2021年02月17日

申告書と時代

いよいよ昨日から確定申告が始まりました。今回の確定申告書は様式が大幅に変更されていることは以前お話ししました。例年何らかの変更はあるのですが、それらをマイナーアップデートだとすると、今回は間違いなくメジャーアップデート。

実は今回、申告書の意外な部分が変わっています。それも時代を反映する形で。

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上が昨年までの確定申告書のうち住所・氏名などの基本情報を入力する欄です。下が今回(令和2年分)。サイズが変わったり、場所が変わったりと一見結構変わっていますが、実は項目レベルで変わった(なくなった)のは一つだけです。どれだかわかりますか?

正解は性別の記入欄です。昨年までは男もしくは女をマルで囲う欄がありましたが、今回からはそれがなくなっています。昨今は、そもそも男もしくは女という二者択一ではないという理解が広がりつつありますし、また、男はこうだ(こうであるべし)、女はこうだ(こうであるべし)というのもステレオタイプであり、不適切であるというのが浸透しつつあります。不適切な発言で、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の委員長が辞任したのも記憶に新しいところ。

そんな時代ではあっても、様々な書類にごく当たり前に性別の記入欄があります。でも、本当にそれが情報として活用されているのか、あるいは活用されるべきなのか。そういった中で、今回確定申告書から性別欄が消えたことは、地味だけれども、実は大きなステップなのではないかと思います。

もっとも、実は細かく言えば確定申告書には性別を記入する意味があると言えばあります。性別によって控除に差が出るケースがあるからです。寡婦(寡夫)控除が見直しされてひとり親控除になったことは以前お話ししましたが、実はひとり親控除には該当しない場合でも、女性にだけ認められる寡婦控除は残っています。ただ、これに関して言えば、控除の方を見直すべきなのではないかと思いますが。

今回時代を反映してなくなったのが性別欄ですが、逆に残念ながら今回は時代を反映しなかったものもあります。それは何かというと…、押印欄です。

菅政権の発足以降、押印の必要性が急速に見直されるようになったことは非常に意味のあることだと考えています。ただ、今回の確定申告書の様式には見直しが間に合わなかったようで、今回の様式にはしっかり押印欄が残っています。

一方で、昨年12月に、「提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、次に掲げる税務関係書類を除き、押印を要しないこととする」という方針が示されており、この方針に従えば、今回の確定申告では押印しなくても「改めて求めないこと」となるはずです。

もっとも、税務署によっては今年は押印してほしいというところもあるようで、現時点では上記の方針は完全に徹底はされていないようです。とはいえ、これも以前にお話ししたことですが、今回の申告から、電子申告をすることによって税金が優遇されますから、書面前提で押印するかどうか悩むよりも、電子申告でサクッと済ませ、税金の優遇もゲットしたいところです。
posted by 岡本浩一郎 at 22:50 | TrackBack(0) | 税金・法令
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