2020年11月30日

できなかったこと

今年の年末調整は変更点が多く、早めに準備しないとヤバい、ということで弥生自身も例年より圧倒的に早い時期から準備を進めてきました。年末調整と言えば、一般的に意識されるのはようやくこの時期なのですが、弥生は今年は7月末には「年末調整あんしんガイド」を公開し、事業者や会計事務所の皆さまが早めに準備できるように情報発信を行ってきました。もちろん今年の変更点に対応し、年末調整を進めていただくためのソフトウェアも弥生給与 21/やよいの給与計算 21として既に提供を開始しています。

ただ、残念ながら、今年できなかったこともあります。それは今年からスタートした年末調整手続の電子化に向けた取組みへの対応。今回の年末調整から、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等特別控除に係る控除証明書等について、勤務先へ電子データにより提供できるようになり、また、これを受けて、従業員がこれら電子データを取り込んで年末調整で必要な申告書を作成することのできる「年末調整控除申告書等作成用ソフトウェア」が国税庁から提供されました。

しかし残念ながら弥生はこれら(電子データによる控除証明書等および国税庁ソフトからのデータ取込)に対応していません。直接的な理由は、今更ながらではありますし、言い訳じみた部分もありますが、新型コロナウイルス禍です。春先からリモートワークが始まり、どのような生産性で成果を出せるかが見通せない中で、弥生として取り組むタスクの優先順位を見直さざるを得ませんでした。これまでお話ししてきたように、今年の年末調整はこれまでになく変更点が多い中で、まずはそういった法令面での変更にしっかりと対応し、なおかつ、お客さまに早め早めに対応いただけるようコンテンツ提供などをしっかりやることが最優先だと考えました。一方で、年末調整手続の電子化に向けた取組みについては、実際どこまで利用されうるかが判然としない中で、リソースを優先的に割くべきではないと判断しました。

実際問題として、保険料控除の控除証明書については対応する保険会社と対応しない保険会社がわかれました。私が個人的に契約している生命保険会社は1社が電子データに対応、もう1社は非対応、損害保険会社1社は非対応という状況でした。また、国税庁から提供された年末調整控除申告書等作成用ソフトウェアは公開が秋になったということもあり、認知が進んでおらず、弥生のお客さまで活用されるという事業者の方は少数にとどまる見込みです。正直これは難しいところで、弥生側が対応していない(結果的にこのソフトを利用してもその出力を手で弥生側に入力していただく必要がある)から、このソフトの利用が進まないという側面もあれば、逆に、このソフトの利用が進まないと、弥生としても対応することの合理性(特に今年のような難しい環境では)を見出すことが難しい。典型的な鶏と卵の問題です。

今後という意味では、年末調整手続の電子化に向けた取組みは広がっていくと思いますし、その中で弥生としても対応していく必要はあると考えています。ただ、どのタイミングでどう対応するのかは、年末調整控除申告書等作成用ソフトウェアの今期の利用状況(もちろん弥生ユーザー以外も含め)と、その評価も踏まえながらしっかりと考えたいと思います。本ブログはどうしても弥生としてやっていること、できたことのお話しに偏ってしまいますが、本件については、弥生としての課題であり、できていないこととしてしっかりお話しすべきだと考えました。

弥生として社会的システム・デジタル化研究会という組織を立ち上げ、デジタル化を推進しようという立場でありながら、足元で年末調整手続の電子化に向けた取組みに対応できていないのは正直お恥ずかしいところです。ただ悩ましいのは、今回の取組みは年末調整手続の電子化であって、デジタル化ではないということ。電子化した方が良いか、しない方が良いかと聞かれればもちろん電子化した方が良いとは思うのですが、一方でこれで従業員の申告書記入が圧倒的にラクになるか、あるいは事業者の年末調整業務が圧倒的に効率化できるかといえば、そうではないというのが正直なところです。時間はかかるかもしれませんが、やはりデジタルを前提として、制度の根本から見直すデジタル化が必要だと考えますし、弥生としては、そこまでしっかりと踏み込んでいきたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 21:54 | TrackBack(0) | 弥生
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