2020年11月24日

提出が必要

今年の年末調整は変更点が多く、早めに準備しないとヤバい、ということで、前々回から、今年の年末調整について変更点を中心にお話ししています。前々回は、昨年までの3種類の申告書で3枚の帳票から、今年は5種類の申告書で3枚の帳票に変わったとお話ししました。前回は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(基礎控除申告書等)という帳票ができた背景についてお話ししました。

復習になりますが、昨年までは、1) 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、2) 給与所得者の配偶者控除等申告書、3) 給与所得者の保険料控除申告書という3つの帳票が存在していましたが、このうち、必ず提出が必要なのは1)のマルフだけでした(厳密に言えば、マルフは、その年の最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出するものとされており、それを年末調整時点で異動がないかを確認するという手続きとなっています)。これに対し、2)のマルハイと3)のマルホは年末調整において該当の控除を受けようとする場合にのみ提出が必要となっていました。ですから、例えば、配偶者はいるけれども、配偶者にもそれなりな所得があり、配偶者控除/配偶者特別控除の対象にならないということがわかっている場合には、マルハイを出す必要はありませんでした。

これに対して今年は、1) 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、2) 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書、3) 給与所得者の保険料控除申告書という3つの帳票となったのはこれまでお話しした通りです。そして今年に関しても、1)は必ず提出が必要なのに対し、2)と3)は該当の控除を受けようとする場合にのみ提出が必要ということは形式的には変わっていません。しかし実際には、1)と2)が必須と考えるべきです。というのは、2)を提出しないと、基礎控除を受けられなくなってしまうからです。これまでは基礎控除には一切の条件がなく、誰にでも控除が認められていましたから、基礎控除を受けるために申告書を出す必要がありませんでした。ただ、前回お話ししたように、今年から所得が一定以上になると基礎控除が減額となり、最終的には基礎控除がなくなるという制度になったため、申告が必要になりました。理論的には基礎控除がなくなる所得金額が2,500万円以上の人は基礎控除が受けられないわけですから、この申告書は提出不要です。ただ、給与等の金額が2,000万円を超える方については、そもそも年末調整の対象にはなりませんから、年末調整は受けるけど、基礎控除の対象外という方は基本的には存在しません。つまり、年末調整を受ける方にとっては、2)のマルキハイショも必ず提出が必要ということになります。

ここで注意が必要なのは、昨年までマルハイを出していなかったという方。上でお話しした通り、配偶者にもそれなりな所得があり、配偶者控除/配偶者特別控除の対象にならないということがわかっている場合には、昨年まではマルハイを出す必要はありませんでした。ただ、今年は、マルキハイショとして必ず提出が必要になります。この際、基礎控除を受けるけれども、配偶者控除/配偶者特別控除は受けないという場合には、2) マルキハイショのうち、基礎控除申告書部分のみを記入し、配偶者控除等申告書部分については記入する必要はありません。

ここでやっかいなのは、事業者側が従業員から基礎控除申告書部分のみ記入され、配偶者控除等申告書部分については記入がない2) マルキハイショを受け取った場合。この場合、「配偶者控除等申告書部分については記入がない」ことを「申告書上の配偶者の所得額を0円」として処理してしまうと、誤った控除額になります。配偶者控除等申告書部分については記入がないというのは、配偶者控除/配偶者特別控除が0円を意味するわけですが、誤って申告書上の配偶者の所得額を0円として処理してしまうと、結果的に(本人の所得次第ではありますが)、配偶者控除が満額計上されてしまうからです。

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この点、今回の弥生給与 21でどのように入力していただくか仕様を固める上でかなり悩んだポイントなのですが、誤解を避けるために、明示的に該当に従業員ごとに、「配偶者(特別)控除を受けない」という項目にチェックしていただくようになっています。この点お間違えの無いようご注意ください。
posted by 岡本浩一郎 at 21:35 | TrackBack(0) | 税金・法令
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