2017年12月にアルトアが弥生会計をご利用の法人のお客さま向けに融資を開始してから早2年半。本当にあっという間ですね。その後2018年12月には個人事業主のお客さま向けにも融資を開始しました。その後も、融資実行に際しての本人確認の手続きを改善(その1、その2)なども行ってきました。
足元の動向で言えば、2020年3月には、お申込みがかなり増えました。新型コロナウイルス禍の影響が着実に広がる一方で、公的な支援が行き渡らず、事業者の方々の資金繰りが急速に悪化した時期です。そんな中、アルトアであれば最短即日で融資が可能ということで、お申込みが増えたものと考えています。
一方で、5月からはお申込みが明確に減りました。え、そんなこと書いてしまっていいの、と思われるかもしれませんが、事実ですからしょうがありません(笑)。これは、3月とは逆に、公的融資や、持続化給付金など、公的な支援がそれなりに行き渡る中で、一旦事業者の方々の資金繰りが安定したためだと考えています。実際、3月にお借入れいただいた方が、資金繰りの目処が立ったということで、5月や6月に繰り上げ返済されるケースが目立ちました。融資をする立場からすると、お申込みが減るというのはなかなか残念なものがありますが、一方でそれは足元でお客さまの資金繰りが(少なくとも一旦は)落ち着いているということで、お客さまにとってはいいことだと考えています。
今後も新型コロナウイルス禍は相当程度続くであろう中で、アルトアの事業としては第二フェーズに入っていかなければなりません。これまではアルトア自身によって、弥生の会計データを用い、オンラインで完結する利便性の高い融資が実際に成立することを、いわば実証実験をしてきました。しかし、新型コロナウイルスのような過去に例のないほどの巨大な影響をもたらすものの前では、アルトアだけでは圧倒的に力不足です。3月にはお申込みが増えたとはいえ、それは日本全国で資金を求めていた事業者の数からすると、ほんの僅かな割合に過ぎません。
第二フェーズでは、金融機関がアルトアのテクノロジーを活用し、アルトアと同等の利便性/即時性を提供できるようになることを改めて目指していきます。これは当初から計画してきたことですが、残念ながらまだ実現できていません。
そのために必要になることの一つが、アルトアとして取り扱える会計データを広げること。実は今日から、これまでは弥生のデスクトップアプリをご利用の方のみが対象だったものから、弥生のクラウドアプリ(弥生会計 オンライン、やよいの青色申告 オンライン)をご利用の方もお申込みいただけるようになりました。これらはもっと早くに実現したかったのですが、何だかんだ時間がかかってしまいました。ただ、これはあくまでも通過点。今後は、弥生以外の会計ソフトにも対応していきます。
アルトアの親会社は、弥生ですが、弥生だけを見てビジネスをしている訳ではありません。アルトアが目指すのは、データとテクノロジーの力で事業者の資金繰りを円滑にすること。事業者の皆さんが弥生を使っていただいていることは嬉しいこと(実際に非常に多くの方にご利用頂いています)ですが、それによって利便性の高い融資を受けられるかどうかが左右されるべきではないと考えています。もちろん、利用者が極端に少ない会計ソフトに対応することは費用対効果的にも難しいという現実はありますが、一定以上のシェアのある会計ソフトには着実に対応していきたいと考えています。