2020年12月18日

インボイスって?

月曜日に電子インボイス推進協議会(EIPA)を代表し、平井卓也デジタル改革担当大臣を訪問し、日本における電子インボイスの普及を通じた業務デジタル化に向けた提言を行いました。これを受け、翌日には平井大臣が記者会見において、EIPAの取り組みについて、「デジタル化を通じたバックオフィス業務の効率化の実現は非常に重要な課題でありますので、デジタル庁の設置を待たずして、官民連携の上、早急に進める必要のある、デジタル化のフラッグシッププロジェクトだと考えております」と言及いただきましたこちらの動画ニュースでも取り上げられており、私もしっかりと映り込んでおります(笑)。なお、蛇足ですが、このニュース中の「会計データを標準化」というのはミスリードで、正確には「会計データのもととなる電子インボイスを標準化」です(個人的には会計データの標準化も取り組みたい課題ではありますが)。

2023年10月のインボイス制度導入に向けて、大きな一歩を踏み出すことができた、と感じていますが、一方で、一般的な受け止め方としては、「そもそもインボイスって何だ?」ということではないでしょうか。

インボイスというのは、消費税法上、正式には適格請求書と言います。消費税を納めるのは、消費者。ただ、消費者が直接納税するのではなく、事業者が消費者から受け取った消費税から、仕入れ時に支払った消費税の差額を差し引いて納めるということは、以前お話しした通りです。仕入れの際に支払った消費税を差し引くことができるのは、仕入税額控除が認められるからです。

この仕入税額控除を認める条件を、適格請求書等を受領した場合に限るというのがインボイス制度です(適格請求書に加え、適格簡易請求書なども認められるため、適格請求書「等」と総称されます)。仕入税額控除というのはもちろんこれまでも存在したわけですが、これまではいわゆる一般的な請求書等でよく、その請求書は誰でも発行できます(厳密に言えば、軽減税率の導入を契機に、軽減税率の適用を明記する区分記載請求書等が必要になっています)。

これに対し、適格請求書については、発行できるのが、登録された課税事業者のみであるということ、また、記載すべき情報が明確に定められていることが特徴です。例えば、適格請求書には、発行した事業者の登録番号を必ず記載する必要があります。受け取った事業者は、この登録番号によって、発行事業者が確かに登録された事業者であるかどうかを確認することができます。

そういった意味で、インボイス制度は、これまでになかった全く新しいドキュメントが必要になるわけではありません。あくまでも今現在普通に存在している請求書の延長線上にあります。しかし、管理という意味では確実に煩雑になります。これまでは、請求書の発行者が課税事業者であるかどうかを意識する必要はありませんでしたが、今後は、課税事業者であるかどうかを明確に峻別する必要があります。

インボイス制度を法令改正という観点だけで見れば、事業者としては何も嬉しいことはありません。これまで以上にしっかりと管理する必要がある。まあ、一言でいってしまえば手間が増えるということです。これに対し、むしろ手間を減らし、業務の効率化を実現しようというのが、今回取り組む電子インボイスです。

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EIPAでは、EIPAが目指すべきこととして2つを掲げています。一つは、事業者が法令である「適格請求書等保存方式」に対応できるようにすること、ただそれ以上に重要だと考えているのが、二つ目である、デジタル化によって圧倒的な業務効率化を実現することです。では、どうやって圧倒的な業務効率化を実現するのか。次回以降じっくりとお話ししたいと思います。
posted by 岡本浩一郎 at 19:16 | TrackBack(0) | デジタル化
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