がベターなのは明らかであり、API連携を全力で進めています。
なお、本来は5月末までの期限だったのですが、新型コロナウイルス禍の影響により、つい最近、期限が9月末までに延長されました。少し時間が得られてホッとしていますが、9月までもおそらくあっという間。引き続き、着実に進めていきます。