2020年12月24日

なぜ後工程からなのか

前回は、インボイス制度をきっかけにどのように業務効率化を実現しようとしているのかお話ししました。目指すのは、見積〜受発注〜請求〜支払/入金消込業務という一連の商取引がデジタルで一気通貫となる世界。社内にとじたIT化ではなく、社外ともデジタルでつながる世界。一方で、このビジョン自体は弥生として少なくとも5年前から掲げつつも、なかなか進んでいないともお話ししました。

なぜ、進んでいないのか。この一連の流れは、ざっくり言って、見積〜受発注〜納品という前工程と、請求〜支払/入金消込業務という後工程に分解することができます。このうち、これまで注目されてきたのは前工程です。商取引の中で、直接的に付加価値が生まれているところは、発注から納品が中心になりますから、そこにフォーカスが当たること自体不自然なことではありません。いわば日なたの存在。それに対し、後工程はどちらかというと、それの付随工程。いわば日陰の存在。

この種の仕組みは一般的にEDI(Electronic Data Interchange, 電子データ交換)と呼ばれており、大企業を中心に導入が進んでいますが、これらEDIは基本的に受発注が中心です。そして受発注を中心としたEDIは大企業を中心に業界単位では標準化されていますが、業界を超えて利用できる日本標準仕様は実現していません。これは受発注というプロセスには業界の固有性が大きいためです。例えば、電機製造業で必要とされる仕様と流通業で必要とされる仕様に差が大きい。このため、業界内では成立しても、業界を超えて利用できる標準仕様の策定が難しいということです。

これに対し、後工程は比較的業種による固有性が小さいのが特徴です。受発注は対象となるモノやサービスが多岐に渡り、標準化が難しいのに対し、請求〜支払は言ってしまえばおカネのやり取りですから、業種によるプロセスの差が大きくありません。だからこそ、業界単位ではなく、日本全体での標準仕様を策定しやすいと考えています。どちらかと言えば日陰の存在の後工程ですが、逆に日陰の存在であり、固有性が大きくないが故に標準化も実現しやすいと考えています。

もう一つ、電子インボイスという後工程から進めようとする理由は、電子インボイスの前提となるインボイス制度が2023年10月にスタートすることが決まっているから。標準化は望ましいものではあっても、明確な期限がなければ、なかなか意見がまとまらないもの。それに対し、電子インボイスについては、2023年10月という明確な期限があるため、個々の意見は脇において、皆で標準化を進めやすいと考えています。

とは言え、今回決めたPeppolをベースに、来年半ばまでに日本標準仕様を策定するまで(そしてそれ以降も)様々なハードルが待ち受けているものと考えています。ただ、この機会で誰でもが利用できる、利用することが当たり前の仕組みを作らないと、もう永遠に実現できないのではないか、という危機感も持っています。日本全体としてもデジタル化に対する機運が高まっているこのタイミングで、まずは後工程から、日本の商取引のデジタル化に取り組んでいきたいと思っています。

Happy Holidays!
posted by 岡本浩一郎 at 23:42 | TrackBack(0) | デジタル化
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