2020年11月19日

基・配・所

今年の年末調整は変更点が多く、早めに準備しないとヤバい、ということで、前回から、今年の年末調整について変更点を中心にお話ししています。前回は、昨年までの3種類の申告書で3枚の帳票から、今年は5種類(!)の申告書で3枚の帳票に変わったとお話ししました。今回、新設された2つを含む3つの申告書が合体して生まれたのが、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(pdf)です。この帳票は、「年末調整のしかた」では、「基礎控除申告書等」と表記されていますが、例えば扶養控除等(異動)申告書は帳票の右上に記されたマークから「マルフ」、配偶者控除等申告書は「マルハイ」と呼ばれていますので、今回は、「マルキ」もしくは「マルキハイショ」と呼ばれるのでしょうか。

数年前に配偶者控除等申告書ができましたが、これは配偶者控除の見直しによって生まれました。同様に、今回の給与所得者の基礎控除申告書と所得金額調整控除申告書は、基礎控除が見直しとなり、また、所得金額調整控除という新たな控除ができたことにより生まれました。

基礎控除が見直しになったなんて聞いていないよ、と思われるかもしれませんが、実は約3年前に本ブログで基礎控除の見直しと所得金額調整控除についてお話ししています。ブログでお話しした時点では与党の税制改正大綱に記された段階でしたが、その後の国会で可決されました。それがついに今回の年末調整に反映された訳です。

基礎控除の見直しは、端的に言えば、基礎控除が38万円から48万円になるというものです。控除が増える = 所得額が減る = 税額が減る、ですから、いいじゃないか、と思われるかもしれませんが、実際には給与所得控除が逆に10万円減額されるため、ほとんどの給与所得者にとっては「行って来い」となり、所得額であり、税額への影響はありません。ただし、所得が一定以上になると基礎控除が減額となり、最終的には基礎控除がなくなるというのが、対象人数は限られるものの、今回の見直しの実質的なポイントです。詳細は年末調整あんしんガイドをご参照いただければと思いますが、所得金額が2,400万円を超える人は基礎控除が減額、2,500万円を超える人はゼロとなります。

基礎控除が10万円増える見合いとして給与所得控除が10万円減るとお話ししましたが、同時に、給与所得控除の上限額も見直しとなります。昨年までは、給与収入が1,000万円超で給与所得控除が220万円の上限に達することになっていましたが、今年から、給与収入が850万円で給与所得控除が195万円の上限に達することとなりました。つまり給与収入が850万円以上の方は控除額が15万円(+全体での10万円で合計25万円)減ることになりました。一方で、上でお話しした税制改正大綱では「子育てや介護に対して配慮する観点から」子育て世帯や介護世帯は「負担増が生じないよう措置を講ずる」とされていたことから、給与収入が850万円以上の子育て世帯や介護世帯において負担増とならないようにするために生まれたのが所得金額調整控除です。所得金額調整控除の詳細も年末調整あんしんガイドをご参照いただきたいのですが、正直、かなり複雑な制度で、これをパッと理解できる人はあまりいないのではないかと思います。趣旨としては、今回の給与所得控除の上限額の見直しを、給与収入が850万円以上の子育て世帯や介護世帯について打ち消すための調整ということです。

2020111901.png

基礎控除、配偶者控除/配偶者特別控除、そして今回新設された所得金額調整控除。共通項は、本人の所得金額によって控除の有無および額が変わるということです。このため、今回これらの控除の申告が1枚の帳票、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」にまとめられています。

今回お話しした内容については、詳細を年末調整あんしんガイドで解説しています。是非ご覧いただき、年末調整の処理を進めていただければと思います。

PS. どうでもいいことですが、基・配・所って、なんとなく、守・破・離みたいですね。まずは基本、そして気配りができるようになり、最後は置かれた所で咲きなさい、的な(笑)。
posted by 岡本浩一郎 at 20:48 | TrackBack(0) | 税金・法令
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/188140395
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック